言論NPOとは

言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果 -平成30(2018)年度版-

平成30(2018)年度 評価結果


1)ネガティブチェックリストによる評価結果

 ネガティブチェックリストによる評価では、平成30年度の言論NPOの活動を7分野に分類し、非政治性では19の評価項目で、非宗教性は12の評価項目によって、宗教性・政治性に該当する活動であるかを判断した。評価結果は以下のとおりである。
 なお、これらの評価項目はいずれもネガティブチェックリストによる評価である。

【1】非政治性については、言論NPOの7分野の活動を19の評価項目で評価した結果、以下の分野の項目で非政治性が判断できなかった。(評価結果の詳細は別紙2参照)
(1)民主主義を考える事業で実施した分野において4項目
(2)北東アジアの平和構築に向けた事業として実施した分野において2項目
(3)世界の課題解決に向けた事業において2項目
(4)会員等向けフォーラムにおいて2項目
(5)ウェブ論壇・海外発信において2項目
 この5分野12項目についてはネガティブチェックリストで判断がつかないため、下記の2)のコンテンツ判定基準で追加の評価を行った。

【2】非宗教性については言論NPOの活動の7分野を12の評価項目で評価した結果、全ての項目で「非宗教性」を完全に満たしていると判定した。


2)コンテンツ判定基準方式による評価結果

 ネガティブチェックリストにおいて判断できないとされた5分野12項目について、コンテンツ判定基準方式による評価を行った。5つの評価項目は以下の通り。
①活動の目的の明確性
②活動に当たって言論NPOが拠って立つ立場の明確性
③活動のターゲットの明確性
④活動に当たっての主要なコンテンツ形成活動に係る方法論の明確性
⑤活動の方針決定に係るガバナンス及び透明性
 ネガティブチェックリストに置いて非政治性が判断できない5分野12項目について5つの評価項目でコンテンツ判定した結果、全ての項目に置いて基準をクリアしており、「非政治性」を満たしているものとされた。
 

 上記の1)、2)の結果、言論NPOの活動全てにおいて、言論NPOの8分野の活動において、非政治性、非宗教性において問題がないとの結論が得られた。
 従って、平成27年度における言論NPOの活動は、全てにわたり「非政治性・非宗教性」を満たしているものと評価される(評価結果の詳細は別紙1別紙3参照)。

「非政治性・非宗教性」に関する言論NPOの今後の取り組みについて

  「非政治性・非宗教性」の説明力をより強化するために令和元年(2019)年度は下記の点について重点的に取り組む予定である。

①自己評価をわかり易く説明し、中立性の評価自体の意義を公開する

 言論NPOの活動は、国内外の課題解決に向けて、様々な議論を通じ多くの市民に対して判断材料を提供することである。そのため、我々の事業内容の中立性が非常に問われている。そこで、言論NPOでは、設立当初より、日本で初めて米国IRS(内国歳入庁)の基準をもとに、「非政治性・非宗教性」に係る自己評価システムを開発し、自己評価を毎年行っている。さらに、評価プロセスや評価内容、その結果を、第三者である言論監事が判定するというシステムを採用し、ウェブサイトで全て公開している。こうした取り組みが評価され、世界的にも我々の活動の信用力強化につながっている。また、こうした評価を行っているのは、世界でも稀有な存在である。

 しかし、こうした評価結果を実施していることについて、多くの人が認知しているとは言えないのが現状である。今後は、評価結果の公表に加えて、中立性評価の必要性や、なぜこのような評価体系を開発したのか、など原点に戻ってわかりやすく解説するとともに、それらを海外でも積極的に発信していきたい。

②中立性維持のための更なる透明性の促進のため、集客・聴取者増をさらに進める

 言論NPOの活動の中立性を維持するためには透明性を強化すると同時に、多様性のある資金基盤を確立することが重要だと考えている。そのため、これまでの議論も聴衆を入れたオープンな形で実施し、議論についてはインターネットでも同時中継を行っている。今後は、更に多くの方々に参加、視聴してもらうため、集客等をテコ入れし一層の集客・聴取者増を進めていく。また、これまで世論調査や有識者調査を実施することで、多くの人たちの意見を議論に反映する形を採用してきた。今後は、世界のシンクタンクとのネットワークを活用しながら、世界でも世論調査や有識者アンケートを実施し、その結果を国内にフィードバックすることで、市民に更なる判断材料を提供していきたいと考えている。

 さらに、多くの市民に支持されるような仕組み作りに向けて、ウェブサイトの訪問者数を拡大させると同時に、ふるさと納税を利用した寄付、新規の個人向けの小口寄付キャンペーンの実施、個人・法人からの大口寄付の募集などを着実に実行するなどして、特定の資金に偏らず、多くの人たちがこの活動に参加し、支えてくれる仕組みをつくっていきたいと考えている。


評価の目的

 特定非営利活動法人が寄付金無税団体としての公益性を十分に満たす団体であるためには、その活動が特定の政治的ないしは宗教的な立場に偏らずに行われる必要がある。本評価では言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」(注1)を満たすものであることを示すため、前年度に引き続いて平成30年度の活動全体について自己評価を行った。

(注1)「非政治性・非宗教性」とは特定非営利活動促進法(NPO法)第2条第2項の二に規定された次の要件を満たす活動を行っていないことを指す:A.宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること。B.政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること。C.特定の公職の候補者、若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対すること。


1.評価対象

 平成30年度の言論NPOの活動では、下記(1)~(7)の通り、7つの分野で評価を行った。

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 (注)ここでは、「言論活動等」を次のように定義する。
(1)当該団体の正式な活動として設営する場や当該団体が管理運営する発信媒体上において、設営された場への参加者、社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信することを想定して、当該団体関係者あるいはそれ以外の者が行う、①意見表明、講演、報告などの発言、②質疑応答を含む討論、③論文などの執筆、④これらの編集。
(2)当該団体以外の者が設営する場や当該団体以外の者が管理運営する発信媒体上において、当該団体あるいは代表者がその名の下に、設営された場への参加者、社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信することを想定して行う、①意見表明、講演、報告などの発言、②質疑応答を含む討論、③論文などの執筆。
(3)上記(1)の内容を社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信する活動。
(4)上記(1)の活動への参加を呼びかけ、場を設営するなど(1)の活動の準備を行い、あるいは議論を設計する活動。


2.評価方法

 自己評価は平成30年度における言論NPOの全ての事業について、最初に1)で説明するネガティブチェックリストによる第1次評価を行う。その要件で「非政治性・非宗教性」を満たすとするには疑わしい事業については、2)「コンテンツ判定基準」で再評価を行う。こうした2つの評価基準を組み合わせて評価を行った。各評価基準による評価方法は次のとおりである。(この評価手順は別紙4でも説明する)


1)「ネガティブチェックリスト」による評価

 米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて言論NPOが作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価(「非政治性・非宗教性」を満たすためにクリアしなければならない項目に対する該当有無のチェック)を基本とする。

 言論NPOの平成29年度の全ての事業を対象に、このリストの項目毎に評価し、外形上から明らかにその活動が「非政治性・非宗教性」を満たす事業は「○」、「非政治性・非宗教性」を満たさない事業は「×」とした。外形的な判断のみでは評価できない事業は「△」とした。(評価結果の詳細は別紙2参照)

 ネガティブチェックリストのチェック項目は「禁止項目」と「注意を要する項目」の2つに分けられる。前者は「非政治性・非宗教性」を満たすために必ずクリア(「○」)しなければならない項目で、後者はその要件を満たすことが望ましいが、その要件を満たさなくとも、直ちに「非政治性・非宗教性」を満たさないとは言い切れない項目である。

 「△」とされた事業(例えば別紙2のチェック項目2-1の(1)政策評価事業)であっても、その詳細を更に追加のチェック項目(例えば同表 項目2-1-1)で検討し、その要件を満たすとされた場合には、ネガティブチェックリストによる対象事業の評価は「○」として、救済することとする。なお、別紙2において、このように追加の項目で更に詳細をチェックした事業は、「△」との混同を避けるため「▽」と表記し、追加項目の行で「○」「△」「×」による評価を行っている。


2)「コンテンツ判定基準」に基づいた評価

 ネガティブチェックリストにおいて、いずれの事業も各チェックリスト項目が全て「○」の場合は、平成29年度の言論NPOの活動は「非政治性・非宗教性」が完全に満たされているとする。一つでも「×」があった場合は、「非政治性・非宗教性」が完全には満たされていなかったものとする。

 ネガティブチェックリストにおける要件で救済されない事業(「△」が一つでもあった事業)が残った場合は、その事業についての評価は「コンテンツ判定基準」に委ねることとする。「コンテンツ判定基準」による評価とは、個別の事業の形成プロセスを、5つの客観的な基準(①目的の明確性、②立場の明確性、③ターゲットの明確性、④コンテンツ(事業)形成に係る方法論の明確性、⑤方針決定に係るガバナンス及び透明性(詳細は別紙3、別紙4参照))により、評価することである。ネガティブチェックリストでは評価できない事業についても、「コンテンツ判定基準」によって、個々の事業の形成プロセスが「非政治性・非宗教性」を満たすと判断できる場合には、最終評価としてその事業の内容自体も「非政治性・非宗教性」を満たすとみなすことができる。


3)自己評価結果の理事会での議決、言論監事による判定を経て、通常総会に提出

 以上の評価は、言論NPOによる事後的な「自己評価」であり、これを毎年度、理事会で議決の上、通常総会に提出する。通常総会への提出にあたっては、この自己評価について言論監事による判定を行い、その結果を通常総会に報告する。


4)公表

 評価の信頼性を最終的に担保するものは、公開の原則に基づく評価のアカウンタビリティーである。

 評価の公表は、インターネットなどにより行い、自己評価結果と、その根拠に係る概要、及び、言論監事による判定を公表する。また、公表に際しては、評価結果について疑問等がある場合には評価根拠の公開申請を受け付ける旨を明示し、一般から公開申請があった場合には、ウェブ上に評価結果の根拠をより詳細に公開する。