言論NPOとは

平成18年度 言論NPO活動報告

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平成18年度活動報告

 言論NPOは平成18年11月に創立から5年を迎えました。これまで言論NPOは、十分ではない体制や基盤の中でも、多くのメンバーの協力を得て、質の高い議論とそのための舞台の形成に取り組んできました。日本の言論やマニフェストの現状は、質の高いしっかりとした言論の役割を一層問うているように思われます。

 言論NPOの所期の目的は、1.「質の高い議論の舞台の形成と議論の発信」2.「有権者が政治を判断するための判断材料の定期的な提供」3.「政治に将来ビジョンと改革の方向の提示を迫る」の3つですが、私たちがこれを達成するためには、克服しなければならない課題である議論の発信力の強化と質の高いコンテンツの制作を安定的に継続的に行える体制づくりが必要です。平成18年度は、前年度から平成20年度までの4年間を第二期として活動に取り組んでいるこれらの課題を克服し、言論NPOが所期に目指したミッションの実現を目標にして運動を組み立てています。

 平成17年6月1日から平成21年5月31日まで継続して言論NPOは議論の発信と政策提言型のNPOでは日本では初めて、国税庁から寄付金無税団体の認定を受けることになり、言論NPOの公益的な性格が認められることになりました。私たちはその重みをしっかりと受け止め、私たちのミッションの実現に取り組んでいます。


事業の成果

1)質の高い議論の舞台の形成と議論の発信

イ.ブログ機能アップリニューアルによるウェブサイトの議論発信

 発信ではまずインターネットによる議論発信の充実のために、読者との双方向の議論が行えるように平成17年10月にウェブサイトをブログの画面に切り替えました。
 これは特定のテーマに基づく議論をキャンペーンの形で行い、その中で問題提起した発言をウェブで掲載する同時に、その内容をブックレットでも公開し、その内容を読んだ人がウェブ上で議論に参加するというものです。
 こうしたウェブを主体とした議論づくりを行うために、「工藤ブログ」「言論ブログ」「マニフェスト評価ブログ」「北京-東京フォーラムブログ」などの参加型のブログも始めました。また動画による発信など効果的に読者を惹きつけるように全面的リニューアルを行い、様々な有識者による質の高い議論を頻繁に発信して充実させました。メールマガジンを定期的に発行(登録者約5千人)し、会員以外の一般ユーザーに対する情報提供、情報公開を更に向上させました。
 この結果、ウェブサイトの閲覧状況は平成18年7月には3万2千人のアクセスを記録、月間概ね2万アクセスの実績となっています。さらにブログでの時宜を得た議論を紙媒体に連動させるために平成18年11月から「言論ブログ・ブックレット」として発行を開始し、3月末まで5テーマのブックレットを発行しました。
 また、世界に活動を広げるために、平成18年秋に英国人を採用して英語版のウェブを部分的にリニューアルし、タイムリーに活動状況を発信しています。
 

ロ.「東京-北京フォーラム」

 日本と中国の間に個人を主体とした民間の非営利による自由で建設的な新しいコミュニケーションチャネルを作るために、平成16年10月に中国の唯一の英字日刊紙、チャイナデイリー(中国日報社)と議論提携し、北京大学国際関係学院と共催で平成17年8月に北京で北京-東京フォーラムを立ち上げました。
 これらの議論を通じて両国民の相互理解やコミュニケーションギャップの解消に取り組み、将来的にこのフォーラムの議論をアジアや世界に発信できる舞台に発展させることがその目的です。私たちは、日中やアジアの共通課題を解決するため政府間協議を補完する民間のトラック2(公共外交)の役割を果たそうと考えています。
 特に、平成18年に8月に東京で開催した「第二回東京-北京フォーラム」では、9月の自民党総裁選で次期総裁が確実視されていた安倍官房長官が参加し、安倍氏の発言を契機に日中両国関係改善、首脳会談再開の扉を開く歴史的な役割を果たしました。
 北京-東京フォーラムの内容はウェブサイトに公表すると共に、報告書にまとめあげて発行しました。「第一回北京-東京フォーラム報告書2005年北京」は平成18年4月、「第二回東京-北京フォーラム報告書2006年東京」は平成18年12月にそれぞれ発行し、会員、メディアや図書館、各分野の有識者に配布すると共に直販はもとより、書店での販売、インターネットでの販売を開始しました。


有権者が政治を判断するための判断材料の提供

イ.マニフェスト評価

 政党が選挙のときに公表するマニフェスト(政権公約)とその実行の評価を行い、その内容を公開することは、有権者主体の民主主義のインフラ形成の一端を担うために取り組んだものです。国政マニフェストと政府の政策実行の評価をこれまで3回公表し、昨年度には「マニフェスト評価書 -2005年度版-」報告書を発行し、会員、メディア、図書館、各分野の有識者に配布しました。
 平成18年度は、安倍政権一〇〇日を機に緊急アンケート調査を実施し、350人の回答を「マニフェスト評価ブログ」で公表すると共に、言論ブログ・ブックレット「安部政権の一〇〇日評価 -有識者350人の発言-」として発行しました。
 さらに、安倍政権について有識者5人の活発な議論を展開し、官邸側の発言を得て、それらをウェブで公表しました。これらの議論は言論ブログ・ブックレット「美しい国とは何か -安倍政権一〇〇日評価 議論編-」にまとめて4月に発行しました。
 ヤフー「みんなの政治」のウェブサイトにも言論NPOのマニフェスト評価議論を常時掲載しており、内容が公開されています。

ロ.地方再生戦略会議

 言論NPOではこれまで、ローカル・マニフェストの評価を行うための基準作りに取り組み、地方の人も自治体選挙とその後の政策実行を評価できるような評価基準を公表してきましたが、これを「地方の自立・再生」のための実質基準に変え、さらに地方の自立に戦略提言をできる有識者の地方再生戦略会議を平成17年12月に発足させました。
 そのパイロット事業として、言論NPOは地方との議論協働により、地方の自立・再生に向けた戦略構想を北海道からスタートし、言論NPOと北海道の経済人、首長などが民間会議を設立しました。言論NPOが会議で提案した自立再生戦略に基づき、北海道側が地域再生戦略を提案、平成18年2月5日に東京で一般公開した「第2回北海道の自立再生を考える民間委員会」で再生プランについての合意がなされました。引き続いて、平成18年10月29日に札幌で「第3回北海道の自立再生を考える民間委員会」を開催し北海道に問われる本質的な論点の提示と地域再生のためのシステム設計に向け、北海道との協働を更に進めることで合意しました。
 地方の自立・再生への提案や議論を平成18年5月から開始しました。5人の有識者による議論をウェブで公開し、その内容を小冊子にまとめて会員、メディア、有識者に配布、11月に言論ブログ・ブックレットとして発行し、書店で販売を行っています。また、「地域再生とパートナーシップ-公の担い手とNPOの役割-」会議で代表が講演を行い、ウェブで内容を公開しました。
 平成19年4月の統一地方選挙に向けて、平成19年3月に「日本の知事に何が問われているのか」のアンケート調査を2,000人の有識者に実施しました。中央・地方の公務員、メディア、企業経営者などから200人の回答を得て、4月中旬に結果を公表しました。

将来ビジョンについての対案づくり

イ.アジア戦略会議

 日本の将来を巡る議論としては、日本が目指すべき将来構想の選択肢を社会に提案するため、私たちが定めた5段階の戦略形成の方法論に基づいて、日本の将来構想に向けた議論を引き続いて行い、それらをウェブサイトで公表しました。
 平成18年度のアジア戦略会議は、前年度に引続き5回開催して、戦略提案を行うために、私たちの仮説の見直しの作業を行っています。


2.事業の総括

経営と議論活動のガバナンス強化

 私たちは平成17年度の寄付金無税化に際して、私たちが行っている言論活動が非政治活動、非宗教活動であることを評価するため、アメリカのIRSの評価手法を参考にした「自己評価システム」を日本で初めて取り入れ、その内容を会員以外の第三者の有識者である言論監事に判定していただくシステムを導入しました。これは公益活動を寄付市場に開かれた自己評価で評価し、その判断を市場にゆだねるという日本では画期的なものです。前回の総会でこの自己評価を初めて公開しましたが、今回も、この評価を適正に行っています。
 私たちがこうしたガバナンス対応を重要視していますのは、言論NPOの活動が政府や特定の政治などに影響を受けるのではなく、日本社会に健全で質の高い言論や政策論議を取り戻し、その内容を有権者に提供するという自発的で中立的なミッションに基づいていることを、ガバナンスの面でも設計思想を統一するためであります。
 言論NPOの活動はこれで会計、業務、言論の3つの監事でチェックされることになり、さらにアドバイザリーボードから助言などを受けています。

活動の状況

イ.

 言論NPOには、日本の将来に対して真剣な議論形成を求める民間経営者、官僚、エコノミスト及び多様な分野の学者・研究者など会員以外の方も含めて約500名の方々が個人の資格で活動に参加しており、議論形成や成果報告あるいは提言の作業に協力し、あるいは携わっていただいています。

ロ.

 平成19年3月末現在で理事9名、監事1名、言論監事2名、会計監事1名、常勤雇用者4名、派遣社員3名、アルバイト5名の計25名に加え、委託業務、学生をはじめ多くのボランティアの参加を得て、事務所運営及び言論活動の本格的な展開を行っています。

ハ.

 期末現在の会員数は、定款の規定により、退会届提出者、死亡者・連絡先不明者、継続して2年以上会費を滞納した会員資格喪失者を除外した結果、正会員の基幹会員91名及び法人会員14社で、その他会員の一般会員は124名及び学生会員13名の合計242名となっています。尚、本年度の新規会員数は基幹会員2名、法人会員2社、一般会員7名の合計11名となっています。


活動の記録

総 会:第5回 平成18年6月17日
理事会:第33回 平成18年4月25日
    第34回 平成18年5月23日
    第35回 平成18年8月22日
    第36回 平成18年10月24日
    第36回 平成19年2月13日

平成18年4月
   「第1回北京-東京フォーラム報告書2005年北京」発行
   政策フォーラム「アジア戦略会議」を開催(ゲスト田中明彦氏)
   北京-東京フォーラム準備会
   第6回地方分権構想委員会
5月
   政策フォーラム「アジア戦略会議」を開催
   第7回地方分権構想委員会
6月
   政策フォーラム「アジア戦略会議」を開催
   「言論NPO自己評価結果」及び「言論監事の意見」公表
   「言論NPO/チャイナデイリー共同記者会見」於、日本記者クラブ
   「日中共同世論調査」実施
   「東京-北京フォーラム」有識者アンケート調査実施
7月
   支援者会議
   政策フォーラム「アジア戦略会議」を開催
8月
   「第2回東京-北京フォーラム」(於、東京)開催。チャイナデイリー・北京大学国際関係学院・国務院(新聞弁公室)、対外友好協会との共催
   NPO会議フォーラム
9月
   全国知事会拡大小委員会で工藤代表講演
   英文編集者会議で工藤代表講演
   理事懇親会
10月
   新地方分権構想検討委員会
   第3回北海道の自立・再生を考える民間委員会

11月
   言論ブログ・ブックレット「日中対話」「国と地方」発行
12月
   言論ブログ・ブックレット「メディアの責任」発行
   報告書「第2回東京-北京フォーラム 2006年東京」発行
  言論NPO設立5周年パーティー
   「安倍政権一〇〇日評価」アンケート調査実施
平成19年1月
   第3回北京-東京フォーラム開催準備打合せ(チャイナデイリー)
2月
   政策フォーラム「アジア戦略会議」を開催
3月
   「言論NPOメンバーフォーラム」(ゲスト竹中平蔵氏)を開催
   政策フォーラム「アジア戦略会議」(ゲスト毛利和子氏)を開催
   「日本の知事に何が問われているのか」緊急アンケート調査実施

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