言論NPOとは

平成20年度 言論NPO活動報告

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平成20年度 言論NPO活動報告

 平成20年度は、平成17年度より始まった4ヶ年計画の最終年度として、「議論の発信力の強化」「資金基盤の拡大」の二つの課題に関して取り組みました。


Ⅰ.事業の成果

 「議論の発信力の強化」では、議論の舞台をより活性化するためマニフェストの評価会議などの会議を原則公開型に切り替えたこと、フォーラムとウェブの議論を連動させ、SNSなどを活用した討議型のウェブ空間(ミニ・ポピュラス)を導入するなど、より公開・参加型の議論づくりに取り組みました。  「資金基盤の拡大」では、長年の懸案だったデータ・ベースを完成させ、顧客 情報の整理に取り組むなどで言論NPOの顧客基盤の固めたこと、さらに言論NPOの活動と一般の人とのつながりを持つメイトという新しい無料の登録制度を創設しました。

1)議論の発信力の強化

 言論NPOは、これまで議論の発信として、フォーラム・ウェブ・ブックレットをそれぞれ連動させて議論を展開する「三位一体モデル」を軸に活動を行ってきました。  こうした議論の展開は、質の高い議論を提供するという目的に沿ったものです。  健全な議論の舞台を構築するという言論NPOのミッションを具体化する為には、そうした質の高い議論作りのプロセスや議論自体がより広く公開され、多くの人が議論に参加することで、議論の舞台をより大きな発信力や影響力を持てるものに発展させる必要があります。  そうした議論の発信力を強化する第一歩として、20年度は、マニフェスト(政権公約)の評価プロセスの公開とniftyのSNSとの連携に取り組みました。

 イ.マニフェスト評価のプロセスの公開

 政府が進める政策の評価や政党が約束するマニフェストの評価は、各分野の専門家が行う評価会議や、政府や政党の担当者のヒアリングなどを軸に行われています。20年度からはそうした評価のプロセスを原則的に公開することにしました。  この試みとして20年12月には「世界の金融危機と日本の進路」など3回の評価会議を一般の方に公開し、また関係者による議論をフォーラムとして実施し、延べ約30人が参加しました。     また、新たな試みとして、言論NPOのマニフェスト評価会議と政党との討議として、7月に民主党の各分野のネクスト大臣との本格的な政策議論(テーマ:民主党の政策を問う)を行う第1回マニフェストフォーラムを開催しました(傍聴者約50人)。このフォーラムでは、インターネット会議方式を導入し、会場に直接来ることができない人もインターネット中継を利用して議論に参加できる仕組みを使い、完全公開としました。この試みはメディアにも取り上げられました。(2008.7.17毎日新聞朝刊)  しかし、こうした評価作業の公開には傍聴者数がまだ少なく、大きな話題を作れていないなど取り組みの課題が残っています。今後もさらに発展させ、評価の発信力を高める必要があると考えています。

 ロ.niftyのSNSとの連携

 参加型の議論づくりは、言論NPOのウェブサイトでも行い、その一例として言論NPOの問題提起型の議論とniftyのSNSを6月に連携させ、ウェブ上に市民討議の場(ミニ・ポピュラス)を立ち上げました。  ひとつのテーマに対し、代表工藤をモデレータとして、言論NPOのウェブサイト上で複数の有識者に発言をしてもらい、言論NPOのサイトではそれらの発言に対するアンケートとコメントを集め、双方向型の議論はSNSのミニ・ポピュラスを舞台として参加者が意見を出し合う形で行うというものです。  ここでは6月から「日本の政治は信頼できるか」などをテーマに議論が行われ、開始から8ヶ月でミニ・ポピュラスの参加者が総数2637人となりました。潜在的なニーズが多いことが分かり、言論NPOが今後取り組む議論作りに大きな示唆を与えるものとなりました。この取り組みはメディアでも取り上げられました。(2008.6.20朝日新聞 朝刊)。  但し、こうした議論作りには潜在的なニーズはあるものの、実際の発言者は20人程度と少なく、実際の発言への誘導にはかなりの時間や作業が必要となることがわかりました。また、書き込みだけでは単なる非難だけになる傾向があり、質を維持した議論とウェブ上での議論をどう両立させるかについては、まだ答えを出し切れていません。  こうしたウェブ上での参加型の議論の試みを言論NPOが行うべき議論づくりにどう結びつけながら発展させるのか、あるいはフォーラムとウェブの連動などを通じて議論の舞台の強化をどう実現するのかが、今後の課題になっています。

2)資金基盤の多様化と安定的な経済基盤の構築

 20年度後半からは、100年に一度と言われる経済危機により寄付が鈍化し、資金源の多様化がこれまで以上に必要になっています。寄付以外の事業展開による資金の確保をすることで、活動・事業を支える資金基盤を作ることが急務となっています。その観点から、顧客基盤を固め、会員制度を見直すことが必要と考え、安定的な経済基盤を構築するための業務の全般的な見直しに取り組みました。  20年度に実施したのは、今後の事業基盤となる顧客情報の整理と、言論NPOのウェブサイトへの訪問者など、活動に立ち寄る人たちを言論NPO顧客として取り込むための作業です。

イ.データベースの整備

 これまで、言論NPOの活動に参加した方々について、顧客管理という観点から情報が整理されていませんでした。顧客の管理体制の構築は、事業及び経営基盤の拡大と安定につながります。そのため、20年度は、きめ細かい顧客管理ができるデータベースシステムである「シナジー」を7月に導入し、データベースを構築させ、本年2月にその運用を開始しました。「シナジー」は独自に判別区分を設定でき、その区分を使って対象者ごとの対応ができるため、これまでにない、きめ細かい顧客管理とケアが可能になります。

 ロ.新しい顧客基盤となる「メイト」の創設

 これまでにウェブの月間訪問者数(5,000~30000人)、メルマガ登録者(約2,600人)については、顧客という概念外にありました。しかし、これだけのウェブの訪問者とメルマガ登録者を、言論NPOのフォーラムの参加など実際の活動や会員に誘導できれば、それは正に事業及び経営基盤の拡大と安定につながると考えます。  そこで、20年度ではこれらの人達を潜在的な顧客と捉え、それを参加者につなげるための取り組みを行いました。それが、無料の登録者制度の「メイト」の創設です。「メイト」に登録した人は、言論NPO ウェブの更新情報、フォーラムやセミナーの開催通知をリアルタイムで直接受け取ることができます。「メイト」は20年7月から開始しましたが、平成21年 5月20日現在で156人が登録しています。ウェブ訪問者やメルマガ登録者をいかにメイトへ誘導するかが今後の課題になっています。

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 このように、20年度は言論NPOへ関わる人達を「顧客」と捉え、その顧客基盤となるデータベースの構築を行い、さらに「メイト」創設など、言論 NPOの活動への訪問者の「顧客化」に取り組みました。21年度以降もその顧客基盤とデータベースを基に、言論NPOの活動に対する訪問者を大きく増やすこと、さらにこうした顧客基盤をどう事業や会員化に結びつけるのかが、今後の課題になります。

Ⅱ.その他のコンテンツ活動

 イ.第4回「東京―北京フォーラム」

 毎年夏に開催する「東京―北京フォーラム」は20年度で4回を数え、両国を代表する民間対話の舞台として定着すると共に、参加者の規模やフォーラムの議論の発信力としてはこれまでにない成果を得ました。  日本と中国の発言者となるパネリストは中国側からは、閣僚を含む50人の大訪日団が来日し、日本側も6人の現役閣僚を含む56人がパネリストとして参加し、2日間の討議では1000人を超す聴衆が参加し、議論の内容は日本と中国の主要メディアによって報道されました。  分科会はこれまでの「メディア対話」「政治対話」「経済対話」「安全保障対話」「環境対話」に加え、20年度は「地方対話」「食料対話」が新設され、過去最大の7つとなり、中国のメディアも特別報道体制をとり、毎日その議論が広く報道されました。  「政治対話」は昨年の北京大学での開催に続き、今年は東京大学で開催し、両国の政治家が、将来を担う学生に向けて語り合いました。特に冷凍餃子問題を発端に日本の対中イメージが悪化する中で、「メディア対話」では、フォーラム開催に併せて実施した日中共同世論調査の結果に基づき、両国民の認識の違いやギャップを埋めるため激しい議論が展開されました。この「メディア対話」には日本の主要メディアの編集幹部に対し、中国からは中国国際放送局、新華社、人民日報の主要メディアのトップが参加しました。議論の内容は日本ではNHKが特別番組を作り、その他、インターネットで日中同時に中継することで、会場外の人も参加できる仕組みをとりました。まさに私たちが目指す参加型で公開された本音の議論が実現したと言えます。  言論NPOでは、東京―北京フォーラムの議論の内容を、公式サイトを立ち上げて公開すると共に、報告書にまとめあげて発行し、公開しました。

ロ.非営利組織評価研究会への議論協力

 この研究会は、自立した公共の担い手としてのNPOの可能性を探り、経営体としてのNPOの強化・発展の方途を探ることを目的としたものです。  平成20年はNPO法が施行されて10年という節目の年でした。その節目の年である20年度、言論NPOは市民が主役へ変わるための課題を総括し、市民が積極的に発言し行動できる社会を作るために、有識者で組織された非営利組織評価研究会の議論作りを担当し、この議論はブックレット13号「日本の未来と市民社会の可能性」として発行しました。  また、この非営利組織評価研究会は、21年4月1日に非営利活動の評価基準を検討するため、「非営利組織評価基準検討会」に発展し、言論NPOはここでも議論作りを担当することになりました。  

ハ.アジア戦略会議 将来ビジョンについての対案づくり

 平成20年度のアジア戦略会議は4月22日(テーマ「グローバリズムの中で日本がいかに生き残るか」、ゲストスピーカー:国際問題アドバイザー・岡本アソシエイツ代表 岡本行夫氏)と、7月16日(テーマ「最近の国際経済の潮流における国際協力銀行の取り組み」、ゲストスピーカー:国際協力銀行総裁 田波耕治氏)の2回を開催しました。開催された会議の内容については、ウェブサイトで公開しました。

Ⅲ.平成20年度言論NPOの組織運営

 イ.

 言論NPOには、日本の将来に対して真剣な議論形成を求める民間経営者、官僚、エコノミスト及び多様な分野の学者・研究者など会員以外の方も含めて約600名が個人の資格で活動に参加しており、議論形成や成果報告あるいは提言の作業に協力し、あるいは携わっていただいています。

 ロ.

 平成21年3月末現在で理事10名、監事1名、言論監事3名、会計監事1名、常勤雇用者3名、派遣社員1名、アルバイト3名の計22名に加え、委託業務、学生インターンをはじめ多くのボランティアの参加を得て、事務所運営及び言論活動の本格的な展開を行っています。

 ハ.

 当期末現在の会員数は、定款の規定により、退会届提出者、死亡者・連絡先不明者、継続して2年以上会費を滞納した会員資格喪失者を除外した結果、正会員の基幹会員78名及び法人会員13社で、その他会員の一般会員100名及び学生会員4名の合計190名となっています。尚、本年度の新規会員数は基幹会員3名、法人会員0、一般会員4名の合計7名となっています。

活動の記録

総 会:第7回 平成20年6月28日
理事会:第43回 平成20年5月22日、第44回 平成20年6月17日

平成20年4月
  「第14回言論NPOメンバーフォーラム」(ゲスト仙谷由人氏)
  「アジア戦略会議」(ゲスト岡本行夫氏)
5月
  言論ブログ・ブックレット「中国人の日本人観 日本人の中国人観」
  「第6回非営利組織評価研究会」
6月
  「第4回 東京-北京フォーラム」 第2回実行委員会
  言論ブログ・ブックレット「福田政権の100日評価」
  緊急アンケート「誰がこの国の政治を変えるのか」
  市民参加型討議の場『ミニ・ポピュラス』開設
  アンケート「日本の政治は信頼できるか」
  「第7回非営利組織評価研究会」
7月
  民主党との政策議論「第1回マニフェストフォーラム」
  「アジア戦略会議」(ゲスト田波耕治氏)
  「第15回言論NPOメンバーフォーラム」(ゲスト谷垣禎一氏)
  「第4回 東京-北京フォーラム」 第3回実行委員会
8月
  東京-北京フォーラム 公式サイト開設
9月
  日中共同世論調査結果発表記者会見
  「第4回 東京-北京フォーラム」(9月15日・16日・17日、東京)
10月
  言論ブログ・ブックレット「日本の未来と市民社会の可能性」 12月
  「第4回東京―北京フォーラム」総括の実行委員会
  座談会「世界の金融危機と日本の進路」(内田和人氏、平野英治氏、水野和夫氏)
  マニフェスト評価委員による評価会議「今、考えるべき経済対策」
  「麻生政権の100日評価」アンケート
  「麻生政権の100日評価」座談会(仙谷由人氏、添谷芳秀氏、中谷元氏、若宮啓文氏)
平成20年1月
  対談「世界の大変化の中で日本が考えるべきこと」(明石康氏、小林陽太郎氏)
  「麻生政権の100日評価アンケート」結果公表
  「第4回 東京―北京フォーラム」報告書
2月
  「第5回 北京―東京フォーラム」財務委員会を新設
3月
  「第5回 北京―東京フォーラム」日中協議(北京・大連)
  「第5回 北京―東京フォーラム」 第1回実行委員会(大連開催決定)
  「第16回メンバーフォーラム」(ゲスト渡辺喜美氏)
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