言論NPOとは

平成23年度 言論NPO活動報告

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  私たちは平成23年に設立10周年の節目を迎え、「新しい覚悟」で日本の未来に向けた議論づくりとその発信に取り組み、事業活動においては国内外にわたり顕著な成果をあげました。また、組織運営においては、安定的な議論活動を行うための組織基盤の抜本的な見直しを進め、施策に向けた本格的な取り組みに向けて準備を行いました。


参加型・提案型の議論づくりと資金基盤の多様化

 言論NPOは、平成23年度において、 「議論の力」を「日本の変化」につなげるために、「強い民主主義」と「健全な輿論の形成」をめざし、有識者による継続的な国内外の議論の舞台と、市民の自発的な議論の触媒としての機能を提供すべく、言論スタジオを軸とした参加型の議論づくりと定期的な議論の発信を実現しました。

 言論領域である「4つの言論(政治に向かいあう、世界とつながる、市民を強くする、次の日本をつくる)」において、今年は、「世界とつながる」活動と「市民を強くする」活動に大きな進展がありました。世界への発信においては、米国・外交問題評議会(CFR)の呼びかけで集結した世界19カ国20機関の有力シンクタンクからなる「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の日本の代表として常設メンバーに選出され、マルチ外交チャネルを拓く契機となりました。市民社会の強化においては、市民社会の受け皿となる非営利組織に質の向上と競争をもたらすために 「エクセレントNPO大賞」表彰事業を創設し、社会に大きなインパクトをもたらしました。言論NPOは、同事業事務局として主要メディアを巻き込み、2012年7月実施の第1回表彰式を成功させるため、実務進行に取り組んでいます。


 もう1つの目標である 「資金基盤の多様化」では、言論NPOの活動を広く市民に支えられたものに転換するため、既存会員との関係深化と、会員数の拡大に向けた戦略立案と準備活動に取り組みました。
 会員と寄附の拡大などの組織基盤の立て直しについては、CoCへの参加準備など、年度途中における事業の拡大変更に伴い、組織運営の基本方針について10周年を機に全面的な見直しを行いました。そのため、資金基盤強化の多様化に向けた当初の施策計画を抜本的に見直すこととなり、新たな計画に基づく施策の実行は平成24年度の課題として残されました。



Ⅰ.「4つの言論」をどのように展開したか

 「政治と向かい合う言論」では、平成23年6月にオープンフォーラム「日本の政治、このままでいいのか ~私たちは政治を『白紙委任』したわけではない~」を開催、約50名が参加し活発な意見交換がなされました。代表の工藤は、参加者を前に、「政治自体に変化を期待することが難しい以上、私たちがこの社会に変化を起こすために、政党のあり方や政策の選択肢を問うような議論を今後行っていきたい」と述べ、言論NPOへの活動参加を呼びかけました。
 同12月には、野田内閣発足後100日目を振り返り、「野田政権の100日評価」を実施し、その際の有識者アンケートでは500人以上の有識者から回答を得ました。「既存政党へは期待できない」「政治の変化には有権者の当事者意識が必要」などの意見動向をとりまとめ、平成24年1月にアンケート結果を発表しました。
 この他、市民側提案を柱とした議論づくりに向けた準備を開始し、同事業の構想と計画策定に取り組みました。施策については、平成24年度以降に具体化していきます。


オープンフォーラムを開催し、言論NPOの議論を広く多くの市民に伝えるよう努めた。
また、政策評価時には常に有識者へのアンケートを実施。評価の中身に反映させた。


 「世界とつながる言論」では、8月に北京で「第7回北京-東京フォーラム」を開催し、日中両国のハイレベルな有識者が100人近くが出席、会場には2,000人以上が参加しました。昨年の尖閣諸島問題を含めた安全保障の対話、両国の世論と報道のあり方を議論するメディア対話、それから、地方、経済、そして中国の若者と両国の政治家との対話である政治対話の5つの対話を行いました。同時に行った日中共同世論調査では、日中両国民の感情が悪化しており両国民の相互理解に向けた取り組みが必要となっています。両国が様々な障害を乗り越えて共生の道を模索するための解決策に取り組む必要があり、それらの課題は次年度開催に引き継がれました。



日中の民間対話「第7回北京-東京フォーラム」には日本の政府首脳を含めた100名がパネリストとして出席し、会場を巻き込んだ議論を行った。


 言論NPOは、米国・外交問題評議会(CFR)の呼びかけで集結した世界19カ国20機関の有力シンクタンクからなる「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の日本からの代表に選出されました。平成24年3月には、米国ワシントンDCで開催された第1回CoC年次総会に参加しました。CoCは、 「世界の新しい変化」に立ち向かい、国際社会の課題について世界に影響力を持つシンクタンクがインターネット会議などで討議し、解決策を探り、世界に公表する新しい世界的な試みです。
 言論NPOは、本年度、英語版ウェブサイトを強化するなど海外への議論発信に力を入れており、今後、CoCの活動なども活用して、世界のシンクタンクと交流し日本の考えを積極的に世界に発信すると同時に、世界の課題解決の議論に継続的に参加していきます。


CoC設立年次総会では、世銀のロバート・ゼーリック総裁や米国務省の経済・エネルギー・農業担当国務次官のロバート・D・ホーマッツ氏らと議論を行った。

また、代表工藤は、ワシントン訪問中にCFR政策懇話会にパネリストとして招聘され、討議した。




日中の民間対話「第7回北京-東京フォーラム」には日本の政府首脳を含めた100名がパネリストとして出席し、会場を巻き込んだ議論を行った。


 

 「市民を強くする言論」では、東日本大震災から一年後にあたる平成24年3月に、優れた非営利組織を表彰する「エクセレントNPO」年間大賞事業をスタートしました。強い市民社会をつくるためには、その受け皿である非営利組織が組織評価にも耐えられる力強い存在になる必要があります。この表彰事業は、そうした非営利組織の質の向上をめざす動きをサポートするもので、言論NPOが事務局を担う「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」が平成23年に公表した「エクセレントNPO」の33の評価基準の普及の一環として取り組んだものです。本事業については、平成24年3月に記者会見を行い、同月から募集を開始し、エクセレントNPOの評価基準をもとに、非営利組織がどれだけ社会の課題に向かい合っているのか、広く市民に開かれ、その支持を得ているのか、などが問われます。
 「エクセレントNPO」年間大賞は、共催に毎日新聞社、後援に共同通信社など主要メディアを巻き込み、数々のマスコミ報道もあったことから応募数も130件を超え、社会的関心の高い事業として注目されています。言論NPOは、東日本大震災から本表彰事業スタートに至るまで、「言論スタジオ」などを通じ、「東日本大震災における寄付金の偏在について」(言論スタジオ平成11月実施)など市民社会のあり方について議論を重ねてきました。



「エクセレントNPO」年間大賞事業の記者会見後、数々のメディアで表彰事業に関する報道があり、言論NPOに、連日、多くの問い合わせが寄せられた。




 この他、日本が抱える課題の解決やこれからの日本の将来像と方向性について市民が一緒に考えるための参加型、提案型の議論を「次の日本をつくる言論」で実施しました。

 また、議論の発信では、平成23年3月東日本大震災直後にウェブサイトリニューアルを行いました。本年度、ホームページアクセス件数は、月間平均2万~3万PVとなりました。リニューアルにあわせて「言論スタジオ」を立ち上げ、事前に行う有識者アンケートには1回あたり平均60件の回答が寄せられ、その結果を軸に、議論構成する仕組みを開始しました。平成23年度は年間を通じて、「言論スタジオ」を定期的に開催し、有識者をゲストに招き合計27回実施しました。震災後の日本に国内外から何が問われているのか、政治と地方と市民の役割は何なのか、今の政治や政府の取り組みに何が求められているのか、など継続的に言論スタジオで議論を展開しました。

 平成22年度に開始したJFN系列のラジオ番組「On The Way Journal」も、今年度は年間を通じて合計36回実施し、一般の聴衆向けに言論NPOの発信を進め、社会との接点を深め認知度向上に努めました。

 「言論スタジオ」は、すべてインターネット生中継するとともに、アーカイブをウェブサイトに掲載し、議論の実績を積み重ねてきた。

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 「On The Way Journal」では、広く一般に言論NPOの活動を訴求するメディア連携として成功をおさめている。

 
 

Ⅱ. 資金基盤の多様化にどう取り組んだか

 今年度は、2009年から始まった3カ年計画最後の年であり、当初掲げた目標を達成すべく、資金基盤の多様化及び拡充に覚悟をもって取り組み、顧客管理データベースシステムの基盤体制を構築しました。
 2011年度は、会費と寄附、そして事業収入で安定的に運営される非営利メディアとして社会に対する影響力を一層高めていくことを目指しましたが、CoCへの参加準備という事業拡大の機会を得たこともあり、組織運営の基本方針について10周年を機に総括を行いました。そのため、資金基盤強化の多様化に向けた当初の施策計画を抜本的に見直すこととなり、新たな計画に基づく施策の実行は平成24年度の課題として残されました。

1.会員組織の拡大

 言論NPOの活動を持続的に発展させるために会員組織が最重要との認識のもと、この活動のミッションに共感し、ともに活動に参加する会員に対するサービスを充実させると同時に、その拡大に目標を持って取り組みました。

a)会員ケア/会員サービスの充実化

 今年度は、メンバー(基幹会員)を対象とした「メンバーフォーラム」を定例化して平成23年度は合計8回開催し、メンバーがこの活動に参加し、メンバー同士の交流を深める場を積極的に設けました。また、上述の「言論スタジオ」に会員がコンテンツ運営に参加できる仕組みを導入し、積極的に参加いただきました。
 また、会員限定サイトの充実化については、ウェブサイトリニューアルに伴い、年度末に会員限定サイトの構想に着手し、平成24年度内に完成させる予定です。

b)会員拡大

 10周年を迎えた2011年秋に、 10年の軌跡を総括するとともに今後の組織発展を見据え活動方針を抜本的に見直すことにより、組織基盤の立て直しを行うことになり、新たな計画に基づく施策の実施は平成24年度に持ち越されました。
 本年度は、主としてメンバーの拡大を目的として、言論NPOの活動を深く理解してもらうための会合を定期的に開催しましたが、当初予定していた会員拡大の計画的な取り組みは着手することができませんでした。そのため、平成24年度早々に計画を固め順次施策を展開しています。

2.戦略的寄付集めと事業による資金の多様化

 平成23年11月には設立10周年パーティーを開催し、「チャリティーパーティー」として位置づけた上で多くの方の参加を呼びかけた結果、90,000円になりました。言論NPOは、同パーティーで発表したとおり、次の10年に向けて、「強い民主主義」と「健全な輿論の形成」をめざして国内外の議論の舞台づくりを成功させるために新たな活動方針を策定し、組織基盤を強化するための計画を立て直しました。新たな計画に基づき、今後 3年以内に戦略的寄付集めと資金の多様化を完成させることをめざして、平成24年度から本格的に施策を実行していきます。 



都内ホテルにて、「言論NPOの10周年を祝う会」が開催され、言論NPOの活動を支援、応援する約300名の方々が参加した。

 



Ⅳ. 平成23年度の組織運営

 事業基盤を固めるために、アドバイザリーボードや理事会を定例化し、「言論NPOの活動方針を絶えず見直しながら実行していく体制を整えました。また、メンバーを中心とした企画委員会や編集委員会の立ち上げについては、それぞれ言論NPOの事業戦略やコンテンツ展開について10周年を機に抜本的に見直しを行ったことにより、新たな計画のもと、平成24年度に実行に向け推し進めていきます。  言論NPOは、今後毎年、年間の活動を詳しくお伝えすべく、本年度初めて、年次報告書を発行しました。今年は、 「エクセレントNPO」の自己評価を行い、年次報告書において、これまでの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に加え、「エクセレントNPO」評価結果の概要と優れた点や改善すべき点に関する分析内容を開示しました。  

6月都内にて、言論NPOの「活動説明会」を開催。代表工藤とともに、アドバイザリー・ボードや理事が言論NPOのミッションや今後の活動方針について説明、参加者37名と意見交換し、相互理解を深めた。


 今年度は、年次報告書や会報誌を発行しお届けすべく、会員を含めた顧客との意思疎通を一層深めることを目的に、新しい顧客システムを導入しました。システム導入後の第1回会報誌の発行は平成24年度前半を予定しています。戦略的な会員集めや寄付集めを可能にするシステムの運用を開始します。また、今年度は常勤スタッフの増員や社会保険制度の拡充に取り組み、安定的な雇用体制への取り組みも始めました。

 安定的な雇用体制を確保するためにも、事業規模に見合う組織体制の強化が必至であり、平成24年度の重要課題として残されました。


平成23年度活動記録

総 会:第10回 平成23年6月29日

理事会:第52回 平成23年5月10日
    第53回 平成23年10月19日
    第54回 平成23年11月30日
    第55回 平成24年1月17日     

アドバイザリーボード会議:第3回 平成23年1月20日
             第4回 平成23年3月18日
             第5回 平成23年12月12日
             第6回 平成24年2月21日

平成23年

4月

   「第7回 北京-東京フォーラム」事前協議を開催(北京にて)
   言論NPOのウェブサイトを全面リニューアル
   「第20回メンバーフォーラム」(スピーカー:石破茂氏)
   「第21回メンバーフォーラム」(スピーカー:渡部恒三氏)
5月
   「第22回メンバーフォーラム」(スピーカー:林芳正氏)
6月
   言論NPOの活動説明会を実施
   「第7回 北京-東京フォーラム」第2回実行委員会
   【オープンフォーラム】 「日本の政治、このままでいいのか
     ~私たちは政治を『白紙委任』したわけではない~」
7月
  「第23回メンバーフォーラム」(スピーカー:鈴木寛氏)
  「第24回メンバーフォーラム」(スピーカー:程永華氏)
    「第25回メンバーフォーラム」(スピーカー:福山哲郎氏)
8月
   「第7回 北京-東京フォーラム」第3回実行委員会
   「第7回 北京-東京フォーラム」開催(北京にて)
   第7回日中共同世論調査の分析結果を公表
9月
   「第7回 北京-東京フォーラム」第4回実行委員会
   「エクセレントNPO」勉強会 (山形県)
10月
   JFN系列ラジオ番組「ON THE WAYジャーナル『言論のNPO』」2年目突入
11月
   言論NPO設立10周年記念パーティー開催
   「第26回メンバーフォーラム」(スピーカー:古賀伸明氏)
12月
   「第8回 東京-北京フォーラム」第1回実行委員会

平成24年

1月

   「野田政権の100日評価」実施・公表 〔アンケート編/議論編〕
   「第8回 東京-北京フォーラム」第2回実行委員会
   「第27回メンバーフォーラム」(スピーカー:山口廣秀氏)
3月
   「エクセレントNPO年間大賞」表彰式創設 記者会見
   アメリカ外交問題評議会(CFR)が設立した、カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)の常設メンバーに選出
   代表工藤、世銀総裁、米国務省首脳と意見交換
   代表工藤、国際諮問会議(CoC)設立総会で、国際通貨問題について討議
   代表工藤、米外交問題評議会(CFR)主催の政策懇話会で討議
   「第8回 東京-北京フォーラム」事前協議を開催(北京にて)
   【緊急座談会】日中の民間外交に問われている課題とは何か
          ―「第8回 東京-北京フォーラム」を日中関係の更なる成長点に
   「第8回 東京-北京フォーラム」第3回実行委員会

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