
理 事
周牧之(東京経済大学教授、マサチューセッツ工科大学〔MIT〕客員教授)
しゅう・ぼくし
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1963年中国湖南省生まれ。85年中国湖南大学電気工学部卒業。中国機械工業部(省)勤務後、東京経済大学へ留学。同大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士号取得。財団法人国際開発センター主任研究員を経て、2002年より現職。言論NPO理事。
アジアの新時代を作り出す
周理事は現在海外で主に活動されているため、コメントをお寄せいただきました。
過去三十年間、東アジアには二つの大きな変化が生じた。第一は、中国、NIES、ASEANが急速な発展を遂げ、社会経済が大きな変貌を遂げたことである。第二の変化は、東アジアの経済発展が今、大分業と大交流の上に成り立っていることである。相互依存関係が深まるアジアの連携発展には、しかし二つの大きな課題が横たわっている。
第一の課題は国家間関係の緊張と不安定である。この問題は特に日中間の相互信頼関係の欠如に顕著となっている。第二の課題は、大交流、大分業時代にふさわしい地域協力メカニズムがまだ築かれていないことである。東アジアの未来に向けて共有できる将来像も、いまなお描かれてはいない。
だからこそ東アジアの将来像について域内各国が議論し、共有できる未来を追及する作業が欠かせない。この認識を前提に東アジア共通の課題を整理し、解決するメカニズムの構築を急ぐべきである。
東アジアには今、環境、エネルギー、安全保障など様々な分野で共通課題がある。なかでも最も根本的な共通課題は相互信頼の構築である。
不信感を引き継がせる歴史問題と、緊密化がもたらす緊張感の両問題に対処するためにはある種の思考様式を必要とする。システム工学にはフィードバックという原理がある。フィードバックにはマイナスフィードバックと、プラスフィードバックの二種類がある。プラスフィードバックは、システムへの雑音を最大にし、システムを崩壊させるものである。マイナスフィードバックの役割はシステムへの雑音を最小限に抑え、システムの安全を脅かさないようにすることである。システムを安定させるためには、プラスフィードバックを撤去し、有効なマイナスフィードバックを作り、システムへの雑音を最小限に抑えることが不可欠となる。
このフィードバック原理を東アジア各国間の信頼関係に例えてみることができる。信頼関係を脅かす雑音は常に生じる。歴史的な雑音、現在起きている雑音があり、将来も雑音が生じうる。重要なのは雑音に対処するマイナスフィードバックを作り上げ、プラスのフィードバックを除去させることである。東アジアの相互信頼関係促進にはこの努力こそ要となる。相互信頼関係があってこそ東アジア各国は明るい未来を共有できる。
言論NPOは「北京-東京フォーラム」などを通じて東アジアで、とりわけ日中間でマイナスフィードバックを作る役割を果たしてきた。アジアの未来を議論する舞台を提供し、アジアの新しい時代を作り出すにあたって、言論NPOの存在は益々大きくなる。言論NPOの理事の一人として少なからぬ使命感を持っている。
インタビュアー: インターン 弓岡美菜(東京大学)













