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 【東京新聞】 マニフェストを監視する

2003/10/27 東京新聞

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政党がマニフェスト(政権公約)を掲げて戦う総選挙。中身のある論争を実現させるため、さまざまなグループが監視の目を光らせている。どんなグループが、どんな思いでマニフェスト論争を見つめ、「マニフェスト選挙」の質をどのように高めようとしているのだろうか─。



『問題意識ない』──分権でかみつく

■ 全国知事会
片山善博鳥取県知事「自民のマニフェストには問題意識が全然ない」
武部勤自民党政調副会長「そんな言い方はないでしょう!」

15日開かれた全国知事会と自民党幹部との意見交換会での一コマだ。知事会はその1週間前にも民主党の菅直人代表らを招きマニフェストについて意見交換をしている。

マニフェストにこだわる理由は、どちらが政権を取るかによって、来年度の都道府県予算が即、影響を受けるため。国から地方への補助金20兆円を削減し、税源に変えて地方に譲り渡す分権への要求は切実。 「委譲を先送りしたり、国の借金を押しつけられたりしたら、住民サービスを下げざるを得ない」(知事会長の梶原拓岐阜県知事)という懸念が強い。

自民党にかみついたのも、政府の税源委譲案が「教師の給料など義務的経費以外は(補助金削減額の)2割減」とされたためだ。 「地方はリストラや給与カットに苦しんでいるのに、国の官僚は手つかずじゃないか」との思いが知事には強いのだ。

知事会は24日、自民、民主両党に、具体的な実行の道筋を示す「追加マニフェスト」の作成を要求。さらに選挙後に達成度を厳しく検証する「決意」を披瀝した。

「もし裏切るようなら、地方政治連盟を旗揚げして決起する」 梶原氏は明言する。


争点明確化へ注文

■ 21世紀臨調
「もう少し、重点的に絞り込んだほうがいい」
「どういう国を目指すのかメッセージがほしい」
「女性を念頭に政策を打ち出したらどうか」

民主党がマニフェストの最終版を固める直前の今月3日朝。経済・労働界の有志らで組織する「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」共同代表の佐々木毅東大学長、北川正恭前三重県知事らは都内のホテルで、同党の菅直人代表らに次々に注文をつけた。

臨調の提言について民主党の枝野幸男政調会長は「試行錯誤の中で、かなり参考になった」と振り返る。臨調はもちろん、民主党だけでなく自民党などとの意見交換にも積極的に出向いている。

臨調には、マニフェスト運動を主導してきた自負がある。4月以降、首長候補や各政党にマニフェストづくりを働き掛け、その後はマニフェスト冊子の配布解禁のための公選法改正の動きをリードした。運動の総決算ともいえる総選挙。各政党のマニフェストの中身にまで踏み込んで助言、直言をしている。

一貫して数値、財源、期限を具体的に盛り込むよう求めてきた立場からすれば、主要政党のマニフェストが出そろった今でも「争点がぼやけはしないか」とやきもきする気持ちが強いようだ。


総選挙に向け『宿題』

■ 言論NPO
エコノミストや官僚、学者らでつくる「言論NPO」は今月上旬、各党のマニフェストを評価する「政策評価委員会」を立ち上げた。選挙後、勝った政党のマニフェストがきちんと実行されるかどうかも含めて監視し、「公約の実行まで国民が監視する仕組みをつくる」という。

言論NPOは実際に、自民、民主両党のマニフェストを評価・分析。郵政事業では、自民党は「民営化を明記した点は評価されるが、郵貯・簡保の改革の方向性は不明」、民主党は「郵便への完全民間参入などを明示したことは高く評価するが、経営形態に触れていない」と厳しく目を注いでいる。

全般的に各党のマニフェストには不十分な点も目立つと指摘する。そのうえで (1) 改革の理念 (2) 実行プロセス (3) 経済再生の道筋 (4) 給付と負担など年金の抜本改革案 (5) 新規の道路建設の是非―を選挙戦の中で明確にしていくよう「宿題」を突きつけている。

言論NPOによる自民、民主マニフェストの評価民主党
小泉政権と自民党のねじれ解消は困難を伴う。マニフェストで改革強調しても利益誘導政治を脱却できるか未知数総論政官業の癒着にメスを入れる姿勢は評価。「弱者保護」的色彩が強く、小泉改革を上回る改革姿勢は感じない
2006年度成長2%以上の目標は評価。300万人雇用創出という目標達成のための具体策・実効性が不透明景気・ 雇用経済再生を最優先課題に位置付けた点は評価。失業率4%台前半という目標は意欲的ながら実効性は不透明
痛みを若年世代に先送りし、世代間の不公平を解消せず。基礎年金の国庫負担引き上げの財源、時期も明示せず年金4年以内の制度創設を明示した点は評価。財源を消費税などで賄うとしているが、実効性は不透明
05年公団民営化の明記は評価。ただ民営化自体の枠組みがあいまい高速道路無料化や道路公団廃止は評価。ただ公団の債務返済の具体案を示さず
07年4月民営化を明記した点は評価するが、法案提出時期は明記していない。郵貯・簡保改革の方向性不明郵政郵便事業への完全民間参入などの明示は高く評価。郵貯・簡保資金の中小企業への活用は具体的枠組み見えず


(政治部・高山晶一、中部報道部・梅本秀基)

2003年10月27日 13:42

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