メディア掲載記事 プレスリリース サイトマップ オフィス案内

 佐賀県知事の主張 第3話:「都道府県は地域経営の単位としては不十分」

古川 康 (佐賀県知事)
ふるかわ・やすし
profile
1958年生まれ。82年東京大学法学部卒業後、自治省(現・総務省)入省。自治大臣秘書官、長崎県総務部長などを経て、03年無所属から佐賀県知事に当選。日本で初めてマニフェストを掲げて選挙を戦った政治家の一人であり、当時全国で最も若くして知事となった。07年に再選を果たし、現在2期目。全国知事会政権公約評価特別委員長。
「がんばらんば さが!」をキーワードに、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」の実現を目指して県政に取り組む。

都道府県は地域経営の単位としては不十分

佐賀県としてまだ、できることはいろいろあるだろうと思っています。やるべきことをやり尽くしたときに、本当に佐賀県という単位が十分かどうかという議論は出てくるのだろうと思います。しかし、地域経営を行う単位として都道府県がいいかといえば、現時点では十分ではないだろうという仮説を持っています。例えば、北部九州は自動車産業が非常に集積しており、佐賀県にもたくさんの企業が進出しています。トヨタは各県に進出することになり、もう九州でまとめて、窓口を1本にしてくれと言っています。今、福岡に窓口になってもらって、一本化してトヨタにアプローチをしています。

トヨタの工場には、1次、2次とサプライヤーがたくさんついてきます。トヨタに納品できるところは大変レベルが高く、そのような会社はボーイングにも納品できる。それぐらいの精度を持つ技術集団が地域に立地するということが大きいのです。

ですから、そういったことを実現していくために、北部九州全体があたかも1つの企業立地適地地域であるかのようなプレゼンテーションを我々は今やり始めています。すでに福岡、大分、佐賀、長崎が入っていて、いずれ熊本が入ると思います。そうしたことが企業の立地にもつながっていると思います。

ですから、例えば道州制をやりましょうということで、道州制に向けて九州の域内でいろいろなことが完結できるようにしていかなくてはなりません。自己完結性を持った地域としての志向が出てくると、そこでは交通体系も人の動きも学問の体系も変わってくる可能性が出てきます。道州制になれば、ユナイテッド・ユニバーシティー・オブ・キュウシュウというものがあっていいのではないか。各県にばらばらの大学があるのではなく、大学連合のようなもので、非常に高いレベルの研究や業績が出せるような大学をつくっていく。そういうことがあってもいいのではないかという議論が、今、現実に出ています。

私自身も道州制は、そういうことを可能にするものだと思います。道州制をやるのかどうか、やるとしたらどういう道州制にするのかというのを、今まさに私も責任者になって制度設計をしている段階です。

知事選挙に臨むに当たって道州制を前提にするのかどうかで結構議論しました。10年後の佐賀県と書いたときに、佐賀県はあるという前提でいいのかといったことでスタッフとやりとりし、あるということにすることにしました。なぜなら、10年後に道州制がこうなっているという具体的なイメージがまだできていないからです。グラフィティーではなくマニフェストですから、責任ある発言としてはできないということで、佐賀県という地域の単位で考えようということになった。

そこでは、佐賀県というところを、「佐賀県政府」という自治体ではなく、「こんなすてきな佐賀県に」の佐賀県とは、県庁のことではないというイメージで書いています。つまり10年後の佐賀県がどうなっているのかではなく、10年後の佐賀の地域がどうなっているのか、という発想です。佐賀県という地域に暮らしている人から見たときに、佐賀県という地域がこうなっている、そこに、市政や県政、ひょっとすると道州の政治や国政がどうかかわっているかというのは、それほど見えないという姿にしたのです。

2007年05月18日 10:43

前の記事:学生会員 (会費だけの場合):拠出金額 5千円
次の記事:京都府知事の主張 第3話:「この国を良くするパワーの源泉は地域の自立と自己決定にある」