「第9回モーニング・フォーラム/ゲストスピーカーハッサン・ウィラユダ元インドネシア外務大臣」報告

2015年3月26日

第9回モーニング・フォーラム

 3月24日(火)、都内ホテルにて、言論NPOの「第9回モーニング・フォーラム」が開催されました。3月20日、21日に行われた国際シンポジウムに参加するため来日している、元インドネシア外務大臣のハッサン・ウィラユダ氏をゲストスピーカーに、「アジアの民主主義とイスラム」と題して、議論が行われました。

ム まず、ハッサン氏は、インドネシアがいかに民主化の道を歩んできたかについて講演を行いました。講演では1997年のアジア通貨危機やそれに付随する複合的危機に対処するために、①民主化、②法の支配、③人権の尊重、④地方分権に徹底的に取り組んできたというインドネシアの歴史が語られました。その結果、国民の約8割が民主主義を重要な価値観として認識し、投票率も約8割に上ることなどが紹介されました。

 さらに、「アジアは経済的な繁栄が見込まれることから『21世紀の地域』と呼ばれるが、領土問題を始め様々な紛争問題に対処する術を持っておらず、この点においては努力が足りなかった」と強調しました。そして「民主化の成功事例などから共に学び合い、重要な価値観を共有することが重要だ」とこれからのアジア地域の課題を明確に指摘しました。

第9回モーニング・フォーラム 講演後、ハッサン氏と参加者間で活発な意見交換が行われました。出席者からは、「インドネシアは建国の際に、政教分離を進めつつも複数の宗教に対する保護政策を行ったが、どうして他のイスラム諸国ではその中道方式が取れなかったのか」、また、「民主主義の定着には厚い中間層の存在が必要で、インドネシアでは中間層を厚くするためにどのような具体的な取組みがなされているのか」などと質問がなされるなど、インドネシアの民主主義への移行、その後の制度維持のための努力についてなど、様々な意見交換が活発に行われました。

ム 意見交換の最後の質問として工藤は、北東アジアでは国際的な政治的枠組みが欠如していることを指摘した上で、「今後目指すべき将来の理念や理想を1つ挙げるとすれば何か」とハッサン氏に問いかけました。ハッサン氏は「人権、平和、繁栄なども非常に重要ですが、それらの基礎である『民主主義』が最も重要な理念だ」と明快に回答しました。

 今回のハッサン氏の発言などを振り返り、工藤は、「アジアには深い議論ができる言論人が大勢いる。今年は言論の舞台をアジアに広げていきたい」と今後の抱負を語り、フォーラムを締めくくりました。


※モーニング・フォーラムは、言論NPO会員、および会員からご紹介いただいた方のみの限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。
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