「モーニング・フォーラム/ゲストスピーカー加藤勝信・一億総活躍担当大臣」報告

2016年4月27日

 言論NPOは、夏の参院選に向けて日本の将来像をめぐる選挙の争点づくりの議論を本格的に開始します。その一環として4月27日(水)、都内ホテルにて加藤勝信・一億総活躍担当大臣をゲストスピーカーにお迎えしてモーニングフォーラムを開催し、安倍政権は昨年9月に打ち出した「一億総活躍」の政策によってどのような社会を目指しているのか、お話しいただきました。

 加藤大臣はまず、「一億総活躍社会の実現に向けて―成長と分配の好循環の形成―」と題した講演の中で、アベノミクスの「最初の三本の矢」によって、日本経済全体は回復基調にあるとしつつも、「個人消費の改善テンポの遅れ」、「企業の最高益に比して弱い設備投資」、「景気回復による人手不足の顕在化」という3つの課題が残っていると指摘しました。

 次に、少子高齢化の現状について加藤大臣は、独自の推計によって算出した様々なデータを紹介しながら課題を浮き彫りにした上で、「生産年齢人口の減少は日本経済の停滞に直結する」と警鐘を鳴らしました。

 その上で加藤大臣は、「新三本の矢」についての説明に入りました。まず、「最初の三本の矢」による「成長の果実」を使いながら、「夢を紡ぐ子育て支援」や「安心につながる社会保障」のための環境整備を進め、これまで労働市場に参入できなかった人々が働くための基盤をつくり、その新たな人々が生み出すアイディアや多様性による生産性の向上が、消費や設備投資の増加など「希望を生み出す強い経済」につながっていくという「経済の好循環」のストーリーを解説。さらに、「生産性革命の実現」や「働き方改革」など具体的な政策方針について、パワーポイントを用いながら詳しく説明しました。
 
 講演の後、質疑応答に入りました。「第12回 東京-北京フォーラム」事前協議のため訪中した言論NPO代表の工藤泰志に代わって本日の司会進行を務めた言論NPO理事の田中弥生氏(独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)からは、施設整備を進めるとしている「介護離職ゼロ」に関して、「施設介護から在宅介護へ」という方針で進められてきたこれまでの介護政策とどう整合性を取るのか、また、日本型の同一労働同一賃金実現の道筋などについての質問がなされました。

 さらに、列席した参加者からも、近隣住民の反対などで保育所開設を断念した事例に関連して、「こうした社会意識を変革するためにはどうすればいいのか」といった質問や、「生産性向上のため、労働力のモビリティ(流動性)を高めていくためにはどうすべきなのか」など鋭い質問が寄せられると、加藤大臣は直後に国会出席が控えているにもかかわらず、予定時間を若干オーバーしながらも熱心に回答するなど、盛況のうちに本フォーラムは終了しました。


※モーニング・フォーラムは、言論NPO会員、および会員からご紹介いただいた方のみの限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。
言論NPOの会員制度については、こちらをご覧ください。