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「第2回会員交流会」報告

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 5月30日(月)、言論NPOは茅場町スタジオにて藤崎一郎氏(前駐米大使、言論NPOアドバイザリーボードメンバー)をスピーカーにお迎えして、第2回「会員交流会」を開催しました。


世界と日本の議論の差を縮めていくことが重要

 冒頭、言論NPO代表の工藤泰志が、アメリカ・外交問題評議会(CFR)が主催し、世界25ヵ国の主要シンクタンクが参加する国際シンクタンクネットワーク「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」第5回年次総会の参加報告を行いました。

 まず、工藤は、難民・移民の管理、シリア危機、世界経済・金融、インターネットガバナンス、アジアの安全保障などグローバルガバナンスをめぐる各国の問題意識の違い、議論の動向を紹介しました。特に、南シナ海問題をテーマにしたCoC分科会において、工藤が「南シナ海問題は、将来、この地域においていかなる秩序を作るのかという問題であり、国際法を無視して、埋立てや領海化していくような地域秩序を作るのではなく、国際法などこれまで培ってきたルールに基づいた秩序を維持すべきであり、国際社会として、この考え方に賛同すべきではないだろうか」と疑問を投げかけると、各国から様々な反応が寄せられ、「欧州を中心に問題点が正しく理解されていない」と痛感したと語りました。

 さらに、工藤は、今回の訪米を通じて、世界的な秩序の変動に伴い、制度や基板が整備されていないところで大きな混乱、被害が発生しているということ、世界と日本で議論の方向性が異なっているということを感じたと語りました。その上で、言論NPOの国内外のネットワークをさらに強化し、世界と日本の議論の差を縮めていくためにも、日本の社会で世界的な課題に関する議論を行い、国際的な議論力を強くしていかなければならないという気持ちを強くして帰国した、と10日間にわたるアメリカ訪問を振り返りました。


日本は誰が大統領に当選しても対応できるよう静かに準備することが賢明

 続いて、会員交流会のスピーカーである藤崎氏は、まず、今回の伊勢志摩サミットについて、かつて小泉総理のサミット補佐役(シェルパ)を務めた経験から、「首脳だけの濃密な議論を通して、民主主義と市場経済の問題を点検し合う『人間ドック』としてのサミットの役割を果たすことができた。また、アジアで開催することで南シナ海問題を議論の対象にできた」と今回のG7首脳会議を振り返りました。加えて、オバマ大統領の広島訪問については、核廃絶、日米関係、第二次大戦に日米が向かい合ったという3点において意義があったと語りました。

 次に、アメリカ大統領選について藤崎氏は、先日ワシントンD.C.で会った民主党、共和党関係者はいずれも「トランプなんてとんでもない」という認識だったが、帰りの飛行機のスチュワーデスが「トランプをわかりやすい」と評価していたというエピソードを紹介し、「『495ベルトウェイ(ワシントンD.C.の外周を一周する環状道路)の内側にいるとアメリカのことはわからない』という言葉があるが、大統領選についてもワシントンD.Cと一般の人たちとの見方は異なっている」と指摘しました。

 そして、共和党のトランプ氏、民主党のサンダース氏の躍進の背景について藤崎氏は、2009年から14年の賃金の中央値が低下しており、アメリカ国民の「怒り」の現れという見方に同意しつつも、「あなたたちは馬鹿をみているよ、もっとお得な道があるよ」という左右を超えた2人の根本的なメッセージがアメリカ国民の支持を得ていると述べました。

 続いて、大統領選の行方が見通せない中、日本としてなすべきことについて藤崎氏は、選挙をするのはアメリカ国民であることから、自由貿易や同盟の意義について、日本の識者が、「やっておく方がお得ですよ」という点をわかりやすく、しかも、アメリカの一般市民に広く読まれている新聞や雑誌に寄稿するなどして、アメリカ国民に広く支持してもらい、日本は誰が大統領に当選しても対応できるよう静かに準備することが賢明であると述べ、講演を締めくくりました。

 その後、会員との質疑応答が行われ、自由、民主主義、法の支配など普遍的価値をめぐる問題、トランプ現象をもたらすような社会構造的な変化がアメリカで起きていたのか、伊勢志摩サミットの評価について活発な意見が交わされました。

 講演終了後の懇親会では、藤崎氏が、アメリカ大統領に関するクイズを行うなど会員同士の交 流が行なわれ、盛況のうちに会員交流会は終了しました。


 言論NPOは、11月21日に設立15周年を迎えます。国際社会において通用する日本の言論力の強化、日本におけるデモクラシーの強化、アジアの平和構築に取り組むとともに、様々な形で多くの方々が参加できる舞台を作って参ります。
 言論NPOの活動は随時、ホームページで公表していきます。

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