「モーニング・フォーラム/ゲストスピーカー グレン・S・フクシマ氏(米国先端政策研究所上級研究員)」報告

2016年11月15日

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 言論NPOは次期アメリカ大統領が、共和党候補のドナルド・トランプ氏へ確定した翌日の11月10日(木)、民主党クリントン陣営のアジア・ワーキンググループの一員として、今回の選挙を最前線でみてきたグレン・S・フクシマ氏(米国先端政策研究所上級研究員)をゲストスピーカーにお迎えしモーニングフォーラムを開催しました。

 今回は、前日の選挙結果を受けて、「米国大統領選挙の結果と日米関係」をテーマに今回の選挙戦の決定要因、アメリカ世論の現状や、今後のアメリカの外交政策や日米関係についてお話し頂きました。

IMG_0995.jpg まず、フクシマ氏は、事前の世論調査や大方の予測を覆しドナルド・トランプ候補が当選した背景について、国民の現状に対する不満や不安が予想以上に高まっていたことを挙げ、民主党陣営と共和党主流派で、市民のエスタブリッシュメントに対する不満についての認識が甘かったことを指摘しました。さらにフクシマ氏は、アメリカ国民は、全般的に経験を重視しない傾向があり、大統領選では経験のある政治家より新しい候補が勝利する場合が多く、新人への改革への期待が大きいこと、経済格差など不満要因の是正に関する現政権への国民の期待にワシントンのコミュニティーが答えてこなかったという点を示しながら、「国民の失望感が両政党主流派の予想以上におおきかった」との認識を示しました。


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 フクシマ氏の講演後、参加者との意見交換に移り、今後のトランプ氏の政策やアメリカの民主主義の将来について、参加者から様々な質問や発言が飛び交いました。それに対して、フクシマ氏は、今後のトランプ政権下での政策について、予測可能性が非常に低く現時点では不透明であり、移民排斥や保護貿易的な政策など、民衆の不満に対応して語りかけてきた形の選挙公約についてもどの程度、実行する意思があるのかわからないと指摘。また、「トランプ氏の発言は多分に批判的ではあるが、体系だった政策を持っていないため今後、アジア外交を含め、どのような政策を打ち出してくるのか注視していく必要がある」と語りました。

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 さらに、フクシマ氏は、トランプ氏が富裕層への減税等格差拡大を助長する経済政策をとる可能性もありうると指摘。その場合に経済格差是正や雇用創出を期待して投票したアメリカの有権者がどのような反応をするのかなど、今後のアメリカを取り巻く様々な課題について指摘しました。

 その後も活発な意見交換が行われ、フォーラムは閉幕しました。

※モーニング・フォーラムは、言論NPO会員、および会員からご紹介いただいた方のみの限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。

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