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 アンケート調査「日本のパワーアセスメント」 page2

〔 (1) から続く 〕

Q6

[日本の政治]

A.先進度 圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
B.強靭性圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
C.影響力圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
 戦略的な重要度を巡る論点
1:「経済は一流、政治は三流」と言われてきたように、日本の政治を評価すれば、政治家の能力や使命感あるいは政治システムの近代性といった先進度で見ても、野党の政権担当能力や時代に対する感性といった強靭性、あるいは、他国の模範となる施策や海外で尊敬される政治家の有無といった影響力の面で見ても、日本は政治の分野においては、部分的には他国並の水準にあっても、総じて見れば弱い。他の分野での日本の強さを活用していく上でも、それを実現する政治の力を強化していくことの戦略的な重要度は高い。
2:政治の力を決めるのは、政治家や政府などの質というよりは、むしろ、市民や有権者、国民の政治意識や市民意識、その政治への参画度合いなどであり、とりわけ、日本が明治維新以来とも言われる大変革を遂げなければならない現在においては、国民の側の意識や覚悟が最も問われている。それをいかに醸成し促進していくかという意味で、政治の分野の戦略的重要度は高い。
3:政治の実力評価の意味は、国際社会の中での日本の政治力を評価することにある。そのためにまず、日本という国の国際性を評価すれば、世界のスーパーパワーであるアメリカとの良好な関係、平和外交や人権尊重、経済力を活用した国際協力、東南アジア等における親日感などの強さを有する一方で、外交戦略の不明確さ、政治面や知的貢献面の評価の低さ、国内改革の遅れによる国際経済戦略での立ち遅れや国際社会での主張における迫力の欠如、対日直接投資やヒトの流入度合いの低さ、国際的なコミュニケーション能力の低さなどの弱さを持つ。こうした強さを活かし弱さを克服すのが外交力であり、外交力の最大の源泉は外交政策が広く国民の支持を得ていることにあることに鑑みれば、それを実現する政治の力を強化していくことの戦略的重要度は高い。
4:そもそも、国際社会の中で政治力を強化しようとの戦略自体が覇権主義を連想させるものであり、それは日本としてふさわしい道ではない。日本の戦略形成に当たって重要なのは、政治に着目することなく、アジアなど世界を引きつける魅力ある国づくりや、新たな価値の創出などを通じて、国際社会での共鳴を自ずと勝ち得ていくことである。日本の政治の力を見ても、指導力や実行力、全体最適を実現する機能の欠如、利益誘導型政治の中での国家戦略の不統合、国益意識の希薄さや政策形成能力の低下など、全体として弱さが目立ち、日本の戦略分野として位置付けるだけの力を政治は有していない。
5:弱いと言われてきた日本の政治も、コンセンサスや調和の尊重という従来からの強さに加え、近年では、政治資金の透明化、政治のオープン化、派閥の希薄化などの政治改革が進み、議員立法の増加傾向、若手政治化の台頭、憲法や安保の議論の非タブー化、e-デモクラシーの拡大、マニフェストや2大政党化への指向など、たとえそのテンポは遅いとしても、もう後戻りできないまでの変化の潮流が既に始まっているのであり、政治の分野そのものに戦略的重要度を置く必要性は薄れている。今後重要なのは、こうした流れの上に立って、言論・思想の力などによって政治に適切な課題を設定していくことである。
6:

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Q7v1

[日本のエネルギー資源]

A.先進度 圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
B.強靭性圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
C.影響力圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
 戦略的な重要度を巡る論点
1:エネルギー資源の分野では、日本は、資源効率の高さや省エネ技術水準など先進度は高く、エネルギーの対GDP弾性率の改善度や資源備蓄能力など強靭性も備えているが、資源課題の解決に向けた日本のリーダーシップは少ないなど影響力の面は弱い。日本のエネルギー問題の原点が、石油などの海外(とりわけ中東)への依存度が極めて高く、自給体制が脆弱であることである限り、日本にとってこの分野の戦略的重要度は常に高い。
2:今後見通し得る将来においては、代替エネルギーへの転換はコスト面に鑑みても現実的ではなく、石油や天然ガスなどの化石燃料の時代が続く。アメリカが環境問題の制約からエネルギーの対外依存を強め、中国などが所得水準の上昇によってエネルギー対外収支における需要超過幅を大きく拡大させていく中で、国家間での地下資源の争奪戦が激しくなっていく。とりわけアメリカは資源確保を外交戦略の基軸に据えてきたのであり、日本も、輸入先の多角化、掘削の段階からの開発輸入、日本での収益機会の中東諸国資本への提供、さらには外交面でのタクティクスなど、エネルギー確保への戦略的対応を強化していく必要がある。
3:化石燃料の世界的な需給逼迫が日本のエネルギー基盤をより不安定化させる流れにある中で、日本にとって戦略的に重要なのは、省エネへの要請が高まるアメリカなどに対しては日本の強みである世界最高水準の省エネ技術力をカードとして用いるとともに、その高い技術力で代替エネルギーへの転換への取組みを強化し、環境立国を推進して世界に先駆けて循環型エネルギーへのシステム転換を実現することである。そのためには、こうした国家の基本路線について国民的コンセンサスを形成し、当面のエネルギーコストの上昇は甘受するという犠牲を払ってでも、これを推進すべきである。
4:資源保有国が必ずしも技術水準が高くないように、資源の存在それ自体が国の強さを決めるものではなく、エネルギー自給度の低さは、技術開発を迫るという意味で逆に日本の強さを生んでいる。エネルギー動向は市場の需給関係に規定され、買い手市場の局面もあれば売り手市場の局面もあるように、日本の強さ弱さの評価は局面によって異なる。今後のエネルギー戦略のあり方は、原子力の取扱いや、京都議定書の行方がどうなるかで変わってくるが、いずれにしても、需給が大きく逼迫すれば、エネルギー価格の上昇がコスト面で代替エネルギーへの転換を促進するのであり、市場メカニズムの下で日本のエネルギー確保には問題はなく、この分野の戦略的重要度は必ずしも高くない。
5:資源問題は化石燃料エネルギーだけでなく、その他の鉱物資源、森林、海洋資源、水や土壌など多様な観点から捉え、その中から日本での賦存度の高いものを強みとして戦略化していくべきである。金属などの材料資源についてはアメリカに全ての物性データを握られているが、日本は豊かな森林や海、あるいは水資源に恵まれており、例えば、地球環境の観点をも踏まえた森林資源の涵養とその有効活用や、海洋資源の開発利用の促進、あるいは中国で水不足が今後の大きな問題となることを見据えた対応など、日本にとって資源分野の戦略的可能性を追求する意味は大きい。
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Q7v2

[日本の食料]

A.先進度 圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
B.強靭性圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
C.影響力圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
 戦略的な重要度を巡る論点
1:食料については、単に日本の食料自給率が約40%まで低下しているという意味ではなく、食料自給率に対する明確な視点(先進度)の欠如、食料外交の交渉力(強靭性)の低さ、食料分野での資源課題に対するリーダーシップ(影響力)の欠如などの観点から見て、食料は日本にとっては弱みであり、食料の安定的な確保は国家として安全保障の基盤をなすものであることに鑑みれば、より一層の戦略的重要度を置いた対応が必要な分野である。
2:今後爆発的な人口増大が見込まれ、食料不安の事態も予想される世界の中にあって、食料安全保障は喫緊の課題である。いざ食料不足に直面した輸入先国・地域が、その際に日本に安定的な食料供給を続ける保証はなく、食料の多くを輸入に頼る日本としては、まず輸入先の多角化が必要である。しかし、現実には、日本は軍事のみならず食料もアメリカに依存しており、穀物などの対米輸入シェアを容易に変更できない事実上の管理貿易が行われ、この面からも、日本の外交や国益追及の自由度が制約されている。これらに鑑みれば、食料自給率の向上しか道はなく、それに向けた日本農業の生産性の上昇には高い戦略的重要度が置かれるべきである。
3:食料安全保障も、日米同盟関係の維持強化によって達成される。エネルギーなどとは異なり、供給側も売らなければならないのが食料であり、買い手が一方的に不利になる分野ではない。むしろ、大量の食料を安定的に輸入することを通じて供給国側の対日依存が強まり、食料危機が生じても日本には優先的な供給がなされることになる。日本にとって、食料分野の戦略的重要度は高くない。
4:食料は、自給率や総合安全保障の観点とは別に、日本が活路を開くべき分野として、産業政策上の戦略的重要性が高い分野である。経済の二極分化の下、年収2~300万円時代とも言われる中で、こうした層に広く雇用・所得機会を提供しつつ、疲弊する地方を再生するためには、家族全体で複数の収入源を持とうとする兼業農家の厚い層の形成を通して、低コストで地方に産業を呼び込むことが重要である。また、農業は先端技術を応用できる様々な可能性を秘めた先進国型産業でもあり、日本が様々な意味で世界の中で有利な地歩を確保していく上でも、農業の産業化には重要な意味がある。
5:日本農業の生産性の低さの問題は、農業保護政策がもたらす高い食料品価格を通じて、消費者に負担を負わせる形となって現われている。また、消費者にとって何よりも重要なのは食料の安全性である。株式会社などの参入や大規模農業の導入などにより農業の生産性を高め、日本が食料を輸入に頼らず、安全な食料、優れた食材を国内でより低価格で供給できるようにすることこそが、消費者の視点に立った政策である。より低コストな社会を実現して日本の魅力を高める上でも、食料分野の戦略的重要度は大きい。
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Q8

[日本の環境問題への対応

A.先進度 圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
B.強靭性圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
C.影響力圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
 戦略的な重要度を巡る論点
1:環境分野については、日本は国民的認識水準の高さや世界水準を抜いた具体的な成果など、先進度では圧倒的に強く、環境改善の経済性確保による企業活動の存在や環境技術水準など、強靭性においても圧倒的な強さを誇る。また、日本発の環境思想の形成までは至らないものの、京都議定書に見られるような環境基準決定での主導権など、影響力もある程度有している。先進度や強靭性における圧倒的な強さを活かして影響力を高めていけば、日本はこの分野で永続的な優位を確立できるのであり、環境の戦略的重要度は大きい。
2:地球温暖化は既に世界各地に異常気象を発生させており、今後世界的に所得水準が上昇していく過程で深刻な環境汚染が進んでいく中で、このままでは人類は生存の危機に直面する恐れがあるなど、地球環境問題は世界が最優先で取り組まなければならない、それ自体が戦略的重要度の高い課題である。日本は、公害問題の中で環境問題にいち早く取り組んだ「課題先進国」として、人類や地球全体の立場から、この分野を主導することを国家戦略の中軸に据えるべきである。
3:EUやEU諸国は既に、自らのアイデンティティーの柱に環境を明確に据え、アメリカ的な価値観とは異なる独自の価値観を打ち立てつつ、都市や社会生活などでのエコロジーシステムの確立や、風力発電などクリーンエネルギーの実用化を推進しており、これらを通じて経済社会の活性化を図っている。この面での立ち遅れが目立つ日本にとって、今後、資源少国としての制約を克服する新たなシステム再設計や、地方での雇用創出力が大きいとされる環境調和型エネルギーの推進などを進めることを通じて、地域を始めとする経済活性化を推進することの戦略的重要度は大きい。
4:ヨーロッパが環境を打ち出した背景にはアメリカのGMを抑える思惑があったとも言われ、他方で、京都議定書を巡るアメリカやロシアの動きなどにも見られる国益のぶつかり合いや駆け引き、あるいは、「クリーンエネルギーはダーティービジネス」(国などの公的部門による規制を伴う環境分野には利権が発生しやすい)などとも指摘されていることなどを踏まえれば、国益や利害の絡みやすい環境分野に、あえて国の戦略的な重要度を置くことには慎重であるべきである。
5:地球環境問題への対応の重要性は否定しないが、日本は環境分野で強い力を有し、今後も国際協調の中でこの問題に的確に対応していくと考えられ、また、既に環境立国としてのイメージも十分に確立していることから、アジアにおける自国の魅力を高めることを通じて永続的な優位を確立する戦略の中で、日本が環境を戦略的重要度の高い分野と位置付ける必要性は必ずしも高くない。
6:自然との共生と調和を保ちつつ美と感性を高めることは、日本の持つ力の一つの特質である。西洋文明では自然は対峙し征服すべきものと捉えられてきたのに対し、アジアでは自然は敬い崇拝する対象とされてきた中にあって、特に日本は、人工の技と自然の美の融合や「借景」といった日本庭園の特質、木の文化、あるいは素材価値を重視する食文化にも見られるように、環境というコンセプトは、日本が自らのアイデンティティーを確認し、あるいは新たに確立していく上で、極めて重要な要素となる。地球環境問題という課題への取り組みの中で日本のこうした特質を活かしていくことは、新たなビジネスモデルや市場の創出、世界に対する独自の価値の発信、アジアでの日本の魅力の向上といった意味で、その戦略的重要度は高い。
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Q9

[日本の言論・思想]

A.先進度 圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
B.強靭性圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
C.影響力圧倒的に強い同等か強い弱いどちらとも言えない
 戦略的な重要度を巡る論点
1:日本には世界水準の思想的リーダーは皆無に近く、一般の抽象的思考に対する関心度も必ずしも高くない(先進度が弱い)。討論の頻度やその世間的認知度といった「強靭性」はある程度認められるが、アメリカ的価値観とは異なる日本的価値観が普遍性を獲得している状況ではない(影響力が弱い)。「言論・思想」を、非言語的な大衆文化や暗黙知に対置する、エリート的な言語に基づく思考の表現であるとすれば、言語による表現や発信力が弱く、アジアなど国際社会の中で的確なコミュニケーションと相互理解を求められている日本にとって、この分野を強化する戦略的重要度は大きい。
2:西洋では「プロテスタンティズム」という「思想」が勤労意欲の源泉であったが、日本にはそうした思想性とは無関係に高い勤労意欲が存在したように、一種の「暗黙知」が日本の力の根底にあったと言える。現に日本企業では、知識や技術から物事の決め方まで、ノウハウの全体が紙に書けない「暗黙知」として共有され、かつ、戦略が弱くても現場レベルで欠点をいつの間にかカバーし、問題解決がなされていくことに強みがあった。しかし、それは同じカルチャーを共有する人々の間でこそ可能なのであり、グローバル化の中で、これが逆に弱さに転化しないよう、今後は暗黙知をきちんとした議論や言語に引き上げることが重要となっていく。
3:日本の社会が今後二極分化に向かい、従来のような同質性、均一性という強さが失われていく中にあっては、暗黙知でない明確な言葉で表現された説得性のある思想によって社会的結合と活力を確保する必要性が高まっていく。
4:日本の強さは、ア―トと技術の融合、ものづくりにおける「匠(たくみ)」、大衆文化など、言語性の薄い分野にこそ見出されるのであり、その特質をいかに活かすかを考える方が重要である。もの言わぬ中間層が支える日本の行き方を、一部のエリートによる抽象論が主導する行き方に転換することは、国民性に馴染まないし、「一億総評論家時代」とも言われる無責任な言論を助長することにもなりかねない。日本で言語・思想が戦略的重要性を有することを想定することは困難である。
5:世界における「課題先進国」となった日本は、その課題解決の過程で生み出される知恵やビジネスモデルや新たなシステムを、広く世界に説明できる「思想」にまで高めなければならない。例えば、日本が世界史上類例のない少子高齢化社会の運営システムを作ることができた際に、それをプライドをもって世界に語ることができれば、それは日本の思想となり、アジアの中で魅力ある日本を形成し、やがてジャパニーズ・ウェイ・オブ・ライフとして世界的な普遍性を獲得することにつながる。言論・思想こそ、日本が戦略的重要度を置くべき分野である。
6:大きな時代の変革期にあって国全体のシステム再設計に向け改革を推し進め、世界の潮流変化の中で存在感を回復しなければならない日本に求められるのは、言語で表現された明確な理念や思想である。そのためには、より質の高い言論とその厚みが必要であるが、現実を見ると、日本では政党内、政党間、あるいは官民などの間でも政策論争が不活発であり、シンクタンクの未成熟やNPOなど市民団体の政策への関与の少なさ、ジャーナリズムの政策論争への貢献の薄さが認められ、まさに「言論不況」、「声なき日本」の様相を呈している。多様な情報伝達手段の活用、ジャーナリズムの質の向上に加え、知的ネットワークの多様・多層な形成こそが、今、日本には最も問われている。
7:

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2004年03月01日 17:00

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