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 「評価可能な政策プロセスへの政府への提案」

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言論NPO政策評価委員会(2003/10/8)

私たち言論NPOは、真の政策本位の政治に向けてマニフェスト(政権公約)を基軸とした政党政治が日本で確立することを願い、民間の非営利組織の立場から、各種の活動を行ってまいりました。与野党が責任と実効性のあるマニフェストを作成し、政策内容を競い合うことはマニフェスト政治がわが国に定着するための大前提です。

そのためには、各党が作成するマニフェストが、国民が国の基本方針を選択できるよう、政党間で闘われるべき政策の争点をしっかりとした形で提示するものでなければなりません。また、政権与党の政策がマニフェストに基づき着実に実行されているかどうか、国民がその達成状況を検証することができるものでなければなりません。

私たちは、こうした観点から、今後、各党のマニフェストを中立的な立場から国民にわかりやすい形で評価する営みを開始し、これを継続していきたいと考えています。その基礎となるのが、政権与党・政府がどのような理念の下にいかなる目標を設定し、それを具体的にどのような形で実施し、それはどの程度進捗しているのか、そこから今後形成されるべき日本の争点は何かといった点について、幅広く「政策評価」を行うことです。

そうした観点から、今般、私たちは各党のマニフェスト評価を行うための準備作業の一貫として、過去2年間の小泉政権の政策評価を試みたところです。なお、この政策評価に当たっては、(1)過去の政権と比べた改革意欲と実績評価、(2)公約の達成度評価、(3)将来的な実現可能性に関する評価の3つの視点から、動態的な評価を行いました(詳細は、別添レポート参照)。こうした評価作業を通じて、私たちは、現在のわが国の状況は政権の政策運営に対して民間が適正な評価を行うためのインフラが十分整備されていないとの結論に至りました。このため、私たちが今後、政党さらには政権与党の政策評価をより適正に行うためにも、政府に対して以下の5点を要望いたします。


1.「骨太の方針」の明確化・具体化について

英国では、マニフェストの評価基準として、「SMART」、すなわち「明確性(Specific)」、「測定可能性(Measurable)」、「達成可能性(Achievable)」、「妥当性(Relevant)」、「期限明示(Timed)」の5つの基準があります。私たちは、与野党が今回の総選挙を控えて作成するマニフェストには、こうした基準が満たされる必要があると考えます。他方、小泉政権における「骨太の方針」は、本来与党のマニフェストをより具体化した政策目標と位置付けられますが、マニフェスト政治が導入されていないわが国においては、政権与党の政策と「骨太の方針」の調整がしばしば難航する結果として、(1) 具体的な数値目標が少なく「推進する」「検討する」など曖昧な目標が目立つ、(2) 補正予算を編成するケースを除いて、打ち出された政策のトータルの規模、財源などを把握することが難しい、(3) 工程表の作成が2002年度以降なされておらず、進捗状況のチェックが難しい等の点で難点があり、民間NPOとして適正な政策評価を実施することが困難な状況にあります。私たちは、今後小泉政権が「骨太の方針」を策定するに当たって、以上の点について、より改善をお願いしたいと考えます。


2.政府による改革の実施状況の定期的フォローアップと評価書の公表について

民間の立場で、しかも限られた情報の中で、政府の政策評価を適切に行うことは、多大の労力と困難を要する作業でした。例えば、「骨太の方針」で掲げられている具体性の高い政策について、各省庁がどこまで検討・取り組んでいるのかが分かりづらい面があります。私たちは、各省庁・政府自らが小泉構造改革の実施状況、目標達成状況について、(1)より徹底的な情報公開を行うとともに、(2)定期的にフォローアップを行い、(3)その結果を随時公表しつつ、(4)最終的には、例えば、米国のNPR(National Performance Review)や英国の「年次報告書」のような形の「政策評価白書」として、毎年国民に公表していただくことを要望します。私たちは、そうした政府自身の評価結果をベースとして、より精緻かつ国民に分かりやすい形で、政府の取り組みを評価していきたいと考えます。


3.閣議決定に関する情報公開の充実について

政府の掲げた政策の実行状況を適切に評価するためには、その大前提として、政権の公約が明確であることが必要ですが、それだけでなく、その公約を実行するために、政府が具体的に何を正式に決定してきたのかを特定する必要があると、私たちは考えています。そのためには、政府の閣議決定事項とその詳細な内容を包括的に把握する必要がありますが、残念ながら、私たちが評価作業を行うプロセスにおいて、過去の閣議決定の詳細を省庁別、テーマ別に把握することは極めて困難との判断に至りました。政府においては、ホームページ等で私たち国民が閣議決定の内容を容易に検索・抽出・把握できるよう、データベースの整備を含めて情報公開を一段と充実していただきたいと考えます。


4.政策決定プロセスの明確化・総合化について

私たちは、小泉政権が推進している構造改革について、どのような政策決定プロセスを経て、すなわち、様々な審議会、政府組織の中で行われている各種の議論がどのような形で集約され、最終的に改革の具体的内容が決定されるのか、個々の分野の政策について誰が最終責任を負うのかが、法的には明確となっていても、国民の目から見ると、必ずしも明確でない部分が少なくなく、実現可能性の判断を行うことの難しさに直面しました。例えば、「経済財政諮問会議」において決定された改革の基本方針や方向性と、最終的に法案化される政策の具体案との間にギャップがあるケースが散見されます。与党自民党、各省庁・審議会、経済財政諮問会議の間で、改革の具体的方向性に差異がある場合に、経済財政諮問会議が一種の利害調整の場となっており、国民の目には、透明な政策決定のプロセスが見えにくくなっていると思われます。

政府においては、小泉政権の改革が最終的に、予算、税制改革、規制改革、法律改正などの形で具体化するまでのプロセスをより明確にするとともに、諮問会議、科学技術総合会議、IT戦略会議、金融危機対応会議などにおける議論の整合性・一体性の確保に向けた対応をお願いしたいと考えています。


5.トップダウン型政策決定プロセスの強化について

私たちは、小泉構造改革の将来的実現可能性を判断する上で、現在の政策決定プロセスにおいて、コンセンサスの確保が難航するテーマについて、小泉首相自身によるリーダーシップの発揮が可能となるようなトップダウン型政策決定の仕組みがより強化されるかどうかが重要な判断基準になりえると考えています。特に、今後、政策本位のマニフェスト型政治を実現する上で不可欠となってくるのは、首相や党首が政策形成に強力なイニシアチブを発揮し、その実行を担保する仕組みです。そうした政策決定プロセスの強化の方策には、例えば、(1) 経済財政諮問会議の役割の見直し(位置付けの一層の明確化、民間議員の中立性確保とサポート体制の強化など)、(2) 総理の掲げる公約に対する閣僚の公約履行へのコミットメントを強化するための閣僚任免権の活用、(3) 与党3役が改革の重要テーマに関わる大臣を兼務するなど党と内閣の政策形成の一元化等、様々な手法が考えられますが、議員内閣制を採用するわが国の政治システムとの兼ね合いも十分考慮しつつ、適切な対応を採っていただきたいと考えます。


以上

2003年10月08日 14:47

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