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 アンケート調査 「与党マニフェストと小泉政権に対する政策評価」vol.3 (※受付終了)

(回答期限:5/10)

(※受付は終了しました。多数のご回答ありがとうございました)

各設問について、いくつかの論点が並べられています。その中からあなたのお考えに最も近いものを一つ選んでください。あなたのお考えにそのまま当てはまらない場合でも、それに近い選択肢をできるだけ選んでいただきますが、それでも該当する選択肢がない場合、ご意見をお書きください。ご協力、よろしくお願いします。


■ 国から地方へ

「国から地方へ」は、「官から民へ」と並んで、小泉改革の大きな柱の一つと位置付けられています。日本では近年、地方の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現しようという理念の下に、地方分権の流れが進められてきました。

自民党のマニフェストでは、「国から地方へ」(地方の自立と都市の再生を)という理念の下に、1.「三位一体改革」による地方分権の推進(2006度までに約4兆円の補助金の廃止・縮減、交付税を見直し、地方へ税源を委譲する等)、2.地方改革の徹底(地方の構造改革:地方財政の健全化、市町村合併の促進など)、3.「地域の再生」(地域再生プログラム、都市再生と中心市街地活性化、「都市と農山漁村の共生・対流」等)、4.道州制導入の検討と北海道における道州制特区の先行展開という4つの柱が立てられています。

他方、公明党のマニフェストでは、上記1.に相当する部分について、「国の補助事業を段階的に地方に移譲し、4兆円を目途に国庫補助負担金の廃止・縮減等を行うとともに、これと併せて国から地方への税源移譲を積極的に進めます。さらに、将来的には、国と地方の税源比率を1:1にします。」とされています。

Q9

国と地方の関係に係る評価について、あなたのお考えに最も近いもの(あるいは、あなたが最も重視する論点)を選んでください。

 
1:自民党マニフェストは、「国から地方へ」という大きな理念を提示した上で、1.国と地方との財政問題の根源を正すためには地方の財政的な自立を促すことが必要との認識の下に、補助金、交付税の改革、地方への税源委譲という「三位一体改革」を目標として設定し、2.それを進める意味でも、地方自らが合理化を進め体質を強化する必要があるとの認識の下に、地方の構造改革を位置付け、3.地方の自立の基盤となる地方経済の活性化に向けて「地方の再生」を進める一方で、4.国と地方の行政システムの最終的な姿としての道州制の検討を先行モデル方式で進め、分権に向けた改革を促進しようとしているなど、そこに提示された手段の明確性なども含め適切な内容である。
公明党マニフェストも、国と地方との税源比率1:1という具体的な将来像を提示している点で評価できる。その後、2004年度予算編成は概ねこれら与党マニフェストに即して進められ、補助金の1兆円削減、地方の歳出削減と交付税の1兆円削減など画期的な進展が見られ、地域再生本部という地方の自立的再生を促進するシステムも稼動している。北海道に道州制特区を設定する動きも見られているなど、この分野での改革は前進しつつある。
2:自民党マニフェストは、「国から地方へ」を掲げながらも、国と地方との役割分担のあり方や地域再生、あるいは道州制などのビジョンが十分に描かれていないなど、理念の中身への踏み込み不足が目立つ。目標や手段についても、地方財政改革の最大のボイントは交付税改革や税源委譲であるにも関わらず、補助金削減が前面に出過ぎており、地方交付税制度をどう改革するのか、地方の自主財源の拡充をどう図るのかなど、肝心な点が不明確である。地域再生策は、各省庁の既定路線を並べた感が強く、道州制についても、なぜ北海道での先行実施となるのかなど説明不足である。
3:2004年度予算の内容などを踏まえれば、与党マニフェストはそれなりに実施されているといえるが、「三位一体改革」については、社会保障関係も併せれば地方への補助金は全体として増えているし、税源委譲を始め全体に暫定措置が多く、地方の自主財源の確立に向けた実質的な進展があったとはいえない。他の項目については、公務員給与の見直しなどの地方の歳出削減や、市町村合併、地域再生のための措置の検討や、道州制を巡る議論など、個々の措置への取組み自体は進展しているが、全体として、実際に地方の自立や、地域再生に向けた経済の動きが見られるかどうか、あるいは道州制へのシステム改編に向けて実態面で変化が生じているかどうかは疑問であり、「国から地方へ」に即した現実的な「成果」が現われ始めるにはほど遠い状況にある。
4:景気回復の動きが地方には十分波及しないなど、経済の二極分化とも言われる構造問題の中にあって、地方の低迷、疲弊が進んでいることこそが最大の問題である。「三位一体改革」は実際には国の財政再建を優先するものであり、小泉改革路線は一種の地方切り捨て、あるいは「棄民政策」とすらいえるものであって、現状では地方を混乱させ、二極分化の問題を加速させかねない。地方の実情を見れば、未だ自立的再生を展望できる状況からは遠く、将来的な自立に必要な地方の経済活力の向上こそが優先されるべきである。現在求められているのは、建前で「自立」を言うのではなく、まずは地方の実態経済を回復させるために、必要であれば財政も含めた政策を総動員することである。
5:道州制までを睨んだ地方分権の前提となるのは、地方にある程度拮抗し合う自立的な経済圏が形成されていることであり、そもそも地域間の経済力の格差が大きい日本の実態の下では、地方分権には大きな限界があるというところに問題の本質がある。グローバル化や世界大競争時代の中で、「集積のメリット」を競わなければならない東京と、これとは異なる論理で独自の価値を追求すべき地方とが、適切な役割分担と相互依存関係を構築できる全体システムの設計こそが重要であり、地方の「自立」や「再生」のあり方や、それにふさわしい行政体制は、その中から自ずと見えてくるはずである。「分権」や「自立」といった形の議論より前に求められているのは、国と地方との関係についての、こうした機能的な本質論である。
6:

その他 (あなたのご意見をお書きください。)



※三位一体改革に関する小泉内閣の評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満

※道州制導入の取り組みに関する小泉内閣の評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満



■ 不良債権処理と金融再生について

小泉内閣は、2001年6月の骨太方針第一弾で不良債権問題の解決を日本経済再生の第一歩と位置付け、不良債権の最終処理(オフバランス化)促進の数値目標を設けましたが、この間不良債権残高は一段と増加したことから、2002年10月には竹中新金融担当大臣の下で策定された「金融再生プログラム」の実施を通じて、大手銀行の不良債権比率を2001年度末の8.4%から2004年度末までにほぼ半減させることを目標に掲げ、不良債権問題の2年以内の終結を目指しました。

昨年秋の自民党マニフェストは、「デフレを勝ち抜く日本へ」における一番最初の項目に、「1.不良債権問題の早期解決」を据え、そのための目標として、[1]金融再生プログラムを着実に実施して2004年度末に不良債権比率半減、[2] 金融機関経営の健全化推進、[3]地域金融の強化(リレーションシップパンキング)、[4] 企業・産業再生への取組み強化の4つを掲げています。

これらのうち、[1] については、2004年度末に主要行の不良債権比率を半減させて不良債権問題を終結し、日本経済再生に不可欠な金融機能を健全化させることが明記されています。また、[2]については、不良債権処理を円滑化するための税制や、金融危機や起こさせないための新たな公的資金注入の枠組みを検討するとされています。

他方、[3] については、「中小・地域金融機関について、今後2年間で貸出等の金融サービスを行う機能(リレーションシップバンキング機能)を強化し、中小企業の再生と地域経済の活性化を図る。」とされています。

 

Q10

不良債権問題への取組みと金融機関経営の健全化について、あなたの評価に最も近いものを選んでください。

 
1:不良債権問題の解決と金融の健全化は構造改革の中核をなすものであり、金融機能の正常化を通してデフレを克服するものであることから、小泉内閣が不良債権処理を最優先課題と位置付けてきたことは正しい。自民党マニフェストは、こうした従来からの取組みを再確認し、それも具体的な数値や期限の目標を提示するという、従来の日本の金融行政には見られなかった姿勢を改めて提示したものとして評価できる。この不良債権比率半減という目標は、景気や株価の回復もあって、達成がほぼ確実な情勢であり、一部の大手行では前倒し達成も見込まれている。これは、不良債権のオフバランス化を促し、自己査定とのギャップを特別検査で埋めてきた金融行政の努力の成果でもあり、小泉内閣の当初の所信表明演説で述べられた不良債権問題の2~3年以内の解決からはやや遅れたとはいえ、その進展度合い、成果も含め全体として高い評価ができる。
2:不良債権処理や金融機関の健全化は、銀行というビジネスモデルが大きく転換しなければならない構造変化への対応の中で捉えていくべき問題であるが、小泉内閣にはそのような視点が不足している。間接金融から直接金融への移行が既に言い古されている中で、日本は依然としてオーバーバンキング状態を続け、世界的な競争力を誇る強力な金融機関も未だに誕生していない。日本経済の新たなシステム設計の中に、金融機能をどのような理念の下にどう位置付けるかといった全体的な将来ビジョンこそが必要であり、マニフェストはそれを提示していない。
3:不良債権比率の目標達成への動きや、不良債権処理に向けた税制として欠損金繰越控除期間の5年から7年への延長措置がとられたこと、新法制定によって新たな公的資金注入の枠組みが整備されたことなど、マニフェストは形式的には進展しているが、その実態を見ると、比率目標の達成は「主要行」に限られているのであり、また、改善されているといっても、自己資本が税効果に依存している面が強いなど、銀行の資本の質は欧米に比べ依然として脆弱である。現状は景気や株価に支えられたものであり、それも、ゼロ金利政策や、新たな決済性預金の導入による骨抜き的なペイオフ解禁の動きの中で生じている動きに過ぎず、実質的な進展という意味では、最低限の前進にとどまっている。不良債権比率の半減を自己目的化させてはならないのであり、経済環境が好転している今こそ、もう一段高いハードルを設定し、金融再生に向けた実質的な取組みを強化すべきである。
4:マニフェストに言う不良債権問題の「終結」とは、最終的に、銀行の資産評価が真に市場ベースのものとなり、債権を実際に売買できるところまで価格付けを落とした上での健全化が実現した状態を指すとすれば、現状はそこからはまだほど遠い。再建計画で債務者区分が変更された結果としての見かけ上の改善も多く、巨額の要注意債権が依然として存在する。それが市場で売却され、産業再生と一体となった形での新陳代謝が活発に行われる状況が生まれてこそ、成果が見られたというべきであり、ゼロ金利や事実上のペイオフ解禁凍結に支えられた現状は、依然として危機管理の範囲内に過ぎない。このように、3年間の「集中調整期間」の出口が未だに展望されていない状態のままでは、再び同様の危機が繰り返されるだけである。
5:自民党マニフェストがデフレの克服を最上位の目標に掲げる以上、その手段として不良債権問題の早期解決を掲げること自体が論理的に矛盾している。これまで不良債権処理に時間がかかってきたのは、それが景気を悪化させ、かえって不良債権を増大させるという悪循環構造を内包するものだからである。金融機関に積極的な処理を促すよりも、デフレ克服に向けたより大胆なマクロ政策の転換により、せっかく回復しかけている景気の足取りをより確かなものにすることが求められているのであり、それが不良債権問題の最終的な解決の上でも最も効果があると考えるべきである。

6:

その他 (あなたのご意見をお書きください。)



Q11

地域金融の強化(リレーションシップバンキング)について、あなたの評価に最も近いものを選んでください。(複数回答可)

 
1:都市部を中心とする景気回復の動きの中で、主要行については健全化の目処が立ってきた一方で、現在、経済の二極化現象も指摘されるように、地方経済の疲弊が著しい。その中にあって、リレーションシップバンキングは、問題を地域の再生という視点から捉え、主要行に比べ依然として厳しい状況にある地方の金融機関については、一種のダブルスタンダードによって、一定の時間軸を設け、過渡的な対応として独り立ちに向けた脱出シナリオを戦略的に描こうとするものとして評価できる。
2:リレーションシップバンキングが目指そうとする理念が不明確である。今求められているのは、地域の再生を産業再生と結びつける新たなシステムの構築であり、どのような地域社会を目指し、その中に地域金融の機能はどう位置付けられるかを明確にした上で、地方の金融機関をより広域の経済圏でのリスクテイクにふさわしい強力な金融機関へと再編していく見取り図を描くことであって、こうした理念や思想が曖昧なままでのリレーションシップバンキングは、脆弱な地方の金融機関への救済型行政や、地方企業に対する保護型政策に結びつきかねないという危険を内包する。
3:リレーションシップバンキングが目指すものは、地方の金融機関の再生なのか、その貸出先である地方の中小企業の再生なのか、いずれにプライオリティーを置いているのかが明確でない。すなわち、地方の金融機関の健全化のために本来求められているのは、適正な金利によって利ざやを稼ぎ、収益力を強化することである。そのためには、貸出金利を採算ベースにまで引き上げなければならないが、優良貸付先に乏しい地方でそれを行えば、取引先が減少し、貸出規模が縮小するのは必至である。リレーションシップバンキングが、地方の中小企業にカネを貸し続けることを求めるものだとすれば、それは金融機関の再生と矛盾する。この点、目的設定そのものが不明確、あるいは不適切である。
4:地方での貸出先が少ない地銀の実質的な預貸率は50%程度とも言われる中で、地方の金融機関は国債運用への依存を強め、金利リスクなど様々なリスクをかえって増大させているのが実態であり、その中にあって地方の金融機関の道行きはオーバーバンキングの是正しかない。その点では、地方の金融機関の課題は大手銀行と何ら変わりなく、そもそも「リレーションシップバンキング」の名の下にあえてダブルスタンダードを設定する必然性は乏しい。ここには、状況認識の誤りと、地方の保護を指向する政治的な思惑を隠蔽する意図が見られ、そもそも政策としての妥当性に大きな疑問がある。
5:

地方の金融機関には、不良債権の大量発生により自己資本が脆弱となっているところが実際に数多く、その脆弱な自己資本だけでは大幅な資産規模の削減、すなわち貸出の削減が必至であった。こうした混乱を避けるために、公的資金注入の新たな枠組みが整備されたと考えられ、リレーションシップバンキングはこの公的資金あってこそ現実的に可能となるものであり、両者はクルマの両輪であるといえる。これは裏を返せば、設定された2年間の期間に地方の銀行の合併を推進する意図があると見ることができるのであり、地域経済の活力を損なうことのないよう一方で貸出を維持しながら、他方で地方のオーバーバンキングの是正を図るべく金融再編を進めていくというえ考え方は、方向として正しい。

6:

地方金融の再編は不可避だとしても、そのツールとしての資本注入の仕組みが、銀行の資金不足分を埋めるという消極的なレベルにとどまり、金融機関の前向きの再編に使うというレベルに達していないことが問題である。ペイオフ解禁に備えての資本注入スキームは、防御的な役割を果たすだけに過ぎず、地方金融の再編に結びつくことは思わられない。むしろ、リレーションシップバンキングでの地方企業の支援との両輪はオーバーバンキングの解消を遅らせ、地方金融の体質強化にはつながらない。

7:

合併などの経営統合を促しても、地域金融機関が健全化するとは限らず、組織知をまとめあげる優れた経営リーダーシップが見込めない現状では、経営統合はかえって非効率や混乱を招きかねない。大切なのは、金融機関の経営改善のために、金利の引き上げ、コスト削減、一時的な資産規模の縮小などの基本的な努力を積み重ねることである。この点、リレーションシップバンキングも、新たな公的資金注入の枠組みの整備も、問題解決に向けた前進にはつながらない。

8:

その他 (具体的にお書きください。)

※不良債権問題、金融機関経営の健全化に取り組みに関する小泉内閣の評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満

※地方金融への取り組みに関する小泉内閣の評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満



■ 産業再生について

金融機関の不良債権の処理と表と裏の関係にあるのが、企業や産業の再生です。自民党マニフェストでは、「デフレに勝ち抜く日本へ」(景気・雇用・中小企業に重点、新技術・新産業の創出)の理念の下に、「1.不良債権の早期解決」、「2. 中小企業再生の支援」、「3. 雇用の創出・維持・確保」、「4.新たな経済発展基盤の創造」という4つの大目標を掲げ、これらのうち1. の中で、金融問題と並んで、「企業・産業再生への取組み強化」という目標を位置付けています。ここでは、この目標に焦点を当てて、評価を行っていただきます。

「企業・産業再生への取組み強化」の具体的な手段については、自民党マニフェストでは、「不良債権問題を企業・産業の過剰債務問題と一体的に解決する。過剰債務企業が有する優良な経営資源は極力生かして再生するため、産業再生機構、中小企業再生支援協議会、改正産業活力再生特別措置法等を活用し、企業の事業再構築を支援する。」とされています。

 

Q12

企業・産業の再生について、あなたのお考えに最も近いものを選んでください。

 
1:デフレを克服するためには、不良債権の処理によって金融システムの機能不全を克服することが不可欠であり、銀行の融資先である企業や産業が生産性と収益性を高めてこそ、不良債権の真の解決が可能になる。その意味で、自民党マニフェストの目標設定は適切である。その下で、産業再生機構は、不良債権化した企業に対する数多くの融資元銀行の債権をメインバンクに寄せ、メインバンクとともにその再生を図り、市場価値を高めた上で売却し、仮に損失が出た場合には10兆円の政府保証資金枠を設定しているなど、企業再生の上で現実的かつ実効性のある仕組みを整備しているものであることから、その活用を企業・産業再生の手段として設定したことは極めて適切である。中小企業再生支援協議会や改正産業活力再生特別措置法も、企業・事業再生の上での使い勝手の良い仕組みとして円滑に機能している。
2:経営破綻した企業を再生することそれ自体は、産業再生という政策で政府が追求すべきことではなく、企業や事業の再生と産業の再生とは本来は異なるものであるが、自民党マニフェストはそれを混同しており、企業の再生が産業の再生につながっていくための理念を示していない。何のためのどのような産業再生なのか、例えば、いずれ人口減少に直面する日本経済の課題は労働生産性の向上であり、それを、超高齢化社会への移行や経済の二極分化の中での地域の再生という課題に応える形で、市場原理を活用しつつどう実現していくのかといったことについての、何らかの理念や課題設定こそが求められている。その下に産業再生を位置付けてこそ、今日的な文脈の下での意味付けが明確化し、適切な目標や手段が構築できたはずである。
3:市場経済の下では、どの産業をどう再生するかは市場が判断すべきものであり、政府の役割は、企業再生に向けて市場メカニズムが円滑に働くべく、その補完役としての機能にとどまる。産業再生機構は、いくつかの案件をモデルケースとして提示することにより企業再生市場の呼び水役、あるいは日本経済における資本効率向上のメッセンジャーとして機能するにとどまるのであり、そもそもそこに過大な期待を抱くべきではない。政策対応が進展していることは、各都道府県に置かれた中小企業再生支援協議会が既に多数の案件を手がけ、改正産業活力再生特別措置法の支援を受けながら多くの企業が事業再編に成功していることに十分現われている。特に、最近では民間の企業再生ファンドが数多く設立されており、こうした企業再生市場の拡充こそ、大きな実質的な進展として評価すべきである。
4:産業再生機構は、過剰供給体質が目立ついくつかの業界でインパクトの大きな案件を次々と手がけ、新しい産業分野の創出に向けて日本を大きく動かしていくことが当初期待されたが、現状を見ると、実績は未だに12件にとどまり、それも、その多くが日本経済にとってどのような意味があるのか疑問を感じさせるような案件であり、産業再生は、成果という面では期待はずれの結果になっている。国民負担を極力回避すべく厳しい査定を行う同機構に案件を持ち込めば、銀行は多額の引当て金の計上を迫られるなど、同機構を活用するメリットは小さく、この機構にはそもそも仕組み上の問題があった。産業再生を本格的な軌道に乗せ、調整を一気呵成に進めるべく、ある程度の国民負担を覚悟してでも、より大掛かりな実効性ある仕組みの導入を検討すべきである。
5:企業や産業の再生は、官民での様々な知恵や仕組みを総動員しながら総力戦で進められる性格のものであり、そこに短期間での進展や成果を期待することがそもそも間違いである。より長い時間軸の下で、試行錯誤や成功例、失敗例が次々と出てくる中で、市場メカニズムを通じて国民経済的に望ましい産業再生が模索されていくのであり、そのための案件のタマ出しこそが重要である。むしろ考えるべきことは、現在の構造改革路線を継続しつつ、多数の案件を抱え込んでいる銀行を、市場へのタマ出しに向けていかに追い込んでいくかであろう。
6:現在の経済構造改革路線の下で重視されているのは、生産性の低下した産業分野から生産性の高い分野に向けて、労働力や資本といった生産要素をシフトさせていくという、主として供給面の対応であるが、重要なのは、生産要素を吸収できるだけの新たな産業分野をどう創出するかである。供給面の政策のみでは、現在でも過剰な生産能力を有する日本経済の過剰供給構造を拡大するだけであり、むしろ、今日において求められているのは、需要面の政策である。デフレを克服しなければ産業再生はあり得ないのであり、「デフレに勝ち抜く」ために産業再生を行うという課題設定や、不良債権問題の解決の文脈の中での産業再生という位置付け自体が、そもそも本末転倒している。

7:

その他 (あなたのご意見をお書きください。)



※産業再生への取り組みに関する小泉内閣の評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満

※その一つとしての「産業再生機構」への評価

満足やや満足どちらでもないやや不満不満


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2004年05月01日 17:00

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