言論NPOマニフェスト評価 報告書(要旨) page3
言論NPO政策評価委員会 (2004/5/12)
7. 金融、不良債権問題
a 不良債権問題
1.マニフェストの妥当性
・不良債権比率半減の目標設定は既に政府が掲げてきた数値目標の一つだが、これを達成することが不良債権の「終結」となり、金融機関が「健全化」するとまで説明している。論理展開はかなり楽観的で、本当の意味での出口を見えなくする危険性もある。
・リレーションバンキングは、地方の銀行の再生とそれぞれの地域にある中小企業の再生あるいは活性化という2つの目的が混在したものであり、基本的に両者の目標は矛盾している。
2.実質的進捗度
・不良債権比率の目標達成はほぼ確実とみられるが、それが不良債権の「終結」になる状況にはない。
・リレーションバンキングと公的資金の枠組みを使って、ペイオフ解禁後の地域金融をどのように立て直すかの最終的な絵姿は未だに提起されていない。
3.アウトカム
・「集中調整期間」に期待された新陳代謝のサイクルは未だ十分に出来ていない。
・リレーションシップバンキングは、地元を優先した甘い公約となっており、むしろオーバーバンキングを維持し加速しかねず、また公的資金の問題も今後の道筋は描かれていない。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
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b 産業再生
1.マニフェストの妥当性
・日本全体のシステム再設計に向けた理念や思想の裏打ちに基づいてこそ初めて実効あるものとなる産業再生を、単に不良債権処理のコンテキストの下に位置付けている。事業や企業の再生がどう「産業」の再生に結びつくかのメカニズムが示されていない。
2.実質的進捗度
・個々の手段については進捗が見られるが、仕組み上の矛盾や限界を持つ産業再生機構に大きな期待を抱くことは誤り。
3.アウトカム
・ROAの動きを見ても、事業や企業の再生に向けた流れだけは作られつつあるが、それが自立的なサイクルに発展し、「産業」の再生に結びつく流れが生まれるまでには至っていない。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
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c 中小企業問題
1.マニフェストの妥当性
・自立的なリスクテイクの基盤を中小企業に対して整える意義があると評価できるが、「新陳代謝の自立的なサイクル」に則った中小企業再生の上で最も重要な基本理念を欠いている。
2.実質的進捗度
・個人保証からの脱却の手段の具体的な検討が進んでいるなど、全体として実質的進展が図られている。
3.アウトカム
・実態は未だ過度な不動産担保主義から脱却したとは評価はできないなど、全体としてまだ端緒についたところ。
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公明党
無担保・無保証の新創業支援制度の拡充がモラルハザードにつながることなく、どう「100万起業の開業」に結びつくのか、道筋が明確でないままの公約は保護救済型政策の助長につながる恐れがある。「個人保証」に着目したことは評価できるが、「保人保証を求めない融資」をどう確保するのか不明。金融機能の多様化の視点も評価できるが、自民党マニフェストと同様、現行の政府の施策を並べたものである。
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8. 雇用と失業者問題
a 雇用創出
1. マニフェストの妥当性
・全体的な理念や目標、政策体系は概ね適切であるが、530万人の雇用創出の目標にはあいまいさがあり、トータルな失業率などのビジョンの提示とともに、雇用創出策をより大胆な規制改革と組み合わせることが求められる。
2.実質的進捗度
・「530万人雇用創出プログラム」については、多くの内閣府のビジョンや目標が掛け声だけで終わってしまう中で、このように関係省庁にまで計画を落とすことができた例は少なく、その意義は大きい。雇用創出のための取り組みの具体化を図るための検討も続いており、新たな政策メニューも出揃ってきているなど、全体としては進捗度は高い。
3.アウトカム
・サービス業における雇用統計が未整備なため、タイムリーに雇用創出効果をモニターすることができないことが問題。失業率の低下に代表されるように、雇用環境は徐々に改善しているものの、530万人雇用創出プログラムによる実質的な成果は未だに限定的であり、経済が全体として回復基調にあるために直接的な成果以上の「成果」があるように見えているのが現状。
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公明党
「新産業育成、規制改革により、経済を活性化させ、新たな雇用を500万人創出します。」という公約に対し、公明党ではその進捗状況について、平成15年6月の「530万人雇用創出プログラム」(5年で)を受け、規制改革等を積極的に進め、サービス業での雇用増を図るとともに、平成16年度予算においては、成長が見込まれる新産業に対し、重点的な配分を行っているとしているが、目標とそれを具体的に実現する手段(政策)との結びつきが示されていない。また「530万人雇用創出プログラム」自体は既出の政策であるため、党の政策としての評価は難しい。
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b 失業者問題
1. マニフェストの妥当性
・失業者対策については、自民党は、政権公約で、「雇用の維持・確保、適切な労務管理についての労使の取組みを支援し、完全失業率を低下させる」と完全失業率の低下を公約している。しかし、具体的かつ明確な目標設定がないところが問題点として残っている。
・自民党は「若者自立・挑戦プラン」として、若年失業者対策を位置付けると同時に、「職業訓練の一層の充実」、「NPOが活躍する経済社会の実現」など、雇用問題を下支えする基盤整備に関する政策を盛り込んだ。これらの点については、何とか評価できるが、完全失業率と同様、具体的な達成目標が明示されていないため、実効性については不透明となっている。
2.実質的進捗度
・若年失業者対策については、自民党は、政府にアピールし、2003年6月に策定された「若者自立・挑戦プラン」にもとづき、2004年度予算で各種事業を新規に予算計上、または前年度比でも大幅増加している。
・ただ、この「プラン」は、当面3年間で若年失業者などの増加傾向の転換を図ることを目標としている。その実現に向けて、新たに予算措置された各種事業について、実効性のある具体的な実施内容の確立と、効果の早期発現に取り組む必要がある。
・また、高齢者・障害者雇用、ホームレスの自立支援、職業訓練、NPOの各分野については、2004年度予算で一応の措置が行われている。このうち、高齢者雇用に関しては、定年の引き上げ、継続的雇用制度の導入などを内容とした「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正案が通常国会に提出された。
3.アウトカム
・完全失業率は、ここ10年以上悪化の一途をたどっていたが、直近の2003年度には5.1%と、前年度から0.3ポイントの改善に転じた。有効求人倍率も前年度比0.13ポイント増の0.69倍となり、景気の回復基調が現れている。
・若年失業者対策などは、対策への取り組みが本格化した段階であり、こうした景気の回復基調と相まった効果の発現が期待される。
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公明党
公明党は、政権公約で、若年者の失業者の半減という自民党より踏み込んだ目標を打ち出した点は評価できるものの、それに直結する具体的な対策を打ち出していない。
若年者に対する就業支援サービスを一体的に行う「ジョブカフェ」(仮称)を都道府県の中核都市に設置するとともに、「日本版デュアルシステム」(週の前半は企業で実習生、後半は専門学校で訓練を受けながら、正式採用に必要な力をつけるシステム)の導入を推進するとした点は評価できる。
また、女性の雇用確保・改善に関して、自民党よりも踏み込んだ公約対応をしている。出産や育児、介護などでいったん中断した仕事について、再就職を希望する女性の雇用確保に関して支援するとし、具体的には、職業訓練や職探しの際に、乳幼児の一時預かりサービスを実施することを打ち出している。こういった具体的な手段の明示は評価の対象になる。
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c NPO問題
1. マニフェストの妥当性
・NPO育成のニーズについてはある程度は把握しているが、憂慮される自治体との関係の問題、市民性創造、社会変革の担い手としてのNPO、新しい公共の担い手としてのNPOの機能についてはマニフェストのスコープから外れている。
2.実質的進捗度
・各省庁とも、「雇用の受け皿としてのNPOの役割」に向けて、様々な改革措置を講じている。
3.アウトカム
・NPOの現状や成長ぶり、あるいは行政機関の取り組みと成果を見ると、公約以上に社会の方が進んでいると捉えたほうが適当。
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公明党
NPO育成や支援について独立した政策テーマ項目をたてていない。ODA予算の5%をNGOに還元するという文言が政策テーマに記されているのみである。雇用や福祉などの政策テーマ項目の中で、NPOは公約実現の手段として位置づけられていると推測される。
進捗を確認するのは困難であるが、ODA予算のNGOへの還元については、予算の増額や、高齢者住宅数、環境教育への配慮が見られる。但し、これらのうち、NPOへどこまで充当されるかは明らかでない。
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9. 新分野戦略
a 研究開発と創業(ベンチャー含む)
1. マニフェストの妥当性
・科学技術分野についてはマニフェストで描かれるべき理念もビジョンも資源配分も、それが省庁縦割りの中で作成された結果、全く出てきていない。
・政策体系として見れば、重要性の判断や優先順位付けに疑問。
・ベンチャー企業育成支援については、目標は極めて明確であるが、実現性の点から妥当とは評価し難い。
2.実質的進捗度
・「科学技術創造立国」については、マニフェストの中身の多くが、既に各省庁が実行可能との目処をつけたもの、中には既に実施しているものの中から、一般受けしやすいものを並べたものに過ぎないという根本的な問題が反映しており、それを評価すること自体の意味が問われる。
3.アウトカム
・「科学技術創造立国」については、新しいものは何もないため、その成果の評価は困難である。
・ベンチャー企業育成支援については、相当未達成。
・創造戦略策定については現時点で達成はないと評価。
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公明党
重点4分野への重点投資が謳われ、特に「みらいの種 先行投資プロジェクト」という集中投資のキャッチフレーズが掲げられており、一見すると具体性が高いかに見えるが、課題の設定、分類が具体的であるのみで、手段や具体的目標が提示されていない公明党マニフェスト全体の特徴が、この科学技術分野にも現われている。
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b e-ジャパン
1. マニフェストの妥当性
・現状は、マニフェストの世界最先端のIT国家には程遠く、目標設定の検討が必要ではないか。
・光ファイバー設置が必要であることは理解できるが、インフラの構築は必ずしもそのインフラを活用した各種経済活動の活性化を誘引するとは限らない。
・電子政府も情報基盤上でのインフラであり、新たな情報基盤の上に行政基盤をどうつくるのかの具体的プロセスについてマニフェストは答えていない。
2.実質的進捗度
・多くの項目について法案化、予算化が実現しているような印象を受け、形式的な進捗は見られるが、実質的な進捗については見えてこない。予算がどう利用されたのか、どういった便益が得られるのかについての報告は依然乏しく、評価が困難である。
・成果として挙げられるのは主にインフラ部分のみである。電子政府実現については、理念・目標が不明確であり、実質的進捗が見えにくい。ハード、ソフトも含めバーチャルドメインとしてのIT社会基盤とは何なのかはっきりさせたい。
3.アウトカム
・2005年の結果を見て判断せざるを得ない部分もある。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
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c 観光立国
1. マニフェストの妥当性
・日本政府は「観光立国」を唱えているが、自民党はそれをどの程度重要な施策であると考えているのか疑問である。
・観光は遅れた分野であり、自助努力での改善と発展を期待することはきわめて難しい。
・日本はヨーロッパ諸国に約50年遅れて観光の重要性を発見した。各地の伝統を記憶している最後の世代が生きている今が最後のチャンスでもある。先延ばしにはできない。そのような感覚は自民党には欠落している。
・隣諸国からの観光客を受け入れることに関する具体的な問題に対する対策も明示されていない。
2.実質的進捗度
・実態は細切れ施策という部品の寄せ集めであり、全体が「外国人観光客受け入れ定着システム」として出来上がっていくプロセスは見えないままである。従って、優先順位もみえず、何処かに阻害要因を抱かえたまま独りよがりの費用対効果の悪い施策を打ち続けることになりかねない。
3.アウトカム
・評価不能。
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公明党
自民党より観光を他の施策より重視していること、施策がばらばらであるが比較的具体的であること。中国からの観光受け入れに明快に重点を置いていること、公明党の主張により多様な措置が実現していることなど、自民党よりも高く評価できる点がある。
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10. 行政と市場
a 消費者、投資家保護
1. マニフェストの妥当性
・これまでの改革措置は、現状において発生している問題や今後発生すると想定される問題に対する解決として、基本問題である業態法の弊害に対峙することなく、小出しの個別改革で取り縛ってきた。ここから脱却するためには、包括的な金融サービス法の制定が必要であり、自民党マニフェストに求められるのは、そこに踏み込んだ上で、新法に向けた理念を明確に提示することであったと考えられる。
2.実質的進捗度
・金融・証券取引については、基本問題を一切解決していない点で実質的進捗は限定的。
・金融サービスを含めた消費者保護法制の強化については、検討が進められているところ。
3.アウトカム
・包括的な法制度なくして、抜け穴の防止は困難であり、その意味で、効果は一時的・限定的であるばかりでなく、不正が巧妙化することが懸念。
・消費者保護法制については、未だに成案が得られていないため、評価できない。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
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b 公正取引委員会
1. マニフェストの妥当性
・過去、独禁法対象分野の取り締まりに対して公正取引委員会(公取委)が迫力に欠けるという問題は常に指摘されてきた。昨今、市場メカニズムに依存した経済運営を基本にする方向で様々な競争阻害要因を排除する方向にある。また、消費者に対する提供価値の改善という視点からいっても、そのためのインスツルメントである公取委の権限を強化する方向は妥当である。
2.実質的進捗度
・改正案が公取委によって作成されているにもかかわらず、今国会に提出する見通しはない状況である。
・小泉首相がはっきりと方向を出し、現状の膠着状態を打開することは可能であるし、そのように行動すべきだろう。しかし、そのような行動を小泉首相が起こすことは現時点では見えていない。
3.アウトカム
・法案が未提出のため、成果は評価できない。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
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c 司法制度改革
1. マニフェストの妥当性
・マニフェストでは一番の公約に裁判外民事紛争手続きの制度化を揚げているが、第一優先順位の政策とは言えず、第二の公約に揚げられた国民のための民法の実現が最優先になるべきである。司法改革の理念や目的を十分理解しておらず、公約の順位付けや政策体系の示し方が混乱している。
2.実質的進捗度
・第一の公約に揚げた裁判外民事紛争手続きの制度化は推進本部の検討委の中で意見がまとまらず、04年の通常国会には提出を見送っている。
・その他の法案関係は皆、衆議院を通過している。
・裁判員法の与党協議などでは司法制度の改革への理解が薄く、裁判官の人員、守秘義務などにこだわった。
3.アウトカム
・国会には10法案が提出され、成立した。司法改革の実現に課題はあるものの大きく踏み出した。
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公明党
「公明党のマニフェストは司法改革の理念を把握しており、その政策体系もロースクールの学生支援で奨学金などの充実や裁判員法を優先しているなど理念に基づいて政策が体系化しており、マニフェストとして妥当性がある。しかし、党独自の公約の弁護士の「ゼロワン地域の解消は」いつまでにどう進めるのかが見えず、公約が明確ではない。
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2004年05月12日 09:15
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