言論NPOマニフェスト評価 報告書(要旨) page5
13.国と地方の問
a 三位一体改革
1.マニフェストの妥当性
・「国から地方へ」という基本理念の下、補助金、交付金、税源移譲のあり方を抜本的に見直す「三位一体改革」の着眼点は妥当であるが、地方の自立を考える上で最も重要な地方交付税の改革については改革の方向が示されておらず、目標の体をなしていない。「三位」の中の優先順位付けが必ずしも適当とは言えず、税源移譲については、地方の自立という理念からすれば、不十分な目標となっている。
2.実質的進捗度
・2004年度予算では、地方の歳出削減の必要性に対する関係者の理解が進み、それを通じて、1兆円の交付税総額の削減が実現したことは、画期的な進展であると評価できるが、こうした努力の一方で、社会保障関係費が、地方向け補助金については、その増加額が公共事業等の補助金削減をオフセットし、国の一般会計全般でも交付税削減を上回る社会保障関係費の増加があった
3.アウトカム
・地方のプライマリーバランスは赤字から黒字へと転化する見通しである。しかし、この分野の成果は「地方の自立」という理念の下に評価すべきであり、この視点から見れば、評価は低くならざるを得ない。
・地方交付税改革の実績については、機能の見直しに踏み込んでいない点が評価を大きく下げる。所得譲与税創設も、このままでは地方の自立という理念と乖離している。また、税の体系にも踏み込まれていない。全体に暫定措置が多く、恒久的な制度の姿が依然見えてこない。但し、自民党マニフェストは、こうした国と地方の役割についての問題を俎上に載せたという点で大きな意義を有する。
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公明党
マニフェストにおける三位一体の改革の理念に相当する、公明党は三位一体改革という用語は用いていないが、明快である。冒頭の「基本的政策の方向性」において「官から民へ、国から地方へ」という基本理念の下、「地方分権を推進」し、「自立した「地方」の確立」を目指すとしている。地方交付税については、公明党マニフェストでは触れられていないが、地方交付税に言及しないのは、「自立した地方の確立」という理念からすれば不十分であろう。また、自民党と同じく補助金と税源移譲の優先順位付けが必ずしも適当でない。
税源移譲について、公明党マニフェストが、国と地方の税源比率1:1を目標としていることについては、ひとつの将来像を提示したものとして評価できる。
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b 地方改革
1.マニフェストの妥当性
・地方改革によって目指すべき地方の将来像及び達成目標が示されていない。分権型社会における地方の役割をどのように規定し、それに向かってどのような改革を進めるのかという論理構成が求められる。
2.実質的進捗度
・地方財政計画上の財源不足の圧縮は大きな実質的進展と評価できるし、市町村合併も実質的に進捗が見られるのは事実である。
3.アウトカム
・地方行革は1997年の指針に基づいて着実に進められてきた。現在、地方制度の抜本的な見直しが進められているが、自民党マニフェストはそこまで踏み込んだ内容にはなっていない。 政権与党に問われるのは、こうした動きを踏まえた上で、さらにその方向付けを行うビジョンを国政選挙で国民に問うことではないか。
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公明党
マニフェストには市町村合併について1000自治体との目標が提示されているが、その達成は困難とみられる。「地方改革」に相当するのはこの目標設定だけであるため前記「13-a」に含めて評価を行った。
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c 地域再生
1.マニフェストの妥当性
・「地域の再生」が目指すべき将来像や達成目標が十分に示されていない。日本の全体システムの再設計というトータルな視点から「地域の再生」を捉える視角が盛り込まれるべきである。多くの手段には達成目標が設定されておらず、達成度を評価することが困難。
2.実質的進捗度
・地域の「自助と自立の精神」及び「知恵と工夫の競争による活性化」を念頭に、地域再生本部では、各地方の自主性に委ねる形で地域再生構想の提案を受け付けており、まさに地域の自主自立による地域再生に向けた取り組みが進んでいる。
3.アウトカム
・現時点までに地域再生本部に寄せられた提案については、日本が地域再生に向けて動き出す上で、大きなインパクトを与えるようなものは見られない。トータルな視点から「地域の再生」を捉える視角の提示を政治が行うことが求められている。
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公明党
住民に身近な安全・快適な街づくりについて分りやすく具体的な施策を挙げていることは評価できるが、いずれもスローガンの羅列であり、その実現可能性が評価できないのはマニフェストとして不十分。
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d 都市と農村
1.マニフェストの妥当性
・政策目標相互間の関係が十分に整理されていない。
・背景には農業政策の大きな転換が打ち出されているにもかかわらず、マニフェストの文言上はその具体的な意味が不明確である。
・「都市と農村の共生・対流の促進」のビジョンは評価できるが、単なるスローガンという面が強い。
2.実質的進捗度
・「食料・農業・農村基本計画の見直し」については、そこに向かって動いているという点では、プロセス的に順調と評価できる。「都市と農村の共生・対流の促進」は、政府がどこまで本腰を入れているか疑問である。
3.アウトカム
・プロ農家に農業生産を集約していく方向性がどこまで成果をあげられるかは、政治的な問題を克服できるかどうかにかかっている。現在、特区において、株式会社などは農地保有はリース方式であり、特区だけはリースまで実現したが、それを特区ではなく全国に広げる検討の過程で大きな問題となってくるであろう。
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公明党
市民農園や体験農場など、都市と農村の共生・対流という自民党の政策と同じ方向の下に、公明党はより分りやすい施策を提示しているものと評価できるが、上記と同じ問題。
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e 道州制と北海道の道州制特区
1.マニフェストの妥当性
・「国から地方へ」という理念に向けた目標として道州制導入の検討を掲げているのは極めて必然的であり、明快であるが、実態として道州制にはもっともなじまない地域である北海道を先行モデル地域にすることは問題が多く、また道州制についての具体的な姿が未だ明らかではない現段階において、なぜ一地域だけ先行実施するのか、あるいは先行実施が可能なのかについての説明がなされていない。
2.実質的進捗度
・決定された措置を受けて関係方面が検討を行っているが、そもそも道州制の理念も北海道での先行展開の意義も不明確なままでは、進捗度の評価は困難。
・様々な制約の下であっても真摯な検討を行っているのは事実である。
3.アウトカム
・マニフェストが「北海道での先行展開」を提起し、各方面で活発な議論を呼んでいるという成果がみられるのは事実であるが、「成果」のメルクマールは、北海道が自立的経済圏に向けて、自立再生を展望できる地域へと歩みを進めるべく、国との役割分担が大きなビジョンの下に描かれている状況が達成されていることである。この点から見れば、現状は評価できる状況にはない。
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公明党
マニフェストに特に具体的記述はない。
14.外交・安全保障
a 日米同盟とテロ
1.マニフェストの妥当性
・マニフェストに並んだ項目は目前のイシューを単に整理した印象が強い。外交・安全保障分野のマニフェストはまず日本の置かれている全体環境の認識を示し、そこから摘出される問題点、それに対する現在の日本の立場、対応方針のあり方、制約要因という形で構成すべきである。「国際平和協力のための基本法」という「国際」安全保障の論理を打ち出していることは評価できるが、それと日米同盟との関係など全体的な政策体系が描かれておらず、理念や目標が分かりにくい。
2.実質的進捗度
・一旦戦争が起きてしまい、日本の自衛隊が必要とされているという現状の下で自衛隊が行くこと自体は、国際平和の枠組みに日本が実際に貢献をしたという意味でも、「日米同盟を機軸にした国際協調」という意味でも、一つの結果を出していると評価できるが、その結果についての評価の尺度の根本的な部分で、十分な論理化がまだできていない。
3.アウトカム
・現実が平和状態の確立に向けて動いているかどうかによって評価される。平和の確保の上で、「大義はないが力はある」アメリカか、「力はないが大義はある」国連かという選択軸の中で、日本はアメリカを選んだことになるが、イラクのその後の実態を見れば、決して平和に向けて動いているとは言い難い状況にある。
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公明党
「当面する重要課題について」のなかで取り上げられた。
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b 北朝鮮の包括的解決
1.マニフェストの妥当性
・拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決ができることが望ましいが、望ましい願望の実現が困難な場合に優先順位を示すところに、その政党の主張がみられ、政党間の対立軸、争点が描かれるのがマニフェスト政治である。仮に、これらの記述の順に優先順位が描かれているとすれば、拉致を最優先にするのはリアリティーを欠いている。また、帰国被害者5名の家族の早期帰国実現に至る手段やプロセスが明確にされておらず、単なるスローガンが羅列してあるだけであるため、それが論理的にどう実現するのか、説得力ある説明がなされていない。
2.実質的進捗度
・マニフェスト通りに現実に進展しているかどうかという点では、目に見える進展が全く無いと評価することも可能。
3.アウトカム
・北朝鮮問題が解決に向けて大きく前進していると評価できる段階には至ってないが、小泉総理とブッシュ大統領との緊密な信頼関係の下で、日本が日米同盟を機軸とする日米関係の中から多くの面で自国の国益を引き出しているのであり、それは外交面での成果があがっていることを示すと言い得る面はある。
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公明党
「当面する重要課題について」のなかで取り上げられた。
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c 国家安全保障
1.マニフェストの妥当性
・背景事情や情勢認識について説明がなされていないマニフェストとは一体何なのかという問題がある。国民に考えてもらいたくないために、項目だけ出しておいて説明はしないというマニフェストになっているが、もはや、国民に思考停止を要求して現状だけが進んでいくという構図から脱却し、政党としての明確な姿勢を有権者側に出さざるを得ない時期になっているのではないか。
2.実質的進捗度
・国民保護法制や弾道ミサイルの予算化など、形式的な進捗はみられるが、実質的な進捗を図るメルクマールがマニフェストからは不明であり、評価は困難。
3.アウトカム
・国家安全保障の問題は、憲法論議を抜きに本質論は行えないのであり、戦略論を展開し、ビジョンを語り、改憲によってどのような日本をつくりたいのか、その時に日米安保はどうなのかといった、日本の将来像を語りつつ改憲論議が進められて初めて、成果の達成に向けた流れが生まれる。
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公明党
「当面する重要課題について」のなかで取り上げられた。
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d 経済外交
1.マニフェストの妥当性
・まず将来の日本の国家社会の姿を描き、その下に国際経済戦略を構築しつつ、経済外交の基本的な理念や目標を位置付けるという大きな政策体系を提示し、個別の政策手段のあり方はその中で有機的に位置付ける必要があった。決定的に欠けているものは、日本がアジアの中でどのような役割を果たすかの理念の提示である。国際社会に対するより積極的、主体的な価値創造を訴えることができていないのは残念。
2.実質的進捗度
・国際交渉に係わる分野については、相手国が存在するなど、進捗度を評価することは困難であるが、仮に、政府がアカウンタビリティーを発揮しうるだけの対応が行われていることをもって評価を行うこととすれば、省庁の取り組みという意味での進捗度は高いと評価される。また、政府は「対日投資促進プログラム」の着実な実施に努めているところ。
3.アウトカム
・国際経済秩序が大きく変動している中にあって、日本の対応のスピードの遅さや戦略性の欠如が全体的に目立つ状況。対日直接投資については、それなりに成果を上げてきたが、目標達成に向けた評価は2004年の数字が公表されるまで差し控えたい。
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公明党
[外交分析全般](但し追加項目が入る前の100項目の段階でのマニフェストを前提)
分り易い具体性な記述にこだわるあまり、外交についての理念も方向も政策体系もなく、およそマニフェストとは言えない。危機管理の概念がなく、優しさをもって何でも解決できるのかのような前提がある。問題を見まいとする姿勢が濃厚であり、政権与党としての責任が感じられない。少なくとも、自民党の外交・安全保障政策を公明党が追認した根拠がこのマニフェストからは見えてこないのであり、アカウンタビリティーがあるとは言えない。
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15.教育改革
(人間力の向上、大学国際協力の強化、青少年問題─青少年健全育成基本法の早期成立)
1.マニフェストの妥当性
・教育に関してマニフェストに明示されるべきビジョンとして欠かせないのは、「どのような国」を目指し、そのためには「どのような人間」が「何人くらい」必要で、それを「どう養成するか」であるが、それが全く書かれていない。極めて曖昧なスローガン的内容に終始しており、身につけさせるべき知識、技能、態度等についての設定がなされておらず、マニフェストと呼ぶに値しない。
2.実質的進捗度
・教育基本法の改正については、精力的に議論が行われているとされるが、実際は公明党の反対により何も決まっていない。
・「教育振興基本計画」の内容も、お題目になるだけであると予想される。
・「人間力の向上」に関する施策については、いずれも着実に実施されている。
・大学の国際競争力の強化については、本年4月に97法人が国立大学法人に移行したことが大きい。
・「「青少年健全育成基本法」の早期成立」については、議員立法により国会に提出。
3.アウトカム
・そもそもマニフェストに揚げられた理念が曖昧であり、教育改革分野で実現すべき理念が特定できないため、成果を評価することは困難である。
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公明党
公明党も教育改革を挙げているが、公明党の方がクールであり、教育基本法には触れておらず、むしろ、極めて具体的な事項を並べている。「庶民の味方」を標榜する同党としては、完璧さがあり得ない教育の分野でも、ある意味でのポピュリズムに傾斜しているきらいがあり、補助教員の数を増やす、毎日20~30分の英会話教育など、受けのよいものを並べていながら、実現したものはほとんどない。
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16.文化・芸術、スポーツ
1.マニフェストの妥当性
・謳われている理念の妥当性は疑い得ないが、政策介入の必要な根拠や必然性について、もう少し踏み込んだ状況認識や理念が提示されるべきだった。
・奇異なのは「知的財産立国」と「生涯教育」がこの分野で挙げられていること。こうしたちぐはぐなマニフェストの構成に、自民党マニフェストが各官庁の政策を総花的に散りばめる形で作成された実情が反映している。
2.実質的進捗度
・文化等の次世代への継承については、マニフェスト策定後、特に目立った政策対応は見られないが、「知的財産立国」については、各種施策が進捗。
・スポーツについても、スポーツセンター等の整備も進められ、進捗が見られる。
3.アウトカム
・掲げられた理念自体が成果の短期的な測定が困難なものである。
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公明党
文化やスポーツについて、草の根の要素に徹しており、地域の文化施設や多様な人材を活用し、多くの人が文化、芸術に親しめるための環境を整備するとしている。自民党よりも、多くの人が芸術、文化に親しむという方向を目指すことが示されている分,多少具体的になっている。
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2004年05月12日 12:25
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