【自民党】新マニフェスト評価

言論NPO政策評価委員会(2005/8/30)
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| 番号 | 主要項目 |
形式基準(40点) |
妥当性(60点) | |||
| 評価点 (100点) |
評価内容 |
配点 (40点) |
配点 (60点) |
|||
| 1 | 全体評価 |
895.5 | 325.0 | 570.5 | ||
平均点 |
42.6 |
15.5 | 27.2 | |||
| 2 | マニフェスト自体の形式要件と妥当性 |
30.0 |
郵政民営化」だけを事実上の争点とし、「120の約束」の他の公約は従来の政府方針などを並べた程度。数値目標や施策体系、ロードマップは大部分で描かれず、改善の努力なし。 重点政策との整合性も完全ではなく、マニフェスト型政策決定のプロセスが党内で十分確立していない。 優先課題を絞ることは間違いではないが、法案成立や郵政改革の実現、さらには党内の統一した政策決定とその政策実現に向け具体的な説明が不足している。 |
10.0 | 20.0 | |
| 3 | 郵貯改革 |
70 |
郵政民営化案を次期国会で成立させると明記した。 2007年に4分社化、2017年までに完全民営化など骨子がそのまま踏襲されている。時期は測定可能である。 ただし、法案成立に向けてねじれの参議院問題についても言及は必要。 実効性を担保するために経営チームの選定、早期の上場、4事業分割に伴う各事業の事業責任の透明化、民営化委員会の健全な機能発揮を担保することなどが不可欠で、もう一歩具体的な変革のロードマップが望まれる。 法案の妥協はあったが、4分社化の機軸は動かず民営化の設計は貫いた。だが、雇用を維持するのなら、競争条件の同一化の中で資産残高の規模に見合って郵貯の収益のイメージの具体化が必要。コンビニであり融資業務、公共サービスというのではあまりに発想が貧困である。 2兆円規模の基金は透明性を保つ上で4事業間の相互補助よりは優れているが、その妥当性についての説明は必要 |
23 | 47 | |
| 4 | 金融・不良債権、産業再生 |
10 |
-金融- 何の言及もない -産業再生- 何の言及もない <中小企業> 貸出債権の証券化により無担保・無保証融資の拡大、動産担保のための登記・公示制度、中小企業相談士の商工会議所に配置、ノウハウや人脈のある企業obを中小企業に派遣するための10000人目標の人材登録制度などを掲げている。 これらはすべて必要であるしそれなりの貢献をするだろう。しかし、中小企業の最も重要な問題はこれら個々の企業努力を超えて景気の影響を受けやすいことである。この問題の対策にはなっていない。 また、貸し手側の途上与信を含めた与信、回収の技術水準が低いことがもうひとつの重要な問題であるが、そのことにはまったく触れていない。銀行の現場の知識が少ないせいであろう。 |
5 | 5 | |
| 5 | 財政改革 |
33 |
2010年代初頭のプライマリーバランス回復目標が設定されたが、フロー面だけでなく、公債残高の削減目標は今回も示されなかった。また手段の体系化はなされていない。 歳出・歳入一体改革がようやく謳われ、消費税への言及がなされたことは高く評価できる。 しかし、「消費税を含む税体系の抜本的改革」という表現にとどまり、歳入増のための制度改革との趣旨は明記されなかった。サラリーマン増税反対や、財源の明記なく基礎年金国庫負担率引き上げを謳うなど、依然として歳入確保には後ろ向きの要素が多い。 また、目標年次の設定は遅く、公債残高の削減にも踏みこんでいない。消費税への言及は実行の担保力を高めたが、上記の通り、歳入確保の実行の担保は全体として薄い。 |
16 | 17 | |
| 6 | 規制改革・構造改革特区 |
62.5 |
-規制改革- 自民党の発想は郵政民営化による官のリストラで官製市場を開放し、民間経済に活力を持ち込み、雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復を達成するというものである。これら項目の背景にある視点は大体において正しい。 しかし、この分野は雇用確保とかを含めて既得権益を守りたい集団がいたるところにいる。郵貯民営化法案の例に見られるようにあらゆる骨抜きの動きが出てくるはずである。 粘り強く既得権益を守ろうとする抵抗勢力と戦いながら改革を勝ち取るだけの自由さと持続する意志がこれまでどちらかというと既得権益側にいた自民党に本当にあるのだろうかという信用の問題がある。このことに自民党は実績で答え信用を勝ち得るしかないであろう。 -構造改革特区- 「特区は『間から民へ』『国から地方へ』という構造改革をさらに加速させるための一つの突破口であり、地方や民間の関心も高く、引き続き、提案を実現するためにはどうすべきかを検討を行い、特区で実現できる規制の特例措置を追加・充実するとともに、特区計画の認定を進めます」といっている。現在起こりつつあるのは提案数の先細りである。初期的なものは出尽くしてきたのである。 その現状を踏まえこれからどうするかを示す必要がある。すでに見えてきたことは省庁間に熱意の差があることや省庁間にまたがる案は難しいこと、そして、金融や医療という今後の人口高齢化社会において消費者の利便性の向上とそれに目を向けた市場創造の可能性の大きい分野での特区ができにくいなどである。 これまでの実績を自画自賛するのではなく、ちゃんとわかってきた問題点を分析してはっきりと国民に提示し、その解決策を具体的に語るべきステージにあるテーマであるにもかかわらず、これまでどおりの新鮮味のない表現に終始している。 |
30 | 32.5 | |
| 7 | 三位一体改革 |
18 |
当面18年度までに改革の全体像(補助金廃止4兆円、税源移譲3兆円規模、地方交付税見直し)を確実に実現するとの明確な目標が再設定されている。 しかし、実現の手段は全く示されていない。 また、自治体の自主性・裁量性や自立性を高める質的な改革措置は何ら盛り込まれていない。従って、実質的な意味での政策体系が描かれているとは言えない。 特に、改革の中で最も重要な交付税については改革の中身が示されていない。肝心の交付税の財源保障機能の見直しは、その実行が全く担保されていない。 ましてや、三位一体改革全体の最終目標の実現の担保は全く示されなかった。自民党マニフェストは、「国から地方へ」とのスローガンに終始し、システム再設計という次の段階にまでは踏み込むことができていない。 |
10 | 8 | |
| 8 | 地域再生・道州制特区 |
25 |
-地域再生- 地方の自立のエコノミクスである地域再生を、産業再生の一環と捉える論理構成になっており、地域再生の全体の中での位置づけが分かりにくい。 挙げられた措置の多くは各省庁の既定路線の施策であり、実行自体はなされ。しかし、実現可能性については、「撤退と再集結」に向けたインセンティブメカニズムの構築としてはあまりに不十分。 日本に求められている全体的なシステム再設計の視点を欠いており、より本質的な課題に応えるものにはなっていない。 -道州制特区- ・2003マニフェストにおいては地方の自立の観点から謳われた道州制が、今回は行革の観点にすり替わっている。また政策体系も整っていない。道州制については、2003マニフェストよりも後退しており、内容がない。本気で取り組むのであれば、マニフェストでは、持続可能なシステムへの再設計に向けた設計思想は提示すべきである。 |
14 | 11 | |
| 9 | 公務員制度改革 |
33 |
数値目標、定員の純減の数値目標、及び達成期限が欠如。国民が公務員をどう使うかの視点から公務員改革を捉えるべきであり、今求められているのは、単なる「小さくて簡素な弱い政府」ではなく、「小さくて効率的で機能する強い政府」であるはず。 公務員制度改革の前提にあるべき、官システムの基本設計の視点が欠如 |
18 | 15 | |
| 10 | 司法改革 |
30 |
個々の施策において言及があるが、司法制度改革の理念が提示されていない。 今次の司法制度改革の理念を実現する改革の三本柱(司法ネット、裁判員制度、法科大学院制度)に言及している点は評価できるが、施策の第2順位に「日本法令の国際的発信」を掲げている点は改革体系として疑問。 施策の第2順位に日本法の英訳作業を行う「日本法令の国際的発信」を掲げている点は改革の施策体系として疑問。 「日本司法支援センターの設立」については人的、財政的施策が盛り込まれていない。現状下で、マニフェストが新司法試験の合格者数を「平成22年ころには年間3000人程度」に固執していることは、資格試験である新司法試験を相も変わらず選抜試験とする危険がある。 これは改革の人的供給を阻害し、法科大学院における教育を受験教育へと変質させる危険があるので司法制度改革の理念実現と矛盾する |
0 | 30 | |
| 11 | 年金改革 |
25 |
先の年金改革が抜本改革であることを前提に制度設計に対する提案は厚生年金と共済年金の一元化のみ。 時期の明示はない。基礎年金の二分の1の国庫負担も財源の明記なし。年金制度で問題化する諸問題で新提案なし。 将来的な一元化に含みは持たせたが、空洞化が続く国民年金への解決策示せず。社会保険庁は廃止でも別政府組織を作る理由が分かりにくい。 |
10 | 15 | |
| 12 | 子育て |
50 |
目標と施策体系の整合性がみられない。 なぜ子育て支援を充実する必要があるのか十分に説明していない。 |
20 | 30 | |
| 13 | 雇用・失業者対策 |
59 |
全体プランが示されていないため、施策体系としては弱い。 今回のマニフェストでは、サービス産業の中でも雇用創出ポテンシャルが最も大きい社会規制分野分野における規制改革を通じた雇用創出が、新産業創造の箇所にも、雇用政策の箇所にも言及されていない。 全体の政策の位置づけが妥当ではないために、個別の施策が効果を生まない |
10 | 49 | |
| 14a | 安全保障政策 |
45 | 自民党のマニフェストは今回、相当右寄りとも言える内容であるが、それは公明党との補完によって成り立っているのであり、ソフトな公明党による補完があるからこそ、自民は右寄りのハードな主張ができていることに加え、両党相俟ってより広い立場を取り込むことにも成功している。 |
20 | 25 | |
| 14b | 経済外交 |
55 |
「日米基軸」さえしっかりしていればアジア外交で一方主義が通せるという論理は既に破綻。にもかかわらず、新たなビジョンが欠落。またリーダーシップ発揮、あるいは共同体の共通基盤・価値観形成に向けた具体的言及なし。
国連安全保障理事国入り問題についての反省、巻き返しビジョンなどの提示もなし。自衛隊強化への言及が突出し、警察国家化を連想させる情報収集機能強化の一方でアジアへの説明論理が欠落。 WTOではリーダーシップどころか農業保護に執着するあまり、交渉停滞の元凶に近い批判を浴び続けている。韓国に水産物割り当てで提訴されるなど、WTO外交においても官僚批判を続ける一方で実際の交渉は行政任せ。 WTO政策とFTA政策との整合性にも明確な言及なし。 |
20 | 35 | |
| 14c | ODA政策 |
34 |
ODA目的を国家安全保障だけでなく、人間の安全保障の考え方を念頭にODAを進めると記しており、大きく目標が2種あることを示唆している。 目標はアウトプット目標ではなくアウトカム目標として記されている。しかし、目標が具体的でなく、またそれを達成するための活動分野が記されているのみで、アプローチ・方法は記されず、とても体系が整っているとはいいがたい。 人間の安全保障、国家安全保障を目標としながら、活動分野を環境・貧困・感染症など地球規模の課題としているところは的は外れていない。 その意味で整合しているが、手段としての記述としては具体性に欠けている。 |
5 | 29 | |
| 15 | 新分野戦略 |
61 |
-研究開発・創業- 過去「科学技術創造立国」を推進してきた結果としての問題点の発見とその解決に向けての施策はまったく語られていない。 「科学技術活動の基盤を整備・充実する」という項目が最後にあるが、施設の充実と民間企業の研究開発投資に対する優遇税制しか語っていない。最も重要な「基盤」は研究マネジメント人材である -e-japan- あまり「間違い」を犯さないで来た日本の行政機構が一回で完璧に決まらないから修正と改良そして陳腐化に対しては手遅れにならないよう適切な判断をするというこれまでよりはダイナミックなプロセスをどうマネージしていくのかという問題が極めて大きい。 そのことは住基ネットのシステムですでに経験したことである。 しかし、このような経験をもとに新たなアプローチを組み立てるつもりかどうかがはっきりと見えない。 -観光立国- 政権政党が野党に比べて有利なことは実施してみてはじめてわかる問題や課題を具体的に把握しやすいということだ。 観光立国の場合、それは如実に現れているはずである。そのことを明示し、そしてそれに対する対策を考え、施策を更新するという作業が必要である。しかし、そのような積極的な意志はほとんど見えない |
28 | 33 | |
| 16 | 環境問題(エネルギー) |
60 |
形式的な理念の提示は各項目にあっても、環境・エネルギー分野の施策がどのような経済社会を目指す中で講じられようとしているのかという全体理念の提示がない。そのため、盛り込まれた各目標との整合性や体系性に係る実質的な評価が困難。但し、「世界に先駆けての持続可能な資源循環システムの構築」、「京都議定書の削減約束達成と地球環境保全に向けたリーダーシップ」など、いくつかの項目については、その項目に係る理念自体は適切で、かつ、具体的な措置との整合性が確保されているものがある |
15 | 45 | |
| 17 | 治安対策 |
45 |
犯罪件数や検挙率をどの程度まで改善することが「治安の危機」から脱することになるのか。 また「治安回復」をはかる新たな目標があるのか。それを明示できない以上、手段(インプット)の進捗しか有権者には判断できない。 また提示された施策で数値目標や期限を提起したのは前回の総選挙で掲げた「空き交番」対策と「不法滞在者の半減」だけで、マニフェストに書かれるべき形式的な要件も見たしていない |
15 | 30 | |
| 18 | 食料政策 |
48 |
2003マニフェスト同様、農業の生産性向上は地域再生政策の中に位置付けられており、他方で、食料自給率の項目ではこれを日本国民の「生存権」を基本としてその向上の必要性を位置付けていることから、理念と目標との関係が分かりにくくなっている。 生存権に根拠を持たせるのであれば、食料安全保障は地域再生よりもより優先度の高い上位概念になるのではないか。他の点については、盛り込まれた施策は「論点」記述の通り極めて妥当である |
35 | 50 | |
| 19 | NPO政策 |
48 |
NPOを新たな社会づくりの担い手の重要な役割と位置付けている。これまで雇用の受け皿と位置付けていたところから、そのスタンスに変化がみられる。また、NPO側の課題も記されている。 ただし、理念は示されているが目標が具体的でなく測定ができない。手段は税制改善、人材育成、情報提供と記されている。理念と方法が記されているが、その間に示すべき目標が曖昧あるいは読み取れてないため、体系が整っているとは言い難い 公益法人制度改革について説明しているが、既に昨年12月閣議決定された内容を目標手段として記している。 民間の市民活動活性化を目標に、手段として公益法人制度改革案を位置付けている。ただし、公益法人界における各種スキャンダルや衰退状況はこれだけで腐食できるのかは疑問である。 |
14 | 34 | |
| 20 | 教育 |
17 |
2003マニフェストと同様、「力強く生きる力」、「人間力の向上」、「確かな学力」、「豊かな心」、といったスローガン的で内容が不明確な目標が並んでいる。 理念も、「日本の明るい未来」、「日本のこれからをつくる」とあるが、本来、それを何を目指すことによって実現するのかを示すものが理念であり、理念も不明確。 論で述べた通り、教育マニフェストには有権者である親が要請する全国一律ミニマム水準の目標設定がなければならないが、2003マニフェストと同様、それはどこにも見られない |
7 | 10 | |
2005年08月30日 18:25
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