メディア掲載記事 プレスリリース サイトマップ オフィス案内
カテゴリー

 【民主党】新マニフェスト評価

img_paper.jpg

言論NPO政策評価委員会(2005/8/30)

【民主党】
番号
主要項目
形式基準
(40点)
妥当性(60点)
評価点
(100点)
評価内容
配点
(40点)
配点
(60点)
1
全体評価
909.5
401.5 519.0
 
平均点
43.3
  18.6 24.7
2
マニフェスト自体の形式要件と妥当性
70.0
マニフェスト、8つの約束(重点政策)、岡田政権500日プランともマニフェ型政治の実現で整合性を持っており、内容の不十分さはあるもののマニフェスト型政策決定のプロセスが党内で確立している。

目指すべき社会の理念とそのための優先的な課題も提案され、目標も大部分で明示されている。

ただ、政策面ではそれらと整合性のない政策も依然残っている。
自民党が最優先課題に挙げた郵政での政策では改革の道筋は描いたが、全体像は説明不足。
30.0 40.0
3
郵貯改革
35
自民党との違いは郵貯・簡保の規模縮小の明示と当面の公社体制の維持が基本である。 預け入れ限度の引き下げで、8年以内に貯金の残高半減という目標を設定。目標の明示と定量化という点では形式要件を満たしている。しかも06年には限度額を700万円とし、そのための名寄せも行うなど期限の明示もある。 郵貯縮小の道筋は描いたが、最終的にいつまでにそのような姿にするのか、言及はなし。
全体的に郵貯問題の設計ではまだ説明は足りない。

郵便事業と窓口事業は国の責任で全国的に維持するが、現在および将来の国の負担額は示されていない。郵貯は最終的に「あらゆる選択肢を検討」で結局民営化もその中に含まれることになる。それならばなぜ今、民営化ではだめなのか。

公社体制の維持コストが増大する中での抜本改革の先送りとも解釈できる。また資金残高の縮小は郵政事業の収支を大幅に悪化させる。
政府の骨格シミュレーションによれば、仮に簡保の保有高、郵貯残高が半減した場合、公社形態が維持され運用が国債に限定されると、現在の収入は-8000億円減額が予測される。
民主党も独自の試算を示すべきであり、この収入減に対応するための雇用なども含めたコスト削減策、あるいは税金投入策をあわせて示す必要がある。
20 15
4
金融・不良債権、産業再生
20
<金融>
「大企業に対する貸付については、厳格な金融検査を通じて不良債権の実態を明らかにします。バブル経済に対する大企業・銀行経営者及び行政の責任を明らかにしつつ、必要があれば公的資金を大胆に投入して、銀行の貸し出し余力を回復させます」といっている。
これは現在の状況認識がまったく外れている。過去の認識のままであり、なんら今後の展開に向けた施策を語っていない。

「厳格な金融検査」は金融庁によってすでにされている。国際的に通用する債権2次市場の育成による市場でのチェック機能を作るとかの発想が欠けている。 また、企業や銀行におけるバブル経済の責任者はそれなりの責任を取りすでにほとんど退場している。問題は行政の責任が明確にされていないことなのである。

主務省の不作為の罪であった面の追及はほとんどされていない。これは片手落ちであるだけでなく、失敗の経験を今後の行政に生かすことが行われない可能性がある。この問題を本来つつくべきである。

<産業再生>何の言及もない

<中小企業>
「中小企業金融を大企業向けの貸付と明確に区別して取り扱います」という表現があるが、主語が分からない。民主党ができるわけではないし、銀行が主語ならそんなことは大昔からやっているのである。 金融検査マニュアルを大企業とは別に作ることが新しいのではない。担保主義からの決別はいいがキャッシュフローを見る程度では解決しない。
これまで銀行は担保はとるが当然貸して先の資金繰りも見てきたのである。やってこなかったのは事業の特質の理解である。

本来の解決方向はこれまでの大企業与信と同じやり方の個別与信中心からポートフォリオ的にリスクを取り、それを管理する技術を銀行が習得することである。のことは諸外国の先進的銀行では数十年前からわかっていることである。

厳格さの追求よりこういう柔軟なアプローチを金融庁が容認するということが本当に必要なのである。中小企業金融に関する真の理解に欠けた施策
10 10
5
財政改革
36
・3年間で国債発行30兆円未満とプライマリーバランスの赤字の半減、8年後にプライマリーバランス黒字化との目標設定は極めて明確。しかし、本来必要な公債残高削減目標は設定されていない。
具体的な政策手段として3年間で10兆円の歳出カットが盛り込まれ、その内容として、国の直轄公共事業と特殊法人向け支出の半減等ナド、その他経費の削減を挙げていることは具体的で明快。しかし、歳出削減策に偏っており、歳入改革については次の5年間へと先送りの逃げを打っているため、政策体系としては不完全。
歳出面を中心に具体策が多く示されているのは評価できるが、必要な増税策を曖昧にしており、それだけではプライマリーバランス目標達成は困難。 歳出・歳入の並行的政策体系になっていないのは整合性に欠け、評価を大きく下げる。 民主党が財政の持続可能性確保という日本の最大の課題の一つに真正面から向き合おうとしている姿勢は評価できるが、そのためには、社会保障給付の抑制や国民負担増といった不人気な政策にも真摯に取り組み、これを愚直に国民に訴えていく姿勢が必要。
25 11
6
規制改革・構造改革特区
27.5
「規制改革」の「強い経済を再生」の中の「事業規制原則撤廃を進め、企業努力と起業意欲を増進させます」と「市民活動支援」の「NPO(非営利法人)を育成し、市民活動を活性化」の中の1.「特定非営利活動法人を税制でも支援します」と2.「公益法人制度を抜本的に見直します」との3つが該当するであろう。特に「官から民へ」をはっきりとうたっているわけではない。

事業規制原則撤廃に関しては基本方針を定めた法律案を国会に提出し、その成立を目指すとしている。しかし、そこにはなぜ規制が現在も存続しているのかという問題に肉薄した視点はない。

既得権益を守りたい団体が多く存在する状況をもっと深く理解し法律を作るまえにどこから切り崩せばインパクトが大きいのか、それをやるにはどのようなアプローチがあるのかとの戦略が必要であろう。

自民党はそれを郵貯の民営化としているのだから、民主党はそうは思わないのであれば、ではどこからやるのかをはっきりさせるべきである。
12.5 15
7
三位一体改革
68
税金の使い道は地域で決められる」ようにすべく、また、霞ヶ関の縦割り行政の弊害や国・地方のコスト意識の欠如が膨大な税金の無駄使いをもたらしている状況の是正に向けて、地方への抜本的な税財源移譲が提案している。

理念リネン、目標は明確だが、政策体系そのもののリアリティー、実現可能性についての説明が問われている。

地方の行財政改革を、三位一体改革のさらに先に実現すべきより上位の理念から捉えている点で、自民党より優れている。

現行行財政システムが持続可能でない原因に対して正面から向き合い、国と地方とのシステムを持続可能なものに再設計する視点から政策体系を描いているのは極めて適切。 しかし、地方財政制度における財源保障機能の見直しについて明確に触れていないことは残念。
施策シサクの実行の担保は、最終的には、自治体が実際に住民に痛みを求める増税にどこまで踏み切れるかにかかっており、その意味で、政策体系全体の担保は薄いものとなっている。
今の日本の最大課題である社会システムデザインを国と地方のシステムについて試みようとしていることは高く評価できる。
35 33
8
地域再生・道州制特区
14
<地域再生>
・地域再生については、それにつながる施策が他の切り口の下に整理されているため、そもそも体系性を欠いている。 地方都市では中心市街地の衰退が深刻であるにも関わらず、民主党のマニフェストはこの問題には真正面から向き合っていない。

<道州制特区>
道州制については、その前提が基礎自治体の強化であり、そこに向けた権限や財源の移譲であるという点では正しい認識を示しているが、それがなぜ道州制にまで結びつくのかが全く示されていない。
2 12
9
公務員制度改革
45
政策体系が提示されているが、その3つ(1)天下り規制の強化、(2)公務員に対する労働基本権の保障と内閣による裁量的人事管理、(3)公務員人件費総額の削減(3年間で2割)が相俟って何を実現しようとしているのかが必ずしも明確ではない。

財政的観点が改革の趣旨であるならば、(1)がそれにどう結びつくかが明示されてこそ政策体系が完成する。
(1)については、闇雲に天下りを禁じるのではなく、それが続いてきた原因である社 会システムに遡った検討こそが必要。憲法で保障された職業選択の自由との関係や、官で培った能力に係る人材活用の視点をも踏まえ、ポピュリズムに流れない検討が必要。

(2)については、民間経営的マネージメントという趣旨を徹底させるに必要な抜本改革を決意しており、整合的政策と評価。

(3)については、財政的視点からの改革という趣旨と整合的。
27 18
10
司法改革
70
司法制度改革の理念の提示されていない。
今次の司法制度改革の理念を実現する改革の三本柱(司法ネット、裁判員制度、法科大学院制度)に言及している点、司法の機能強化において重要な行政訴訟制度改革にも言及している点が評価できる。
司法制度改革の理念を実現する改革の三本柱(司法ネット、裁判員制度、法科大学院制度)に言及している点は評価できる。
また司法機能の強化にとって不可欠な「行政訴訟制度」の改革を掲げていることは、理念と施策手段が整合的であり、適切である。

また改革の人的資源として重要な「法曹養成制度」、とりわけ新司法試験のあり方について、法科大学院の学生が「大学院のカリキュラムの勉強に専念できるような新司法試験として整備・運営」するとしたことは、法科大学院教育と司法試験のあり方として適切で理念との整合性があり、評価できる。

ただ、実現を図る担保力について言及がない
15 55
11
年金改革
80
年金制度の一元化は国民年金を含めて一元化し、08年度まで制度の抜本改革の実施と目処を提起

所得比例年金への一元化と最低保証年金を柱とした制度設計を提起。 それに伴う納税者番号制度などの施策体系を示した

年金制度一元化に伴う過去債務の財源を含めて提案の判断材料は十分ではないが、不信解消に向けて抜本改革に向けて提案を行った点で高く評価。

社会保険庁と国税庁の統合も公約。社会保険料が租税の性格を強めていること、徴収の効率化の点で妥当
35 45
12
子育て
48
政策体系、ロードマップともに記載されていない。
3党の中で唯一、国民に対する負担を明確に示していることは、その中身の妥当性は別として、評価に値する。
15 33
13
雇用・失業者対策
38
雇用創出や失業対策に関する総合的な政策の提示がマニフェストにはない。
特に、科学技術による新たな競争力の確保や、農林漁業に関する記述はあるものの、雇用創出に対する理念や目標は示されていない。

失業対策については、ワークシェアリング、パート就労者、能力開発、若年者の雇用などについて個別の対策は提示されているものの、今後の雇用環境についての全体観が得られない。

失業対策については、個別の政策は適切だが、雇用創出との関係がないために失業対策としての効果は限定的。
8 30
14a
安全保障政策
60
民主党マニフェストも、対米関係をどうするのかという視点の欠如や安保理常任理事国入りが集団的自衛権の問題に触れることに加え、北朝鮮問題について、「早期に実質的・具体的な進展がみられない場合、6者協議の場に加え、国連安保理での問題解決を求めていく」としている点はあまりにも非現実的
・現在の日本を取り巻く状況に当てはめれば、民主党の理念の方が自民党よりも優れている
25 35
14b
経済外交
67
全体は「開かれた国益」の中で比較的体系的にリベラルな政策がまとまっており、大きな矛盾を感じさせないものとなっている。
現実には米国が一国主義を採っている限り、「日米基軸」とその他の両立が困難な現実はあり、「日米関係の進化」については何をどうすれば、何に比べて「進歩」なのかをより明確にするべき。
東アジア外交再構築に当たってもソフトパワーだけでの解決は不可能なのではないかという不安により具体的に応える論理展開(例えば近隣外交と国連常任国入りの関係など)も必要。

政治問題に対する政策説明、談話発表などそれなりになされてきており、hpにおいても分かりやすい説明が行われているが、必ずしも「代案」に富んでいたとは言えない。

例えば近隣国との摩擦は一方で国民の求めている「毅然とした」姿勢をとりつつ、どう土下座外交ではない外交展開が可能であるのか、を示す格好の機会であったが、十分な成果を示せたとは言えない。
27 40
14c
ODA政策
24
ODA改革と活動分野が記されているようだが、何が目標なのか、何が方法なのか目標と手段の関係がはっきりしない。

例えば、人間の安全保障はどの分野にも通じる理念であるが、それがマイクロクレジットなどの援助の具体的な技術を並列に記されている。目標は一応描かれているが、体系がない。

党内閣一元についてはマニフェストで強調しているとおりであり、自民党に比較し体制を整える可能性は高い。しかし、マニフェストの内容をみるとその専門性など政策作成能力に不安が残る。

大綱から外れたことは記していないので過った方向ではない。しかし、前述したように、理念と目標、活動分野の区別がついておらず、流行語やキイワードの列挙したのみに見え、当該分野の専門性、知識の薄さを伺える。しかし、日本の戦略性の薄さや、拠出額に比較し存在感がないことなどの問題点については何ら策が出されていない。
7 17
15
新分野戦略
20
<研究開発・創業>
「科学技術政策を戦略的に推進する体制を整え、次世代の競争力を確保します」の項で生命科学、情報通信技術、ナノテクノロジー、環境・エネルギーを重点分野とし、研究者、技術者の質・量の不足を早急に解消し、倫理規制の整備などを含む技術開発戦略を推進するとし国家予算の集中的投入をうたっている。 また、科学技術戦略を推進する体制の整備と予算配分は組織単位から研究テーマ、研究者に変更するとか科学技術の理解の深い教員をふやすなどの方向を示している。その方向は評価できる。内容の具体性はこれからである。


・具体的に何も触れられていない。

<観光立国>
具体的に何も触れられていない。
10 10
16
環境問題(エネルギー)
60
自民党に比べ、新エネルギー体系への移行により積極的であり、地球温暖化対策の実効担保についてもより踏み込んだ強力な措置を盛り込んでおり、特に中国などアジアとの環境協力を明確に謳っているなど、理念の実現の上では妥当な政策体系になっている。
但し、原子力エネルギーについては安全面からのチェックのみとなっており、自民党に比べ、エネルギーの安定供給の視点が弱い。
もし、安定供給をクリーンエネルギー体系への抜本的転換によって図るのであれば、その点を明確に書くべき
15 45
17
治安対策
50
安心・安全では13項目の政策を公約した。政策課題は幅広く、国民の政策ニーズを拾い上げており、政権獲得後の法案提出などを主張しているが、抽象的で説明不足が目立つ。

アスベスト対策をその先頭に掲げ、目標と政策体系はある程度示したが、ロードマップがない。

13項目のうち警察関係では唯一、数字目標と達成時期を明示したが、ここでも手段とも目標の混同が見られる。

警察官の増員を政府の計画よりも増額することが柱になったが、目標であるべき検挙率については「回復させる」だけで、どこまで回復さるために警察官増員のための予算を増やすのか、説明がない。
20 30
18
食料政策
20
食料自給率上昇という目標や、補助金から直接支払いへの転換という手段は明確だが、そもそも何のための政策なのかという理念が示されていない
20 0
19
NPO政策
25
雇用創出の手段としてNPOを位置付けている。しかし、具体的に何万人の雇用を創出したいのか、さらにはどの分野なのか説明がない。
雇用創出という目標の手段として、税制優遇制度の改善があげられているが、目標と手段のバランスが悪く体系が描かれているとは言い難い。

公益法人制度について言及しているのは民主党のみ。課税問題をのぞいては、すでに昨年12月に閣議決定されたことを目標、手段として記している。

民間の市民活動活性化を目標に、手段として公益法人制度改革案を位置付けている。 ただし、公益法人界における各種スキャンダルや衰退状況はこれだけで腐食できるのかは疑問である
15 10
20
教育
32
学校経営能力の高い「頼れる校長」登用のための公募制拡大、OECD加盟国平均並みの教員数の確保、基礎自治体や学校への権限委譲、学校評価制度の導入、教育一括交付金の導入による財源確保、私立学校通学者に対する直接授業料補助、奨学金制度拡充のための個々の措置など、具体的な政策手段が提示されている。
民党同様、有権者である親が要請する全国一律ミニマム水準の目標設定は欠けている
17 15

   

この記事の先頭へ

2005年08月30日 19:26

前の記事:【自民党】新マニフェスト評価
次の記事:日中共同世論調査-日本編-