挙国一致でこの国難に取り組むべし

2011年5月25日

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 5月25日(水)、都内ホテルにて、言論NPOの第21回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、衆議院議員で民主党最高顧問の渡部恒三氏をゲストスピーカーとして招き、「震災後の政府・政治の対応や復興に向けた今後のビジョンについて」と題して議論が行われました。

 まず代表工藤は、「未曽有の震災を受けて、日本を建て直さなければならないときに、政治が国民の信頼を得ていないという状況がある。こうした現状をどう打開できるのかについて、お話を伺いたい」と述べました。

 渡部氏はまず、今回の震災で原発事故が起きたことに対し、原子力の平和利用を打ち出した中曽根氏以来の日本のエネルギー政策を振り返り、「残念ながら、原子力発電は安全だという神話が、私自身も含めて、国民の中にあった」と指摘、「事故の全容が明らかになりつつあるが、とても来年までで解決しそうにはなく、政治に携わる者として責任を痛感している」として現状に対する強い危機感を表明し、挙国一致でこの国難に取り組むべきだと強調しました。

 そして、原発事故をめぐる今後の方針として、「東京電力の責任は徹底的に追求しなければならないが、風評被害まで含めると、東電だけで被害の対応ができないことは明らか」「福島県は東電に協力していたわけではなく、国策だからこそ、原子力発電に協力してきた」と述べ、原発被災者が生活を取り戻すまで、国の責任で地域の再建を行うべきとの見解を示しました。

 また、「世論調査の結果をみても、菅内閣の支持率は圧倒的に低いが、今ここでやめさせるべきではないという意見が多い」として国民世論を評価する一方で、現在の国会の状況について、衆議院において与野党で圧倒的な議席差があることに触れながら、「政治にしても商売にしても、競い合うところに進歩があり、発展があるのだが、現在はそういう状態にはない」と憂いを持って語りました。

 渡部氏の発言を受け、代表工藤が「「挙国一致」というのは現在の菅首相を前提として想定しているのか」とその真意を問うと、渡部氏は「そんな小さなことではない。国益優先だ」などと答えました。さらに、原子力発電について、「事故を絶対に繰り返さないという方向はたしかだが、それは新増設を止める中で安全性を確保していくということなのか、それとも現在稼動している原発の停止も視野に入れているのか」との問いに対しては、国民の声を考えれば、新増設は困難ではないかとの見方を示す一方で、既存原発の方向性については、「安全確保の前提の中で、当分動かしていくということ」と述べました。


 その後、会員間で活発な意見交換が行われ、「渡部先生は日本の国民が賢いとおっしゃったが、逆ではないか。責任ある政治を要求する国民の意欲、危機感、切迫感がないのが現状ではないか」「マニフェストは撤回しにくいかもしれないが、財政的にも予想もしない歳出がこれだけあれば、国民はその見直しに理解を示すはず。やはりこの時期にマニフェストを見なおしたほうがいいのではないか」といった意見が出ました。

 渡部氏の発言については、後日公開いたします。


次回のメンバーフォーラムは、6月8日(水)、自民党参議院議員の林芳正氏をお招きして開催します。

 5月25日(水)、都内ホテルにて、言論NPOの第21回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、衆議院議員で民主党最高顧問の渡部恒三氏をゲストスピーカーとして招き、「震災後の政府・政治の対応や復興に向けた今後のビジョンについて」と題して議論が行われました。