日本の民主主義を立て直す

「言論NPOの10周年と次の挑戦 ―強い民主主義と健全な世論の形成」報告

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 12月5日、都内ホテルにて、「言論NPOの10周年を祝う会」が開催され、言論NPOの活動を支援、応援する約300名の方々が参加しました。

 代表工藤は、10年前の状況について、「当時は小泉政権誕生、そして9.11と、国内も世界も騒然としていた時代。この国の未来のために、責任ある言論の舞台を作り、この閉そく感を『議論の力』で変えたかった」として、言論NPOを設立した際の状況を振り返りました。

 そして、「傍観者や評論家のような議論ではなく、当事者としてこの国の課題や未来に向けて答えを出すような責任ある議論の舞台を作り出したかった。こうした取り組みは、国際社会で新しい日本の存在感を生み出すだけではなく、民主主義を機能させるためにも、不可欠だと考えた」とした上で、「私たちは次の10年、この活動の原点を大事にしながら、それを進化させなければならない」と強調。「有識者による継続的な国内外の議論の舞台」と、「一般的市民の自発的な議論の触媒の提供」という二つの事業を、来年の3月末を目指して立ち上げるために準備を進めていることを明らかにしながら、こうした活動に対する参加者のさらなる理解と協力を求めました。


 本会開催に先立って行われたパネルディスカッションでは、「日本の未来と日本の言論」をテーマに、高橋進氏(株式会社日本総合研究所理事長)、宮内義彦氏(オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長、グループCEO)、宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)がパネリストとして講演を行いました。



 まず、創立以来言論NPOの活動への支援を続けている宮内氏は、「言論NPOは日本の言論を影響力のあるものにし、あるべき方向を世に問うていきたいという高い志をもって設立された」と述べる一方で、「10年が経ち、その考えがどこまで受け入れられてきたのかが今こそ問われている」としました。

 宮本氏は、自らが関わってきた東京‐北京フォーラムの活動を振り返り、「このフォーラムは日中関係が厳しいほど率直で深みのある対話をしようと始められたものであり、チャネルの設立という大きな仕事を成し遂げた」と述べると共に、「それ以上に、言論の果たす役割を熱く語ってこられたことに感動を覚えた」として、言論NPO本体の活動への強い共感を示しました。

 そして、高橋氏は、「日本に『総合研究所』はあるがシンクタンクはないと思っており、きちんとした政策提言があってこそシンクタンクであるという考えが工藤さんと一致していた」として、言論NPOの活動と自身の関わりについて触れながら、「これだけ各界の論客が集まるというのは、『志』のつながりと思うが、あとはこれをどう世の中に浸透させていくかが課題だ」と述べました。

 また、「日本の言論に問われていること」にテーマが移ると、宮本氏は、「我々は民主主義を当たり前のものと受け取ってきたが、我々は民主主義をどれだけ自覚を持ってとらえ、自分のものにしてきたのか」と問いかけ、「民主主義の根本は議論。それがなければ民主主義は健全なものにならない。課題を深く掘り下げ、研究や議論をして主権者国民に提供できていただろうかと深く感じている」と述べました。

 また、「いまの議論は前提が合わないままに進められ、結局既定路線に進んでしまっている」(高橋氏)、「民主主義は一人一人が自立した人間として自分で考え行動できることが基本だが、今の言論は社会に対して迎合しており、結果として社会の基盤である民主主義を正すことができず、国民による政府依存の意識が高められてしまった」(宮内氏)と、ともに現在の言論空間の問題を指摘。宮内氏は「動きを察知して、国民を誘導していくというリードがないと、社会が劣化していくと危惧している」と警鐘を鳴らしました。


 最後に、言論NPOへの期待について、高橋氏は「言論NPOはインターネットでも既存メディアでもない第三の存在として、議論の出発点や土台を提供できる存在になってほしい」と述べ、また、宮本氏は、「国の最大のリソースは国民であるが、日本国民の水準は高い。様々な困難はあろうが、国民の中で特に意識の高い人を集める存在になってほしい」と述べると共に、「どういう根拠にもとづき結論が出たのかという議論のプロセスが大事」として、今後の課題を語りました。最後に宮内氏は、「今の政治は大衆迎合が強く、既得権益に切り込むことはできないばかりか、弱者を増やし、追い込んでいく怖さを感じる。そこに対抗する力が言論であり、指導層の正しい言論が社会を動かすことが必要」と述べ、10年前の志を持ち続けると同時に、大きなムーブメントにとつなげるよう、期待感を表明しました。

 

司会:今井義典氏(前 日本放送協会副会長)





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