2013年、言論NPOは「議論の力」で この国の未来に向けた課題に取り組みます

2012年12月31日

IMG_68981.jpg あけましておめでとうございます。
言論NPO代表の工藤泰志です。
昨年は、言論NPOの活動にご理解とご協力を賜り、ありがとうございました。

 さて、新しい年を迎えました。皆さんは今年、どのような1年になると思いますか。
 私は、今年こそ、「変化の年」だと思っています。
 昨年末、日本では総選挙が行われ、日本の政治は自公政権に戻りました。安倍総理は、今年の参議院選に向けて成果を出そうと、取り組みを強めています。
 ただ、その行動が高い支持を集めていないのは、首相の個性だけではなく私たち有権者との間に小さいけれどかなり重要な隙間があるからだと、私は考えています。
 一言で言えば、先の選挙で私たちは「日本の未来」を選んでいない、ということです。


なぜ自民党は大勝したのに感動が沸かないのか


 代表制の民主主義では、私たちは公約を提案する政党やその候補者を選びます。
 しかし、この間、私たちが直面している問題は、選ぶ政党がなくなり始めているということです。その最大の理由は、日本の政党が、日本が直面する課題解決に挑まず、未来に向けた競争が政治の舞台で始まらないからだ、と私は思います。
 この間、私自身、政党や政権の評価などを行い、2つ学んだことがあります。
 政治は日本の課題から逃げられず、有権者に向かい合わない政治は有権者に必ず否定されるということです。
 民主党への政権交代はその期待の表れでもありましたが、それが実体とは異なることはすぐ明らかになりました。というよりも、民主党という政党が様々な人たちの寄せ集めで、党内の意見集約もできず、権力を維持するためだけに存在しているという事実が、はっきりとわかったのです。
今回の自民党の地滑り的な大勝はある意味で選挙制度のいたずらでもあります。
 にもかかわらず、一方的な大勝に感動というものが沸かないのは、結局、有権者に向かい合わず政党の存命だけに明け暮れた政権にNOを示すことしか、多くの有権者は先の選挙で争点を見いだせなかったからです。
 有権者は投票先を悩み、そして有権者に横柄な政党や、政治家の延命のためだけに間際に作られた政党や組織のガバナンスが曖昧な政党も選びませんでした。それはこの時点では賢明な判断でした。が、その代わり、戦後最悪の投票率となりました。


既に日本は、大きな変化の真っただ中にいる


 つまり、政権は交代しましたが、政治の世界に本当の意味で変化は起きなかったのです。
それでも私が、新年を「変化の年」と主張するのは、日本は既に大きな変化の真っただ中にいると思うからです。
 この変化は、有権者の「気づき」がその背景にあります。この間、未曽有の震災がおこり、原発がいかにリスクの高いものであることも分かりました。高齢者が増え続ける中で、社会保障の仕組みが持続可能ではないこともはっきりとしました。財政破綻のリスクも高まり、経済の成長はなかなか困難な作業であることもわかりました。
 多くの人はこれまで当たり前と考えている問題に、大きなリスクが広がっていることを自分の生活の中で気づき始め、自分たちの身は、自分たちで守らないといけない、自分たちの将来は自分で考えないといけない、と考え始めているのです。
 そう考えた時に、「政治」は自分たちの遠くにあるものではない、ということに多くの人は気づいたのです。
 私が言う、日本の変化とはこうした生活者の「気づき」なのです。その意識と現在の政治との距離の大きさが、次の変化につながっていくのです。


私たち有権者の当事者としての覚悟が問われている


 しかし、この変化をただ受けて立つだけでは未来に向かえない危うさも持っていると私は考えます。国民は様々な課題に不安を持っています。しかし、その不安に迎合して勇ましいことを言うのは政党の役割ではありません。また聞こえがよい政治家の言葉にただ期待するだけでは、安酒を飲んだように後味の悪い、深刻な結末を残しかねません。
 つまり、この変化が、この国の未来に向けた大きな動きとなるためには、私たちがこの国の課題に向かい合い、当事者として覚悟を持たなければいけない、と私は考えているのです。
 そうであるなら新年は、まさに有権者と政党政治というものが、もう一度向かい合うような状況をつくっていかなければいけない。
 それが、私の言う「変化」の本当の意味です。
 その1つの機会が夏に行われる参議院選挙だと思います。
 有権者は、今、日本が直面している課題に既に気づいているのです。それに対して答えを曖昧にする、そうした政治を許してはいけないのです。


言論NPOは、この国の変化を「議論の力」でつくり出します


 有権者と政治の間に緊張感ある関係があれば、日本の政党も政策を軸に動き始め、未来に対する競争が始まるでしょう。それが結果的に、日本の政党政治を立て直すことにもなると思います。
 新年は、そうした本当の変化に向けての動きを始めなくてはならないのです。
だからこそ、私たちは、昨年から「私たちは政治に白紙委任はしない」という呼びかけを始めているのです。引き続き、より多くの賛同者を集めていきたいと思っています。
 2013年、言論NPOは、「議論の力」でこの国の未来に向けた課題に取り組みます。ぜひ、多くの方々にご協力いただければと思っております。
 本年も、何卒よろしくお願い致します。

2013年1月1日  言論NPO代表 工藤泰志