民主制度を機能させるには

2013年2月05日

黒川 清氏
(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会〔国会事故調〕委員長 )

 国会事故調は6ヶ月かけて2012年7月5日に国会に報告書を提出しましたが、このプロセスはすべてウェブでオープンにし、英語の同時通訳も入れて世界中に発信させてもらいました。そういう意味では、立法府に対する提言ということで、日本より、むしろ世界でじわじわと評価が高くなっていますけれども、これはやはり民主制度を機能させる一つの方法なのですね。

 ですから、立法府が政策について、例えば使用済み核燃料をどうしようかというときに、行政府という役所に作らせるのではなくて、立法府がこのような独立した委員会から提言をいくつももらうというプロセスを経ることが重要です。

 今度の福島事故で分かったことは、皆さん一人一人が、あのような憲政史上初めてといわれるような国会事故調の報告を見て、こういうプロセスは何を意味しているかというと、実は、あなたたちが選ぶ、あるいは選んだ立法府の国会議員に「これをやってくださいよ」と常に問いかけていかないと、いつまでも霞ヶ関(官僚)のやり放題となってしまう。今まではまったく民主制度としては機能していなかったということです。ですから、白紙委任状を出すどころか、行政府、役所がやっていた政策を、自分たちでやっていこうということです。これをきっかけに、国民一人一人がどのように民主主義を動かそうか、ということは、政治家に白紙委任しないということなのですが、あなたたちが、彼らを選んでいるのです。

 その選び方、何を根拠にして選ぶのかということを考える、メディアに頼らないで、皆さん一人一人が考えるというプロセスがすごく大事だというのが、今度の国会事故調によっても明らかになったのではないでしょうか。その点では、工藤さんがやっていることも一つのトラックですので、そうしたことを増やしていく、広げていくというプロセスを、日本だけではなく世界に見せていくということが大切だと思います。

黒川 清氏
(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会〔国会事故調〕委員長 )

 国会事故調は6ヶ月かけて2012年7月5日に国会に報告書を提出しましたが、このプロセスはすべてウェブでオープンにし、英語の同時通訳も入れて世界中に発信させてもらいました。そういう意味では、立法府に対する提言ということで、日本より、むしろ世界でじわじわと評価が高くなっていますけれども、これはやはり民主制度を機能させる一つの方法なのですね。