2014年、日本の課題を解決していく中で言論NPOが果たすべき役割とは / 茂木 友三郎 (キッコーマン株式会社取締役名誉会長、取締役会議長)

2014年1月01日

茂木 友三郎氏茂木 友三郎
(キッコーマン株式会社取締役名誉会長、取締役会議長)


日中・日韓両国との相互理解を深めるための建設的な議論の場を

 あけましておめでとうございます。

 昨年来、経済の回復や2020年の東京オリンピック開催決定など明るいムードが出てきたのは、喜ばしいことです。今年は、この明るさを一時的なものにとどめず活力ある日本へ本格回復するための正念場になると考えます。


 アベノミクスの第1の矢である「大胆な金融政策」、第2の矢の「機動的な財政政策」が、昨年の回復に寄与しましたが、今年は、アベノミクス第3の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」を成功させることが重要で、消費増税後の経済成長を軌道に乗せる上で不可欠です。成長戦略を成功させるためには政府・民間が、それぞれの役割をはたすことが必要です。
政府には、民間企業が経済活動をしやすい舞台をつくることが求められます。

 長年の懸案事項である規制の撤廃・緩和と、法人税の実効税率引下げを含めた税制改革などが、急務であります。また、自由貿易を促進し、アジア太平洋地域の活力を取り込めるTPPを早期に締結する必要があります。

 民間企業においては、新商品・新事業開発による需要創造や、組織改革・業務改革等においてイノベーションをおこすことにより持続的成長を確固たるものにすべきです。


 経済活性化に併せて、財政健全化は日本の将来に大きくかかわる課題です。消費増税等の歳入改革とともに、歳出改革にも取り組まねばなりません。歳出の大きな比重を占める社会保障費の改革について、今年こそ、持続可能な具体的工程を示すときです。


 日本が抱える課題はますます、複雑化し深刻化しています。こうしたなかで、言論NPOが続けている、積極的な議論の場の提供と政策評価・政策提言の役割は大きいと思います。

 これまで構築してきた「東京-北京フォーラム」や「日韓未来対話」といった民間外交のチャネルは、大変貴重です。非営利組織としての特徴を活かし、ぜひ今年も関係国が相互に理解を深め、建設的な議論を展開できる場を設けてほしいと考えます。


 結びに、本年が皆様にとってよい一年となりますことをご祈念申し上げます。



明石 康 (国際文化会館理事長、元国連事務次長)槍田 松瑩(三井物産株式会社 取締役会長)小倉 和夫(国際交流基金顧問)川口 順子(明治大学国際総合研究所特任教授、元外務大臣)武藤 敏郎 (大和総研 理事長)宮本 雄二 (元駐中国特命全権大使)宮内 義彦 (オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長グループCEO)アドバイザリーボード紹介