2014年、言論NPOが取り組む課題とは / 工藤泰志(言論NPO代表)

2014年1月01日

工藤泰志
 あけましておめでとうございます。
 言論NPO代表の工藤泰志です。
 昨年は、言論NPOの活動にご理解とご協力を賜り、ありがとうございました。

 さて、新しい年を迎えました。皆さんは、今年はどのような年になると思いますか。
 私は、今年、最も重要なことは私たちの「当事者性」だと考えています。
 この「当事者性」とは、人任せにせず、自分の問題として日本や世界が直面する課題について向かい合う、ということです。こうした挑戦が、あらゆる分野で始まることで、日本に新しい確実な変化が始まるのです。
 私は、新年、日本の課題解決が、皆の力で始まる年だと確信しているのです。
 私が、この「当事者性」を今年のテーマに選んだのは、私自身、多くの国際会議に出席して、世界では課題の解決に向けた様々な取り組みが民間の舞台で始まっていることを痛感していたからです。
 その背景には、中国など新興国の台頭で国際的な合意が困難になり始めたことがあります。また政府間の取り組みが、市民や有権者の広範な支持を得られていないこともあります。気候変動の解決も含め世界的な多くの課題で合意が困難になっているのはそのためです。
 国内にも同じ問題があります。現在、国内では民間経済の立て直しを軸に取り組みが急がれています。日本経済の成長はなんとしても進めなくては、と考えています。
 しかし、政府ができることはその環境整備だけです。私たち自身の挑戦がなくては、強い経済は実現できないでしょう。

 さらに言えば、今の日本が未来に向かってかなり危険な段階にあることが、国民に十分に説明されていません。特に急激な高齢化社会に向けた設計や財政破綻の回避は待ったなしで進めるべきものです。課題が迫り、その弊害が様々な分野で表面化し始めているのに、解決に向けた取り組みが始まらない。
 こうしたことが許されるのは、有権者の力、つまり民主主義の力が弱まっているからだと私は考えます。
 近隣諸国の問題では、加熱する国民感情を背景に政府間外交が機能せず、東シナ海での偶発的な紛争に世界中の懸念が広がっています。私たちが昨年、中国との間で「不戦の誓い」を民間レベルで合意したのは、民間の力で政府間外交の改善に向けた環境を作り出そうと考えたからです。その際に痛感したのは、深夜まで作業に協力していただいた多くの人の力です。課題解決を人任せにしない。国境や年齢を超えたそうした多くの人の強い思いと行動がなかったら、「不戦の誓い」は実現しなかったでしょう。それこそが、当事者としての力なのです。
 新年、私はこうした課題解決の流れを日本の未来や東アジア全域に広げたいのです。

 「当事者性」とは、「民主主義の力」でもあります。課題に向かい合う、ちょっとした勇気を多くの皆さんが持つことで、この国は未来に向かい始め、強い民主主義を実現できるのだと、私は考えます。
 言論NPOは、そのための、舞台作りに新年、全力で取り組もうと考えています。
 本年も、何卒よろしくお願い致します。

                          2014年1月1日  言論NPO代表 工藤泰志