「エクセレントNPO年間大賞表彰」 記者会見 報告

2012年3月06日

 3月6日、都内にて、「エクセレントNPO年間大賞表彰」についての記者会見が行われ、代表工藤は「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」(以下、市民会議)の事務局長及び本事業のプロデューサーとして、年間大賞の概要や審査方法を公表しました。記者会見には、市民会議共同代表の小倉和夫氏(国際交流基金顧問)、國松孝次氏(救急ヘリ病院ネットワーク理事長)、島田京子氏(横浜市芸術文化振興財団代表理事・専務理事)の三氏の他、市民会議理事の田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)、堀江良彰氏(難民を助ける会事務局長)が参加しました。


 まず、代表工藤は、「一昨年、私たちは『エクセレントNPO』の評価基準を公表し、日本で初めて非営利セクターの組織評価の仕組みを提唱した。そして今回、非営利組織が質の向上を目指して競争し、それが市民に可視化されることを通じて、市民社会に大きな変化を起こすために、『エクセレントNPO』年間大賞の表彰をスタートすることとなった」と述べ、第一回目となる2012年度は、3月10日からの二ヶ月間を応募期間として、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」の他、被災地で活躍した非営利組織を対象とした「特別賞(東日本大震災復興支援賞)」、これら受賞4団体の中から評価基準を基に最も優れた「エクセレントNPO大賞」を各一団体ずつ選考し、6月下旬に表彰式で公表する本事業の概要を説明しました。

 次に田中氏は、この表彰事業の背景に触れ、「1998年のNPO法制定以来、NPOの設立数は4万団体を超えているが、一方で質的な課題も明らかになっている。『エクセレントNPO』は、改めて原点に立ち直って非営利組織のあり方を問い直し、望ましい非営利組織像として社会に提案したものだが、今回の表彰は、こうした『エクセレントNPO』を目指す動きが社会に可視化させるために行うものである」と述べた上で、具体的な審査の流れや審査基準について説明しました。

 また、市民会議共同代表三氏が表彰の意義について語り、小倉氏は、「東日本大震災でのボランティアの活動の姿に見られるように、社会的な課題に対する市民による直接の参加が重要になっている中で、その一つの触媒になるべきものが非営利組織だ」と述べる一方で、現状では非営利組織自身が自己満足に陥りやすい状況にあることを指摘。非営利組織が持つせっかくの芽を育てるためにも、「今回の年間大賞の表彰を活用してもらいたい」と強調しました。

 國松氏は、自身もNPOを運営している経験から、「当事者としては、本当に自分たちがやっていることが社会のニーズに合っているのか、社会にどのくらい貢献できているのかを自己評価することが難しい中で、一定の評価基準を作り、評価をしていくということは大変意義のあることだ」と述べ、評価基準やそれをベースにした表彰が、非営利組織を強くするきっかけを与えるとの期待感を示しました。

 そして、企業において社会貢献活動に従事してきた島田氏は、「評価それ自体が目的ではなくて、次に向けた評価を繰り返すことで自己変革をしていくことが重要。そのプロセスで自己評価結果を明らかにしていくのは、NPOと市民、NPOと企業のコミュニケーションという意味でも有意義なこと」と語りました。


 その後、会場との意見交換が行われました。まず、特別賞の位置づけについては、小倉氏は「我々としては、様々な人がこの基準を利用して、自己変革のために活用していただきたいというのが趣旨。この分野の事業として非常に優れた活動をされているという団体にも参加を奨励したいという意味で、特別賞を設けている」とこの賞の位置づけを説明しました。さらに、非営利の世界で起こっている新しい変化についても質問がなされましたが、これに対して小倉氏は、「公平性を原則とする行政だけでは社会的な課題に十分対応できないということを、震災を機に多くの人が感じたと思う。そういう意味で、市民一人ひとりの意識が高まりつつあるのではないか」と応じました。

 また堀江氏からは、「非営利組織の数は増えたが、国や行政の中でしか仕事ができていない団体も多くあり、期待されているほど役割を果たせていない。非営利組織の特徴の一つは、画一的な対応から外れた人を支援できる機動性であり、その意味では自戒も込めて活動を進化させないといけないと感じる」との意見が出されました。

 最後に工藤は、「自分たちの問題として、社会的な課題に取り組もうとする市民のエネルギーはたしかにある。そこに対して非営利セクターが十分に対応できるかという根本的な課題が問われているのであり、この表彰を通じて非営利組織が課題解決で切磋琢磨し、その動きを市民に見えるような動きを、本格的にスタートしたい」と述べ、記者会見を締めくくりました。

 言論NPOは、「市民を強くする言論」の一環として、市民会議が行うこの「エクセレントNPO大賞」の表彰事業に取り組み、こうした非営利側の動きを通じて、市民社会に大きな変化を起こすことを目指します。

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