被災地の救済と復興、市民に何ができるのか

2011年3月20日

第1話 被災地のため、僕らは何をするべきか

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参加者:
早瀬昇(大阪ボランティア協会常務理事)
田中弥生(言論NPO理事、大学評価・学位授与機構准教授)
堀江良彰(難民を助ける会常任理事、事務局長)
堀久美子(UBS証券コミュニティアフェアーズディレクター)
山岡義典(日本NPOセンター代表理事、法政大学教授)
司会: 工藤泰志(言論NPO代表)

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阪神淡路の経験と東北太平洋地震は何が異なるのか

工藤泰志 工藤: おはようございます。震災から9日経ちましたが、今回の被害で皆様心を痛めていると思いますが一番困っているのは被災地の人だと思います。僕たちは今の状況をきちんと認識したうえで、何が市民に出来るかを考えないといけない、そのために必要な情報を市民1人1人が共有すべきだと思います。やはり色んな形で誤解があるし、僕たちもどういう風に救済すべきか分からないこともあるし、それについてきちんと皆さんと話したいと思います。それで皆様を紹介している時間があまりないので、お名前だけ紹介します。こちら難民を助ける会の堀江さんです。もう現地に入っています。

堀江良彰氏 堀江: 13日に現地に入って、今7名が活動しています。

工藤: また後ほどお話しをお伺いします。日本NPOセンターの代表理事の山岡さんです。次に大阪ボランティア協会の早瀬さんです。阪神淡路大震災の時にボランティアの動きのコーディネーションを務められました。そしてUBS証券コミュニティアフェアーズディレクターの堀さんにも来ていただきました。そして言論NPO理事で非営利組織の研究をされている田中弥生さんです。
早速ですが、今まさに市民に何が求められているのか、僕らはどのようにして被災地のお役に立てるかと言う点についてお伺いしたいです。まず早瀬さんからお願いします。

早瀬昇氏 早瀬: 基本的にはボランティア活動によるサポートと、それから義援金ないしは後で説明します支援金が、直接的に被災地にかかわるサポートだと思います。それだけではプログラムがなかなか難しくて、特に今回の震災は阪神淡路大震災と違い被災地への交通アクセスが時間的にもエネルギー的にも非常にコストがかかる。だから、東京や大阪で市民参加のプログラムを開発して、それに市民が参加することによって被災地をサポートすることも考えるべきです。モノもどんどん送られつつありますし、モノを託したい気持ちはよく分かりますが、実際には企業からなどの物資の方が、はるかに効率的にモノが運べますので、それよりは義援金や支援金と、このボランティアプログラムへの参加が大事だと思っています。


義援金と支援金の違い

工藤: はじめに聞いておきたいのですが、先日早瀬さんとの対談で支援金と義援金は違うとおっしゃっていて非常に反響が大きかったのですが、正確にお話ししていただけますか。

早瀬: 義援金は被災者の方の生活を復興するための寄付です。支援金はそもそもきちんとした定義がないのですが、支援金の中に義援金とNPOへサポートするためのお金と分けている場合があります。これは言葉が混乱しています。基本的には義援金は、被災者の生活を直接サポートする。支援金と言えば、その被災者をサポートするためのNPOなどの団体の取り組みへの資金です。

山岡義典氏 山岡:義援金は個人へのお見舞い金です。最終的な配分は被害者総数が分かって、義援金総数が分かって、公平に配分されます。きちんと委員会ができます。それから救援金や支援金は、被災者をサポートしているNPOなり避難所でコーディネートしている人などへの人件費など、直接被害者ではないところにもいきますので、非常に言葉が混乱しております。たとえて言えば、子ども手当は義援金ですね、しかし保育所を作るためのお金は救援金・支援金ですね。スタッフの給料とか。そういうことだと思います。

工藤: 民放テレビを見ていたら、画面に「このお金は義援金として赤十字を通じて支援活動にあてられます」と書かれていましたが、これは間違いですね。

早瀬: 誤解を招きますね。

山岡:もちろん受け付けた団体がこの何割かは配分委員会の方に回して、他の何割かはNPOなり被災地をサポートする機関に回す、これはいいのですが、本当はそれを明確に示してから募金するべきですね。


支援する団体を判断するには

工藤: 話がまだ入り口なのですが、気になりますのでお尋ねしますが、支援金というのは支援する団体へ回されるのですよね。その時に、いいところなのか、悪いところなのかが市民には分からないではないですか。それはどう見分けるべきですか。

早瀬: その仕組みがまだできていないので、山岡さんが提案されているものを動かしていくべきですね。

山岡: もう動いています。

工藤: それはどういうメカニズムなのですか。

山岡: これは単純なのですが、「東日本大震災現地NPO応援基金」と言うもので、現地のNPOがしっかりと身近なところで救援に取り組むのを応援したいというのが基本です。しかし出口がはっきりしない募金が多いのですね。特定の「難民を助ける会」に募金、と言うのでは分かりますが、子どもたちのために、とか現地の人のためにとか言っても、どういう形でどこに出すか、出口が分からない...。

工藤: 出口と言うのは。

堀久美子氏堀: 受益者・支援先機関がどこかということですね。

山岡: お金が集まりますが、その集まったお金をどう使うか、そのプロが日本にはほとんどいない。

堀: 出す先が分からない。結局、寄付がどのように使われたかというフィードバックが返ってこないのですね。これでは、寄付文化が形成されない。

山岡: 寄付文化っていうのは、集まった寄附をきちんと届ける文化でもありますからね。 堀:そしてそのフィードバックがきちんと返ってくる文化ですね。
堀: そしてそのフィードバックがきちんと返ってくる文化ですね。

田中弥生氏田中: そうですね。だから出来れば領収書が戻ってくる方がいい。

山岡: 効果的に使うかどうか見極めて、有効に使う組織がないというか。

工藤: どうすればいいのですか。

山岡: 僕らは、日本NPOセンターのネットワークと市民社会創造ファンドで8年間培ってきた市民活動助成のノウハウがありますから、この2つの組織が協力することとして理事会の決定で基金を18日に立ち上げました。アメリカ、中国や韓国から、「日本の場合はどこに出したらいいのか」と問い合わせが来ました。赤十字に出すべきかとなったが、赤十字では個人のところに行く義援金なので、もう少し救援活動などに使いたいので、どこに出したらいいかという相談が、日本NPOセンターに来ています。そういう受け皿をしっかり作らないといけないと思います。

工藤: 阪神大震災の時はどうしたのですか。

早瀬: 個別にそれぞれが集めました。ただしいくつかの目利きがきくプログラムオフィサーがいる団体に対して支援をしている。経団連の1%クラブなんかもNPOに支援している。報告もきちんとしました。

工藤: 今度はそれでいいのか、どうかをふまえてやるべきですね。

山岡: ある程度、目的別に多様なものがあってもいいですけど、1つひとつ出口の方法もノウハウも持たないまま集めてしまったお金は、それをどう有効に使うか。

工藤: 小さい話ですが、税の控除の特典は。

山岡: 団体が認定NPO法人であれば控除の対象になります。日本NPOセンターも申請の準備中です。言論NPOや難民を助ける会は認定NPO法人ですが、私たちも認定NPO法人に4月からなるべく準備をしています。まだ認定はおりていません。

堀: 義援金も税控除されますよね。

工藤: 今の状況ではそんなことを言っている場合ではありませんが。

早瀬: 企業も税制優遇があるから出します、と言うのではなく、必要だからでお金を出しているのです。これについては、僕はあまり...。

山岡: 今はともかく、後々はね。

堀: 企業も寄付を決めていますね。UBSは総額1億5000万円程度を出す予定です。

工藤: それはどこから出しているのですか。

堀: スイスの本社、日本オフィス、そして社員からの寄付とマッチング寄付です。社員へは募金に関しての案内をもうすでに出しています。義援金としてではなく、災害が起こった場合は、必ず元々決めてある災害支援の専門NGO団体に連絡をして準備をしています。企業は皆さん準備をしていますよね。災害が起こった場合は、こういう手順で進めると。金額は後に決める場合が多いですが、今回の場合、金融機関は基本的に1億円+αが多いですね。

工藤: それでは今度は被災地から見て今何が必要かお話しいただけますか。


被災地での支援実態は

堀江: 今ちょうど9日目になりますが、難民を助ける会では、やっと仙台に拠点が出来て今7、8人スタッフがいます。ようやく1週間ちょっと経って物資が届き始めています。それでもまだ仙台の中心から届く範囲の「点」で、まだ「面」でカバーできない状況です。取り残されている地域はかなりあると思います。そこで、障害者施設、高齢者施設に1軒1軒回って1日10件以上回って届けている状況です。仙台市でこの状況なので、もっと北の岩手県などはもっとひどい状況だと思います。

工藤: 今はどこくらいまで支援団体は入っていますか。

堀江: 今は、圧倒的に多いのは宮城までですね。逆に福島県は原発の問題があり、届いていません。岩手は遠いのと雪が降っているのがあり少ないのです。

工藤: 逆に北海道から下りられないのですか。電車は盛岡までは動いていますよね。

堀江: 出来ると思いますけど、今活動ができている団体は災害、地震や津波の経験がある大きなNPOばかりですから、北海道には無いのです。現実には東京から行ける範囲でしか支援団体が行っていない現状です。

山岡: ただ社会福祉協議会系のボランティアセンターがありますからね。山形県とか秋田県とかの日本海側からのサポートも入ってこれます。


工藤: 昔の阪神大震災の時に比べると、初動の受け入れ態勢は違いますか。

早瀬: まず今回はレスキューの期間がものすごく長いのですね。阪神大震災の時の1週間後というのはもうお店が開いていました。皆さんが、都市ガスが切れてしまったのでプロパンガスの厨房器具に替えてお店を開け始めた、というのが1週間の時期でした。しかし今回は救済の期間が長いのです。今回は被災地の範囲が広い、海岸部ということもありますしアクセスが難しい。だから初動における事態の展開は倍以上遅くなる。

工藤: 阪神大震災には翌日に電車で入れたとのことでしたが、今はそのアクセスがない。通行止めになっていますし。ただ受け入れ態勢の点ではどうですか。

早瀬: 当時は受け入れのコーディネーションをしていたのはうちだけだったので、うちにたくさんのボランティアが来ました。今回はすでにその経験は全国に共有されているので、その意味で災害ボランティアセンター設置の動きは早いのです。しかし余りにも被害が大きく、開けられなかった。今は開いていますが。それで遅くならざるを得なかった。ボランティアが入るよりまずは被災者の生活でしょう。ボランティアが入ればそれはそれで水などを使うわけですから、被災者の生活に負担がかかります。


今は命をつなぐ段階

工藤: なるほど。そこから始まるのですね。今はどういう局面なのですか。

堀江: まだまだ命をつなぐ段階ですね。被災された方で、食料や燃料がない、医療がない状況なのでまず物資を届けないといけない。そして取り残されたところもたくさんあるので、早急にそういったところに物資を配布して行かないと、今度は次の災害が起こります。つまり支援が届かないために餓死してしまうとかあるいは医療が受けられないなどでその後の治療が続かず、亡くなる人も出てくるかも知れない。

工藤: 必要な救助や医療を届けることと、受け入れ態勢の拠点を広げること。この2つがありますよね。もしくは前半の話であれば、公的なところがある程度役割を果たさないといけない。しかし、同時に受け入れのところを強化する過渡期に今ありますね。
早瀬: そうですね。

山岡: 僕は現地に行っていませんが、うちのスタッフが行っていて、状況について伝えているメールを見ていますと、やはり「命を守る」というのがしばらく続く感じがします。被災地の周辺地域での拠点としてのボランティアセンターが少しずつ出来て、そこにどの程度コーディネーションする人を配置するか。地域の中の人だけで動かすのは難しいですから、全国のボランティアコーディネーターを送り込んで拠点をうごかしていくのかが大事だと思います。
 それから、すでに被災された方の移住が始まっていますので、移住先におけるボランティアコーディネーションの拠点、あるいは生活支援の拠点をどう作るかを全国でやっていくことが今大事です。

工藤: 今非常に気になっているのは、手さぐりで何かをしている感じがするのです。どこで何が起きていて何が必要でどうなっているかが、点として分かり始めましたが、全体がなかなか見えない。今は現地での救助を急がないとなりませんが、被災された方の生活の復興の方向をどう進めていくのか。それに対して政府はどう考えているのか。移住をしていくというのであれば、当然、それに対するボランティアの動きが必要ですが、その方向が見えにくい、というか、まだ定まっていないようにも思う。こういう状況下で行政とは異なる、ボランティアの立ち位置をどう考えていけばいいのでしょうか。


ボランティアの立ち位置は何か

早瀬: ボランティアそのものの取り組みは、僕は基本的には同じだと思います。それは前回お話ししましたが、被災された方の一人ひとりにあわせるべきなのです。1人1人違うので、同じようにサポートすればいいわけではない。1人1人の違いにこだわるのをベースにすればいいのですが。行政が逆に全体を底上げするので、この2つは違うのです。それは区別すべきです。一方でボランティアの中では、役割として全体の底上げとしての救援物資の仕分けなどの仕事もすることになりますが、ボランティアしかできないのは個々のニーズに応じてサポートすることです。そのことをこれから立ち上がるボランティアセンターの基本に置くべきですね。

 それから工藤さんが言われた方向性、ということで言えば、大きな社会ビジョンをどうするか、という話になりますが、それはそれでやらないといけません。ただし、やってはいけないことがいくつかあります。先日も、テレビを見ていてまいったなあと思いましたが、「ボランティアを登録して依頼があれば派遣する」と言う話です。これはいくつか大きな間違いがあります。まずボランティアに登録すると言うのは、登録される人が指揮下に入りますので「指示待ち」になってしまうのです。そうではなくて自分の自己責任で自発的に現場に出向く形にしないといけない。それから、また「派遣」とい言葉自体が違っていて、ボランティアは部下ではないのです。我々は根本的には紹介するだけなのです。その立ち位置が違うのです。そのあたりにいくつか基本的な原理がボランティアのコーディネーションにあって、そこを間違えると結果的に被災地に対してのつながりが薄れていきます。

 実は日本ボランティアコーディネーター協会で、明日の朝からボランティアコーディネーションに関する基本的なルールやマニュアルをHPにアップしていく作業をしています。災害救援に関するボランティアコーディネーションの経験のある人であれば大丈夫ですが、あれだけ広い地域なので、たくさんボランティアセンターが作られると思いますが、皆さんに対してノウハウの共有をしないといけないので、これから作っていこうと思います。

工藤: 今の早瀬さんの話はこの前も心が動きましたが、つまり被災者一人ひとりの生活再建に寄り添うのがボランティアの立ち位置であり、そのボランティアを被災された方にどうつなぐかが、それをどうコーディネートするかの段階だという、ことです。

堀江: ボランティアはこれから絶対に必要になりますし、一人ひとりの気持ちを大事にしていくのは大切です。行政と違うのは、ボランティアの場合はそれぞれ縁があったり、自分が得意なことを何かに役立たせたいなどの気持ちで伝わっていく部分がありますので、行政サポートとボランティアは両面でないといけません。ボランティアの気持ちが活かせるように対応しないとせっかく集まった人が有効に活かせないと思います。


二つのボランティアコーディネート

工藤: そこをコーディネートする仕組みですね。さっき言ったようにいろんなボランティアセンターの窓が開いてきた。そこでボランティアの方をどう現場につなげていくか、あるいは、市民をボランティアに参加してもらうプログラムをどう作っていくか、の問題です。

田中: 確かに社会福祉協議会に窓口を一本化するという話を政府もメディアも言っていますが、個々のボランティアをしたことのない市民が社会福祉協議会に連絡を取って、ボランティアとして派遣されるかと言えば、もうワンクッション必要だと思います。

早瀬: 大阪ボランティア協会でもやっていますが、事前に研修会を行なっています。しかし被災地に出向くことだけがボランティアではありません。今回モノを送ろうと言う動きがかなりありましたが、色々プログラムを作るべきだと思います。チャリティーオークションみたいにみんなでモノを持ち寄ってやる方法がありますが、日本の場合バザーを年に3回以上行うと収益事業になるのです。法律ではなく、国税の判断ですね。こんなものは変えるべきです。だからチャリティーオークションだと物販ではないからいいのではないかと思っていますが。皆さんが持ち寄って、オークションしてそれを被災地に送って支援金に使うとか、そういうどこの人でも出来るプログラムを作るべきです。現地に出向くのではなく、ファンドレイズするプログラムをどう作るかが大事です。ボランティアコーディネーターの仕事は被災地で活動した人をどうつなげるかと、別の面では被災地を応援したい市民に被災地応援活動にどう参加してもらうかもしなければいけないのです。2つのニーズがあるのです。山岡さんの日本NPOセンターが行なっている東日本大震災現地NPO応援基金もそうですね。

山岡: そのためには、相当なプロが必要ですね。有給スタッフが必要ですね。ボランティアが100人いて、そこに3人の有給スタッフがいれば、そこの100人の力が非常に生かせるわけです。救援金はそういったものに使われていいんです。私はこの資金はすべて人件費に使ってほしいと言っていますが、そういうプロとまでは言わなくても、ある種の能力を持った人を要所要所に配置してないとボランティアの力が生かされません。

工藤: バックアップでもいいのですが各地域にボランティアを参加させるための仕組みを作っていく動きが全国に出来れば非常にいいですね。

早瀬: いいです。今日本ボランティアコーディネーター協会という全国組織がありますが、それぞれが各地で何をしているのかと言えば、経験の共有をしようと、言うことなのです。それが個人の知恵になりますから。

工藤: そうですね。それでは今度は実際に行きたい人はどうすればいいですか。


実際に被災地に行く場合には

堀江: 難民を助ける会は、まず震災の翌々日の日曜日に出発して、当初は高速道路が使えないので通行許可書を警察に申請しましたが、その時にNPOには出せないと言われました。それで交渉するだけで時間がかかるので、とりあえず出ようと言うことで、4号線を北に上がって14時間かかりました。今回は、阪神大震災と違って、道は被害を受けていないのです。中心の動脈は通っているのです。ただ、高速道路は使えないので普通道路で北に上がりました。そこで県庁の災害対策本部に行って、支援要請書をもらって、それを使って第2陣以降の通行許可書を取りました。

工藤: 支援要請書を取れるのですか。

早瀬: それは向こうの判断ですね。ここは信用できる、というところには出しますが、誰でも出すわけではない。

堀江: そのたびに時間を割いてもらい書いていただくのですね。そんな時間は勿体ないから、そんなのは警察の判断で、東京で出していただければいいのですが、今回これを頂くのに県庁の忙しい人をつかまえて時間を割いて書いてもらったのです。その後はスムーズにでるようになりましたが、それで第1陣は現地に行って、そしてニーズ調査を行ないました。

田中: 東京でどうにかしてくれないかという話ですね。
工藤: ガソリンは。

堀江: ガソリンは緊急車両用のものはとりあえず緊急通行証を取ってから高速道路のSAのガソリンスタンドで入手できました。市内のガソリンスタンドは車でいっぱいでした。

工藤: 許可書を取れるかどうかが決定的に重要ですね。
早瀬: 今はね。また段々変わってきます。
工藤: これは昔とは違うのですか。

早瀬: 阪神大震災は電車が通っていました。電車があれば全然違うのです。入れないところは歩けば何とかなりましたから。

堀江: 今は物資が配布出来ない状況で、それは物理的に配る足がないのです。ですから、エネルギー確保が第一です。我々も支援する際には帰りの燃料を積んで行っていますから。もしこういう状況でなければもっと多くの物資を運べます。今はそれを調整しながら運ばないといけない状況です。出来ることより少ないことしかできない現状です。


現地で気を付けること

山岡: ガソリンがね、出来るだけ現地で供給できるインフラの仕組みを作るべきですね。業界の仕事として。業界というより産業の全体ですね。日本全体で見れば石油が急に足りなくなる状況ではないわけですから。

早瀬: どうしても東京を含めて、買い占めが起きています。
工藤: まず、それを止めて欲しいよね。
早瀬: 短期的に見れば、ガソリンを大量に買わないこと。食べるものを蓄えないこと。

工藤: つまり、今の教訓は被災地に物資を持っていかなければいけないのだけど、一方で、過剰な買い占めをやらずに、冷静にしていていかなければ回らないという問題があるわけですね。あと、通行証を、現地で取れるか取れないかでは話にならないから、やはり事前に何かの仕組みが必要ですね。この辺りはどうでしょうか。

堀江: そこは、NPOに対する評価というものがあると思います。行政の話は、最初からNPOが来ると、混乱を引き起こすだけなので、今は、制限していますということでした。いくらうちが、海外で経験があると主張したところで、上の通達でダメですということでしたね。

工藤: つまり、NPOが来ると混乱を起こすということが、言われていますが、これはどういうことなのですか。

早瀬: ある種のバランス感覚から言うと、そうなることは確かです。例えば、ボランティアやNPOが災害復興の中心だ、と叫んで動いている方がいらっしゃいますが、根本的な災害復興の中心は政府と企業です。ボランティアが中心ということはあり得ない。やはり、ボランティアは一人ひとりの生活に寄り添うという話であるのですが、ある種の正義感からそういう風に舞い上がってしまうわけです。そうすると、例えばボランティア専門のガソリンスタンドつくるとか言い出すわけですよ。そこに被災者が来たらどうするのですか、おかしいじゃないですか。だから、ボランティアが正義だと思ってしまっている人達が来ると、現場は混乱しますよね。

工藤: この前早瀬さんは、被災地の人の迷惑にならずに、しかし最大の効果を上げたいということだと、やはりマイクロバスなどを使って、乗り合いで行けとかおっしゃっていましたよね。

早瀬: もちろんそうです。ひとり二人じゃなく、とにかく満員で。
田中: それは必須ですよね。

早瀬: プラス、できるだけ自転車を積んで行かれたほうがいいのではないかと思います。この前、辻元さんには、東京都の不法駐輪の自転車を全部拠出しではどうか、と言っておきました。阪神淡路大震災の時は、大阪市から数百台の自転車をもらい、みんな被災者に配りました。自転車はエネルギーがいらないから、本当に助かります。

堀: でも、ガラスが結構落ちていて、パンクしやすいですよね。

早瀬: 震災のときはそうですね。だから、うちの事務所に自転車屋さんが1ヵ月間ボランティアで来てもらっていました。

堀:  それとセットでないとダメですね。
早瀬: もちろん、パンク修理付きというのは必要ですね。
工藤: じゃあ、今必要なのは自転車。
堀江: 自転車も必要ですね。
早瀬: これから暖かくなるから乗りやすくなりますね。
堀江: それから、燃料が回れば食料も回り始めると思います。

工藤: 確かに、バランスも必要で、色々な動きがあって、その中で僕たちもボランティアとして、何かしたいという気持ちがある。その場合は、被災地の方に迷惑にならない、というような自覚も大切ということですね。で、話を戻しますと、被災地でボランティアをしたい人は、本当に初めての人から見て、どうすればいいのですか。ただ、自分で被災地に行けばいいのですか。

早瀬: いや、だから、基本的には、各地のボランティアセンターや現地にボランティアを紹介しているプログラムを作っている団体などに行く。

工藤: まず、そこに連絡して行くということですね。
田中: それは、どうやって探し当てたらいいですか。

早瀬: インターネットで「ボランティアセンター」と検索すれば、すぐに出てきます。

山岡: 避難所については、自治体の職員達のネットワークでつくったリストがあるのですが、あれが一番生々しいと思います。公式にはないですね。

早瀬: 公式にはできるはずがないですね、民間の活動ですから。

山岡: 僕が見ているのは、自治体学会とか自治体の職員有志で立ち上げているものがあって、これはそれぞれの職員が、こうなっているという現場のことを個人で送ってきて、それをまとめてやっています。

早瀬: 避難所のマップはGoogleがつくっていますね。
工藤: そういうのを見ながら、自分で判断して、そういう相談機関に相談したりして。
早瀬: でも、単独で入っていくということよりは、集団で行った方がいいです。そして、できるだけ、プロの機関と連携する必要があります。先程から何度も言っていますが、行くだけが活動ではないので、地域でできることは沢山あると思います。

山岡: 特にこれからは、そうしたボランティア需要は確実に増えてきます。

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