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2010年10月27日

「有言実行内閣に問う、マニフェストこのままで終わらせていいの?」
  -ON THE WAY ジャーナル 2010.10.27放送分

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放送第4回目の「工藤泰志 言論のNPO」は、「有言実行内閣に問う、マニフェストこのままで終わらせていいの?」と題して、10月27日(水)­5時30分からJFN系列で放送されました。その収録風景を公開致します。
ラジオ放送の詳細は、こちらをご覧ください。

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「ON THE WAY ジャーナル
     工藤泰志 言論のNPO」
―有言実行内閣に問う、マニフェストこのままで終わらせていいの?

 
(2010年10月27日放送分 15分15秒)

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ON THE WAY ジャーナル水曜日、言論NPOでは政治・経済・事件などなど様々な問題に対して市民レベルの視点から、「これってどうなっているの」、「これってどう思う?」といったことに私、工藤泰志の視点で皆さんに投げかけます。


谷内: 今日のテーマは、「有言実行内閣に問う、マニフェストこのままで終わらせていいの?」です。
 おはようございます。番組スタッフの谷内です。「ON THE WAY ジャーナル」水曜日、今日のテーマは「菅政権とマニフェスト」ですね。先週も少し触れるか触れないかのところでしたが、先月の9月17日に菅改造内閣が発足しました。菅総理大臣は所信表明演説などで、「新しい内閣は有言実行する」としているのですが、はてさて。ちょうど9月に民主党政権である鳩山政権が誕生し、その原動力になった「マニフェスト」ですが、今となれば影が薄い印象も否めません。さて工藤さん、今日はリスナーの皆様に何を投げかけますか。


工藤: そうですね、今の話でも出ましたが、一言で申しますと、「マニフェストをこのままで終わらせていいのか」ってことなのです。そこを僕は皆さんと今日考えてみたい。選挙の時には政権はマニフェストを提示して選挙を闘っていますが、これって実は昔からではなく小泉政権の時からなのですね。その時にマニフェストを出して...

谷内: 最初はマニュアル?みたいな感じで分かりませんでしたが。


工藤: そうですね。マニフェストという言葉がそこで出て、特に民主党が一生懸命でした。これによって約束を軸にした政治に変えたいと。つまり、それまでの政権公約は何かスローガンみたいで何を言っているのか分かりませんでした。多くの人はそういう公約を見て政治を判断することはなかなか難しく、この政治家なら信頼できるとかいった感じでした。でもそうではなくて、選挙を、国民との約束を軸にして政治が選ばれるような仕組みに変えなければいけないのではないか、その約束がマニフェストでした。僕はこの志はいいと思うのです。しかし残念なことに、特に先の参議院選挙ですね、菅さんのマニフェストがそうでしたが、また昔のスローガン集に戻っていました。「マニフェストっていうのは実行しなくてもいいということの代名詞だ」、なんて言っている人もいました。「マニフェスト」という言葉をやめた政党もありました。なんかこれはおかしいなと思うのです。これを今日考えたいと思います。


谷内: 「マニフェスト」が出た時から今までHPでも出していたり、菅さんの写真を出したりとかしています。なんでこんなに関心が薄くなったのですか。


工藤: 僕は2つあると思います。マニフェストというのは約束ですから、ただ約束をするだけではなく、その約束をきちんと実行するような政策決定のプロセスを政治はきちんと決めないといけないのです。そして、それを政治主導でやる。しかしそこの仕組みは政府の中にもできておらず、なかなかうまく実行できない。実行できないと批判される。それで政治家のマニフェストに対しての熱が冷めてきたのは事実です。ただ僕が思うには、マニフェストがここまで関心を持たれなくなったのは民主党のマニフェストが良くなかったからだと思います。


谷内: どんなものですか。


工藤: マニフェストは元々政治改革の一環で出てきました。ちょうど2003年くらいに自民党の中に国家戦略本部があって、国民にビジョンを説明して、こういうことをしたいのだ、と。そういうような政治の仕組みをつくりたいという政治改革の議論の中で「マニフェスト」が必要だということで、政治の舞台に出てきました。ですが、その約束を党内で取りまとめるプロセス、そして実行するプロセスをどう実現するか、ということに政治はまだ成功していないのです。その後、マニフェストは不十分な形でどんどん動いてしまいました。民主党はマニフェストを使って政権交代、と国民に言ってきましたが、最後のマニフェスト、つまり鳩山さんのマニフェストはただの「ばら撒きリスト」なのですね。政権交代の大事な選挙でのマニフェストでしたが、僕らの評価が低かったのはそのためです。

 何でばら撒きかというと、政策には必ず目的があるのです。たとえば「子ども手当」ってありますが、それは何のためにあるのか、ということで目的が必ずあるはずです。例えば、日本の少子化の改善のためなのか、みんなが働きながら子供を育てることできるようにするためなのか。でもよく見ると、少子化対策のために「子ども手当」を行うとは言っていなくて、それよりも今は結構経済が大変だからと。だから、資金を家計に回したい、というのが選挙の中で言われました。すると、子ども手当の目的はなんなのかとなります。託児所や保育所を整備して、母親が仕事をしながら子育てを出来るようにした方が少子化対策として効果があるかもしれない。

 目的と政策は普通つながっているのですが、民主党のマニフェストは先にお金だけが出たのです。子ども手当13,000円、満額で26,000円を出すとか。しかし、当然日本の財政は厳しいから、うまくいかなくなった。そして鳩山政権はそれを実現できないという形で追い込まれていったのです。

 鳩山政権に対してかなり大きな批判があった時に、鳩山政権のマニフェストへの批判ではなくマニフェストそのものへの批判になりました。マニフェスト至上主義でマニフェストを守らなくてもいいとか、「君主は豹変する」とか、マニフェストにこだわっていたら政治家として大物ではないとか。これは何なのかという話です。これはマニフェストの問題ではなく、民主党のマニフェストがおかしいのです。

 民主党は政権を取った後、こういう風に日本の政治、あるいは政策を変えたいと説明すべきです。「出来ると思ったけど、色々政策目的を考えたらこういう風な形で修正することが必要だ」と国民と対話すべきでした。それをしないままで、マニフェストが修正に追い込まれ、退陣して菅政権になって、またマニフェストが出てきた。そしてその菅政権のマニフェストを見たら、今度は鳩山政権のマニフェストとはかなり違うのです。これだったら政治は何を国民に約束しているのか、分からなくなってしまう。それがマニフェストの批判とか、関心が薄くなることにつながったのではないかと思っています。


谷内: 国民ってそんなにマニフェストを熟読していますか...


工藤: 僕は評価をしているので、きちんと見ていますが、確かにこれは解説がないとなかなか読めない部分もあります。だけどマニフェストはきちんと見ないといけません。水戸黄門の世界では、悪いことをすると、お代官様がいて誰か懲らしめる人がいるような気がします。今、政治をこらしめる人は有権者なのですが、それをするにはその中身を理解していないといけない。僕らが評価やそのための議論を公開するのは、その中身を解説したいからです。こうした有権者側の監視が強まると政治もうかうかできない。そうした緊張感を日本の政治に作り上げたい、と僕らは考えているのです。

 これまでの政治は、なるべくばれないようにごまかして、曖昧にして公約を出すのが常でした。でもマニフェストはそうはいかない。

 そう考えると、民主党のマニフェストはかなり問題です。鳩山さんのマニフェストは4年間で16.8兆円を使うことになっています。子ども手当の実施、暫定税率やガソリン税をやめますとか、高校授業料の無料化など、4年目にはで16.8兆円必要なのですよ。1年目は7.1兆円必要。しかしそのお金はどこにあるのか?と当然なりますよね。そうしたら民主党は堂々と、「国の予算を全面的に見直せば捻出できる」と。そこの中で無駄を撲滅しましょうということで、事業仕分けをやりました。それだけの財源が出たのではないかとみんな思いましたが、全然出ませんでした。16.8兆円の内、9.1兆円の無駄を削減するのでマニフェストの内容が実行できるということだったのですが、実際にはどうなったかといえば、昨年の事業仕分けでは2兆円しか削減できなかった。つまり9兆円の財源を捻出する予定が2兆円しかできなかった。しかしもっとびっくりしたのが、その中で人件費とかそういった経費が1年で5兆円も膨らんでいたのです。すると無駄削減どころではなく、どんどんコストが上がってしまった。日本の財政は厳しい状況ですから、どう考えてもマニフェストは全面的な見直しに追い込まれるのは必然でした。

 それで予算を見てみたら、マニフェストの中で出来たのは、さっきの子ども手当の半分の13,000円と高校授業料の無料化だけで、ほとんどが全部駄目でした。それだけではなく予算が組めない事態になっていた。借金は43兆円になんとか収めましたが、税収が37兆円しかないのにそれより多く借金をして、色んな埋蔵金から金を集めて、ようやく予算を組んだのが昨年の予算編成でした。ところが、驚いたのはその予算案を発表した今年1月の施政方針演説の中で、マニフェストの「マ」の字もないのです。

 国民との約束なら、その状況を国民に説明すべきでしたが、国会の中で何も説明しないのです。今、菅さんも同じような状況ですが、マニフェストは全力でやりますと。約束なのだから、仮にどんなことがあっても言ったことを実現するために命をかける、と言うのは分かります。だけど財源がないとなれば、あとは借金をするしかないではないですか。借金は若い人にツケが回るだけです。そういう事態に追い込まれていたのにもかかわらず、菅さんの所信表明演説を見れば、マニフェストは全面的にやりますと。しかし出来ない場合は国民に説明をします、と言っています。もう説明しなければいけないとかいう段階ではなく、実際に修正や断念をしてしまっているのです。しかも政策の方向を大きく変えているわけですから、出来なければ「すみません」と謝罪するべきです。それで「こういう風に修正する」とか、「僕たちの考え方はこうです」と言わなければいけませんが、未だに言っていません。

 選挙の時だけ約束をすると。それで出来なくなっても説明しない。普通の企業であれば、出来ないことをはじめに分かって約束すれば大きな問題になります。政治の世界でそういうことでも当然ということなのか、僕が非常に気になっているのはそのことです。

 だからといって、そういったマニフェストの仕組みそのものを止めるというのは僕は全く違う話だと思います。マニフェストはあくまでも国民が政治家を選ぶための道具なのです。だから国民がもっと怒らないといけないし、そういったことで緊張感をもつことにより、日本の民主主義は非常に強くなると思います。先週と同じ問題ですが、ボールは僕たち国民にあるような気がしています。


谷内: 今でも国民はマニフェストに期待していると思いますか。


工藤: 僕は逆にマニフェストがなかったらどうなるのかと思うのです。菅さんのマニフェストも前回の参議院選では分析しましたが、衆院選の時から9割は修正しています。そして新しいことをどんどん入れています。例えば、財政再建とか消費税ですが、財政再建をするという方向になっていますが、それは当然だと思います。しかしこの時にこのマニフェストの約束がまだ残っているのです。つまり、財政再建にも踏み込んでいくという政策の体系が変わっているのに、相変わらずあのばら撒きのマニフェストが残っているのです。これを整理しないとだめだと思います。ただその時に、そういったことが分かる手段は何なのかと思います。やはり国民に何かの形で説明してくれる文書がないといけないと思います。

 約束で政治家と国民が結ばれないとしたら、国民はどうして政治家を選べるのか、と思います。政治家に僕らの人生や未来をすべてお任せしても、間違いなく今の政治は答えを出せないのは、今の国会を見ていても明らかでしょう。でも、約束をコントロールする仕組みが今の政府にはないのです。そうなってくると、結局それぞれがやったけど駄目だったとか、官僚の抵抗があったとか。そういった理由で約束が骨抜きになってしまいます。マニフェストがなくなってしまえば、国民は政治が何をやっているのか分からなくなります。しかし、自分たちの生活から見れば年金問題や医療問題について、将来自分たちの子どもがどうやっていくのかとか、今の若い世代は年金があるかどうかわからないような状況なのですね。だからマニフェストがなければ、国民は政治を選べない、未来を選択できないのです。

 だから、未来の選択肢として100項目もなくていい、せめて10項目でいいから、こういったことをやりたいといったきちんとした約束集を政党は出して、その実行に政治はこだわっていかないと国民との距離が離れていくと思います。


谷内: 他の党のマニフェストはどうですか。


工藤: まだ同じようなレベルなのですね。ただ民主党の場合は支出、サービス提供型のばら撒きリストだったのです。でもサービスを提供するにはお金が必要で、それを無駄の削減で捻出しようとしたけど、うまくいかず破綻しているわけですね。他の党もまだ抽象的な政策なのです。ただ菅政権が今言っている社会保障や財政再建をすることは、各政党間でそれが課題だとみんな分かっています。だからこそ、その課題にマニフェストで競いあう環境が出来たのですよ。

 僕は菅政権にどうしてもやってもらいたいのは、国民との距離を縮めてほしいということです。あのマニフェストは出来なかった。しかし今の日本の課題を考えてこういう風にマニフェストを変えたいと説明した上で、やはり総選挙をすべきですね。約束を基にした政治を日本で復活させないと、日本の未来が全く見えないことになってしまう。こういう政治では駄目だと思います。僕たちは、日本の将来に対してもっとコミットメントしないといけない。マニフェストっていうのをもっと大事に考えないといけません。

 ということで、また時間になりました。今日も熱く語ってしまいましたが、今日はマニフェストについて議論しました。また何か色んなご意見がありましたら是非私たちの方にお寄せいただければと思います。

(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)


投稿者 genron-npo : 11:11 | コメント (0)

2010年10月20日

「菅改造内閣発足から1ヶ月。有言実行するには?」
  -ON THE WAY ジャーナル 2010.10.20放送分

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放送第3回目の「工藤泰志 言論のNPO」は、「菅改造内閣発足から1ヶ月。有言実行するには?」と題して、10月20日(水)­5時30分からJFN系列で放送されました。その収録風景を公開致します。
ラジオ放送の詳細は、こちらをご覧ください。

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「ON THE WAY ジャーナル
     工藤泰志 言論のNPO」
―菅改造内閣発足から1ヶ月。有言実行するには?

 
(2010年10月20日放送分 15分14秒)

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谷内: 番組スタッフの谷内です。ON THE WAY ジャーナル水曜日、今日のテーマは、菅政権、民主党政権について考えていこうかなと思います。昨年9月に政権交代によって民主党鳩山内閣が発足して1年です。そして1年後の9月17日、今度は「菅改造内閣」が発足しました。菅総理大臣は「この1年間は色んな意味で試行錯誤の1年だった」としまして、新しい内閣は1つの具体的な事柄を実行していく「有言実行内閣」と皆さんに呼んでいただけるような内閣を目指す、と言っています。菅総理大臣は政府税制調査会では景気の下支えを優先して、企業に配慮する、という姿勢を示す一方、子ども手当の満額支給を廃止するとか、家計重視の視点がすこし薄くなっている気がします。さて工藤さん今日はリスナーの皆さんに何を投げかけて行きますか。

工藤: 僕は政治が「課題解決」という言葉を使ったことは非常に良いことだと思います。政治はやはり課題解決に挑戦して答えを出さないといけない。しかし今まで日本の政治はそれをやってこなかったのです。ただ、僕はまだ、菅政権の課題解決がどうかという議論をする前に、やはり日本の政治そのものを考えるべきだと思います。私は先日、国会中継を見ましたが、見れば見るほどなんか国民と政治の距離が最近非常に開いていると感じるのです。ひょっとしたら、この政治を続けても日本は何も変わらないのではないか、という気がしているのですね。そこで皆さんに今日言いたいのは、「僕たちが変わらないと日本は変わらない」ということです。つまり、ただ政治に期待するだけでは、日本は本当に変わらないという局面にあるのではないか。菅政権を見ながら、それを今日は皆さんと考えていきたいと思います。


谷内: つまり有権者が変わらないといけないと。


工藤: そうです。昨年政権交代がありましたが、政権交代があった時は僕も結構嬉しかったのです。要するに、チェンジするというのは非常にワクワクするではないですか。
僕たちのNPOは政策の評価をやっていますので、きちんと1年間政権運営を見ていましたが、しかし、「これはやはり違うな」と段々気づいてきて、何か昔の政治とあんまり変わっていないという気がしてきました。
 少なくとも鳩山さんは政権を継続できなくなり退陣に追い込まれた。「政治とカネ」の問題で小沢さんと責任を取ったというのではなく、やはり鳩山さんが選挙時に言ったことがほとんど実現できなくなったからです。普天間問題もボロボロになりました。それで次の菅首相は、それに対して国民と政治の距離を縮めたかというと、そんな感じはしません。菅政権は実は国民の選挙で選ばれたわけではないですよね。この前の選挙で菅さんは負けました。しかし一応継続している。だけど菅総理とか今の国会議員の人はみんな去年の選挙で当選した国会議員ですので、その時に鳩山さんが行った約束がほとんど実現できない状況なのに、そこに政治家がいると。すると国民から見れば、首相が新しくなってまた別なことを言い出しても、国民は蚊帳の外にいる感じがしてしまいます。
 そしてもうひとつ本質的な問題があるのではないかと思います。それは、僕たち自身が昨年の選挙で「日本が変わるのではないか」とかなり強く期待したことです。それがどうも違うのではないかと国民はうすうす気づき始めた。だから、政治との距離が開いたままだと感じているのです。

 僕たちは先週、千葉で合宿してきました。なんでしたかと言うと、今ソーシャルメディアということでブログとかSNSなどたくさんありますが、そういうことを活用して、もっと一般の人たちと議論できる仕組みを作れないかと思ったからです。そのモデルとして、オバマの大統領の選挙戦について勉強したのです。
 オバマさんの時はやはりすごいのです。つまりいろんなボランティアの人と一緒になって「アメリカを変えよう」という感じになっていて、何10万という市民が参加した、というのですね。民主主義の復権をみんなで一緒にやっていこう、とするのですね。それで見てみたら、ネットで5億ドルも寄付を集めているのです。今の為替で行けば400億円です。つまりアメリカの変化は、国民や市民と一緒に動いている。
 米国で変化が始まったその年に日本では政権交代がありました。でも冷静に考えてみて、鳩山さんは民主党政権が誕生した時に、そういう感動的なシーンがあったのだろうかと。市民がどんどん参加して、「日本を変えたい」という動きがあったのだろうかと考えれば、結局選挙ではサービス合戦だけで、こども手当とか色んな形を競いあって、でもそれが実現できなくなって大騒ぎになるのですが、やはり昔的な展開なのですね。市民が大きな政治の変化に参加していないのです。
 多分僕もそうですが、まだ政治に期待したい気持ちがあったのでしょう。でも、期待だけではもうだめで、やはり自分が参加して、発言して当事者としてこの社会に向かい合わないと、日本は変わらないのですね。今回、政権交代以降ずっと続いている日本の政治の状況を見て何となくそんな感じがしました。


谷内: つまり一緒にやっていこうと。


工藤: まず変化しようよ、と。日本もやはり今変化しないといけないではないですか。それを政治に期待しましたが、変化というより非常に疲れ切った菅さんがいて、普通の政治になっていますね。


谷内: なんか国会中継を見ていても盛り上がらないですよね。


工藤: つまり僕たちに問いかけがないのですね。民主党政権ではこうしたい、だから皆さん協力してほしいとか、こういうことをしたいのだ、という直接のメッセージがないですよね。


谷内: 1年前の政権交代の時はやはり国民側では変わるだろう、という期待は当然大きかったのですが。


工藤: 戦後、既得権益とか利害関係でやっているとか、国民に説明をしないとか、そういう古い政治を変えたかったのですよ。それは皆さんも同じだと思いますが、それが1つの政治のなかで自民党という長期政権を変える原動力になったのですよ。だから日本にはパワーがあって、国民は変化を求めています。しかし、人が変わっても、今の政権には何となく昔と同じような政治を感じてしまうのです。

 辞めると言っていた小沢さんや鳩山さんが、また復活してきて代表選をやっていたり、政治家の言葉の軽さが目につきます。昔の政治という感じがするではないですか。


谷内: 菅政権に代わってその辺はどうですか。


工藤: 鳩山さんはすごくいい加減ですね。やはり色んな事を言ったけど、後で覆すではないですか。宇宙人と言われていましたが、本当にそうだと思います。菅さんは宇宙人的な発言はありません。しかし、彼はもともと市川房枝さんという伝説の人を市民運動の事務局長として支えた人です。まさに市民派の感じで、僕から見ても本来は同じ匂いがするはずなのですよ。


谷内: サラリーマン(家庭)出身でね。


工藤: だからもっと市民に向かい合うような動きがあればいいですが、なかなかないのです。これまでに国会では2つの代表質問がありましたが、なんか面白くないのですね。
 たった1つ菅さんのメッセージで僕の胸に刺さったものがあるとすれば、「孤立化」ということなのですね。つまり今の社会には若者やお年寄りもそうですが、家族とか社会から切り離されて孤独で人とつながりを持たない、一人ぼっちで大切な人生を終えてしまう人がたくさんいるのです。この人たちに対して何もしないで何が政治だと、まあそこまでカッコよくは言ってはいませんが、これには僕にもズキッときました。まさにこれが社会の課題であり、大きな社会の貧困が広がっている中で、働けない人がいてその人たちが孤立して厳しくなっていると。でもそれは1回目の所信表明演説でした。2回目からは課題を説明しているだけですね。本当に自分が政治をやって日本を救いたいと思うのであれば、ビジョンを説明して、我々は今こう思っていることをこう解決したいのだ、だからみんなに協力してほしい、という形にならないといけない。しかし、そんな姿勢は現時点ではほとんど感じない。
 だから、変わっていることは変わっていますが、結局何も新しいことはなく、市民に政治側が寄っていく動きを感じません。
 菅さんは「強い経済、強い財政、強い社会保障」と言っています。実はこの3つは正しいのです。この3つを解決するということは、日本の未来にとって非常に大きなアジェンダなのです。しかし実を言うと、自民党末期政権の福田元首相や麻生元首相も同じようなことを言っています。つまり自民党であろうが民主党であろうが、社会保障、高齢化で人口減、財政破たん寸前、経済が強くならないといけない、というのはどの政権でも同じアジェンダなのですよ。


谷内: 変わってない。


工藤: そうなればプランニングの力が試されます。つまりどっちが課題解決を行なえるかと。これについては、有権者は冷静に見ないといけません。しかしそういう競争は政治の世界に今はないのです。菅政権もまだ具体的なプランは出していないし、政治の舞台でも互いに足を引っ張り、国会答弁を見ていても「いずれ説明します」とかみんな予告編だから、ではどうすればいいのかわからない。まだまだ政治に新しさもない、国民に向かい合っていない。一方で課題に関してもプランを競い合うところまでいっていない。そうなれば僕たち国民は自分の将来が不安ですから、だんだんこの政治で大丈夫かなと思いますよね。


谷内: なんか2大政党ではなく3つ目の政党に期待するとか...


工藤: 2大政党になれば何かの答えが出せると思っていましたが、あのイギリスでも2大政党が難しくなって、大連立するとかいう形になっていくのですね。日本で結局2大政党が機能するという前提は、それぞれの政党にプランを作る力がないといけません。しかしお互いその力がまだ見えないのです。
 僕たちの言論NPOも4年前の日本の将来像をめぐる議論で「課題解決」という言葉を使ったことがありました。その意味は少し違っています。日本の将来戦略を考えるときに、考えなくてはならない日本の課題は、人口減少と高齢化なのですね。超高齢化です。65歳以上のお年寄りは今は4人に1人ですが、それが3人に1人になって、2050年には40%位が高齢者なのですよ。私が青森に帰るとバスに乗れば高齢者ばかりです。それがこれからどんどん増えていきます。それに対してどう将来設計をしていくのかと。韓国も中国も世界が高齢化し始めていますが、それに対して日本は、世界に先駆けて超高齢化という先進的な課題を持っている。だからそれを克服することが世界に対して日本の存在感を大きく出す非常に大きな役割になるのではないかと思って、「課題解決」という言葉をNPOでも使ったのです。
 今の政権が、課題解決というのなら、どういう課題認識をして、何を解決しなければいけないのか。そこが何となくまだ分からないのです。今の当面の危機は財政破たん、経済が改善せず、雇用がうまく拡大しない、そして社会保障や年金・医療に不安がある。これは未来に向けた話とすべて連動していますので、政治には将来課題の解決が問われているのです。そういうことを競い合う政治に期待していますが、まだそうはなっていません。

 僕は、日本の政治というのは大きな変化の途上にいると思っています。だから多分ドラマはこれからだと思います。まだ古い政治から脱却できていない。これから菅さんが変身するかも知れませんが、これからなのです。
 言論NPOは、毎年、有識者を対象にアンケートを行っています。昨年の鳩山政権が終わった後にこういう質問をした時に、え?と思いました。要するに日本の政治の現象をどう判断するか、という設問で、一番多かったのは「これまでの政治を一度壊して、新しい国や政府、社会のあり方を模索するとき」と答えています。つまり大きな変化の途中だと、4割の人が答えています。ただそこに並ぶように多かったのが、「未来の選択肢が既存の政党から提起されないまま、サービス合戦や官僚たたきに明け暮れ、ポピュリズムが一層強まる時期」というのが39%ありました。次に多かったのが、これは厳しいですが「政治的な混迷や空白のはじまり」これが27.2%です。
 つまり、今まさに変化がはじまっています。ただ、この変化はまだ出口が見えない。この出口をみつけ出すのは僕たち国民なのです。なので、一番初めに僕が言ったように、日本の政治を変えるのは僕たちなのだ、というのはそういう意味なんです。
皆さんはどうお考えですか。

(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)

投稿者 genron-npo : 12:11 | コメント (0)

2010年10月13日

「工藤泰志と言論NPOを丸裸にする!」
  -ON THE WAY ジャーナル 2010.10.13放送分

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放送第2回目の「工藤泰志 言論のNPO」は、「工藤泰志と言論NPOを丸裸にする!」と題して、10月6日(水)5時30分からJFN系列で放送されました。その収録風景を公開致します。
ラジオ放送の詳細は、こちらをご覧ください。

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「ON THE WAY ジャーナル
     工藤泰志 言論のNPO」
―工藤泰志と言論NPOを丸裸にする!

 
(2010年10月13日放送分 13分48秒)

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谷内: おはようございます。番組スタッフの谷内です。「ON THE WAY ジャーナル」水曜日、今日も宜しくお願い申し上げます。今日のテーマはこれにしました。「工藤泰志と言論NPOを丸裸にする」ということです。今日は2回目ということで、ラジオをお聞きの皆様にははじめましてという方もいらっしゃいますので、今日は「言論NPOとは何か」、これについてじっくりお話していただいて、さらにこれからの社会において言論の重要性とかまたNPOの必要性について考えていこうと思います。


工藤: 私は十何年前から坂本竜馬とか幕末が好きでしたが、あのときに「横議・横決・横行」という言葉がありました。つまり「横に議論して、横につながって、横に行動する」と。坂本竜馬も脱藩して横につながっていったではないですか。まさに今、言論NPOも「横議・横決・横行」なのです。企業家もメディアも政治家も政府関係者も横につながって言論NPOというプラットフォームで議論しています。その目的は何かというと、日本が抱えている問題を解決しようと、日本の将来に向けて議論の力で挑戦しようということなのです。少しかっこよく言ってしまいましたが...。


谷内: なぜ、「言論」なのですか。


工藤: 言論という言葉は非常に重いなあと思っています。つまり健全な社会にはきちんとした議論をする場が必要なのです。その舞台はメディアに限らず、大学など色々あって、その中で日本が抱えている社会保障の問題、外交の問題など様々な問題を議論する。その議論が政治とか日本の将来を決めるときに判断材料になったりする。そういった仕組みは必ず必要なのです。しかし、僕もメディアにいたときも感じましたが、この力が非常に弱まったのではないかと思います。つまり言論の役割が力を失っている中で、課題解決を先送りするような政治が繰り返されたり、批判のためだけの議論になったりしているのです。全然日本の未来が見えなくなっています。
 言論NPOを立ち上げたとき僕は40代でした。当時経済的に不況でしたが、僕は日本の将来を見えなくしているのは、経済的不況だけではなく、「言論不況」ではないかと提起したのです。それは結構メディアで取り上げられて、「言論不況を唱える工藤さん」ということで注目されました。これを言った以上は、この言論不況を解決するための動きをしなければいけないと思いました。それで言論を立て直すための一つの流れをつくりたいと思い、会社を辞めてNPOを立ち上げ、その名前を「言論NPO」にしたという経緯です。


谷内: どういった場所で、具体的にどのような活動をされているのですか。


工藤: 僕たちはインターネットで議論をしています。言論NPOのHPを見ていただければ分かるのですが、各界からいろんな人たちが議論に参加をしています。各界を代表する有識者や専門家の人が議論をしていますが、そこに参加している人以外にもいろんな方がいまして、皆さんボランティアで参加しています。みんなが自分の意思で議論作りをしよう、ということで集っているのです。
 言論というのは市民や国民が主役になる社会を支える役割だと思います。僕も一時期そう思っていましたが、「政治家に任せておけば世の中が良くなる」と言うのではなく、自分たちが政治や政策を判断して、その中で新しい日本を作っていくためにその判断材料を提供するのが、言論の役割であると思っています。
 だから選挙前に政党のマニフェストの評価を行なったり、政府の政策を評価したり、そのプロセスや内容をどんどん公表しています。オープンな議論をしたり、日中関係については中国に乗り込んで議論をしたりとかしています。これらすべてをインターネットで発信して、みんなが議論を一緒に考える舞台を作っています。
 そこでは、今の政治的な問題や社会が直面している問題とか、それから日本の将来に対する議論を行なっており、国民が自分たちで国を考えるときの判断材料にしてほしいというのが僕たちの狙いです。しかもそれを非営利で行っている、ということがミソなのです。


谷内: 先ほどインターネットでやっていると仰っていましたね。立ち上げられてからこの10年でインターネットの環境は相当変わったのではないですか。


工藤: 変わりましたね。つまりインターネットが発達することによって、みんなが自分たちで発言し、考えるチャンスを得たのです。そうした発言を、政策を動かすような議論に発展させていかなくてはならない。僕たちは質の高い議論をきちんと提供しますが、そこにみんなが参加して、場合によってはその人たちも議論できる仕組みを取り入れていこうと思っています。僕らも様々な議論をここで提起してきましたが、生活感覚でモノを考えるという視点が、物事の課題解決を考えるのに非常にいい素材を提供してきたし、全国いろんなところに、その問題を解決するための種がたくさんあるな、と気づきました。僕はこの番組もその一つとして試みたいのですが、やはりみんなの意見を寄せてもらって、みんなで考えるという仕組みをつくっていきたいのです。それをつくっていけば、いろんな困難があっても乗り越えるための知恵が出てくると思います。日本は多くの課題を解決するということについて政治が機能しないために、将来に対して不安が広がっています。政治に任せてそれをただ待っていても、もう答えは出せないと僕は思っています。「自分たちが一緒に考えよう」という方向に、頭を切り替えてもらって、自分たちの問題として向かい合うしかないのです。言論NPOは、その議論の舞台をつくっていきたいのです。


谷内: なぜ「NPO」なのですか。


工藤: 僕も今は勉強したのでかっこよく話せますが、はじめは全然わからなくて、当初はある人がNPOは「ニッポン・プータロー・オジサン」だと言っていたので、本当にそう思っていました。「N」は、ニッポン、「P」は、プータロー、「O」はオジサンで、これは僕のことかな、と思っていました。しかしNPOだと貧乏になるので、「N」はNippon、「P」はpoor、「O」はオジサンかなとも思いました。つまり貧乏でも志で生きる、自由だぞ、と。やせ我慢だけど志で生きればやっていけると思いました。その後、色々勉強しましたが、全然違いました。NPOだけど志の組織なのです。つまりNPOは、Non-profit Organizationなので、利益のためにやっていないのです。だから志のためにやっています。言論NPOの場合、議論は志なのです。僕は夢があって、素敵な社会は、自分が自分の人生だけではなく、社会のために何かをしたり、それが尊重される社会がいいなと思っています。議論の力でその夢をかなえたいと思っていましたが、動き出したら社会には僕と同じように考える人がたくさんいました。僕は、ジャーナリズムというのは、本来はNPOだったのではないかと思っています。やはりモノを売ったり、視聴率を稼いだり、結果として組織を維持するためにこれらは必要ですが、これが目的になってはいけない。売るためにわざと売れるような番組や記事を作るのではなく、あくまでも社会にいろんな判断材料を提供したり、いい議論を共有したり、それがメディアやジャーナリズムだと思います。
 ひょっとしたら、言論NPOという試みは日本のメディアに対しての問題提起ではないかとさえ最近思っています。今、インターネットが発達してメディアが大きく変わろうとしているではないですか。営利ではなく非営利でメディアが取り組み、多くの国民に支えられる。そして、使命感は日本の未来なのです。それに関して議論の競争が始められないかと、それを本気で思っています。


谷内: 「N」=Nippon、「P」=poor、「O」=オジサン、ですか。NPOの運営は大変ではないですか。


工藤: ええ、大変ですよ。はじめの3年間は大晦日の日に毎回「もう、言論NPOをやめよう」と思いましたね。つまりNPO経営というのは寄付金を集めてそのお金を使って終わってしまうのです。普通の企業であれば資本があって、それをベースにしていろんなことが出来るじゃないですか。別に収益の事業をやっていないので、12月末に、今年は必死でお金を集めて活動をやってきたけど、また来年それを始めからしないといけないのかと。どこまでこれがつづくのかと本当に悩みました。
 しかし、オバマ大統領の選挙を見ていてそうではないと感じました。オバマの選挙はまさに国民からの寄付で成り立っていて、一般の人から1,000円、2,000円と広く寄付を募り、何百億と集めるわけです。僕たちは努力不足だと最近思いました。
 僕らが目指しているのは、日本の中に本当の民主主義ができて、強い市民社会ができて、日本の将来を自分たちが考える、つまり政治を僕たちの手に取り戻そうという動きなのです。であるとしたら、この動きはより多くの人に支えられる必要がある。寄付も参加の仕方なのです。だから、僕は広く寄付を集められないかと思っています。そのためにも、どんどん熱く語らないといけない。


谷内: インターネットとかでの反応はいかがですか。


工藤: 最近は大きくなっていますが、まだまでですね。この運動は僕らの組織の維持のためにやっているのではなく、日本が変わるための、しっかりとした民主主義をつくるための運動なので、やはりもっと多くの人と一緒にやりたいのです。だから輪をもっともっと広げていきたい。
 僕も多くの人に会いましたが、東京だけではなく、地方でもいろんな各分野で活躍している素敵な人がいっぱいいる。日本は捨てたものではない、と僕は思っています。みんなが自立してこの社会の中に挑戦していくという流れがすごく大きなものになれば、日本はかなり変わると思うのです。いつかこの番組でもやりたいのですが、僕は市民社会の中に変化をつくりたいのですね。いまの日本が抱える課題の解決で競争が始まるような変化です。
 僕たちもそうですが、何かをやっている人はともすれば自分たちしか見えなくなることがあるのですね。しかしそれではだめなのです。あくまでも社会のために何かを実現して成果をださないといけない。その成果が困っている人たちに対して何か貢献したり、またはその困っている人たちを助ける仕組みをつくったり、いい議論を提供したり、こういったことを競争できるような変化を作りたいのです。
 僕たちはコンテンツのレベルは絶対に手を抜かないようにしています。それくらいの使命感を感じた議論作りをしようと思っています。またまた熱く語ってしまいましたが、本日は「言論とNPO」について話しました。皆さん、ありがとうございました。

(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)

投稿者 genron-npo : 10:23 | コメント (0)

2010年10月 6日

ラジオ番組「ON THE WAY ジャーナル 工藤泰志 言論のNPO」放送開始!

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10月1日(金)5時30分からJFN系列で放送を開始した「ON THE WAYジャーナル」の水曜日担当として、言論NPO代表の工藤泰志がパーソナリティを務めます。
記念すべき第1回目は、「アジアの中のニッポン アジアとの仲を考える!」と題して、10月6日(水)5時30分からJFN系列で放送されました。 その収録風景を公開致します。
ラジオ放送について 詳細はこちらをご覧ください。

動画をみる

「ON THE WAY ジャーナル
     工藤泰志 言論のNPO」
―アジアの中のニッポン アジアとの仲を考える!

 
(2010年10月6日放送分 10分36秒)

⇒ 動画をみる



工藤: おはようございます。「On the way ジャーナル」水曜日、言論NPO代表の工藤泰志です。先週金曜日から始まりましたこの番組。毎朝様々なジャンルで活躍するパーソナリティが、世の中を自分たちの視点でばっさり切っていく番組ですが、毎週水曜日は私、言論NPOの工藤泰志が担当します。

 今年は全国的に暑かったのですが、その後急に寒くなりまして私は風邪をひいてしまいました。皆様は風邪を引いてないでしょうか。この番組では、皆様のご意見・ご感想、ご希望のテーマなどを募集しています。番組HPの水曜日工藤泰志のページに行っていただき、そこでtwitterやメールなどでお寄せください。


まず自己紹介です

 さて、初回ということで、まず簡単に自己紹介します。名前は工藤泰志といいまして、工藤というのは青森県で多い名前なのですが、私も青森出身です。51歳です。ただ気持ちはまだ40代です。42歳のときに私は出版社の編集長をしていましたが、脱藩しまして、それ以来、歳を気にすることがなくなりました。だから、まだ40代のつもりなのですが、今日、自分の歳を聞いてぞっとしました。やはり歳をとったなあと思いました。しかし私は非常に熱い人間なので、ここでも熱く議論をしていきます。

 私が立ち上げた言論NPOは、NPO(特定非営利活動法人)で、非営利活動で日本の議論作りに取り組んでいます。行っていることは、マニフェストの評価、選挙前に政治家がマニフェストを掲げて選挙を行なっていますが、あのマニフェストの評価をしているのが私たちの団体です。そのほかにも、日本の様々な課題についての議論を行っています。
 そして、最近では国境を越えてアジアに僕たちの真剣な民間対話の舞台を広げています。この8月に中国と喧嘩になるような真面目な議論を終えたばかりです。こういう活動を通じて、真剣な議論から日本が抱えている様々な課題の解決とか日本の未来に向けて僕たちはどうすべきかの議論を作っていきます。「On the way ジャーナル」水曜日、僕たちは政治・経済・事件などなど様々な問題に対して市民レベルの視点から「これはどうなっているのか」と私工藤の視点で投げかけます。


谷内: おはようございます。突然ですが番組スタッフの谷内でございます。「On the way ジャーナル」水曜日、初回のテーマは「アジアの中の日本、アジアとの仲を考える」です。今回は初回ということで言論NPOの工藤さんのことを聞いていただこうと思いましたが、今話題となっているのが中国です。なので、今日は日本とアジア、とりわけ中国について工藤さんにお話を伺ってまいりたいと思います。少し振り返りますと、先月の7日に、中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突したというニュースで、中国側から日本への反発が強まっています。中でも「日中青少年交流事業」の一環として日本の青少年が上海万博に訪問する予定でしたが中国が拒否してきたり、人気グループのSMAPの初海外公演が延期されるなど問題が広がっています。


尖閣列島の問題を考える

工藤: 僕から見ると、「これから始まるな」って感じです。つまり尖閣諸島などの領土問題は中国は引けない問題ですので、多分こういったことはこれからも出てきますね。こうした中国とどう付き合うかを僕たちが考える段階にきたな、と思っています。本日はそれについてお話したいと思います。


谷内: それでは「言論NPOの工藤泰志が見た中国」と題してお送りしたいと思います。
中国は何回も訪問されているのですか。


工藤: 僕は、2001年に言論NPOを立ち上げたのですが、05年の中国主要都市での反日デモの際に、この問題をどう考えればいいかと思っていて、単身で中国に行きました。言論NPOは中国のためのNPOではありませんが、中国とも議論をしなくては、と思ったのです。それ以来中国に何回も行くようになって、中国の有識者と本気の議論を行なう民間対話をその時に立ち上げました。
 05年の時に見たことと今回では結構共通することはあります。ただ、あの時は小泉総理の靖国神社参拝ということで歴史認識の問題でしたが、今回はそうではありません。今年GDPでも日本を中国が抜きますが、経済力が強まり中国の大国としての意識の高まりの中でこういったことが出てきました。
 性格は違うのですが、やはり根の部分は同じで、問題は国民レベルでほとんど相手のことを知らないことなのです。皆さん、中国は近いのですが遠い国だと思っています。だからたまにデモがあると、「なんだこれ」と思いますよね。今回もまた中国で騒ぎがあって、またか、と思いましたが、しかし「近くて遠い国」ではもう済まされない段階だと僕は思っています。


谷内: 「民間対話」とおっしゃいましたが具体的にはどういったことですか。


ちょっとした勇気が大切

工藤: 実は05年に行ったときに、僕は中国政府や民間人やメディア関係者と会いましたが、そのときも今回と同じく物騒な状況でした。ある人が言ったのは、「日中関係はこのままでは戦争になるのではないか」と、かなり刺激的な発言がありました。僕がそのときに言ったのは、お互い隣の国なのに、「戦争になるのではないか」とか平然に評論家のように話してもいいのかと。政府間関係が悪化しているのであれば、それを補うのは民間なのだから、民間の僕たちが議論の対話の舞台を作るべきだといいました。そのときかなりやりあったのですが、その年の8月に、「北京-東京フォーラム」を、騒然としている北京で開きました。
 僕は、ちょっとした勇気が大切だと思いました。いろんな人と北京で話しながら、「これじゃ駄目だ、何とかしないといけない」と自分の中でも心が騒ぎましたが、しかし一方で「何でそこまでやるのか」という気持ちもあります。だけど、この民間対話を作るのは、今僕しかできないのではないかと思いました。それで中国でいろんな人を説得しました。で、すごい人が参加する対話の舞台ができたのです。まだ、そのときは政府間関係は悪いままで、国交断絶状態でした。

 そして僕はそのときに言ったのが、「世論調査をやらせてほしい」ということでした。つまり、なんで中国の人はあんなに反日デモをしているのかわからなかったので、それで「世論調査をしたい」と言ったのですが、その度に会議が打ち切られるのです。そして日本に戻ってきて、外務省に行ったときに、外務省の人に「あの国で世論調査をするとは、お前は捕まりたいのか」と言われました。だけど、どうしても世論調査をしたかったのです。つまり、国民が考えていることを知らないのに対話をすることは出来ないと思っていたからです。そして何とか世論調査は実現するのですが、この共同世論調査の結果にメディアは非常にびっくりしたのです。それが今と同じなのですが、つまり中国国民はほとんど日本のことを知らないのです。今でも日本の国が軍国主義だと思っている中国人は半分いるし、日本のODAなんて誰も知らない。
 それから日本に報道の自由があることさえ知らないのです。これは何でだろうと。つまりデモがあって、政府間関係が悪化するので、非常に大変だ、大変だとなっていましたが、土台の国民間の基本的な理解さえ非常に脆弱なのです。そういう状況に日中はあるということをまず認識しないといけない。このフォーラムはこれまで6回継続して対話をして、かなり本気の議論が出来てきました。つまり信頼関係がその中でできてきて、きちんとした議論が出来てきたのです。中国という国はちゃんと議論を重ねて信頼関係が増していくということはありますが、ただ国民がまだまだお互いを知らないのです。その中で、今回のように領土問題、それから政府の外交における対応のまずさがでてくると、国民の相互理解が悪化しているためにどんどん悪くなっていくのです。なので、これは政治だけではなく民間も含めて本当の対話をしていく必要があると思います。
 僕たちは嫌だからといって「ひょっこりひょうたん島」のように移動することは出来ませんから、やはり中国と向かい合わないといけないのです。これはいい機会だと思っています。


谷内: 今後具体的にやっていくとすればどういったことですか。


大事なのは中国という国とどうつきあうか

工藤: まず2つあります。今回の事例で感じたのは、日本の政治は中国とあまりパイプがないということです。パイプがあれば表面的にいろいろなことがあっても根回しができるじゃないですか。しかし多分それをやった人はいなくて、東アジア共同体とか、小沢さんの訪中とかありましたが、意外に今回の逮捕や留置などのプロセスで政治がきちんと対応していないのです。それは逆に言えば、日本の政治にアジアとか未来に向かって、どういう風に交渉していくかというスタンスが決まっていないような気がします。この問題は僕たちの民間対話でもよく話題になります。その問題は政治レベルで解決しなければいけませんが、もう1つ大きいことは国民がこの中国をどう理解するかです。2005年から、中国に何度も行くようになって,多くの中国人と話し合いました。お互い、違いはいろいろありますが、一緒にプロジェクトなどをしていると信頼も生まれます。
 そのプロセスでは何度も悩みましたが、これから日本人も中国という違いに直面していくと思います。でも違いがあるから嫌だと思えば口もききたくなくなりますが、しかし一緒にこういうことが出来るな、と思えば中国人もかなり有能なのです。
 例えば議論作りにおいても、中国の人は演説が長いのですが、発言時間は短くしようとか、こうしようとか提案してくるのです。やはり1つのミッションとかに向かって何かをしようとなれば中国人も本当にやろうという意思を持つのです。
 中国はすごく縦割りの官僚制度の国で、誰かに話しても自分の責任を回避する傾向が強いのですが、しかし嫌なことはあっても、結局アジアのためにとか日中が世界の中で貢献するために何をすべきか、ということになれば、彼らも本当に真剣に議論するのです。こうした経験がとても貴重だと思います。今では秋葉原に中国の人がどんどん買い物に来たり、温泉に行ったりとかしていますが、何かあれば直ぐにデモになってしまうのです。こうした問題をどう理解するのか、ということなのです。国民レベルで隣人として一緒にやっていくと考えることが出来るかどうかです。民間の交流が大切なのはそのためです。お互いを知り,違いを認めないと,何も始まらないのです。


谷内: 最近日本に来る中国人の観光客の方って多いじゃないですか。そういう方って中国に戻って「日本ってこういう国だったよ」とか互いに話したりはしないのですか。


日本のマンガはすばらしい

工藤: 話していますよ。昨年の大連での僕たちのフォーラムでまさにそういう議論になりました。日本と中国のメディアが喧嘩になりました。メディア同士って本当に喧嘩をするのです。つまり日本は「自由」とか譲れないところがあって、一方、中国のメディアは逆に「日本のメディアは自由だとか言うけど、何で新聞の1面はいつも同じなのか」とか言うのですよ。そしたら会場からすごく面白い議論が出て、中国の女性で何回か日本に来て勉強をして、大連でボランティアをしていたそうですが、その人が言ったことは感動的でした。
 日本に訪問した際に、電車で中年の人が漫画を見ていて、「なんてアホな国なのか」、と思っていたそうですが、実際自分が家で読んでみると「すばらしい」と。こんなすばらしい大衆文化が日本にはあるのかと思ったそうです。やはり行ってみないと分からない、こんなすばらしい文化を作っている日本はすばらしい、そんなことを会場で言うのですよ。それで拍手が出たりして。また、一昨年あたりに日本のメディアが拉致されて暴行されたときに、逆に会場の中国人から中国のメディアのパネラーに「暴行があったがどういうことなのか」とか質問が飛ぶのです。
 だから日本に住んだり、日本で学んだり友達がいたり、日本人も中国に行って友達ができたら全く相手国に対する印象が変わると思います。世論調査を見ると日本に行った経験とか友達がいる人は数パーセントしかいないのですよ。ほとんどは相手のことを直接知らないのです。彼らの相手国の認識は自国のメディアなのですよ。中国に行けば抗日戦争のドラマばかりやっています。日本も時代劇とか一時期そういった感じがあったではないですか。するとあればかり見ていると、今でも日本には軍服を着た人がいるのではないかとか。だからメディアの役割は非常に大事なのです。餃子事件のときに中国の餃子が不安だとか、また日本人がそういうことを悩んでいるということを中国メディアが伝えれば、中国の人も日本人はそういうことについて悩んでいるのかと分かるじゃないですか。相互交流が劣っている分、間接情報に頼っていて、今回のように何かあったときに、過熱してしまうのです。
 メディアの役割が大事で、根底にあるのは互いの交流が不足しているということです。だから、これまで6年間やっていて話せば分かることは結構あるのです。現象だけを見ていると、付き合えないと感じますが、やはり国民が違いも直視していくべきで、これは避けられない運命でもあるのです。こういったことを考える段階に日本人はきているのです。つまり、「あの中国とどうつきかうか」を考えないといけない。


谷内: 今回SMAPのコンサートも延期ですが、残念ですね。


工藤: 中国に日本のよい音楽が伝わらないのは残念ですね。しかし中国人はよく日本のテレビを見ています。谷村新司とか、真田広之とか。しかし認識が古いのです。僕が日本の誰を知っているかと聞いたら、「山口百恵の赤いシリーズ」とか。まだそんな認識なんです。やはりSMAPとかが行かないと、ね。まあ山口百恵も僕の青春のバイブルですが、まだまだ交流が足りないのではないかと思います。

(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)


投稿者 genron-npo : 15:37 | コメント (0)