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2013年1月 1日

マニフェストをいかに読み解くか 言論NPOはそのための情報を発信しています

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マニフェストをいかに読み解くか
言論NPOはそのための情報を発信しています

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO理事)


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マニフェスト評価と実績評価

田中:工藤さん、こんばんは。あさって公示ということで、言論NPOの工藤さん、そしてスタッフの皆さん、佳境に達していると思うのですが、今、何をされているのですか。

工藤:今は、マニフェスト評価の作業をするために、みんな徹夜状態です。12党になってしまったので、そのマニフェストの評価、田中さんも含めて評価委員の方にやっていただいているところもあるのですが、それを私たちがきちんと検証して評価をまとめるという作業をやっています。同時に、自民党と民主党に関しては、マニフェストが非常に分かりにくいので、この前まで4人の政治家に突撃で話を聞きに行って、マニフェストを読み解くためにも必要な議論をぶつけていますので、これも近く全部、公開します。あと、いろいろな形で、複雑なマニフェストを読み解くための専門家の意見を公開して、有権者が今回の選挙できちんと判断できるような仕組みを作るための情報提供に毎日取り組んでいます。

田中:マニフェストの評価という前に、民主党の実績評価というのも主要な分野ですよね。

工藤:そうですね。その前に一つ言わなければいけないのは、私たちは2003年からマニフェスト評価と実績評価をやっています。選挙になると、いろいろな団体が評価しますが、この前の選挙では民主党にかなり高い評価をする団体が多かったのです。言論NPOはその時も非常に低い評価をしました。それは、私たちの評価基準に基づいてきちんと評価をしているので、今回もそれがどうだったのかということを有権者に伝えないといけないということで、民主党の実績評価を公開したのです。今、採点表とその理由に関してはインターネットで全てオープンにしていますし、あと部門別に、10分野くらいですね、田中先生がやっている市民社会も含めて、近日中に全て公開することになります。実績評価をすることによって、今度のマニフェストでは政党は何を課題解決として出さないといけないのか、ということをはっきりとさせるためにやっているので、今やっているマニフェスト評価と実績評価を組み合わせて読んでいただければ、選挙のときもいろんな形で判断できるのではないかと思っています。

田中:実績評価について少しだけ補足しますと、全部で167項目ですよね?

工藤:そうですね、あと5原則という政権運営の原則がありますが、それも全部評価しました。

田中:それにこの間は、毎日新聞と実績評価を2面使って公開されましたね

工藤:そうですね、私たちが評価をやった上で、やはり日本のメディアがそういう評価に取り組むということは大事なので、共同でやりました。採点は毎日新聞との合同でも5点満点で2.2点ということなのですが、言論NPOは言論NPOとして既に評価をやっていますので、それも併せて見ていただければと思います。

田中:そうしますと、現政権の実績評価、そしてこれからの選挙に向けての12党のマニフェスト評価、そして主要な政党については、大事な政策について政治家にインタビューをしてそれを公開する、そして各政策の専門家に、今回のマニフェストを読み解くポイントをインタビューして公開されているということですね。

工藤:そういうことですね。

田中:ただ、少しだけ厳しいことを言いますと、言論NPOの発表する評価書は、確かに非常にクオリティは高いのですが、難解だという意見もあります。このあたりは、何か工夫はされていますか。


政党間の違いがわかる6つの基準

工藤:まさにその通りで、ただ今回、一番私たちが困ったのは、マニフェストそのものがかなり形骸化してしまったわけですね。つまり、例えば、できないことを書いているのが問題だから、できることだけを書くべきだ、という党首がいました。だけどそれは間違いで、やらなければいけないことを書くべきであって、できることを書くのだったら誰でもできる。それから、有権者に批判をされたら困るので、できるだけ中長朝的に書きたい、だいたいそのような形になってしまったわけです。ですから、その内容を読み解くということになると、その背後まで読み解かないとなかなか分からないのですね。

 ただ、ある側面からみると、非常に明確に、今回の政党間の違いが分かるものがあるのです。それは、政権公約そのものの書き方・書かれ方、それを6つの基準でチェックしているのです。まず基礎的に、各政党の公約を、有権者への約束として読み解くための違いを明らかにし、その上で言論NPOがやっている専門的な評価と連動して、詳しく知りたい人はそれを読んでもらう、という形の2段階でいけないかな、と思っているところです。

田中:確かに、あいまい、抽象的にしてしまう、それから非常にハードルを下げてできることだけ書く、というのは、他の評価でもよくあることなのですが、少しだけ、その6つの基準を教えていただけますか。

工藤:これはあるテレビの人に、私たちの評価基準は非常に難しくて視聴者には分かりにくい、と言われたので私たちも考えたのですが、このマニフェストというものを「国民との約束」として考えているのか、ということですね。マニフェストは12党全部出揃っていていろいろな違いがあるのですが、表紙に「国民との約束」という文言、それから「マニフェスト」と書いているのはどこの党なのか、全く書いていないのはどこか、と明確に分かれてしまうわけです。

田中:マニフェストという言葉をやめてしまった党もありますからね。


党首の顔が載っている 載っていない?

工藤: やめたのは、民主党のマニフェストがあまりにひどいので、もうマニフェストを書きたくないという政党もありましたが、しかしその党は「国民との約束」と書いているのです。その「約束」とか「マニフェスト」と書いているのが、12党のうち5党あったのですよ。

 それから、面白いことに、政党の党首の顔をマニフェストに載せているところ、載せていないところと、はっきり分かれたのですね。党首の顔を載せているということは、よく考えてみると、党のガバナンスがきちんと機能していることと言えるわけですね。出せないところは、結果として誰が党首なのか分からなかったり、党首になった人と現場の人との意見が違ったり、公示直前なのに意見がまとまっていないところなのですね。こういう形で、党のまとまりがきちんとしていない党を選んでしまうと、この前の民主党もそうなのですが、やっても結局、党内で反対したり、やめてしまう。これではマニフェストとして体をなさないだろう、と。だから、極端な話かもしれないですが、党のガバナンスの度合いを測る指標としては意外におかしくない。

 そして、メッセージがきちんと国民に伝えられているか。

 表紙に「約束」、「マニフェスト」という文字があるか、党首の顔写真があるか、それから具体的なメッセージがあるか、ということだけでも全然、違うわけですよ。

 言論NPOの評価は一つ一つの言葉の裏側も全部、判断しますが、3つの基準でペラペラ眺めるだけでも分かるのですね。

田中:具体的なメッセージは、現政権の批判ばかり書いてあるものもありますが、これをメッセージとは言わないということですね。


政党の本気度を見抜く法

工藤:完璧なメッセージは残念ながらあまりありませんでした。けれども、例えば「日本をこうします」という形ですね。自分たちの意見をきちんとするという形を選んでいるようなところは、メッセージ力が強いと判断せざるを得ないわけです。だからそういうところをまず見てほしい。全くメッセージが書いていないところもあるわけですから。

 まず、電話帳のような政権公約はもうダメだ、と。それは党内で課題解決の課題を絞り込めていない。

 今度は、その絞り込んだ課題が、今、日本が直面している課題と見合っているか。私たちは既に、有識者2000人へのアンケートを通して、日本の課題は6つあると提案しています。原発を含めたエネルギー、経済成長、社会保障、財政再建、外交・安全保障、そして国会改革や定数是正のような民主主義の有様。政党がそういうところにきちんと絞り込んでいるか、というところを見ました。

 そして最後に、正直に、今、日本が抱えている課題を説明できているか。読み込まなくても基本的に分かります。こんな大変な時でも、何でもばらまいてサービスだけを提案しているところもありますし、税金を含めた負担というものに関して、少しは触れているところと全く触れていないところもある。中身から見る本気度という点であれば、絞り込んでいるか、絞り込んでいるものが課題に向かい合っているか、これは誠実だということですね。あと正直さ、これは、マニフェストを読めばすぐ分かってしまいます。

 ただ、これだけでは当然足りないので、その後、正直度が課題解決としてどうなのか、といったことは評価の体系になるので、言論NPOのサイトをぜひ読んでいただきたいのです。そこまでいかなくとも、この6つで政党がかなり明確に分けられてしまいます。マニフェストがどうだとかいろいろな議論はあっても、しっかりとしたものを書かない限り、国民に向かい合った約束とは言えないということがはっきり示されるわけですよ。ひょっとしたら、ここからスタートしてもいいのではないか、と私は思っているのです。

田中:なるほど。やはり党の考え方がはっきり定まっていれば、それはきちんと公約なりマニフェストの形に表れてくるのではないか、逆に定まっていなければマニフェストもあやふやになってくる、ということですね。

工藤:そう、スローガンになったり、自分の言いたいことだけを言って、何も具体的ではない、となってしまう。つまり、国民にどれくらい本気で向かい合っているか、それだけでもやはり政党を判断できるな、と私は思うのですね。

田中:わかりました。非常に分かりやすいチェックポイントを教えていただきました。私もその目でもう一回見直してみたいと思います。ありがとうございました。



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投稿者 genron-npo : 00:00 | コメント (0)

新しい年、日本に変化をつくり出せるのは私たち有権者

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新しい年、
日本に変化をつくり出せるのは
私たち有権者

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO理事)


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※テキスト部分は、一部加筆しています。


田中:工藤さん、あけましておめでとうございます。
工藤:おめでとうございます。
田中:早速お伺いしたいのですが、今年は何が大事になりますか。
工藤:日本に本当の変化を作り出すこと、が大事だと思っています。
田中:どんな変化ですか。
工藤:有権者が主体となる民主主義というものを日本の中で機能させなくてはいけないと思っています。そのための取り組みを進めなくてはと、私は思っているわけです。
田中:では、どうしたらということに絡めてなのですが、昨年末に大きな選挙が行われ、その結果、政権交代が行われました。しかし、何か私たち有権者はすっきり腑に落ちていないところがあるのですが、その問題と関係はあるのでしょうか。


有権者主体の政治はすでに始まっている

工藤:あると思います。実は、有権者が主体になる政治に向けての動きというのは、すでに日本で始まっているのです。4年前に民主党政権ができたのもそうでした。

 しかし、彼らは有権者に向かい合う政治、そして課題に対して取り組む政治を作ることができなくて、逆に政党政治そのものの脆さ(もろさ)を表に出して自滅してしまったのです。
 だから、私たちは既に変化の過程にいる、と考えるべきだと思います。

 震災がおこり、原発の問題がありました。高齢者が増え続ける中で社会保障の仕組みが持続可能ではない、こともはっきりとわかり始めた。多くの人がそれを自分の生活の中で気づき始めた時に変化は始まったのです。

 自分たちの身は、自分たちで守らないといけない、自分たちの将来は自分で考えないといけない、と。そう考えた時に、「政治」は自分たちの遠くにあるものではない、ということに多くの人が気づき始めたのです。

 ただ、政党政治はその国民の課題や気づきに対してまだ向き合っていない。だから、自分たちの政党を守るために、ある意味で国民の不安を利用して、政党を作ってそのあと分裂するとか、有権者になぜ説明しなくてはいけないのか、とか開き直る政党まで出てしまったのです。その結果、有権者は結局、政党として比較的まとまっているところ、安定しているところを選んだわけです。

 多くの政党も言葉は勇ましかったが、これからの日本の未来に向けての課題について、プランを提案したわけでもない。だから、有権者は未来を選択したわけではないのです。むしろ、それができなかったから投票率も下がったのです。

 だとすれば、新年、まさに有権者と政党政治というものがもう一度向かい合うような状況をつくっていかないといけない。その一つの機会が参議院選挙だと思います。

 有権者レベルでの大きな変化は既に始まっているわけですから、政党政治というものがそれと見合っていかないといけない、つまり政治が本当に変わるための、プロセスだと今を見たほうがいい、と私は思います。
 
田中:なるほど。私たちが何かすっきりしないと思っているのは、まさに私たちの中で起こっている自分たちの課題を解決しようという大きなエネルギーを、まだ政治側がよく理解できていなくて、しかもそれをアクションに起こしていないということですね。


有権者が政治家に求めているのは、課題を解決するための仕事力

工藤:少なくとも私たち言論NPOがこの間、マニフェスト評価を含めてやってきた過去8年間の中で得た答えというのは、有権者と向かい合わない政治とか、課題に向かい合わない政治というのは必ず失敗するのです。

 なぜかというと、政党の都合が政治の中心にあるのではなくて、「課題」が中心だからです。どんなに政党がいろいろ夢を語っても、課題の解決から逃げることはできない。

 にも関わらず、政党が自分の組織の中で意見の集約もできず、組織も政治家の寄せ集めのような状況では、その政党を政党として信頼することもできない。

 日本の政党政治はその程度の状況だということを多くの人は知ってしまったのです。

 それに対して、自公政権は、今までの経験があったために、少なくとも他の党よりは政権運営能力がある。それをまず見たのだと思います。しかし、この国が直面する課題解決に対して、彼らたちが方法を提起しているわけではありません。こうした問題は、まさに今年これから問われ始めるというように私は思います。

田中:なるほど。しかし、私たち有権者はその課題解決に対して、前よりも関心を持っているし、その動きもありながら、なぜ政党は私たちに向かい合わなかったのでしょう。


政治家に騙されないためにも、白紙委任するべきではない

工藤:それは有権者がまだ本当の意味で怖くないからです。この前も結局は投票率が低かったわけです。

 私も政治家とよく話をするのですが、政治家側から見える有権者の姿は、何かサービスしてほしいというものだというのです。しかし、本当に怖い姿は、仕事を迫る有権者の声なのです。たとえば、日本の将来に対する課題に対して答えを出してくれとか、あなたたちの答えは答えになっていないとか、厳しい視線で見ていれば政治はそれに向かい合わないといけない。政治と有権者との関係はそういうものでなくてはならない、と僕は思うのです。前の選挙では、あまりにも前政権がひどいのでそれを言い訳にできましたが、今度はそういうことにしてはいけないのです。

 有権者は、課題というものにすでに気づいている、のです。それに対して答えを曖昧にする、そうした政治を許してはいけないのです、

 そうした関係ができることが、本当の変化なのです。そうした変化が始まれば、日本の政党も政策軸に動き始め、未来に対する競争が始まるでしょう。それは、日本の政党政治を立て直すことにもなるのです。

 新年は、そうした本当の変化に向けての動きを始めなくてはなりません。つまり、これからが本当のスタートなのです。

 有権者も、もう政治に騙されてはいけない。だからこそ、有権者は政治に白紙委任すべきではない、と私は思っているのです。

田中:今、政治家と有権者の間の緊張関係ということをおっしゃってくださいました。主として、政治側の課題についてお話いただきましたが、緊張関係を持たせるためには有権者側も努力しなければいけないのではないかと思います。如何でしょうか。


冷静に問題を見る目を養い、判断するための材料を提供していく

工藤:多分、有権者は今気づいた段階なのです。僕もすべての問題を知っているわけではありませんが、今までのシステムなり、色んな構造が成り立たないだろう、持続可能ではないだろう、ということに気付いたわけです。であれば、それをどういうふうに解決するのだろうか。その時に、勇ましい声だけに反応するのではなくて、冷静にこの問題はどういうふうに考えればいいのか、ということをまず有権者側も考えないといけないタイミングなのです。

 本当のことをいうと、日本のメディアなり、大学なり、言論というものに携わっている仕組みが有権者に対して本気にならないといけない局面なのですが、力不足というか、そういう状況になっていないわけです。むしろ勇ましい声に引きずられていくような、ポピュリズム型の状況になってきている。

 だからこそ言論の役割が私たちにも問われているように思っているのです。ちょっと待てと、やはり冷静に考えようと。少なくともプランをきちんと判断できる目を身に付けないといけない。私たちが新年、取り組もうとしているのはまさにそうした議論なのです。そうした議論に多くに人に参加していただき、政治にも直接提案する。そういう流れを作っていきたいのです。

 言論NPOが昨年9月から始めた「私たちは政治家に白紙委任はしない」という呼びかけに対する賛同はようやく2000人近くになってきたところです。しかし、同じ思いを持っている人たちは確実にいる。この賛同の輪は今後広がっていく可能性があるし、それをどうしても広げていかなくてはいけない。こくした声が大きくなることで、有権者側にある変化は、目に見える変化に変わると思うからです。

田中:まさに、有権者が自分で判断するためには、きちんとした情報とそれを判断する知恵が必要で、その場を言論NPOが提供してくださるということでしょうか。


この国の未来を決めるのは私たち有権者

工藤:そうです。ただ、議論の場をつくるだけではなくて、もう1つ私たちがやっているのは、課題に対する取り組みも、政府だけに依存しない、ということなのです。

 私は、この1月、2月、3月は海外に出かけることが多くなります。中国や韓国、アメリカに行ったりして、民間としての外交ということに取り組むことになっています。

 日本の課題解決というのは日本国内の問題だけではなくて、海外の問題も大きなものであり、それが内政に響いてきています。こうした外交という問題に、言論NPOは民間のトラック2というものを作って対話を進めています。

 これは外交だけに限らないのですが、市民なり有権者が、自分ができることに関して、積極的に社会に参加していくような流れがいま確実に始まっているのです。つまり、有権者が自分で考えて選挙で選ぶだけではなくて、社会の問題に対して自分たちも参加していく。そういう流れがさらに大きくなったときに本当に強い民主主義と市民社会がこの国にできると思うわけです。

 本当の変化というのは、実はこうした流れのことなのです。新年こそ、こうした目に見える変化を始める局面だと私は思います。言論NPOはそのための議論のプラットフォームと具体的な行動に、今年は本気で取り組むつもりです。

田中:まさに議論と実践とそしてそこで自信をつけていくということですね。

工藤:そうです。この国の未来を決めるのは、有権者であり、つまり、僕たちが主役なのです。そういうことを新年、皆さんにも感じて、考えて頂ければと思います。

田中:はい、楽しみにしております。ありがとうございました。



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投稿者 genron-npo : 00:00 | コメント (0)