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2013年10月31日

民間外交の視点から見た民主主義と市民社会の重要性

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民間外交の視点から見た
民主主義と市民社会の重要性

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO理事)

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田中:工藤さん、北京からおかえりなさい。日中関係が厳しい状況の中、開催を2カ月延期するなど、紆余曲折がありながらも「東京-北京フォーラム」が無事閉幕しました。このフォーラムでセンセーショナルだったのは不戦宣言、つまり、日本と中国の間で戦争をしないということを合意した「北京コンセンサス」であると思いますが、これはどのようなものなのか、説明していただけますか。


なぜ「北京コンセンサス」が必要だったのか

工藤:本来、領土のような主権を争う問題というのは、政府間外交が取り組むべき領域の問題です。しかし、主権を争う問題の場合、相手国に対して妥協することは容易ではなく、問題の解決を急げば急ぐほど、国民のナショナリズムを刺激して、結果として政府外交を身動きの取れないものにしてしまいます。

一方、日中両国の国民感情は悪化したままですから、何か偶発的な事故が起こった時に国民感情がさらにエスカレートしてしまう、という非常に危険な状況が続いています。そこで、政府間外交が動けない状況にあるのであれば、民間はとしては何をすればいいのだろうか、ということが私たちの問題意識だったわけです。

ここで私たちが考えたのは、2つあります。一つは、日中の民間レベルで冷静な議論を始めるためのきっかけを作ることです。領土問題のように頭に血が上りやすい議論をしていると、全体的な事態解決の方向性が見えなくなる。だから、民間レベルに冷静な議論を起こすためのきっかけを作りたかったのです。

もう一つ、現在の東シナ海では、こうして政府間外交が止まっている間にも毎日のように、日中両国の船舶同士が異常接近を繰り返しています。そのような状況の中、現場レベルの自制心で何とか危うい均衡を維持している、という構造がずっと続いています。したがって、たった一発の銃声でその均衡が崩れ、軍事衝突になる可能性があるのです。しかも、国民感情が過熱し続ける中で、まさに本格的な紛争に発展してしまう、という危険性がある。では、そのような事態への発展を誰が止めるのか、というところにも私たちの問題意識はあるわけです。

この状況を変えるため、私は日中間で「不戦の約束」をしたらどうか、と考えたのです。つまり、「どんなことがあっても戦争に道を開くような、全ての手段に対して我々は反対する」、ということだったのです。つまり、国民レベルで「不戦」という基本的な認識を共通化することが大事なのです。

民間の人たちがそのような意識を持つと、それが両国の世論になり、国際的な輿論にも具体的なメッセージとなる。そうした環境の中で日中両国が外交上、最優先で考えなければならない論点が、もっと明確になるのではないか、と思ったのです。

政府間外交と民間外交は別に対立関係にあるわけではありません。むしろ、政府間外交がきちんと機能しなければ、政府間の交渉が動けるような環境作りをしていくことも、民間の役割だと思うのです。そのためには今回の「北京コンセンサス」がどうしても必要でした。それで私は、北京に到着した時からずっとそのコンセンサス作りにかかりきりでした。中国側と何回も議論をしました。表舞台では様々な対話が行われていましたが、舞台裏ではずっとこの「北京コンセンサス」を作るためだけの協議を行っていたのです。一時は断念しかけましたが、公表の4時間前くらいという、本当に最後の最後で、合意に至ったわけです。明石康さん、宮本雄二さん、武藤敏郎さんという「東京-北京フォーラム」の実行委員長と副委員長に、明け方まで付き合っていただいて、このコンセンサスの文面を本当にぎりぎりでまとめました。大変な苦労がありましたが、この歴史的な意義のある「北京コンセンサス」をまとめられて本当に良かったと思っています。

田中:通常、戦争というのは国家対国家で行われるものですから、不戦宣言を出す主体も国家、政府になると思うのですが、工藤さんたちがおっしゃっている不戦宣言の主体はまさに民間のことなのですね。


民間が「当事者」として考えていくことが大切

工藤:そうですね。国民、市民というまさに「民」です。その民の人たちがまず、「戦争をしない」という合意をしたということです。

今回のフォーラムでは日本、中国ともに約30人ずつのパネリストが出席しましたが、その議論を見守る聴衆も延べで3000人近い人が集まりました。さらに、裏方でも約300人がボランティアなどでこのフォーラムを支えていました。日中関係がとても神経質な状況下において、しかも北京開催にもかかわらず、それほど大勢の人たちが集まったわけです。そういう人たちの前で、この「北京コンセンサス」を発表し、日中両国だけではなく世界に向けて発信したのです。つまり、このコンセンサスは、世界に対するメッセージでもあるわけです。

私たちはこのコンセンサスを世に出すことで、色々な人たちにこの意味について考えて欲しい、と願っています。そして、日本と中国の国民レベルで、「戦争は絶対にしない」、という共通認識が形成されていく。そして、世界でも東アジア地域で絶対に紛争を起こしてはならない、ということが世論になっていく。そういう状況になることによって、この東アジアの色々な深刻な問題の解決の糸口を見つけ出すことができるようになると思っています。

田中:私たちが当事者として考えていく必要があるわけですね。

さて、フォーラムの様子についても詳しく教えていただきたいと思います。


世界が直面している課題を解決できるのは、個人の当事者としての意識

工藤:私が対話の前に、色々な中国側関係者と話をして驚いたのは、彼らがフォーラム開催に非常に神経質になっていたことです。つまり、この対話を本当に実現できるかどうか危うい状況だったのです。8月に予定されていたフォーラムが延期となり、この10月も、靖国神社の秋の例大祭に関する閣僚等の参拝に関する様々な報道があり、本当にどうなってしまうのだろう、と思うような状況でした。

しかし、このフォーラムは困難を対話の力で乗り越えようと、8年前に誕生したのです。だから、どうしても私はこの対話を実現させたかった。逆に、もし第9回フォーラムの開催が実現しなければ、この「東京-北京フォーラム」自体が終わってしまうだろう、と中国側に言われたぐらい、私たちは神経質になっていました。

フォーラム開催前、会場のホテルの部屋に入って窓の外を見てみたら、中国の外交部が100メートル先に見えました。中国の外交部から目と鼻の先にあるホテルの会場で、尖閣問題(中国側で言えば釣魚島)、安全保障、政治、経済、そしてメディアに関する議論が、テレビカメラが見守っている中で、公開で議論が行われるわけです。つまり、こんな対話が行われること自体が奇跡なのでは、と思いました。

そのような状況ですから、日本側・中国側のパネリストの方々も、皆さん緊張していました。今回の対話の位置づけや意味を、それぞれに考えて対話に臨んでいました。そこでは、素晴らしい発言がたくさんありました。これらはすべて言論NPOのサイトで公開していますから、ぜひ見ていただきたいです。

田中:先程、聴衆が延べで約3000人、ボランティアが約300人とおっしゃいましたが、どのような人々が集まっていたのでしょうか。

工藤:まず、日本側だけでも中国に留学して勉強されている学生の方々がボランティアとして70人くらい参加してくれました。また、中国側でも同じくらい若い年代の人たちがボランティアとしてたくさん集まってくれました。私は政治対話で発言したのですが、この政治対話の分科会には大体300人の聴衆が集まったのですが、そのうちの大体200人が若者でした。

参加者全体でみても、1日目の全体会議で大体800人の参加者が集まりました。今までのフォーラムでは、参加者は多くても500から600人程度だったので、大幅な増加です。また、開催地が北京であったにもかかわらず、日本側からも230人程が参加しました。

私と同席した日中友好協会会長の加藤紘一さんは「東京-北京フォーラム」にこんなにも多くの人が集まったのを見て、「本当に日中関係は危機的な状況なのか」、と驚いていましたが、私は逆だと思っていて、日中間が危機的な状況だからこそこれだけ多くの人々が集まったのだと思っています。

このように熱気溢れる雰囲気の中、全体会議や各分科会で議論が行われ、最終的に「北京コンセンサス」を出すことができました。コンセンサス発表後、多くのメディアの方たちとも話し合ったのですが、「久しぶりに心にこみ上げてきた」ということを皆さん言っていました。それを見て私が実感したことは、世界の様々な状況を変えるのは、個人であり、当事者としての意識なのではないか、ということでした。つまり、個人個人の「こうしてはいられない」という意識や、「様々な問題に対して、自分たちができる限り参加することが必要なのだ」、という意識に基づいた動きなのではないか、と思ったのです。このような動きは世界でもどんどん始まっているし、今回の対話で、日中間が非常に神経質な状況にもかかわらず、これほど多くの人が参加した、という事実にも、この流れが体現されていると思います。

田中:そんなにたくさんの方たちが集まったのですね。しかし、本来であれば8月開催予定のものが延期されたわけですから、今回の開催にこぎつけるまでは相当な苦労があったのではないでしょうか。

工藤:私も言論NPOのスタッフも疲労の極致でした。ここでもしもう一度延期をしたら、言論NPOはつぶれるのではないか、と思うほど大変でした。しかし、何としても言論NPOが北京に行って、今の事態を打開する一歩を踏み出さないと、私たちがこれまでやってきたことがすべて無駄になってしまう、とさえ思いました。フォーラム開催に向けた交渉の際には、「こんな対話の枠組みを作っただけでも工藤さんは大変なことをやった、だからもういいよ、無理するな」、というような言葉をもらったりもして、私も一時期そういう慰めに、心が揺れて諦めかけたこともありました。しかしやはり、最後の最後で「コンセンサスを出さなければならない」と思い直して、頑張りました。

田中:今のフォーラム、そして工藤さんの当事者性に関するお話を聞きますと、外交というものは、普通は政府対政府、首脳対首脳、というもので、私たち市民からは非常に遠いところにあると思っていたのですが、それが個人のレベルにまで降りてきている現象が起こっているのではないかと感じました。これは、外交のコンセプトが大きく変わってきているということでしょうか。


「民間外交」の役割は、「政府間外交」の土台づくり

工藤:中国大使を務められた宮本雄二さんがおっしゃっていたのは、「外交を政府だけでやる時代はもう終わったということを、大使を務めていた時に実感した」、ということです。政府間の外交交渉も、世論の動向を無視できなくなったからです。

世論が荒れてきて、言説が勇ましくなればなるほど、政府間交渉の動きが制約されてしまいます。世論の存在、盛り上がりに色々な人たちが影響を受けてしまう状況になってしまうのです。だから、外交というものが本当に機能するためには、健全な「輿論」というものをつくっていく民間での取り組みがきわめて重要になってきます。

実はこれは、私がアメリカの外交問題評議会が主催する国際会議に参加していても感じることであり、世界で起こっている動きと連動していることなのです。政府間で交渉に臨んでもコミュニケーションを取ることや、コンセンサスを得ることが非常に難しくなっています。地球温暖化や東アジアの秩序作りなどが一例ですが、課題解決は国家間だけの合意では難しい。しかし、世界的な課題はどんどん深刻化しているというような状況が生まれつつあります。そうなると、その課題解決を誰がやるのだ、という話になります。その答えは、「ステークホルダー」、つまり当事者である、というようなことが国際社会でも言われるようになってきているのです。研究者、ジャーナリスト、企業経営者、そして政府関係者など、様々な人たちが専門家として、そして当事者として課題解決に参加していく、という取り組みです。

その上で、その取り組みの中に政府も入ってくる。あるいは、政府がそのプロセスで得られたコンセンサスを利用する、というようなことが起これば、当事者によるコンセンサスがより実効性のあるものになっていくと思います。

ただ、東アジアの問題、特に尖閣諸島の問題は、そのような当事者同士の対話にとっても、非常に難しい問題です。なぜなら、領土問題は、政府と同様に、両国民にとっても、譲れない事柄だからです。しかし、領土問題をきっかけとして戦争になったらどうしようもありませんから、誰かがこの問題に取り組まないといけないわけです。世論が冷静になればなるほど、政府間交渉がやりやすくなると思います。昔、鄧小平が尖閣諸島の問題の解決を、「次世代の人たちの知恵に委ねたい」と言ったのは、新しい知恵を出すためには冷静に考えられる環境がないと無理だ、と見極めた上での発言だったのだろうと思います。したがって、政府間外交を機能させるための冷静な環境をつくるしかない、そして、そのためには民間の中からこの問題を冷静に考えよう、という動きがどうしても出てくる必要があったのです。今の時代の外交は、そのような政府と民間の合わせ技の中で機能していく、という新しい段階に来ているわけですから、民間の外交というものの果たす役割が非常に重要な局面になってきています。

田中:今のお話で、民間外交と、政府間外交は決して対峙するものではなく、ある種補完をし合う関係でもあるということが分かりました。

もう一つ、最後にお聞きしたいのですが、今工藤さんがおっしゃったような民間の外交というのは誰しもできるわけではないと思います。今回これを可能にした成立条件とはなんだったのでしょうか。


「民間外交」の取り組みは、「強い民主主義」と「強い市民社会」をつくり出すプロセス

工藤:私がこの対話に臨むにあたり、一貫して中国側にも主張し続けた原則は、「政府の言葉は絶対使わないこと」です。政府は外交交渉の際、色々と折り合いをつけるための言葉を使いますが、私たちはそのような言葉を使うのではなく、課題に直接切り込むような言葉を使おうと思っていました。だから、政府の立場や、これまでの政府間交渉の過程があるとしても、この対話でそれを代弁することは絶対にしないようにしよう、ということを私はかなり主張しました。

この原則を順守すれば、私たちの取り組みは、民間としてある意味で政府とは同じようなことをやっていて、連携もしているのだけれども、少なくとも距離は置いている、という位置づけになります。そのような位置づけで取り組んでいくならば、中立・独立という形の展開が極めて重要だし、その取り組みは、世論の支持を得ることができるような市民に開かれている取り組みでなければならない、ということになります。つまり、私たちが目指している取り組みは、田中さんのご専門でもある市民社会の動きでもあるということなのです。私が今回のフォーラムで感じたことは、私たちの世論を意識した民間外交のあり方というのは、それぞれの国においては民主主義のやり方であり、市民社会のあり方そのものである、ということです。そういう意味で、私たちの民間外交の取り組みは、民主主義や市民社会が各々の国で機能しているのか、そしてそれらが国境を超えることができるのか、ということに対するチャレンジだったのではないでしょうか。

しかし、民主主義や市民社会が制約されてしまうような環境があれば、国境を越えた議論が制約されてしまうこともあります。特に、近年の日中関係では、両国の体制の違いや、ナショナリズムの加熱もあり、議論が制約されてしまう環境がありました。しかし、そのような困難な状況の中でも、当事者の人たちが合意をした、ということの意味は、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、歴史的な意味があると思います。民間のあり方が問われる中で、民間から何かの動きが始まらないと、状況を打開することは難しい、ということを多くの人たちが考え、そして社会体制の違う中国でも、協力しようという動きが出てきたということは歴史的にも大きな意義があると思います。

私たちが「東京-北京フォーラム」で取り組んでいる課題は、対話に参加した私たちだけの課題でなく、多くの市民の課題なのです。様々な人たちによって、この日中間の対立を戦争に発展させないためにどうすればいいのか、という冷静な議論が様々な分野で始まる。その議論の始まりがまさに健全な輿論形成であり、強い民主主義をつくるプロセスになるのだと私は思っています。

田中:今回の「東京-北京フォーラム」における民間外交の取り組みは、民間であり、独立・中立であり、市民に開かれたものであったからこそ成功した。そして、強い民主主義と強い市民社会があるからこそ民間外交も機能していくということですね。非常によく分かりました。また勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。

投稿者 genron-npo : 20:49 | コメント (0)

2013年10月28日

不戦の誓い、「北京コンセンサス」から始まる新たな潮流

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不戦の誓い、
「北京コンセンサス」
から始まる新たな潮流

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言論NPOの工藤です。本日28日、私たちは東京に帰ります。いろいろなメディアで報道されている通り、今回のフォーラムでは、日本と中国の間で「北京コンセンサス」を合意しました。


何とか合意できた「北京コンセンサス」

日本と中国の政府間外交が機能停止に陥っている状況の中で、私たちの民間外交がどのような役割を果たせるのか、ということがずっと問われてきました。そこで、私たちは、民間の中に冷静な議論をつくり上げ、日中の民間レベルで「両国の間に戦争を起こすようなことは絶対にしない」、ということで合意することを目指しました。

しかし実をいうと、その合意である「北京コンセンサス」も、直前になって完成を一時断念しました。「不戦宣言」という誰もが納得できるような大きな意義のある宣言も、政府間外交というフィルターを通して見ると、いろいろな問題が出てきます。例えば、尖閣諸島(釣魚島)をどう扱えばいいのか、歴史認識をどうすればいいか、など様々な問題があるわけす。そこで、コンセンサスには日中間で合意できないことは記載しない、合意できることだけを記載しようということになりましたが、その線引きの判断が最後の最後までずれ込みました。

それでも、私たちはどうしても不戦宣言を出したかった。そこで、発表の場となる最終日の全体会議が始まる深夜のぎりぎりの局面になってようやく作成作業を再開し、朝の4時までかかって文面をつくったわけです。その作業には明石康・元国連事務次長や宮本雄二元駐中国特命全権大使、それから武藤敏郎・大和総研理事長、元日銀副総裁といった皆さんが、ご高齢にもかかわらず、夜を徹して協力してくださいました。明け方まで全員で文面を何度も見直して、最終的な文章を完成させ、12時ぐらいに「北京コンセンサス」として世界に向けて公表することができました。

この宣言は、非常に大きな意義を持つものだと思います。政府間外交が機能停止している状況の中でも、尖閣周辺における緊張感ある状況を何とか管理していかなければならない。そして、軍事的な紛争の勃発など事態のエスカレーションを抑え込まなければならない、ということが、このコンセンサスに込められた私たちの気持ちです。

民間だからできた今回の対話

今回私は、メディア対話で「ジャーナリズムは戦争を抑えることができるのか」という問題提起をしました。他にも、安全保障、政治、経済と、いろいろな分科会で、今のこの日中間の緊迫した事態をどのように打開すればいいのか、という議論を繰り広げたわけです。このような対話が、中国外交部のすぐ近くのホテルで、しかもそのすべての対話にテレビカメラが入っている中、行われたのです。特に、安全保障対話では、両国の軍関係者も参加しているにもかかわらず、テレビカメラが入りました。そもそも、非常に神経質にならざるを得ない時期にこのような対話を実現できたということ自体が非常に大きな驚きでした。

当初は8月開催の予定でしたが、東京―北京フォーラムの歴史上初めて延期になり、開催が危ぶまれる中、この対話の実現に向けて、いろいろな人たちが奔走してくれて、フォーラムの開催が決まり、さらに最後の最後で「北京コンセンサス」もまとめることができた。ですから、これまで行ってきた過去9回の対話の中でもかなり達成度の高い、画期的なフォーラムになったと思います。

しかし、このコンセンサスを単なるフォーラムにおける合意に終わらせるわけにはいきません。こうした冷静な声が、それぞれの国の民間レベルの中で大きく広がっていく。さらに、国際社会、特に東アジアの不安定なガバナンスを安定化させていくためのプロセスの中で、「軍事的な紛争への発展を絶対に阻止しよう」、という声が、国際世論の中でも理解されていく、という流れを私たちは作っていかなければなりません。こうしたチャレンジは、民間だからこそできるのです。その民間としての力をこのフォーラムの対話を通じて実感しています。


多くの人たちの協力で成功した「東京-北京フォーラム」

今回のフォーラムには、日本側だけで70人ぐらいの日本の留学生や学生が、スタッフやボランティアなどの形でかかわっています。中国側の人員も同じぐらいの規模に達しています。また、日中関係がこれほど緊張感のある時に開催されたにもかかわらず、初日の対話には、800人近くの人が出席しました。それは、参加者の皆さんそれぞれが、日中関係の改善という、この深刻な状況を解消するための流れに自分たちも参加し、貢献したい、という気持ちを持っていた。だからこそ、これだけ多くの人が集まったのではないか、と感じました。そうした人々の当事者としての声がある限り、アジアの未来には非常に明るい前途があるし、今の困難な状況も何とか乗り越えられると思っています。

言論NPOでは日本に帰ってからも、課題を解決するための議論を行います。一般の多くの人々が当事者として日本の課題に挑む対話や、外交に関する対話に参加できるような仕組みを作っていきたいと思っています。

投稿者 genron-npo : 18:02 | コメント (0)

2013年10月26日

政府間外交を再び軌道に乗せる土台づくりの議論を

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政府間外交を再び軌道に乗せる土台づくりの議論を

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言論NPOの工藤です。25日にこのブログをアップする予定でしたが、日付が変わってしまい中国時間で26日の0時40分です。この時間になってもまだスタッフみんなが、今日の9時からはじまる議論の準備作業に追われています。


「北京コンセンサス」策定作業は大詰めに

さて、昨日は晩餐会を行い、この対話に参加する多くの人に来てもらい、みんなで議論しました。一方で「北京コンセンサス」発表に向け、明石康実行委員長、宮本雄二、武藤敏郎両副実行委員長と本気で議論しました。私も少し感動したのですが、民間の対話の力で今の日中関係の状況を乗り越えようという考えを共有していて、本当に実りあるものになりました。皆さん、それぞれの場で経験をされてこられた方なのですが、アジアの問題に真剣にぶつかっている一人の当事者、ステークホルダーとして今回の対話に臨むという意気込みを感じました。

私がめざしている外交の姿というのは、多くの市民が当事者として課題にぶつかり、課題解決の動きに向かい合っていくような動きが、アジアや世界の流れを変えていく、というものです。今日は、実際に、そういう風な光景を目の当りしたことは非常に嬉しかったです。また、日本側で宣言案を合意した時には、みんなで用語を一字一句チェックしていました。こうした課題に向かい合っている光景をみていると、本当に「青春」だな、という感じがしています。一方で、今回、非常に緊張感ある日中関係に向かい合っているということを改めて実感しましたし、今回のフォーラムを成功させなければいけないと決意を新たにしたところです。

そして、先程日本側からの「北京コンセンサス」の修正案を中国側に提示しました。何としても民間の対話の力で今の日中関係の危機的な状況を乗り越えたい、という気持ちは、日本側だけでなく中国側も同じです。しかし、その文面に関しては、日中間で色々な議論が行われており、今日また話し合いをすることになっています。明日27日に「北京コンセンサス」を出すことができるかどうかは、まだ予断を許さない非常に重大な局面になっています。


本音の議論がいよいよ始まる

さて、今回の対話は、26日の朝9時から始まり、全体会議に引き続いて午後からは安全保障、経済、メディア、政治の4つの分科会が行われます。全体会議については、国営ラジオ局が全面生中継を行います。日中関係が尖閣問題を含めてかなり深刻な問題を抱えている厳しい状況下で、この対話の内容を少しでも多くの人に知ってもらうための作業が始まっています。私も全体会議だけではなくて、メディア対話と政治対話で司会を行うことになっています。今ぎくしゃくしている政府間外交を、何とか再び軌道に乗せるような環境づくりのための議論を開始したいと思っています。

また、一昨日のブログでも言いましたが、昨日の晩餐会にはボランティアとして非常に多くの日本人の留学生が手伝いに来てくれました。北京なのに日本人だらけという状況で、やはり多くの若い人たちがこの対話に協力してくれているというのは非常に嬉しいことだと思っています。

今日から始まる議論は、言論NPOのホームページなどで公開していきます。日中間の課題解決に向けて本気の議論を本音でやろうと思っているので、ぜひ議論の内容をご覧いただければと思っています。また明日報告させていただきます。


投稿者 genron-npo2 : 02:47 | コメント (0)

2013年10月25日

日中間に漂う閉塞感を打破するための第一歩

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日中間に漂う閉塞感を打破するための第一歩

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北京から言論NPOの工藤です。現在、中国時間で23時15分です。今日は昼に北京に到着してからずっと、25日から始まる「東京-北京フォーラム」のために色々な準備をしていました。
今回のフォーラムは、首脳会談をはじめとする政府間交渉が停滞するなど、日中関係が厳しい局面にある中、この局面を民間の対話の力で乗り越えるために開催されます。


日中間の事態冷却のため、民間レベルでの冷静な議論を

この対話は今年で9回目になりますが、今日、中国側主催者と事前協議をしている中で、過去8回の対話と比較しても、日中関係が非常に深刻な状況にあることを改めて痛感しました。ただ、私はこの状況をどうしても民間の対話の力で乗り越えたいと思っています。
明日25日、日本側のパネリスト約30人が北京に来ますので、皆さんと相談しながらこの流れを変えたいと思っています。

今回のフォーラム開催にあたって、私が非常に苦心していることは、対話の結果、民間の中で何らかのコンセンサスをまとめられないかということです。私は、日本と中国の間にあるどんな困難もこの対話の力で乗り越えたいと思いますし、どんなことがあっても互いに戦争など軍事的な手段に訴えるべきではない、と思っています。そこで、今回のフォーラムを機会に民間レベルで事態の冷却化のため、冷静な議論を始められないかと考えています。そのために、今日の事前協議では、中国側とかなり本気の議論をしました。日本側だけでなく、中国側も何としてもこの対話を成功させようという気持ちでいっぱいだということがよく分かりました。これで明日から始まる本格的な対話のための、一つの基盤ができたのではないか、と思っています。


元気を与えてくれた若いボランティアたちの姿

このように大変苦労しながら準備をしている中、私が大きな元気をもらったことが一つあります。それは今日、北京在住の日本人留学生や中国人の学生など多くの若い人たちが、このフォーラムの運営を手伝うために、集まってくれたことです。フォーラム全体では、50人弱のボランティアが、フォーラムの運営、コンテンツの制作のために力を貸してくれることになっています。民間という枠組みの中でこの障害を乗り越えるための何かの動きが確実に始まっているのです。やはり、多くの人たちがこの民間の対話の中で、日中間に漂う閉塞感を何とか打破したい、という熱い思いを持っている、ということを非常に痛感しました。そうした思いに応えるためにも私はこの対話をどうしても成功しなければならないと思っています。

25日の晩餐会を経て、26日から本格的な議論が始まります。言論NPOでは議論の経過を皆さんに逐一お伝えして、この対話をよりオープンな形で進めていきます。是非、皆さんにも期待していただきたいと思います。

ということで今日は北京からお送りしました。

投稿者 genron-npo2 : 01:44 | コメント (0)