【vol.17】 論点『「新開国宣言」-真に開かれた国づくりを目指して-』

2003年2月20日

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.17
■■■■■2003/02/20
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言論NPOは、日本の政策課題について本物の責任ある議論を、ウェブ、雑誌、フォー
ラム等で展開しています。人任せの議論では決して日本の将来は切り開けないからで
す。政策当事者や財界人らが繰り広げる、白熱の議論の一部を皆さんに公開します。
                      https://www.genron-npo.net

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●INDEX
■ 大竹美喜インタビュー『今をチャンスと思わないほうがどうかしている』
■ 論点『「新開国宣言」-真に開かれた国づくりを目指して-』
                        工藤泰志・言論NPO代表

●TOPIX
■ 3月7日(金)言論NPO アジア戦略会議・シンポジウムのご案内
 「変貌するアジアに日本はどう向かい合うか-真に開かれた国づくりを目指して」

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■ インタビュー『今をチャンスと思わないほうがどうかしている 最終回』
  大竹美喜 (アメリカンファミリー生命保険会社最高顧問)
                       聞き手 工藤泰志・言論NPO代表
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今年、私たちは何に「挑戦」すべきなのでしょうか。前回につづき、アメリカンファ
ミリー生命保険の大竹美喜最高顧問に登場していただきます。大竹さんは28年前、
34歳のときにアメリカンファミリーを立ち上げ、日本有数の保険会社を作り上げまし
た。その時の経験を踏まえ、大竹さんは「今をチャンスと思わないほうがどうかして
いる」と語っています。


■ 今をチャンスと思わないほうがどうかしている


工藤 2003年は、日本はどんな年で、私たち個人は、何を考えないといけないで
   しょうか。

大竹 一言で言えば、私は日本は緩やかな衰退に入ったと思っています。今のデフレ
   は誰も止められない。それはもう覚悟を決めないといけません。二つの要因が
   あります。ひとつは、日本の生産人口が激減するということと、もう一つは中
   国が市場に参入する中で世界的な供給過剰、市場の拡大が進んでいるからで
   す。中国は安くていい物を作ってどんどん輸出して、その製品が日本にはいっ
   ている。構造が変わる中でデフレが進行しているわけで、日本の景気は良くな
   るかもしれませんが、デフレは変わらない。

   景気対策は、政府が必死になって行いますから、少しは改善するかもしれませ
   んが、それでもまあ、1%、2%の成長に戻せれば大成功と見ないといけないで
   しょう。かつてのような3%、4%というような成長率はもはや望めないと思い
   ます。本来でしたら3割総コストを削減して、人件費も3割ダウンして、我々も
   生活費を3割切りつめなければならない状況でも不思議ではないのですが、そ
   ういうことをやらずにこういうふうに日々が流れているのは、これはまた信じ
   られないほどラッキーだと思っています。

   ただ、そのために、国がかなりの保護やサポートしていることを忘れてはいけ
   ないし、それが継続できるほど国に余力がないことも事実です。にもかかわら
   ず、我々の中に危機感がないことが私に言わせれば、一番の危機だと思ってい
   ます。むしろデフレ効果で物価が下がることによって実質14%は生活レベルが
   上がっていると思うんですよ。

工藤 でもそれは、一時的な錯覚ですね。

大竹 そうです。ただ、そうした中で今の状況を自ら打開しようとしないことは怖い
   ことだと思っています。日本は完全に緩やかな衰退に向かっているんですか
   ら、日本が今後、どのような国を目指すのか、そうした議論も始まっていない
   ことも問題です。その点では私は言論NPOに期待しているのですが、技術立国
   にするか、教育立国にするか、観光立国にするか、あるいは健康立国にする
   か。そうしたことを本気で考えなくてはならないと思います。私はキーワード
   は「心と体と自然」だと思っています。これは誰かも言っていますが、「心」
   というのは文化であり教育、「体」というのは医療であり介護であり美容であ
   り、「自然」というのは環境であり農業であり観光。そういう、21世紀の新し
   い価値観は何かを探し求め、新しく創り出す年にしなくてはならないと思いま
   す。

   個人としては、覚悟を固め、具体的に動き出す年だと思います。国が本当に情
   報を開示してくれることによって、国民が危機感を持つもので、国民の中に危
   機感がないというのは、国が本当の情報を開示していないということも大きい
   と思います。今の状況をだらだらと先送りすることはもう無理な段階です。そ
   の点では非常事態宣言でもして、画期的な政策転換をしないといけないという
   のが新年だと、私は思います。その際、国家に過度に依存するなと、私は言い
   たい。それは言論NPOの工藤さんも何度も言っていることですが、国にはその
   余力はもはやないのです。その意味では私たちが挑戦するしかないし、その
   チャンスは広がっています。だからこそ、新年は自分探しをすべきです。自分
   に何が出来るのか、自分は何によって幸せをつかむのか、国家に何を貢献でき
   るのか、自分が自分に問いかけ、具体的に行動する年だと思います。


●上記の記事はウェブサイトにも掲載されています。
https://www.genron-npo.net/debate/contents/021227_i_02.html

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■ 論点『「新開国宣言」-真に開かれた国づくりを目指して-』
                        工藤泰志・言論NPO代表

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世界では今、経済や安全保障から市民生活のレベルまで、パラダイムシフトとも言え
るダイナミックな変革が起こっています。そうした中で、新たな挑戦に向けた改革が
遅々として進まず、未だに戦後体制から抜けきれない日本は、残念ながら、世界の動
きから取り残され、停滞と孤立を深めている状況です。

それはアジアに目を向けた場合も同様であり、今や、アジアの求心力は、経済的チャ
ンスの場を周辺国や欧米資本に提供しながら著しい成長を遂げる中国に移りつつあ
り、アジアの中での日本の存在感はますます低下しつつあると言えましょう。アジア
の目も世界の目も、日本を素通りして中国やアメリカに向かっています。

こうした停滞と孤立の中で、私たちが危惧するのは、日本が何ら戦略ももたずに衰退
への道を余儀なくされているのではないかということです。中国を中心舞台にダイナ
ミックな経済変化が進むアジアの中で日本はどのように活路を開くべきなのか、そう
した議論が不足し、戦略的な対応はなされていません。

言論NPOは、日本が自らの活路を切り拓くため、これまでにさまざまな議論を行って
きました。私たちは日本の構造改革は日本の将来選択につながる一連の改革の始まり
だと考えています。そして、新しい日本の国づくりの議論を進めるためにも、アジア
の中、ひいては世界の中での自国の姿を捉えなおす必要があると考えました。

そのためには、日本の経済再生の目処が立たない中で多くの企業が中国へと進出する
現状をしっかりと認識し、現実にアジアは日本をどう見ており、何をどこまで期待し
ているのかを見極めなければなりません。そして、日本はこのアジアに対してどのよ
うな哲学で向き合っていくのかを考えなければならないでしょう。

こうした問題意識の下、言論NPOアジア戦略会議では、各界の有識者に参加を求め、
日本の対アジア戦略について経済や安全保障、政治問題など多角的な視点から議論を
重ねてきました。アジアの活力を自らのものにし、新しい日本の将来を築くために
も、日本には真の国際化が問われているというのが私たちの共通認識でした。つま
り、この国には真の意味での開国が必要なのです。

そこで、私たちは議論の中間総括として、3月7日に「変貌するアジアに日本はどう向
かい合うか―真に開かれた国づくりを目指して―」をテーマにシンポジウムを開催
し、私たちの問題意識に基づいた議論を3つのセッションに分けて公開したいと思い
ます。シンポジウム当日での論議を踏まえて、私たちは今後、具体的な提言作成のた
めの議論に入りたいと考えています。


●上記の記事はウェブサイトにも掲載されています。
https://www.genron-npo.net/debate/contents/030214_o_01.html

●言論NPOアジア戦略会議の記事はウェブサイトにも掲載されています。
https://www.genron-npo.net/forum/asia/index_asia.html

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●TOPIX

■ 3月7日(金)言論NPO アジア戦略会議・シンポジウムのご案内
 「変貌するアジアに日本はどう向かい合うか-真に開かれた国づくりを目指して」

午後1時~6時半 、経団連会館 14階 経団連ホール(東京都千代田区大手町1-9-4)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/kaikan/map.html

アジアの変化に日本はどのように向かい合い、日本自身はどのような国づくりを今後
目指すべきか。座長は福川伸次(電通顧問)。ゲストスピーカーには柳井正(ファー
ストリテイリング会長)、榊原英資(慶應義塾大学教授)、康奉均(韓国民主党国会
会議員・前大蔵大臣)、ノルディン・ソピー(マレーシア国際戦略研究所長)、小林陽
太郎(富士ゼロックス会長)など。

定員:300人。入場無料。申込締切:3/3。


●お申し込み、プログラムなど詳細は下記まで
https://www.genron-npo.net/about/history/030214_sympoanno.html

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