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【vol.53】 塩崎恭久×林芳正×渡辺喜美『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか(5)』

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.53
■■■■■2003/11/04
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  ■クオリティ誌『言論NPO 2003 vol.3――マニフェストと日本の争点』■

      総選挙の争点と注目を集めるをマニフェストを総力特集。
   「政策評価委員会」を立ち上げ、過去2年間の小泉改革の分野別に評価。
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     http://www.genron-npo.net/about/magazine/03v3.html

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●INDEX
■ 座談会 塩崎恭久×林芳正×渡辺喜美
  『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか 最終回』

■ 言論NPO スタッフ募集のお知らせ


●TOPIX
■ ネット会議: Theme2「イスラムの実態」更新
  2003/10/27 東京新聞「マニフェストを監視する」他

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■ 座談会『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか 最終回』
  塩崎恭久(衆議院議員)、林芳正(参議院議員)、渡辺喜美(衆議院議員)
                       聞き手 工藤泰志・言論NPO代表
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次の総選挙の争点はどう描かれるのか。自民党の3人の政治家が今回の総裁選や小泉
改革を評価し、マニフェスト型政治を巡る議論に参加した。派閥政治についての見解
や日本の新しいガバナンスのあり方に加え、マニフェスト政治の実現に必要な条件
や、今後争点とすべき政策の柱について、3氏それぞれの主張をぶつけ合う。


●マニフェスト型政治に向けた課題は何か
 ──マニフェストに盛り込みたい政策の柱は何か

工藤 そうした状況の中で、私たちができるのは、公約を徹底的に評価していく、そ
   の実行を点検して、緊張感ある国民との関係を作っていくという形の運動をす
   るしかない。その点に関してお聞きしたいのですが、マニフェスト型政治と言
   われていても、それを実現するためには大変な問題があるわけです。まず、政
   党が公約をつくらなければならない。次に、実行プロセスの問題がある。そし
   て、これは約束して絶対実現するという形が必要です。政治や政府の側からそ
   れをきちんと提示する作業が必要だろうし、それを言論側がしっかりとチェッ
   クしていくことも必要です。そこでお聞きしたいのは、マニフェスト型政治と
   いうものは、日本の現状で実現できるのか。実現するためにはどのような課題
   があるのかということです。もう1つは、総選挙になった場合に、どうしても
   公約を3つ出したいとすれば、それは何なのか。

渡辺 マニフェスト型政治は、政党がまともな公的な存在になれば可能だと思いま
   す。今のように、政党が公的な存在になり切らずに派閥連合体のような私的集
   団の寄せ集めであるということを続けている間は、マニフェスト政治は不可能
   だと思います。マニフェスト政治というのは、選挙になれば、当然、政党の党
   首が次期総理を目指して、国民が次期総理を誰にするかということも同時に決
   める政治の類型だと思います。従って、これは形だけ変えても駄目なので、中
   身の実態やプラグマティックなルールまで変わらなければ実現は不可能です。
   プラグマティックなルールというものは、まさしく派閥型政治からいかに脱却
   をできるかというところにかかっていると思います。

   私が党首であれば3つの公約は、産業と金融の一体再生、持続可能な財政や社
   会保障制度を構築する「愛の構造改革」、そして憲法改正です。マッカーサー
   のDNAを変換することに、これらの問題の本質があります。すなわちマッカー
   サー元帥は日本を半人前国家にしただけでなく、国家社会主義体制の戦時体制
   をそのまま温存したわけです。従って、戦後の日本というのは大きくて弱い政
   府であり、それはいざというときには何の役にも立たず、立とうともしない。
   そのDNAを変換することこそ、日本大改造の本質問題だと思います。

塩崎 マニフェスト型選挙と言われているが、自由民主党にもかねてより公約という
   ものはあったのです。いかにこれが中身のないものかということを私の本にも
   書きましたが、結局、お役所に下請に出していたものですから、総花的で言い
   切りは一切せず、例示も数字的な根拠もない。約束と言うにはほど遠いもので
   今まで選挙をやってきた。裏返して見ると、随分国民を愚弄した話だったわけ
   です。

   林さんが言われた「首相は軽くてパアがいい」という位置づけの政治というの
   は何かと言うと、表で言う人は何も決めない人で、裏で全てを決める。それが
   日本の政治だということを自他ともに認めてきたわけで、それを賢明に感じ
   取った国民は、政治なんか誰がやっても同じだ、首相なんか誰がやっても同じ
   だということになり、政治家の言葉や約束事は一切信用しないという流れで今
   日まで来てしまった。それが今、マニフェストという、いささか流行になりつ
   つある言葉に乗っているわけです。これはこれで、色々な試行錯誤を重ねなが
   ら、今までとは違って、国民に約束したことをそのまま自分は実行するんだと
   いう方向に少しずつ近づいていくということだろうと思います。

   それはそれで結構なことだと思いますが、それを本当に整理し、なおかつ実行
   するためには、党内ガバナンスの仕組みと、与党と内閣との関係の整理、新し
   いガバナンスの仕組みをつくり上げていかなければならないという非常に困難
   なプロセスがあります。業界団体、族議員、そして官僚、そういうところとの
   新しい関係構築をやらなければならない。日本の民主主義の文化を変えるとこ
   ろにまでつながる大作業になりますので、これはしばし時間がかかると思いま
   すが、しかし、それは不可逆的に進みつつある流れとして、政治の信頼回復の
   ためには早くやらなければならないのだろうと思います。党のシンクタンクな
   どもつくらなければならない。かなり広範な努力が必要なことだろうと思って
   います。

   私がマニフェストを仮につくるとすれば、具体的なものよりも、中期的な目標
   として、日本がアジアの基軸国家としてこれから役割を果たしていくというこ
   とを言わなければならない。アジアというのはまさに日本の位置するところ
   で、この地域がEUや北米大陸、あるいは南米も含めて、そういう固まりの中で
   1つの固まりになってくると思うので、その中でリーダーシップをきちんと発
   揮できるように整えていくというのが一番大きな公約です。

   次に、具体的なことを言えば、やはり金融経済の再生をスピードアップすると
   いうことです。つまり、本当の資本主義にする。さらに社会保障を含めた財政
   の再建というのは、やはり量で示す必要があるだろうと思います。3番目は、
   教育ではないかと思っています。この人づくりに関しては、日本は相当お粗末
   なシステムになっていると思います。本当にいい粘り腰の人間をつくってい
   く、そういうシステムに変えていかない限りはなかなかうまくいかない。私は
   教育を特に重要視していきたいと思っています。

工藤 日本のガバナンスの問題ですが、渡辺さんの「幻のマニフェスト」の中には、
   政府内に政務官なども含めて多くの国会議員を送り込んでいくと書いてありま
   す。

塩崎 やはり、マニフェストに沿って、その考えを持っている人がチームで入ってい
   かなければならない。ただ、政治家を突っ込んだらよくなるなどということは
   全然ないのであって、むしろ逆に取り込まれる政治家が増えてくるのかもしれ
   ない。今のままでいくと、むしろ役所の味方になる人がどんどん増えてくるよ
   うな感じがしないでもない。きちんとマニフェストに沿った政策をやるという
   ことが大臣のマンデートですから、それをチームで進められるような人材を送
   り込んでいくということだろうと思います。その際、常勤のアドバイザーのよ
   うな者がいなければ絶対に無理だと思います。そうなりますと、党内での人事
   をどうするのかということがまた重要な問題になってくる。永遠の課題として
   人事委員会のような構想はあるのですが、うまくいった試しがない。いつも派
   閥が勝っているということを本気でやめさせるということでしょう。

工藤 例えば、政党助成金を議員に配るだけではなく、10億円程度、党のシンクタン
   クに使うと言えばいいのではないでしょうか。

渡辺 それは霞が関の人材流動化にも役立つのです。公益や国益に興味をもつ人材の
   受皿を作る必要があります。10億などとケチなことを言わず、今の300億円を
   まるまる使ったらいい。

林  塩崎さんが言われるように、自民党はこれまでも公約をつくっている。ですか
   ら、うちもマニフェストをつくらなければならないから何か別のものを新しく
   というのは、全然違う話ではないか。党には今まで公約をつくるプロセスもあ
   り、公約を出していたわけですから、それをいわゆるマニフェストと呼ばれて
   いるものにどうやって変えていくのかということを考えなければならない。そ
   ういう認識がまず要るということです。

   また、与党のマニフェストという意味では予算と税制に数字は全部入っている
   わけです。財源も全部手当てして、さんざん議論して、みんなが不満のままで
   も一応まとめたものをつくっている。そもそもマニフェストは、イギリスの労
   働党が野党のときに、自分たちがもし政権をとったらこうする、今の予算と税
   制はこうなりますということを財源もきちんと入れて、必要ならば増税もセッ
   トで違う選択肢を提示した。それで労働党が政権をとったからマニフェストが
   注目されるようになったと私は思っています。日本でも、民主党がそこまで踏
   み込んでくれば、初めて、では我々も出さなければいけないというところに追
   い込まれると思うのです。

   民主党がウィッシュリストをつくって財源は言わないということであれば、彼
   らの自殺行為になるだけで、結局、政権担当能力はないと言われざるを得な
   い。さらに、数値基準が出せる分野はお金が絡むところです。幾ら使う、人数
   をどうするという部分であり、そういう部分ではできない分野がある。まさに
   北朝鮮問題の解決をマニフェストでは書きようがない。書くと、相手が読ん
   で、例えば北朝鮮の人が、日本はこういう戦略でやるのかということになる。
   これほど馬鹿らしいことはない。公約というのは、ある意味ではそういうとこ
   ろも今まで書いていたのですが、そこでは解決しなければならないという認識
   を示すのが大事なのです。それを見てこの選択しかない、政権交代するかもし
   れない野党が言っていることもここまででそれ以上のバラ色のことはないのだ
   ということが国民に伝わることが大事なことなのです。手前勝手な話ですが、
   まず合併する民主党にきちんとしたものを出してもらうとかなり弾みがつくの
   かなと思います。現段階ではそういうものではないような気もしますが。

   私のマニフェストということになると、これまで「三つの安心」という公約の
   ようなことを言ってきました。経済の安心、外交の安心、治安の安心で、例え
   ば経済ではここではまず職場をたくさんつくるということだと思います。そこ
   では結局、先端的なハイテクやバイオのような分野の人しか今後は食べてはい
   けないということでは成り立ちません。ダウンサイジングはしたとしても色々
   な人がそれぞれ働けば、きちんとした収入が得られるという安心感が必要で
   す。

工藤 今度の総選挙では基本的に何を争点にすべきでしょうか。

林  本当は消費税でしょうね。私はこれまで行革をやっていますから、もう少し無
   駄を絞れると思いますが、年金や社会保障の色々な問題を考えますと、行革と
   は桁が違うと思う。今回、総裁選挙でもある程度議論にはなったのですが、少
   しねじれているのは、与党側が凍結すると言っていることです。野党が上げろ
   とはなかなか言わないとは思いますが、民主党がきちんとしたマニフェストを
   出して、将来は社会保障を充実し、安心したものをつくるということであれ
   ば、では財源をどうするのかという議論に必ずなる。与党がやらないと言って
   いて、野党がやるというのは、何となくねじれた感じです。

   もう1つは、今回の争点になるのかどうかは別として、憲法、特に集団的自衛
   権です。身近な問題として、ミサイル・ディフェンスがあります。この問題を
   考えたときに、技術的にはブースト・フェーズ(ミサイルを発射した段階で迎
   撃する)が最善なのですが、恐らく国会で集団的自衛権の行使になるというレ
   ベルの議論になってしまい、非常に馬鹿げた話になる。しかし、実際に脅威が
   あって、集団的自衛権の行使はできないので議論をしていたら、実際に犠牲が
   出ましたということが、本当にあるかもしれない。ただ、なし崩しにいくとい
   うのは、嫌な感じがするので、そういうことになる前の冷静なときに議論をき
   ちんとしておいた方がいいと私は言い続けている。

工藤 言論NPOでは、政策評価だけではなく、安全保障の点に関しても、色々な形で
   議論をつくっていきます。本日はどうもありがとうございました。

●上記の記事はウェブサイトにも掲載されております。
http://www.genron-npo.net/debate/contents/030926_c_01.html

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■ 言論NPO スタッフ募集のお知らせ

●募集職種:(1)広報スタッフ (2)事務局管理スタッフ (3)一般事務

●主な業務内容:
(1)広報スタッフ
言論NPOのコンテンツ事業をマスコミなどに知らせるために広報活動を展開する。
会員のニーズを把握し、会員の参加を進めるため、 会員向けフォーラム、シンポジウ
ムを企画、立案し、運営、開催、進行を行う。

(2)事務局管理スタッフ
言論NPO事務局全体の進行管理を行う。

(3)一般事務
データーベース管理、組織運営事務、雑誌在庫管理等、経理・給与事務全般、その他
事務及びアシスタント業務。

●必要とされる能力:
・言論NPOのミッションへの理解と共鳴
・自己研鑽と新しいことへ挑戦する意欲
・メンバー、会員、顧客から好感を受ける対応
・協調性
・コンピューターなどの事務処理能力

●資格・経験:
(1)できればマスコミまたは広報担当経験者。英語力尚可。
(2)できればオフィス管理経験
(3)特になし。
できれば大学院卒、留学経験あれば尚可。年齢不問

●待遇:当法人規定による

●応募方法:
職務経歴書、志望理由を明記の上、写真貼付の履歴書を2003年11月14日(金)必着で
ご郵送ください。尚、応募書類は返却いたしかねますのでご了承ください。

 宛先:〒107-0052
    東京都港区赤坂3-7-13 国際山王ビル別館3F
    言論NPO スタッフ募集係

●お問合せ:山本

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●TOPIX

■ ネット会議: Theme2「イスラムの実態」更新
http://www.genron-npo.net/net/monitor/030916.html

■ アジア会議: 2003年度第1回議事録を追加(会員コンテンツ) 
http://www.genron-npo.net/locked/forum_asia/031031_01.html

■ 2003/10/27 東京新聞「マニフェストを監視する」
http://www.genron-npo.net/about/press/031027_asahi.html

■ 2003/10/27 朝日新聞夕刊 論壇時評 ポピュリズム
  「プロの評価低い現政権 「悪」との戦い支持呼ぶ」
http://www.genron-npo.net/about/press/031027_asahi.html

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  ┏━━━━━━━━━━━━ 会員募集 ━━━━━━━━━━━━━┓
   言論NPOは、ウェブサイト以外に、出版、政策フォーラム、
   シンポジウムなど、多様な活動を展開しています。

   ●言論NPOの3つのミッション
   1. 現在のマスコミが果たしていない建設的で当事者意識をもつ
     クオリティの高い議論の形成
   2. 議論の形成や参加者を増やすために自由でフラットな議論の場の
     形成や判断材料を提供
   3. 議論の成果をアクションに結び付け、国の政策形成に影響を与える

   この活動は、多くの会員のご支援によって支えられています。
   新しい日本の言論形成に、ぜひあなたもご参加ください。
   http://www.genron-npo.net/guidance/member.html
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 このメールマガジンのバックナンバーはこちらに掲載されています。
 URL http://www.genron-npo.net/guidance/melma/melma.html
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