【vol.71】 「第一次 小泉内閣の政策評価書・総論 最終回」

2004年3月09日

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.71
■■■■■2004/03/09
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●INDEX
■ アンケート調査「日本のパワーアセスメント―日本の実力(強さ弱さ)の再評価」
■ 「第一次 小泉内閣の政策評価書・総論 最終回」
■ 締切迫る! 言論NPO 2つのシンポジウムのご案内


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■ アンケート調査「日本のパワーアセスメント―日本の実力(強さ弱さ)の再評価」
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言論NPOは3/16の第3回アジア・シンポジウムに向けアンケート調査を行っていま
す。9つの各分野を国際的に比較した場合、日本の相対的な強さ、あるいは弱さを
定性的に評価していただきます。

○日本の将来に向けた議論に、ぜひご参加下さい。
https://www.genron-npo.net/forum/asia/040301_01.html

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■ 「第一次 小泉内閣の政策評価書・総論 最終回」 言論NPO政策評価委員会
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本年7月には参議員選挙が予定されています。言論NPOでは第二次小泉政権の評価作
業を3月頃から開始する予定です。それに先立ち、昨年10月、総選挙前に行った「第
一次 小泉内閣の政策評価・総論」を改めて公表します。我々はそこで、ぎりぎりの及
第点をつけましたが、マニフェスト選挙により誕生した第二次 小泉政権に対しては、
より厳しい視点で評価する必要があると考えます。みなさんのご意見を、ぜひお聞か
せ下さい。


●改革を阻む真の障害は何か

以上のような問題点に加えて、構造改革の推進を阻むより本質的な問題は、突き詰め
れば、与党自民党と小泉内閣の政策のねじれ現象を解消できない政策決定プロセスの
未成熟さに求められる。戦後わが国の政策決定プロセスは、与党自民党内の「部会」
「調査会」等の党組織と各省庁が結びつく形で、政府の政策が形成されるという仕組
みの上に成立っており、自民党総裁としての首相はこうした仕組みの上に乗ってボト
ムアップの形で政策運営を行ってきた。

こうした状況の中で、構造改革を標榜する小泉首相は、省庁再編に伴って新設された
「経済財政諮問会議」という政策決定の場を有効に活用して、従来型の与党・官僚主
導の政策決定プロセスを首相主導のトップダウンの仕組みに変えようとした。同時
に、利益誘導型政治の主役を演じてきた「族議員」を「抵抗勢力」に仕立て上げるこ
とによって、改革に対する国民の支持を取り付ることに成功した。このような政策決
定プロセス変革の試みと独自の政治手法は、この2年間の構造改革の推進や自民党の
派閥解体を促す上でそれなりに有効に機能したと評価できよう。

だが、これはあくまでも過度的な現象であり、こうしたトップダウンの仕組みを構築
するためには党と内閣との政策形成の一元化や首相のリーダーシップを確保するため
閣僚の任免や公約へのコミットメントが、当然必要になる。首相が公約する政策課題
を閣僚が批判し、または実行を怠ることが放任されるようでは、首相主導の改革は進
まないであろう。また経済財政諮問会議には学者・財界人など4名の民間議員が政策
形成のメンバーとして参加したが、この諮問会議の位置付けが曖昧なことも骨太方針
の具体化、遂行に問題を残した。日本の政策決定プロセスを抜本的に変革し、構造改
革を強力に進めていく上で、経済財政諮問会議に期待された役割は極めて大きかった
が、その性格の曖昧さや、民間議員の立場の中立性、民間議員をサポートする体制の
脆弱さなどが改革の障害となっている。こうした障害を取り除くためには、諮問会議
の役割自体を強化するのか、あるいは首相のトップダウン型政策運営が有効に機能す
る仕組みを新たに作り直すのか、いずれにしても政策決定プロセスのあり方を根底か
ら見直すことが必要である。

以上に加えて、与党自民党と首相の政策のねじれ現象を解消することが必要である。
先の総裁選はその一歩として期待されたが、その後の組閣を見る限り、まだその体制
は十分ではない。さらにそれを進めるためには、例えば、自民党三役の入閣や、党の
部会・政務調査会などの役職を兼任した副大臣、政務官がチームを構成し、実質的に
首相をサポートする体制を構築するといったことも検討に値しよう。自民党の派閥は
今や完全に存在意義を失っており、派閥の事情や個別の利害関係ではなく、小泉改革
を進める共通の政策をベースとした政治家のチームとして再構築される必要がある。

その意味で我々言論NPOは、小泉改革がその内容やスピードの点で、当初の期待と比
べて不徹底あるいは不十分なものに止まっている最大の理由は、首相個人のリーダー
シップ不足のみに帰すべきではなく、小泉首相の試みた政策決定プロセスの変革が不
徹底であることに起因すると考える。

●みなさんのご意見はこちらからお寄せ下さい。
https://www.genron-npo.net/x_form/contact.php

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■ 言論NPOシンポジウム
  「ニッポンNPOは民の主役になりえるか―民の可能性と役割を再考する」ご案内
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パブリックの役割を民が担うため、日本には多くのNPOが存在し、挑戦が始まってい
ます。しかし、日本のNPOの動きが、民の可能性をドラステッィクに変え、NPOが民
の分野でメジャーな担い手になる方向は見えていません。日本のNPOのどこに問題が
あるのか。それを考えながら、私たちは日本の大きなシステム転換の中で、民の可能
性、力をもっと幅広く考え直してみたいと考えました。言論NPOは3月15日夜、新し
い日本のNPOの可能性に向けて議論を行います。

◆日時:   2004年3月15日(月) 午後6時半~9時
◆場所:   日本財団ビル 2階 大会議場
◆パネリスト:上山信一(慶應義塾大学教授)、田中弥生(東京大学工学部助教授)
       北川正恭(早稲田大学大学院教授)
 司会:   工藤泰志(言論NPO代表)

◆詳細、お申込みはこちらからお願いいたします。
https://www.genron-npo.net/about/history/040315_nposympo.html


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■ 言論NPO 第3回アジア・シンポジウム
  「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」ご案内
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言論NPOは、日本の可能性を冷静に分析し議論しながら、私たちが望めるような国づ
くりの選択肢を提起したいと考えています。その議論公開の場として3月16日(火)
「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」と題したシンポジウムを開
催します。

これまでの議論を踏まえ「日本の強さ弱さ」のマッピングを提案し、その仮説をもと
に「日本のパワーアセスメント」の議論、そして「目指すべき日本の将来」について
の議論と問題提起を国内外の有識者を交えて行いたいと思っています。

日本の将来に向けた議論の積極的な発展のために、是非、私たちの試みにご参加いた
だければ思います。


            - 記 -

◆日時  2004年3月16日(火) 12:30~18:00
◆場所  経団連会館 14階 経団連ホール
     (経団連会館: 東京都千代田区大手町1-9-4 TEL: 03-5204-1757)
◆テーマ 日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて
◆入場  無料
◆プログラム
【第1セッション】『日本の強さ弱さをマッピングする』
 パネリスト: 周基仁(北京大学教授)
        ステファン・レオン(マレーシア戦略国際研究所(ISIS)副所長)
        韓国で交渉中
 コーディネーター:国分良成(慶應義塾大学教授、東アジア研究所所長)
        議論提起 アジア戦略会議メンバー

【第2セッション】『何が日本の強さと弱さなのか』
 パネリスト: 宮内義彦(オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長)
        榊原英資(慶應義塾大学教授、元大蔵省財務官)
        チャールズ・レイク(アメリカンファミリー生命保険会社社長)
        その他交渉中
 コーディネーター:横山禎徳(社会システムデザイナー)

【第3セッション】『日本は将来、どんな国を目指すべきか』
 パネリスト: 寺島実郎(株式会社三井物産戦略研究所所長)
        山崎正和(劇作家、評論家、言論NPOアドバイザリーボード)
        横山禎徳(社会システムデザイナー)
 コーディネーター:福川伸次(電通顧問、言論NPOアジア戦略会議座長)


◆詳細、お申込みはこちらからお願いいたします。
https://www.genron-npo.net/about/history/040316_sympoanno.html

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  ┏━━━━━━━━━━━━ 会員募集 ━━━━━━━━━━━━━┓
   言論NPOは、ウェブサイト以外に、出版、政策フォーラム、
   シンポジウムなど、多様な活動を展開しています。

   ●言論NPOの3つのミッション
   1. 現在のマスコミが果たしていない建設的で当事者意識をもつ
     クオリティの高い議論の形成
   2. 議論の形成や参加者を増やすために自由でフラットな議論の場の
     形成や判断材料を提供
   3. 議論の成果をアクションに結び付け、国の政策形成に影響を与える

   この活動は、多くの会員のご支援によって支えられています。
   新しい日本の言論形成に、ぜひあなたもご参加ください。
   https://www.genron-npo.net/guidance/member.html
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