【vol.83】 毎日新聞 日本の選択: 「自民の「政権公約」検証 マニフェスト、進化途上」

2004年6月01日

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.83
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■ 2004/05/13 毎日新聞
  日本の選択: 「自民の「政権公約」検証 マニフェスト、進化途上」


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■ 2004/05/13 毎日新聞
  日本の選択: 「自民の「政権公約」検証 マニフェスト、進化途上」
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昨年11月の衆院総選挙の際のマニフェスト(政権公約)は、どの程度実行に移されたの
か。また、「日本の選択」としてどれだけ妥当な公約だったのか。政治・政策研究会
「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)が12日、初めて開いた小泉政権のマニ
フェスト検証大会。賛否両論が続く中、「検証作業をさらに活性化」することについ
ては、各団体、政党ともに一致、マニフェスト運動は、7月の参院選に向け再び動き
出した。各団体の検証内容と課題をまとめた。

■年金――抜本改革見えず

昨秋の総選挙で最大の争点だった年金改革。政府提案の年金改革関連法案が11日、衆
院を通過したが、自民党の政権公約とその達成度をめぐる各団体の評価は、極めて低
い。数値評価をした2団体のうち言論NPOは100点満点のうちわずか20点とし、経済
同友会も5段階評価の「2」とした。「抜本改革を行うと公約しながらも、考え方すら
提起できなかった」(言論NPO)のが理由だ。

自民党が掲げた政権公約は、(1)基礎年金の国庫負担率割合を2分の1に引き上げる
(2)年内に改革案をまとめ、04年の通常国会に法案を出すことは示したが、これ以外
の具体的内容はほとんど書かれていなかった。

このため、経済同友会は「抜本改革の具体案、国民負担の数値が明記されていない」
と指摘し、言論NPOは「保障すべき社会保障の水準や規模、そのために国民はどの程
度負担すべきか、思想やビジョンが描かれていない。本当の争点を避けている」と批
判した。

自民、公明の両党は政権公約を反映させて年金制度改革の大枠を決め、国会に年金改
革関連法案を国会に提出した。このことは確かに公約を履行したもので、法案では
「将来の負担の上限と給付の下限」を示してはいる。

だが、その個別の内容には、日本総研がさまざまな疑問や批判を投げかけている。

自営業者などが加入する国民年金の保険料未納率が37・2%(02年度)に達するなど、
深刻になる「国民年金の空洞化」については「政権公約に言及がないこと自体が重大
問題」と批判、「世代間の不公平の是正」についても「目標として掲げていることは
評価するが、今回の改正案では格差是正効果は限定的」とし、若年世代の年金制度に
対する信頼回復は不透明とみる。さらに「現役世帯の50・2%を確保」とうたった厚
生年金モデル世帯の給付水準にも、「経済低迷や少子化で前提条件が崩れると割り込
む懸念が大きい」と疑問を投げた。

連合も、基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げについて「先送りとなっており、
有権者に対する約束違反」と断じた。財界や労働界は基礎年金を全額税金で賄う「税
方式」を提唱しており、現行の仕組みを前提とした自民党の政権公約や政府案に評価
が低いのは当然とも言えるが、全国知事会も「財源としての消費税をどう考えるか、
早急に国民的議論をしていくべきだ」と提唱する。

国会議員の国民年金未納問題が与野党に広がり、有権者の政治不信を増幅している。
与野党合意を踏まえ、どういう形で一元化するのか、他の社会保障制度との調整をど
うするのか、最終的な負担と給付をどう考えるのか、今度こそ、参院選に向け政党と
しての責任を果たしてほしい。各団体の検証報告からは、そういった悲鳴が聞こえる
ようだ。

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