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【vol.109】 座談会『日中のコミュニケーションギャップをどう乗り越えるか(3)』

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.109
■■■■■2004/11/30
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●INDEX
■ 座談会『日中のコミュニケーションギャップをどう乗り越えるか 第3回』
■ 12/15 (水)「言論NPO 設立3周年記念パーティー」のご案内


●TOPICS
■ 11/27 (土)「ローカル・マニフェスト推進大会」に参加
■ 論文「ローカル・マニフェスト評価の設計と課題」田中弥生 (東京大学助教授)
■ 「第8回言論NPOフォーラム」議事録


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■ 座談会『日中のコミュニケーションギャップをどう乗り越えるか 第3回』
  張仲梁 (新生代市場監測機構CEO)、霍虹 (新生代市場監測機構副長経理)
  五十川倫義 (朝日新聞社論説委員)、山田賢一 (NHK放送文化研究所主任研究員)
  古畑康雄 (共同通信社メディア局編集部記者)
           司会:工藤泰志 (言論NPO代表)、牧野義司 (言論NPO理事)
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●コミニュケーションギャップとメディア

工藤 張さんなどから問題提起された日中間のコミュニケーションギャップについて
   日中問題に関わってきた日本側のジャーナリストをどう受け止めていますか。

五十川 朝日新聞の五十川と申します。1992年から96年、それから2000年から今
   年の8月まで北京で勤務していました。日ごろの取材や中国の方々との交流で
   感じるのは、双方の間で誤解がすごく多いということです。これが埋められる
   どころか、どんどん拡大しているように感じました。私の勤務中にも、例えば
   西安で西北大学事件とか、今年夏のアジアカップなどが起こりました。誤解を
   拡大しないために客観報道したい、その努力をしなければいけないと思ってい
   ろいろ取材しましたけれども、実際に客観的報道になったのか、自分でもまだ
   わからないところがあります。

   というのは、どうして中国の方々がスタンドでああいう態度をとられたのか、
   これを取材すればするほど理由がたくさん出てくる。これにどのように順番を
   つけていくか、それを一生懸命やろうとしましたけれども、われわれメディア
   というのは限られた時間の中でやらなければいけないので、もっと大規模で調
   査をしたり、取材ができればもっとはっきりするのでしょうけれども、そうい
   うところで本当にそのまま提示できたかどうか、自分でもどうかなと思ってい
   るところがあります。

   今、メディアが日中間の相互理解の重要な焦点になっているのはわかっており
   ます。それで努力しようと思っていますけれども、ハードルもかなり多いと思
   います。それをどうやっていけばよいのか、きょうは大変いい機会だと思って
   おりますので、皆さんのご発言に期待しております。

古畑 私は北京で取材した経験はこれまでありませんが、1年ほど留学した経験があ
   ります。そのときに一番忘れられない思い出ですけれども、たまたま行ったば
   かりのころにタクシーに乗りました。いきなり運転手さんに「おまえは日本人
   か」と聞かれたので、「そうだ」と答えたのですね。そうしたら、話がいきな
   り南京大虐殺の話になりまして、おまえらは南京大虐殺を知っているかとかお
   れは日本人が嫌いだという話をされました。私はそのとき何と答えたかという
   と、「私はあなたたちの言語や文化を学ぶために中国に来たのに、初めて会う
   面識のない人間に向かってそのようなことを言うのはちょっと失礼ではない
   か」と言いました。ただ、そのとき中国の人の日本人に対する大衆感情という
   のはいかに深いものかということが理解できました。

   実は私は、4年ほど前から共同通信の中国語のニュースサイトの編集をやって
   います。これは多少自慢めいた言い方になりますけれども、私がぜひこういう
   仕事をやらせてくれと会社に頼んで始めたのです。正式に始まってから3年半
   以上経ちましたが、まだビジネスとしてはこれからです。しかし、先月など
   は、主に中国からと思いますが、月間90万ぐらいのページビューがありまし
   た。中国の報道機関にも共同の中国語のニュースが載ることが増えてきまし
   た。

   そもそも、なぜこういうことを始めたのかと申しますと、当初は日本の芸能・
   文化をもっと広く中国の人に知ってもらい、いわばハーリーツ(哈日族)のよう
   な日本ファンを増やしていきたいということがありました。

   ただ最近では、もちろんそういうことも大事なのだけど、今、問題提起があっ
   たように、日中間のメディアの溝を埋める仕事を少しでもやりたいという気持
   ちが非常に強いです。

   五十川さんをはじめ、たいへん優秀な日本の記者が、中国において中国のこと
   を報道し、逆に日本においては、中国の非常に優秀な方が日本のことを報道し
   てきているわけですね。今年は日中記者交換が始まって40周年だそうですけれ
   ども、40年間、それだけの積み上げがあるにもかかわらず、なかなか日中間の
   パーセプションギャップというか、コミュニケーションギャップが埋まらない
   1つの原因は、これまでの報道のあり方にあると思います。簡単に言ってしま
   えば、それは単方向だということです。

   つまり、中国のメディアが日本のことを取材する場合、どうしても中国の読者
   のことを意識して、中国の読者が喜ぶような話を取り上げるということは、日
   中お互いにあると思います。もちろん、あえて誤報を流すとか、あることをな
   いと書くとか、そういうことはないと思いますが、記事の選択、取材対象の選
   択の上で、どうしても一定のバイアスがかかることは否定できないと思いま
   す。したがいまして、ある物事を正確に客観的に見るためには、物事をある1
   つの面だけではなくて、もう1つの面から見ることも必要だと思います。その1
   つの方法として、われわれの側から日本を伝えるということもやはり重要なの
   ではないかと考えています。

   断っておきますけれども、もちろん日本の政府のコマーシャルをやろうとかい
   うつもりはありませんが、例えば日中関係にしてもそうですけれども、日本人
   が中国に対して今どういうふうに感じているのか、どういう感情とか考え方を
   持っているのかということを正しく、なるべく全面的に中国の人に理解しても
   らいたいという気持ちでニュースサイトを運営しています。

   3年半続けてきましたけれども、残念ながらその効果がすぐに表れたというふ
   うには思えないのですが、ただ、とにかく「継続は力なり」ということで、そ
   ういうことをこれからも続けていきたいと思っています。

山田 現状認識のためにいろいろ資料をそろえてきたのですが、張さんのおっしゃっ
   たことですべて言われてしまったので、少し自分の経験をお話ししたいと思い
   ます。まず、古畑さんがタクシー運転手の話をされたので、中国のタクシー運
   転手の名誉のために別の事例をご紹介します。私が北京でタクシーに乗ったと
   きに、その運転手さんは、私が日本人だとわかったら、こういうふうに言いま
   した。「我的中国朋友里去日本的都説日本好!」(日本に行った中国人の友人
   は、すべて日本はいいと言っている)と。要はそういう評価をしてくれる人も
   いる、あるいはそういうこともあり得る。ただ、それがあまり表に出て広がら
   ないという問題はある。

   別の例を申し上げますと、日本に来ている中国人の留学生や、日本に在住して
   いる中国人がお里に帰ったときに、よく友達に言われることがある。「◆在日
   本受岐視▲!」(日本で差別されているだろう)と。それで、「そんなことな
   いよ。1回も見下されたことはない」と言っても友達は信じない。これは一種
   の先入観のなせるわざだろう。

   ※(◆=イへんに尓 ▲=口へんに巴)

   もう1つの先入観の例ですが、友達から聞いた話ですけれども、ある中国人が
   初めて日本に来て成田空港に着いたときに何と言ったか。「日本的男子个子并
   不矮!」(日本の男はちびじゃないなあ!)と。これは分かる人は分かると思
   いますが、要は中国の抗日映画に出てくる日本人というのは、ちびで、眼鏡を
   かけていて、不細工なんですね。したがって、そういう印象をいかに是正して
   いくかというのは、日本のメディアなり、政府なりの責任でもあると思いま
   す。

   ただ、それはそんなに簡単なことではなくて、つい最近のことですが、こうい
   う事例がありました。台湾の外交部長が、シンガポールとトラブルがあったと
   きに、「新加坡是鼻屎大的国家」(シンガポールは「鼻くそ」のような国だ)
   と言いました。この「鼻くそ」というのは、聞いたらだれでも腹が立つと思い
   すが、実はびん南語(びんなんご、台湾語とも言う)で言っているわけです。
   よく聞いてみると、びん南語で「鼻屎大」(鼻くそのような大きさ=とても小
   さい)という言い方はよくする、普通の言い方で、別に汚い言い方ではないと
   いうのです。でも実際は、びん南語を知らない人は台湾の人でもやっぱり怒っ
   た。ということは、同じ漢民族でもコミュニケーションは難しいわけですか
   ら、中国人と日本人のコミュニケーションは恐らくもっと難しい。

   そこで、私が考えているのは、例えば、よく中日関係というのは、一衣帯水、
   同文同種ということを言うわけですけれども、もう少し違うということを認識
   してつき合う方がいいのではないか。例えば、イスラム教徒とつき合うとき
   に、約束の時間を破られても、ああ、あの人たちならそうだろうと思えるで
   しょう。一衣帯水、同文同種と言っていると許せなくなってしまうのではない
   か。結論として言えば、違うという前提で相手をもっと理解しようと。それか
   ら、相手の立場に立って考えようということが双方の国民、メディアに求めら
   れていると思います。

                          ──次号へつづく──

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■ 12/15 (水)「言論NPO 設立3周年記念パーティー」のご案内
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平素は言論NPOの活動にご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

言論NPOは2001年より「言論不況からの訣別」を目指し元「論争東洋経済」誌編集
長の工藤泰志を代表とし、各界の有志と共に活動して参りました。御陰様で今年の11
月をもちまして設立3周年を迎えることができました。言論NPOではアドバイザリー
ボードの小林陽太郎氏、宮内義彦氏、佐々木毅氏、北川正恭氏らの呼びかけにより、
3周年を記念いたしまして、下記のとおりカクテル・パーティーを開催することとい
たしました。

言論NPOはこの3年間、日本の将来に向けて建設的な問題提起や解決策の提示を行
い、政治と有権者との間に政策をめぐる緊張感ある真剣な議論の舞台をつくろうと
様々な活動を行ってきました。しかし、これからの3年間こそ、日本の将来にとって
もまさに正念場と言える重要な選択の時期だと私たちは考えております。この3周年
という節目にあたり、私たちは決意を新たにして日本の将来に責任意識を持った真剣
な本物の議論の形成に取り組みたいと考えております。

つきましては言論NPOの活動を今後さらに発展させるべく、会員の方々を始め、各界
の幅広い方々にご出席を賜り、私たちの活動や思いにご理解をいただければ幸いで
す。楽しいご歓談の場とさせて頂ければと存じますので、ご多用中とは存じますが、
是非ご出席頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。


◆呼びかけ人代表
 小林陽太郎 佐々木毅 北川正恭 宮内義彦

◆呼びかけ人
 安斎隆 イェスパー・コール 伊藤元重 石黒光 上村多恵子 賀川洋 木村伊量
 国分良成 川本裕子 近藤正晃ジェームス 榊原英資 佐藤玖美 島田晴雄
 瀬戸雄三 橘・フクシマ・咲江 津川清 長岡實 深川由起子 福川伸次
 藤澤義之 牧野義司 増田寛也 増田宗昭 松井道夫 茂木友三郎 山田孝男
 横山禎徳


            - 記 -

◆日時    2004年12月15日(水)午後 5:30~7:30

◆場所    レストラン・アラスカ・プレスセンター店
       (千代田区内幸町2-2-1日本プレスセンタービル10階)

◆参加費   お一人様 3,000円

◆アクセス  会場近辺の地図は、こちらをご覧ください。
       http://www.alaska-net.co.jp/press/map.html


◆詳細、お申込みはこちらからお願いいたします。
http://www.genron-npo.net/about/history/041215_partyanno.html

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●TOPICS

■ 11/27 (土)「ローカル・マニフェスト推進大会」に参加
http://www.genron-npo.net/about/history/041127_localreport.html


■ 論文「ローカル・マニフェスト評価の設計と課題」
                   田中弥生 (東京大学工学系研究科助教授)
http://www.genron-npo.net/debate/contents/041125_c_01.html


■ 「第8回言論NPOフォーラム」議事録
http://www.genron-npo.net/debate/contents/041124_c_01.html

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  ┏━━━━━━━━━━━━ 会員募集 ━━━━━━━━━━━━━┓
   言論NPOは、ウェブサイト以外に、出版、政策フォーラム、
   シンポジウムなど、多様な活動を展開しています。

   ●言論NPOの3つのミッション
   1. 現在のマスコミが果たしていない建設的で当事者意識をもつ
     クオリティの高い議論の形成
   2. 議論の形成や参加者を増やすために自由でフラットな議論の場の
     形成や判断材料を提供
   3. 議論の成果をアクションに結び付け、国の政策形成に影響を与える

   この活動は、多くの会員のご支援によって支えられています。
   新しい日本の言論形成に、ぜひあなたもご参加ください。
   http://www.genron-npo.net/guidance/member.html
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