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【vol.205】 「自民・民主のマニフェストはなぜ、約束として不合格なのか」工藤が語ります

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■■■■ 言論NPO ニュースメールマガジン
■■■■ Vol.205 (2009年8月12日発行)

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        〈〈 http://www.genron-npo.net/ 〉〉

すでにお伝えしておりますように、言論NPOのマニフェスト評価結果は、
自民党が36点、民主党が27点と、いずれも厳しいものになりました。
両党の評価はなぜ低いのか。
言論NPOの評価結果について、代表の工藤泰志が見解を公表しました。

この発言の全文は、新たにオープンしたマニフェスト評価専門サイト「未来選択」
にてご覧になれます。
 → http://www.genron-manifesto.net/

<日本の政党は未来を競っていない>
●約束としてはどちらも「不合格」
30点前後という評価をどう判断するかですが、これは約束として体をなしていない。
どちらも不合格だと私たちは判断しています。しかも今回は、政権交代という
歴史的局面の中での選挙です。それでも政権を判断するための約束に信頼を持て
ない、これはきわめて深刻な事態だと私は考えています。
形式的な問題としては、2つのマニフェストには共通して体系性がない。
マニフェストそのものが、その政策の目標、手段といった体系性を持っていない。
ここで私が特に強調したいことは、体系性を持っていないマニフェストは、
ばら撒きリストに変わってしまう可能性があるということです。約束というのは
問題の課題認識や解決策があってはじめて、その手段として予算や支出があるわけです。
それを飛び越えて支出だけを並べて、その財源を明らかにしようとしても、それは
あくまで支出の計画表に過ぎなくなる。これはマニフェストとは全然違うものだと
判断せざるを得ないわけです。
次に、マニフェストそのものが日本の直面している課題の解決に対して、具体的な
約束になっていないという問題があります。依然、内容はスローガン的で、特に
外交問題のあたりは交渉の「心構え」みたいな言葉だけで語られている。
これでは、全く約束と言えません。
マニフェストの策定にも大きな問題がありました。
自民党に関しては、マニフェストの作成が遅れ、党内では途中まで自分のマニフェスト
で戦う、という人たちがいました。麻生首相の姿はマニフェストの中で非常に限定的です。
つまり選挙を経て、政権を得たときに誰がこのマニフェストの約束を実現するのか。
そのメッセージが国民に伝わらない構造になっています。
民主党は鳩山代表が党首選で掲げた「友愛主義」はマニフェストの骨格になって
いません。しかも、マニフェスト自体の政策がアメリカとのFTAの問題のように、
重大政策でありながら反発が高まると後から変更になる。これでは、党内における
マニフェストを軸とした政策決定のメカニズムが確立しているか、かなり疑わしい。

●問われているのは政党政治そのもの
全体として言えることは、日本の政党は未来を競っていないということです。
自民党、民主党ともに、人口減や高齢化に伴う課題解決に答えを出せないまま、
選挙対策でサービスの競争を行っている。そうだとしたら、これはマニフェストの
書かれ方にとどまらず、日本の未来に対してこの2つの政党は「無責任」としか
いいようがない。
日本の課題で最も大きなものは、急速に進行している少子高齢化・人口減少にどう
対応しているか。この一点に尽きます。自民党は「安心社会実現会議」の報告書を
軸にその骨格をまとめています。課題の設定でその方向は妥当だと判断しますが、
公助・共助・自助のバランスを含めた目指すべき社会のあり方を国民に提起できてはいない。
年金・医療分野では現状の問題の把握が遅れ、結果としては若い世代に負担を
押し付け、世代間のギャップを広げることを黙認しています。
これに対して民主党は、少子高齢化の時代にどう臨むのかについて、課題設定自体に
問題があります。少子高齢化の社会は、明らかに経済のパイが縮まります。そのパイを
広げる経済対策を全く語らないまま、所得の再分配政策自体を自己目的化している。
これでは、この対策はつじつまが合わない。しかも、急増する社会保障費については、
誰がどのようなバランスで負担するか、その考えを提示していない。
これは国家の運営にとっては致命的な問題であると私たちは考えます。
自民党が行ってきた構造改革は、問題はありますが、少なくとも自助の割合を増やす
ために競争型社会を目指したということができます。
しかしその反面、公助の設計が不足しているところに自民党の問題がありました。
いっぽうの民主党がどういう社会像を描いているのか。問題はそれが全くマニフェスト
に書かれていないことです。規制緩和など民の成長に関する政策は全く描かれて
いない以上、民主党は大きな政府を設計せざるを得ない。ではその負担はどう提起
したかというと、マニフェストではそれを先送りしている。

政治が、この選挙で未来を語れず、そのツケを若者の未来に先送りするというので
あれば、この選挙で問われているのは政権交代ではない。日本の政党政治の信頼
そのものではないか、と私は思う。
まだ選挙が公示されるまで時間はあります。自民党・民主党には日本の未来に向けた
責任あるマニフェストを再構築することを、言論NPOは提案したいと思います。
(一部抜粋)

発言の全文はこちらでご覧になれます→ http://www.genron-manifesto.net/

また、9日の「政権公約検証大会」(21世紀臨調主催)での発表を終えての工藤の
発言(動画)は、「工藤ブログ」でご覧になれます。
 → http://www.genron-npo.net/kudo/podcasting/003592.html

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