メールマガジン

【vol.220】「市民を強くする言論」編vol.001 /「エクセレントNPO」とは何か

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皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
非営利組織評価基準検討会では3月10日より、質の高い活動を行うNPOすなわち
「エクセレントNPO」を軸とした強い市民社会への「良循環」づくりの提案
を行っています。
今回のメールマガジンでは「市民を強くする言論」編・第2弾として、この
「エクセレントNPO」とは一体どのようなものなのか、非営利組織評価基準
検討会の主査で、言論NPO監事でもある田中弥生氏の解説をお届けします。

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 「エクセレントNPO」とは何か
      ―田中弥生(言論NPO監事、大学評価・学位授与機構准教授)
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日本の市民社会は本当に強くなったのか。非営利の世界に、市民社会を強く
していくための変化を起こすにはどうすればいいのか―このような問題意識のもと、
国内外の有力なNPO・NGOと専門家によって立ち上げられたのが、非営利組織
評価基準検討会です。そして2年にわたる議論の末、検討会が出した答えが、
「優れたNPOが牽引役となり、市民社会を強くしていくような『良循環』をつくろう」
ということです。さらに、そのような動きが広がりをもっていくためには、優れた
NPOつまり「エクセレントNPO」の評価基準を明らかにすることが重要だと考え、
検討会では近く、その評価基準を公表するための準備を進めています。
ここでは検討会主査である田中氏が、議論の経緯と「エクセレントNPO」について
解説します。

◆非営利セクターの現状と課題

NPO法(特定非営利活動促進法)が施行されたのは、1998年です。その3年前に
発生した、阪神・淡路大震災での国際協力NGOやボランティア団体の活躍、
そしてふだん、ボランティアとかかわりのなかった多くの人々が救援活動のために
行動を起こしたことが、法律制定の大きな引き金となりました。 NPO法人は、
日本社会において、人々との絆や相互扶助の関係を再構築しながら豊かな市民社会を
つくっていくための重要なアクターとなることを期待されたのです。
この10年あまりで、NPO法人の数は約4万団体にまで急増しました。地方の中間
支援組織が様々な支援策を打ち出したこと、あるいは政府により認定NPO法人制度
がつくられたことや、NPO法の認証条件のハードルを比較的低くし、法人制度を
利用しやすくしたことが、法人数の増加を後押ししたのです。活動範囲も、医療福祉
から経済活動の活性化までおおよそ想定し得る公共的な分野をほぼ網羅するほど多様
になりました。活動規模や収入規模も様々です。また、政府の雇用政策や行政改革が、
NPOをその実行手段として位置づけたことにより、ビジネス・チャンスを求めて、
多様な主体がNPOセクターに参入するようになりました。
もちろん、多様化そのものは否定されるものではありません。しかし問題なのは、何が
NPOの本質なのか、その支柱になるべきものがよく見えなくなってきてしまっている
ということなのです。多様化と混迷を続けるNPOセクターには、「市民との距離が
縮まっていない」という、ひとつの共通点があります。NPO法制定後10年を見てみても、
寄付とボランティアの数はほとんど増えていないことがわかります。
つまり、法人数は増えたけれども、日本の寄付やボランティアの底上げには寄与して
いないということなのです。

しかし、NPO法が目指したのは豊かな市民社会だったはずではないでしょうか。
そうだとすれば、NPOとは何のために存在しているのでしょうか。

◆「エクセレントNPO」とは何か

では、NPO・NGOは何をすべきなのでしょうか。非営利組織が本来求められた役割
を果たすためには、課題を解決し、社会を変えていくという「社会変革」の役割と、
寄付やボランティアなど社会参加の機会提供する「市民性」の役割を、車の両輪として
機能させていく必要があります。
換言すれば、正当な手続きのもとで、課題解決に向かって成果を出そうとする組織
だからこそ、市民は寄付者やボランティアとして参加することを希望します。
つまり、優れた組織だからこそ、市民を引きつけけることができるのです。
そして社会変革と市民性の両輪に機能させるためには、母体である組織を維持する
必要があります。今のNPOの現状を考えれば、安定性の確保が急務ですが、しかし、
それだけでなく、常に課題解決に向かって前進しているような刷新性を内蔵している
必要があります。

国内外の第一線で活躍するNPO・NGOの実践者や研究者によって結成された非営利組織
評価基準検討会では、これまで2年にわたって議論を重ねてきました。議論の中で私たちは
まず、優れたNPOを定義する際には「市民性」「社会変革性」「組織の安定性」の3つ
が重要なテーマになると考え、そのうえで以下のような優れたNPOつまり「エクセレント
NPO」の定義を提案するに至ったのです。

『自らの使命のもとに、社会の課題に挑み、広く市民の参加を得て、課題の解決に向けて
成果を出している。そのために必要な、責任ある活動母体として一定の組織的安定性と
刷新性を維持していること。』

◆「エクセレントNPO」を軸とした「良循環」をつくる

この「エクセレントNPO」の定義は唯一絶対のものではなく、一部の特別な人たち
にしか実現できないことでもありません。私たちも、完璧な組織などないということは
自覚しています。重要なのはそれを目指して努力することなのです。「エクセレント
NPO」が一部の特殊な人たちの占有物に留まっているのでは意味がありません。
検討会が求めているのは、「エクセレントNPO」がひとつの触媒となって、日本の非営利
セクターがより自信と信頼に満ちたものになるような循環が起こっていくことなのです。
では、優秀で力強いNPOつまり「エクセレントNPO」が牽引役となって、この国の
NPOセクター全体の信用力を高めていくには何が必要なのかということですが、
まずは、「エクセレントNPO」に人々が魅力を感じ、人々の参加や支援が集まること。
そして人々の支援を集めることのできたNPOは、より大きなエネルギーを得ることで、
課題解決に向けて成果を出すことができるようになります。すると、そのような姿を
目指して他のNPOも頑張るようになるのです。このように、互いに課題の解決を競って
切磋琢磨するような循環が生まれる必要であるのです。
このような循環が生まれるためには、いくつかの課題を克服していかねばならないわけです
が、まず、「エクセレントNPO」による活動や議論を「見える化」していくことが重要です。
そのために検討会が策定を進めているのが、「エクセレントNPO」の評価基準なのです。
私たちは、4月にもその基準を公表する記者会見を行い、この提案を世に問いたいと考えて
います。皆さんからのご意見もお待ちしております。

 ▼田中氏による解説は、こちらからもご覧になれます
 → http://www.genron-npo.net/society/genre/npo/npo-10.html


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