ワシントンにて

2012年3月13日

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■■■■ 言論NPO メールマガジン
■■■■ 2012年3月13日
■■■■ 発行:認定NPO法人言論NPO<https://www.genron-npo.net/>

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言論NPOの工藤です。

桜の季節が近づいていますが、いかがお過ごしですか。
いつも皆さんにはお世話になりながら、ご無沙汰ばかりで申し訳ありません。

私はいま、ワシントンのホワイトハウスの近くのホテルから、このメールを書
いています。
ワシントンでは桜がところどころで咲いております。そして今日は日本の震災
からの一年ということで、大きな追悼の会合が開かれています。

私はこの機会を活用して、皆さんに、今言論NPOが取り組んでいる活動に関し
て、報告しなくてはと思いました。言論NPOがそのミッションを成功させ、次
代への責任を果たすために、皆さんのご理解とご協力が不可欠だからです。

私は、昨年の年末の10周年パーティで「健全な輿論の力」で、この国に目に見
える変化を必ず起こすと、決意を伝えました。私はそのための作業に今、本格
的に取り組んでいます。
先週は、毎日新聞社、共同通信社と組み、言論NPOが主催する市民会議が、エ
クセレントNPOの年間大賞のアワードを行うことを、記者会見で公表しました。
これは強い市民社会に向けた取り組みであり、非営利組織に組織評価を問うの
は、日本では初めての試みです。

そして、今、私が取り組んでいるのは、日中米の対話の枠組みづくりです。
皆さんもすでにご存知のように、アメリカのアジア重視とそれに伴う軍事面の
政策の転換で、中国との間で緊張関係が高まっています。8年前、中国の反日
のナショナリズムが高まる中で、私は日中対話を実現させましたが、今度はこ
のアジア地域の安全のために、新しい民間外交の仕組みが必要になっています。

それを実行できるのは言論NPOしかない、という覚悟で、私は今、ワシントン
に来ています。

外交問題評議会(CFR:Council on Foreign Relations)は10年前、私が言論
NPOを立ち上げる際にモデルにした団体ですが、今回、世界19カ国から20団体
の有数のシンクタンクを選び、グローバル・ガバナンスと多国間協力の問題に
ついて共通の対話を行い、卓越した見解を提示していくため、新たな国際イニ
シアチブ(COC:Council Of Councils)を発足させます。
そのメンバーに、日本からは民間非営利団体である言論NPOが選出され、マル
チな民間外交の議論に積極的に参加することになったのです。
私はその設立メンバーとして、昨日からワシントンに来ています。

COCの設立メンバーは、G20とほぼ同じ19カ国20団体からなり、アメリカはCFR、
イギリスはチャタム・ハウスと英国国際戦略研究所(IISS)、ロシアは現代
発展研究所(INSOR)、そしてフランス国際関係研究所 (IFRI)、ドイツ国際政
治・安全保障研究所(SWP)、イタリア国際問題研究所(IAI)など欧米の名門
シンクタンクに加え、アジアからは、中国の上海インターナショナル研究所(SIIS)、
韓国のアジア研究院(EAI)、シンガポールのナンヤン工科大学ラジャラトナ
ム国際関係学院(RSIS)、中東やアフリカからは、イスラエル国家安全保障研
究所(INSS)や南アフリカ国際問題研究所(SAIIA)など、いずれも世界を代
表する有数の外交政策専門機関により構成されています。
COCの発表文では、ミッションとして、世界が共有する脅威への共通認識を模
索し、革新的な考えに対して支援構築を行い、各国の公共議論と政策決定の
過程に解決策を導入することを目指しています。

私は、このチャンスを十分に活かさなければならないと考えています。
言論NPOは日本が国際社会の存在感を失う中で、日本の将来に向けた議論を構
築し、主張を世界に伝えることをミッションに掲げています。
その役割を今こそ、実現できる可能性があるからです。

COCへの参加を追い風に、私はアジアにマルチの対話の枠組み作りに着手する
予定です。
東アジアには安全保障を協議する多国間の政府の協議の枠組みが、北朝鮮の6
者会議しかないのです。
それもまず、民間から攻めようと、私は考えています。

言論NPOも、これに会わせてワシントンで記者会見する予定になっており、
私もCOCとCFRの二つの会合で発言することになっています。私はこの場で、
日米間の対話が余りにも不足していることを指摘し、アジアの安全保障や未
来のために、マルチな対話を民間部分でまずつくろうと呼びかけるつもりです。

そして3日後、私は今年7月に東京で行われる東京-北京フォーラムの事前協
議のために、今度は北京に入ります。実行委員長の明石康さんや宮本雄二さ
ん、武藤敏郎さんも一緒です。
中国との対話も、かなり戦略的に構成していかなければならない局面になっ
てきました。
40周年を経て相互理解で新しい局面を作り出せるか、それが、私たちの課
題であり、「東京コンセンサス」という形で、この場で共同声明を出そうと
考えています。

そして帰国後、私は日本の政治の立て直しと、健全な民主主義のためのある
プロジェクトに取り組みます。
この3つが、私がいま全力で取り組んでいるあたらしい挑戦です。


アメリカに来て分かったのは、言論NPOの取り組みが世界でも十分に理解さ
れており、中国との対話に高い評価があることです。まさに継続は力なり、
ということを本当に学んだ気持ちもしております。

私は議論の力で、強い民主主義と作り、日本が未来への挑戦を取り戻すため
に、今の政治を変えなければならないと思っています。ただ、言論NPOに与
えられた様々なチャンスを生かすためにも、言論NPOはまだまだ非力です。
組織の強化にも取り組まなければなりません。そのためにも、皆さんのお力
が必要なのです。

帰国後、言論NPO自体を次のステージにあげるために、皆さんにもご意見を
いただけたらと希望しております。その際はよろしくお願いいたします。

ワシントンはもう春のような陽気です。
明日のアメリカでの会議から、流れを私は必ず作り上げます。
報告が長くなりましたが、ここまで読んでいただき感謝しております。


2012年3月11日
ワシントンにて
工藤泰志


▼工藤ブログ「民間対話で課題解決のための議論を」はこちらから
 
▼声明「米国の外交問題評議会(CFR)が主催する「カウンシル・オブ・
カウンシルズ(COC)」の常設メンバーへの選出にあたって」」はこちらから

 
▼プレスリリース「民間非営利団体の言論NPOが、米国の外交問題評議会(CFR)
が主催する「カウンシル・オブ・カウンシルズ(COC)」の常設メンバーに選出され、
マルチ外交対話に日本から参加します」はこちらから
 

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