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2013年・訪中特集1:「第9回北京-東京フォーラム」事前協議を目前に控えて

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■■■■ 言論NPO メールマガジン
■■■■ 2013年4月1日
■■■■ 発行:認定NPO法人言論NPO<http://www.genron-npo.net/>

【Topics】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
  訪中特集1:「第9回北京-東京フォーラム」事前協議を目前に控えて

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東京では桜が満開となり、いよいよ新年度が始まりました。言論NPOは2013
年度、議論の力を通じてこの国の民主主義と市民社会を強いものにする、とい
うミッションの実現に向け、これまで取り組んできた活動を一層強化します。

その一つとして、新年度初日の4月1日、今年8月半ばに北京で開催予定の
「第9回 北京-東京フォーラム」の準備のため、明石康委員長をはじめとす
る実行委員会メンバーとともに、代表の工藤が北京に出発しました。

これから4日間の滞在期間の活動は、連日、メールにて皆様にご報告いたします。
今日はその第一弾です。ぜひご一読ください。

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【1】工藤ブログ:民間外交を通じて、国境を超えた国際的な輿論づくりへ
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今回の訪中は、3月の訪米、さらにはこの訪中後の4月・5月に行われる日韓世
論調査および日韓対話など、言論NPOが今年度さらに取り組みを強化していく
民間外交=「パブリック・ディプロマシー」の一つに位置づけられます。

訪中直前の3月末、言論NPO理事で、独立行政法人大学評価・学位授与機構の
田中弥生教授を聞き手にお迎えし、言論NPO代表の工藤が、民間外交とは何か、
いまなぜそれが必要なのか、そして言論NPOはこの活動を通じて、何を実現し
ようとしているのか、といった点について語ります。

そして、特に今回の訪中で実施する事前協議の意味と目的を、両国が破局的な
事態に陥らないよう、中国側の代表者たちと本気で議論するこにあると述べ、
事前協議を「成果につながる一歩」としたい、との意気込みを語っています。


▼全文は以下のとおりです。

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田中:工藤さん、3月は大変にお忙しくて、初旬にはワシントンDCに行かれ、4月
1日からは中国へ。具体的な活動内容を話していただけますか。


<ワシントン訪問の目的とは>


工藤:私たちがやっているのは、民間の外交です。今、なぜ民間の外交が必要な
のかと言えば、世界でも政府間の交渉だけでは様々な課題に対して、答えを出せ
なくなってきています。それに対して、民間の私たち市民がどのように参加して、
課題解決に乗り出せるかということが、今、問われていると思います。

 アメリカの外交問題評議会(CFR)という世界的なシンクタンクが同じ問題意識
を持って、昨年の3月に世界に呼びかけました。つまり、グローバルなガバナンス
が、かなり不安定化している。その中で、世界の民間のシンクタンクが集まって、
それに対する答えを出す努力をしませんか、と。そして世界23カ国の主要なシンク
タンクが参加する会議(カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC))が発足した。
その2回目の年次総会があり、私はワシントンに行ってきました。そこでは、気候
変動や貧困対策、宇宙空間やサイバー空間のガバナンスなどが話し合われましたが、
こうしたグローバルなアジェンダに対し、日本が主張するということは当然必要な
ので、私も議論に参加しました。

 ただ、私のもう一つの関心は、アジアのリージョナルなガバナンスの問題です。
この地域では経済的な成長という点では、非常に大きな可能性があるのにも関わら
ず、北朝鮮の問題、中国などとの領土に関する紛争を抱えている。この不安定なガ
バナンスをどうすれば解決できるのか、ということが私の最大の問題意識なわけで
す。それをアメリカを巻き込んだ形でどう進めたらいいのか、ということで、ワシ
ントンの主要なシンクタンクや大学のトップやアジア担当の責任者、それから、ア
メリカの上院などの議会の上級スタッフとも議論を重ねました。

 私が今回、北京に行くのは、ある意味でその延長にあります。今、日中関係が非
常に悪い中で、この問題を民間の対話、私はそれを、「パブリック・ディプロマシ
ー」と言っているのですが、民間外交、民間の対話の中で何ができるのか、という
ことをいろいろ試行錯誤しながら、北京で問いかけてみたいと思っています。


田中:「パブリック・ディプロマシー」、民間外交というのは、政府が担う外交と
何が違うのでしょうか。


<グローバルガバナンスの不安定化>


工藤:ワシントンに行ったときに、CoCの会議で痛感したことがあります。私たち
が向かい合っている問題は、政府間の協議だけではなかなか答えを出せなくなって
いるということです。

 その背景には中国など新興国の台頭もあり、アメリカをはじめとする先進国だけ
では意見の調整がほとんどできない状況になってきているわけです。これは気候変
動の問題などすべてに共通するのですが、政府間だけではコンセンサスがなかなか
得られない。これを私たちが、グローバルガバナンスの不安定化と言っていますが、
そういう問題が様々な分野で起こっているということです。

 つまり政府だけに任せられない、ということになると、私たちがこうした課題の
解決にも参加しなくてはならない、という局面なのです。議論の中では「マルチス
テークホルダー」という言葉がよく出ます。つまり、その課題には実に多くの利害
当事者がいるのです。地球の温暖化も、これは政府の問題だけではなく、地球に住
む全員が利害当事者です。そういうステークホルダーが政府にお任せするだけでは
なく、自分の問題としてこうした課題に向かい合わない限り、解決に向かう大きな
流れは作れない。そういう認識が、世界の主要シンクタンクの議論でも当たり前な
のです。
 つまり、日本であれば、私たち市民が、世界が直面する課題に対する議論を作り、
それを世界に発信して、国際的な課題に取り組まなければいけないと思ったわけで
す。


<政府間外交の空白を埋めるのが健全な輿論の役割>


 それから、私がもう1つ感じているのは、輿論ということです。外交とは政府間
の協議ですが、政府間が動いている取り組みに、一般の国民はその内容を具体的に
知っているのか、ということなのです。私はよく言うのですが、一般の世論と輿論
は異なるものだと考えています。 

 輿論とは、一般の空気というか、雰囲気ではなく、責任ある意見です。こうした
輿論に支えられた外交こそ、強い声となるのです。
 国際的な課題で、政府間の合意ができないのであれば、私は課題解決のための国
際的なあるいは地域の健全な輿論を作れないか、と思うのです。
 特にアジアでは、国民間にはナショナリスティックな感情的な反発があり、それ
が政府間の対立を一層深刻なものにするという問題があります。
 これを逆に、国境を越えた輿論が課題の解決の広範な流れを作っていく。そうい
う取組みを私は行いたいのです。これは政府外交ではできないことです。
 つまり、流れを変えるのは、マルチステークホルダーであり、輿論なわけです。
この輿論を健全な形で、課題解決に沿った形でつくっていかなければいけない。そ
の役割を、僕たち言論NPOが果たしていきたいと思っているのです。言論NPOは12年
前に生まれましたが、その時から健全な輿論をつくって日本を変えたい、と私は思っ
ていました。それが、今、まさに国境を越えて動こうとしているのです。そのため
の、民間の果たす役割は一層大きなものになっていると、私は思うのです。


田中:当事者、様々なアクターが課題解決に取り組む、ということは確かにそうだ
と思います。工藤さんの発言を聞きながら腑に落ちたのは、私たち一般の国民が、
その問題とどう絡むのか、ということだったのですが、ベースにはまさに健全な輿
論が必要だということですね。


工藤:そういうことです。例えば、単純な話ですが、平和な環境は誰もが欲しい。
それは多くの人が望むことだと思います。しかし、その平和な環境が、政府間の対
立やナショナリズムの対立になったときに、誰がその問題に取り組めるのでしょう
か。政府間で非常に厳しい状況になった場合に、それを変えていく原動力こそ、市
民側にあり、健全な輿論がそれを支えるものになります。何とかこの問題を解決し
よう、という民間レベルの動きや、強い声があって国際的な課題、地域のリージョ
ナルな課題が解決へ向け、大きく動き出すと思います。

 この間、私は様々な議論を、国際間でも行ってきました。そこではっきりと分かっ
たのは、政府間外交だけでは取り組めない分野があるということです。もちろん政
府間外交は非常に大事なのですが、その空白を埋めるために、市民なり健全な輿論
の役割が問われている段階にきていると思います。私たちが世界、アジアでやろう
としていることは、その輿論形成の一環なのだ、ということを理解していただけれ
ばと思います。


田中:まさに、「私たち自身の市民社会」という言葉がぴったりだと思うのですが、
そこが実は根っこにあって、問われているということですね。


<中国と本気の議論を>


工藤:そうですね。私たちが今回、中国に行くのは、領土問題に関しては、私たち
も尖閣諸島は自分たちの領土だと思っていますし、これは譲ることができません。
しかし、一方で、この紛争が、何らかの偶発的な事故から戦争になってしまうとい
うことは、何としてでも避けなければいけない。やはり、政府間の対話は主権を背
負うものである以上、譲ることができないのは分かりますが、だからと言ってすべ
ての対話がそれで止まってしまうというのは問題だと思います。

 何かの形で破局的な事態は避けたいという思いが、両国民間にあるとすれば、そ
れを何とかして対話という形でできないか、ということが私たちの原点にあるわけ
です。だからこそ、中国の人たちと本気で議論をしよう、ということが、今回の訪
中の目的であり、意味なのです。私たちが2005年から行っている対話は、困難を民
間の議論で乗り越えるために行っているのであり、国民感情が非常に悪化している
中だからこそ、こうした民間の対話、公共外交が大事なのです。

 私たちは、あくまでも本気の議論がしたいのです。ただ、議論を行えばいいとい
うものでもない。成果につながる一歩が必要なのです。今回の訪中では、元国連事
務次長の明石康さん、元駐中国大使の宮本雄二さんなど7人で北京に乗り込み、中
国側と本気でやり合おうと思っていますが、その成果は、後日、みなさんに報告い
たします。


田中:頑張ってきてください。


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【2】工藤泰志・責任編集のWEB言論誌「Discuss Japan」には、現在の日中
関係や中国の動向に関する論考が多数掲載されています。
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(ディスカス・ジャパン)」は、昨年11月の創刊以来、現在の日本の言論や政策
論調を、英語と中国語で世界に発信しております。Discuss Japanには、日本の
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たち言論NPO独自の論文・対談・記事が多数掲載されています。日中関係に関
する論考や中国の動向に関する論考も数多く含まれていますので、海外のお知り
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