大阪府知事の主張 第3話:「アジアの中の”グレーター大阪”」

太田房江 (大阪府知事)
おおた・ふさえ
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1951年生まれ。75年東京大学経済学部卒業後、当時の通商産業省に入省。産業労働企画官、生活産業局住宅産業課長、近畿通商産業局総務企画部長、岡山県副知事、消費者行政担当審議官を経て、2000年2月に大阪府知事に就任。初の女性知事として日本中の注目を集めた。
「地域主権」、「生活者の視点」、「公民協働」を政策の基本に据えて府政をすすめ、「子育て・少子高齢化対策の推進」、「多様な人材の活躍支援」、「大阪産業の成長支援」や「災害に強いまちづくり」への取組みを強化している。
アジアの中の「グレーター大阪」
大阪府は大都市圏に属し、企業の本社もまだそれ相応には残っており、税収を上げる余地も残っています。グローバリゼーションという意味でも、大阪の存在意義、レーゾンデートルを考えていく、つまり、東京の背中ばかり見ないでアジアの中の大阪という部分をこれからしっかりやっていこうと思っています。
地域によって経営手法というのか、経営の知恵というのは違っていると思います。私の場合は勝手知ったる実家、つまり国に対して物申すということに加え、今までずっと東京の背中を見るということが経営の非常に大きな部分であったのを、アジアに視点を移して、アジアの中で東京と並んで何をするか、東京と並んでどうやって成長していくか、それは東京とは違う成長路線だと思いますが、そういう意識をどのように府民に理解していただくのかというのが私の地域経営における大事な視点になっています。それが結局、税収を増やし、経営を楽にする方向に変わっていくことになる。企業でいうコーポレートアイデンティティー(CI)として、「負けたらあかんで東京に」から「アジアの中の大阪」に変えていく。これからの大阪の経営はそういう視点をしっかり持ってやっていくべきだと思っています。
もちろん大阪の将来を考えるときに道州制も大事です。地域経営は道州制と連動しています。アジアの中の大阪といったときに、だれも大阪府を思い浮かべる人はいない。大体、関西です。つまり「グレーター大阪」なのです。グレーターロンドン、グレーターワシントン、グレーターニューヨークもそうです。グローバルな世界の中では、行政区画上の線引きを見ている人は誰もいない。1つの経済圏なのです。道州制の線を引いてあるところがその経済圏にぴったりとまでは言いませんが、ほぼそれに近い形をしている。
東京は江戸時代からです。大阪のスタートラインは小野妹子という遣隋使を送った607年です。ちょうど1400年前です。つまり難波津の港というのは中国、あるいは大陸、半島のものをどんどん受け入れる拠点だったのです。そこから日本全体に伝わっていった。歴史的な重みは全然違います。国際性という言葉がありますが、これは互いに違いを認め、支え合う精神です。大阪は在日外国人の方も多いし、中国人の方も今は4万人の登録がある。海外の方が入って来やすい土壌が大阪にはあるのです。これはただ単に人々が開けっぴろげだというだけではなくて、歴史の土壌があるのです。
東京は明らかに欧米を向いています。関西国際空港と成田を比べたらよくわかります。関西は中国便の比重が大変高い。関西は貿易額においても日本全体のアジア貿易の4分の1を、中国貿易の約3割を担っています。中国やアジアは貿易の相手国として輸出にしても輸入にしても大変大きい。大阪港と神戸港と関西国際空港です。例えば、大阪港はいろいろなものを輸入していますが、半分は中国からです。こんな港は日本中にありません。もちろん地理的に中国が近いからということもありますが、やはり歴史上の重みがある。私はよく京都・兵庫など京阪神の知事と一緒に北京へ行きますが、一衣帯水という言葉もあるように、非常に親近感を持ってくださる。これは東京と全く異なっています。
私は東京にも長くいたからよくわかりますが、アジアを仲間として肩を組んで歩いていくという姿勢は東京ではあまり感じたことはないのに対し、関西にははっきりあります。だから、友好提携も非常に多いし、友好関係の歴史も長い。そういうところを大事にしながら、グレーター大阪というのをアジアの中に打ち出していきたい。
その一環として、中国、韓国、ASEAN諸国などの主要都市の首長を招いて「アジア主要都市サミット」を今秋に開催することを予定しています。アジアはFTAなどいろいろなことを進めていますが、主要都市や都市圏がやはりアジア全体を引っ張っています。東京都がやっていた主要都市ネットワーク(「アジア大都市ネットワーク21」)がうまくいかないということもあって、私はそのネットワークをつくり上げたい。都市と都市との対話も大事ですが、環境問題や人材育成など、これからアジアが協働してやっていかなければならない課題はかなりあるので、それらを共に克服していくためのネットワークにしたい。これは北京市長や上海市長にも呼び掛けて、進めたいと思っています。
この主要都市サミットの特徴は中国の5都市を入れているということです。上海市、北京市、江蘇省、遼寧省、香港です。日本は今のところ、大阪と京都と神戸を考えていますが、ほかを排斥するということではなく、機会が訪れれば、またいろいろなことも考えたいと思っています。第1回目は、まずは大阪が音頭をとる形でやりたい。例えば環境問題なんかでいいネットワークになるようであれば、北京がこのサミットを続けてくれというかもしれない。そうなれば私たちはやっぱり日本の中の大都市圏ですから、そういう意味合いも考慮して一番ふさわしいポジションというものを求めていこうと考えています。
2007年05月24日 17:55
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