福島県知事の主張 第1話:「国土政策で人口の適正分布を図らないと、本当の分権は実現できない」

佐藤雄平 (福島県知事)
さとう・ゆうへい
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1947年生まれ。70年神奈川大学経済学部卒業。83年厚生大臣秘書官に就任。その後、衆議院議員政策秘書、参議院議員(2期)、国土開発新幹線自動車建設審議会委員、決算委員会理事、沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長、国土交通委員会理事、予算委員会筆頭理事を経て、06年福島県知事(1期目)に当選。
県民の立場に立った安定感ある県政を行う一方で、「均衡ある国土の発展」を主張し、地方への税財源移譲を進め、地方分権を提唱している。
国土政策で人口の適正分布を図らないと、本当の分権は実現できない
地方分権がいわれていますが、本来、税財源も一緒に移譲する分権論でなければ、地方は成り立っていきません。この日本で長く続いてきたのは、経済が上昇を続ける中での、まさに分配論の社会でした。パイが大きくなる中で、地方に財源がなくても、補助制度で成り立った時代でした。
それがある時期から成り立たなくなり、100のパイが残念ながら70になってしまった。そのマイナス30というのは、地方では負担できなくなったということです。それで地方は非常に困っている。そういう中で分権論というものが進み、いわゆる「闘う知事会」ができたのですが、それを一番わかっていたのが梶原拓さん(前岐阜県知事、前全国知事会会長)でした。彼は中央の役人という逆の立場にいたこともあるので、よく理解していました。
私もある意味では、知事になって逆の立場になりました。私が国会議員であった当時、国では全体で5兆円の補正予算が決まりました。ところがこれは補助事業で、1000万円の仕事を福島県でやりなさいということで、ありがたい話なのですが、そのうち500万円は県が負担してくださいという話です。こういう状況がそれぞれの地方にあるのです。
地方分権での権限の移譲はありがたい話ですが、色々と事務経費のようなものがかかるにもかかわらず、財源が伴っていない。しかし、権限移譲された仕事はしなければなりません。三位一体改革も補助金削減、交付金削減ということで、地方自治体は非常に困っているのです。
結果的に本当に皆が良くなる三位一体改革でなければならないのですが、全国の知事が知事会で集まっても、都市部の知事の皆さんと地方の知事の皆さんとでは、三位一体改革についても大きな意見の乖離があります。
税財源を移譲しても、所得税や住民税にせよ、人口の少ないところはかえってマイナスになる部分があります。私が国に求めたいのは、ある程度人口がきちんと分布するような国土政策を進めてもらいたいということです。そうでもしない限り、地方の思っている分権にはなっていかないと思います。
道州制にすれば、地方の自主的な税財源として新しい項目もつくれるだろうといわれます。しかし、東北全体で見ても人口は東京圏の何分の一でしょう。人口の適正な分布がない限り、道州制にしても、大都市への一極集中が進むだけで、過疎は続いてしまう。基本的に、国土政策をきちんとやってもらう。その中で、今の国税と地方税の比率を6対4から5対5にしてもらう。そうすれば、自活できるような分権ができてくると思います。
かつては首都機能移転論がさかんに行われましたが、現在は下火になってしまいました。阪神・淡路大地震の直前のころは、むしろ東京が栃木県、福島県にお願いして、首都移転をしてもらいたいぐらいの雰囲気がありましたが、残念ながら10年過ぎたら、もう、そのような話はほとんどなくなりました。
国会や国の省庁を移転するというのは、1990年に国会で決めたことであり、とんでもない約束破りです。福島県と栃木県は1生懸命誘致をして、大変な額の公費を使いました。岐阜県も三重県もそうです。総論はみんな賛成だったのです。しかし、各論になって、どこに国会を持っていくか、官公庁を持っていくかという、何か分配論のようなことになってから、いつの間にかその話がなくなってしまったのです。衆議院と参議院に特別委員会がありましたが、それは4年前になくなり、協議会になってしまった。この点も知事会がきちんと言っていかなければなりません。
2007年05月26日 11:04
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