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 福島県知事の主張 第5話:「”大字”単位の集落は必ず守る」

佐藤雄平 (福島県知事)
さとう・ゆうへい
profile
1947年生まれ。70年神奈川大学経済学部卒業。83年厚生大臣秘書官に就任。その後、衆議院議員政策秘書、参議院議員(2期)、国土開発新幹線自動車建設審議会委員、決算委員会理事、沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長、国土交通委員会理事、予算委員会筆頭理事を経て、06年福島県知事(1期目)に当選。
県民の立場に立った安定感ある県政を行う一方で、「均衡ある国土の発展」を主張し、地方への税財源移譲を進め、地方分権を提唱している。

「大字」単位の集落は必ず守る

私の行政スタイルをあえて言えば、「啓蒙と協調」ということになります。県民や職員の話をよく聞きながら、そしてまた教えながらということの繰り返しです。県民や職員と1緒に歩くということは大切ですが、一緒に歩いても、それに流されてはいけない。

私は、今後10年の起承転結を決め、これについて、自らのアクションプログラムをつくり、それに抵抗があっても、啓蒙しなければならないところは啓蒙します。やはりこれからは世論が大事ですから、それに耳を傾ける。耳を傾けなければならない部分が出てくるのは当然だと思います。

そして、私が政治信念としているのが、地域社会を守るということです。今後、全国で約2600の集落がなくなるおそれがあるという調査結果があります。我が県も40ぐらいの集落がその対象でしょう。1人もいなくなると集落は消滅するのですが、例えば、私が子供のころ15軒ぐらいあった集落が、10年前にはもう3軒ぐらいでした。これは「字」単位の集落の話ですが、そこをすべて守るというと大変なことになりますが、私は何としても、最低でも町の中で「大字」の単位は守ろうと思っているのです。

これからの地方は、現場の基礎自治体が中心になっていくのは当然ですが、市町村との関係で、県には市町村と国との関係を仲介するという役割が出てきます。二地域居住にせよ、定住にせよ、企業誘致にせよ、基本的に県が仲人役を担う必要があります。具体策として、企業誘致に関して、今年度は35億円を上限とした補助金を出すことにしています。

全体的な視点で中通り、浜通り、会津の特色を生かすというのは、基礎的自治体だけではなかなかできないところがありますので、県には総合コーディネートというか、総合政策の中で、常に県内の60市町村を見ていくという役割もあります。

そう考えると、広域的な、戦略的な基盤として、県の役割はやはり重要です。ある意味では、市町村に対する県の立場と、県に対する国の立場というのは共通するところがあるかもしれません。ただ、市町村と県の関係はもっと密接です。県庁の皆さんは、私が市町村のことばかり言っていると怒っているかもしれませんが、それぐらい市町村と緊密性を持ってやっていかなければならない。

三位一体改革では、「闘う知事会」が教育費の問題などさまざまな意見をぶつけ、国の地方に対する理解度をそれなりに高めたという役割を大いに果たしたと思います。

ただ、教育にしても、生活保護にしても、憲法で国の責任がきちんと定められている。教育などの基本的なこと(ナショナルミニマム)は、北海道であれ、九州であれ、国がやるべきでしょう。教育の根本が北海道と九州で違うことになれば、おかしな話になります。

本当に地方分権を進めていくには、すでに申し上げたように、基本的に国土政策を見直さなければならない。地方に権限を移譲しても、事業を実施するための予算は、県が自ら確保しなければなりません。財源を確保するためには税収の源である人口などの分布を適正にしなければなりません。国の役割をもっと限定して、あとは全部地方にやらせようという考え方もありますが、そのときは日本の政治が相当変わるときでしょう。

その議論は、基本的には国の形の問題です。国の形がどうなっていくか、それを見据えながら、地域を経営することに取り組みたいと思っています。


2007年05月30日 11:05

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