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 '07参議院選挙 有識者の評価 / 「国と地方」編 増田寛也氏 (内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理)


増田寛也 (内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理)
ますだ・ひろや
profile
内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理
1951年生まれ。77年東京大学法学部卒業後、建設省入省。千葉県警察本部交通部交通指導課長、茨城県企画部交通産業立地課長、建設省河川局河川総務課企画官、同省建設経済局建設業課紛争調整官等を経て、95年全国最年少で岩手県知事となる(3期)。現在、内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理を務める。

中央省庁の解体の姿と分権の道筋を語ってほしい -3-

 もう一つの政策としては、かつて一極集中から多極分散と言っていた時代がありました。最近、言葉が非常に陳腐化しましたが……。それよりも、例えば道州制導入で経済的に自立するような州をつくって、おのずから東京に全部集まらない形をつくることを、問いかけるべきではないでしょうか。

 「何年後かには道州制に持っていきます。そのときにはこういう姿で、東京だけに人が集まるのではなくて、道州の州都には多少人が集まるかもしれないけれど、道州間で経済がきちんと回るような姿になります」、というようなことを問いかける。ふるさと納税だけをやって、金を東京から地方へというのは、物事の解決を提示したことにはならないと思います。

 民主党は300の基礎自治体を唱えています。一律に全国300諸侯というわけではないでしょうが、代表の持論ですからね。今ある1800の基礎自治体を300にするのだったら強制合併しかないわけです。今の小選挙区単位でしょう。岩手県が4つの市になるというイメージです。しかし、それを前提に地方分権を考えるということにはならないと思います。

 強制合併だったら、分権に反する。今やるべきは、多様性のある自治なのです。水平調整については、道州の中で考えてもらう。非常に小さな地方政府であれば、多分、その自治権は非常に制限される。それから、一方で非常に大きな地方政府もあって、ここは自分たちで完結するし、場合によっては周辺の小さな自治体に対して相当援助する。それらが多様に組み合わさりつつ、ブロック間ではお互いに財政調整を必要としないような姿です。ブロックを8つとか9つとか10に分けて、ブロック間の財政調整はほとんど必要ないぐらいの形にして、あとはその中のことは各ブロックに任せる。

 これは確かに大手術です。しかし、安倍政権は真正面から憲法問題を選挙の争点にしました。最近は年金の方などいろいろ問題があり、方針が変わっているようですが、やはり戦後レジームからの脱却、憲法問題となれば、それは防衛の問題だけではなくて、地方の、例えば道州制も、憲法問題の中で議論するぐらいの気構えでないとできないし、逆に憲法に触れないのなら、かえってあまりやらない方がいいかもしれません。

 安倍首相は、分権の問題は安倍内閣の最重要課題だとおっしゃっていました。重要課題というのではなく、あえて最重要課題とおっしゃっていた。その中で憲法問題として議論する気迫を持ってやるとすれば、私もいろいろ提案できるし、勧告をそういう内容に高めたいと思います。


マニフェストと地方分権

 自民党のマニフェストについては、内閣として決まったことをただ書いているだけで迫力がないです。もっと戦後レジームからの脱却につながる理念を出していただきたい。それから、中央省庁の解体の姿は相変わらず見えないですね。それをはっきり書いて、その上で分権をどう進めるかを考えないと駄目だと思います。

 発想、ビジョンは補完性の原則にしたがい、下から組み立てて、大きな絵を描いた上で、余った国家公務員をどういうふうに地方に回すかなど、今度は上から下ろしていかないとできないわけでしょう。両方を精緻につなぎ合わせなくてはならない。その点でやはりまだまだ本質に踏み込んでいません。

 民主党は何とも批評のしようがありません。まず分権の姿と相容れないと思うのは、300基礎自治体を唱えていることです。民主党は野党で、政権を取りにいく政党です。だから、理想論を掲げるだけではなくて、それを実現するための道筋まできちんと書いて、国民の支持を集めていかないといけない。ところが、300の基礎自治体をとなえている限りにおいては、これを実現するのは強制合併しかないと思います。これを分権ではなく、国家統治の最たるものでしょう。

 それから、相変わらず、ひもつきの補助金をなくすと言っていますが、なくした後、ばら撒きなのか、そこもはっきりしていない。やはり300基礎自治体論のトラウマがある。その呪縛から逃れられず、地方分権の政策は民主党には今ないと思っていいのではないでしょうか。

 今回の参議院選挙のマニフェストが、昔のその場限りの公約に戻ったのは残念です。参議院選挙は政権選択選挙ではありませんが、安倍政権には最初の審判です。ですから、そういう意味ではちゃんとしたマニフェストを出さないといけません。それから、民主党は新規巻き返しだから、次の本格的な衆議院での政権奪取に向けて、マニフェストの片鱗を見せないといけない。参議院だということに甘えては駄目でしょう。


   

2007年07月08日 13:54

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