2007年参議院選挙を総括する / 増田寛也氏 (内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理)
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増田寛也 (内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理)
ますだ・ひろや
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内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理
1951年生まれ。77年東京大学法学部卒業後、建設省入省。千葉県警察本部交通部交通指導課長、茨城県企画部交通産業立地課長、建設省河川局河川総務課企画官、同省建設経済局建設業課紛争調整官等を経て、95年全国最年少で岩手県知事となる(3期)。現在、内閣府地方分権改革推進委員会委員長代理を務める。
2007年参議院選挙を総括する -2-
これから中国とか東南アジアなどから、価格の安いものが入ってくる。安全性の問題はちょっとあるけれど、それは別にしても、安いものが入ってくるときに、本当に10年20年それで日本の農業がもつかどうかの部分がやっぱり議論として欠けているのではないか。
今を支えていくには1兆円でできるかもしれないけれども、もっと外国から安い物が入ってくれば、もっと金を出して支えていかなくちゃいけない。
農家の人たちのインタビューを見ても、小沢さんの発言にすごく共感する人たちも多いように思ったのですが、じゃ、農業が明るいかというと、いや、もう子供たちには継がせたくないという。今までずっと、ある種ばらまきに近いような形で支えてきた結果が今のこの農業の状況になっているわけだから、それを現状のまま支えても、多分将来はもっと悪くなると、みんなわかっているんじゃないかと思う。
だから今回の投票結果で民意の総体というのは出たわけですけれども、じゃ、それを受けてどうするかは、まだどこの政党も答えを示していないのではないか。
農業の経営規模を拡大して、海外のマーケットに輸出する強い農業にしないと、産業としては成り立たないと思う。しかし、今まで、特に水田農業は大変、過保護で守られてきましたから、変えるということに対して農民の方々は非常に保守的ですね。抵抗感が強い。
自民党は今後のあるべき姿を示しても、一方で、自民党農政の大規模農家の対象外になるところに対して、こういう形でやっていったらどうかというビジョンを示し切れていなかった。そこに欠陥があるように思いますね。
多少抵抗があってもやっぱり大規模化を推し進める強力な農政が必要です。民主党は、逆に小規模農家を対象にする公約を示して農家から共感を集めたけれども、それでも、農業は今後落ち込んでいくから将来に向けて自分の子供を後継者にするのは嫌だと農家は言う。どちらの政策をとっても農民は将来に対して不安を持っているんじゃないでしょうか。
国民全体で1兆円で農業を支えるという限度を超えてくると、今度はある種、都市と農村の戦いというか、対立もさらに激化するようなことにもなるから、ここで政策の全体像を示さないといけない。そういう時期です。だから、この次の衆議院選挙までの最大2年間がすごく大事です。その間に、農業の経営規模拡大を実現していかなくちゃいけないし、法人化もしていかなければいけない。
そのときに小規模農家を全部対象外というよりは、集落営農のような形で、農業法人化の中でそれぞれの役割をきちんと個別農家についても見据えるということが必要です。それから農業の担い手とか支え手の中で、本当に農業だけでやろうという人たちが一番困っているのです。
だから余計深刻です。それをはっきりと国民の皆さんに、今はどういう状況なのか、等身大の農業の姿を見せる必要があるのじゃないかと思います。
土地の利用権をもっと集約する仕組みをつくり、税制も含めて抜本的に変えていくべきです。今、小規模農家の人たちは兼業ですから、年金など他の収入もあり、土地を手放さない。だから、本当に農業にかけようと思って大規模農地に展開していこうという専業農家の人たちがなかなか規模拡大できない。
政治家が選挙結果を変に読み解いて、やっぱり地方対策が大事だろうと考え、バブル期以前の、全体が右肩上がりで増えていた時代の装置、仕組みというものを温存したまま、かつてのような形の地方ばらまきに戻りやしないか、そこが非常に懸念されるところです。
それをやると、自滅の時期はもっと早くなるような気がします。かつて中央官庁を使って補助金という形で地方にいろいろばらまいたのが結果として今の事態を招いているわけだから、それを違う形に切り替えていかなきゃいけません。
今は地域のサービスにしても何にしても内容が変わってきて、ハード事業でも、ものをつくるよりも、ものをいかに延命させるかが重要になってきている。それと人口が減ってくるから、そういう中で医療とか福祉のサービスをいかに維持するかというと、ある程度集約化するような知恵も出さなきゃいけない。やるべきことが以前と違って、質が変わってきているのだから、以前の仕組みのまま無理やり地方にばらまいていくような仕掛けをすると却ってだめです。
かつての自民党のばらまき政治、それが行き詰まった。小泉さんはまさにそこを壊したのでしょうけれども、今回の選挙結果は、ばらまき政治に対する懐かしさというか、小泉政治に対しての不満の表れというふうに単純に思うのは、やっぱり危ないのではないかと思います。私は、かつてのばらまきをどう切り替えていくかの展望が不十分だということに対する不満だというように受けとめるんですけれどもね。
地方分権についても、国と地方との関係に関しても、地方は確かに覚悟を示しつつある、あるいは覚悟を持ちつつあると思います。でも、この何年間か政府がやってきた分権対策というのは、補助金は2分の1から3分の1にするとか、結局、補助金の根っこは切らずに、つまり補助金の装置は残したままお金をつくり出して、それで3兆円税源移譲したという、ある種まやかしの構造だったわけです。それに対しての不十分さ、不満というのがあったのではないでしょうか。
2007年08月17日 16:08
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