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 小泉政権第3期(2005年8月)実績評価 評価の視点

合計点
実績
実行過程
説明責任
自民党
80点
30点
35点
15点
公明党
75点
30点
30点
15点

ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
評価点の詳しい説明を先に知りたい方はこちらをご覧ください。


評価の視点

  衆議院解散と郵政民営化

 2005年8月の衆議院の解散は郵便局という最強の集票マシーンをベースとした既得権構造を明らかにし、その恩恵を受けてきた勢力を追い込む結果をもたらしました。特定の政策の是非を問う形での選挙は、国民に選挙に参加することで政策にインパクトを与えるという新しい意識を生み出し、また郵便局を始めとする既得権益の大きさを国民に知らしめました。ここに来て国民は、郵政は「改革の本丸」という意味を理解したといえるでしょう。日本中にこびりついた既成概念、既得権益の一掃のためには、一人一人に何が必要か、国民の関心が一気に高まることになりました。


 郵政改革を評価するにあたって重要なのは、改革の理念や、それと施策との整合性であり、政党としての改革へのコミットメントの程度です。資金の流れを官から民へという理念については、自民、民主両党の差は少ないですが、具体化に向けた施策については、民営化か規模縮小かと大きく異なっています。郵政改革の優先順位も異なります。

 政策目標、理念という点で自民党、民主党の差は少ないですが、その具体化施策については、民営化か郵貯・簡保の規模縮小かと、大きく異なります。各政党の比較を行う前に、郵政改革の成果の評価が必要です。2003年衆議院選挙時の公約以降、郵政改革についての理念、目標がどう変遷したのか、骨抜きはあったのか、当初の目標は現時点でどこまで達成できたのかについてみていきます。
 

アプローチと評価の枠組み

 郵政改革の評価にあたり、「郵政民営化の基本方針」(2004年9月閣議決定)以降の政府・与党協議による修正により、本来の政策目的から逸脱がなかったかどうかを検証します。基本方針では、郵政民営化目的については、1)四つの機能(郵便局ネットワーク、郵貯、簡保、郵便事業)の潜在力の発揮による国民の利便性向上、2)みえない国民負担の最小化、3)公的部門に流れていた資金を民間部門に流す、という3点が明記され、その実現への基本的視点として、(a)経営の自由度拡大、(b)民間とのイコールフッティング確保、(c)事業ごとの損益の明確化と事業間のリスク遮断の徹底が挙げられました。組織形態としては、4事業の分割が明記され、移行期、準備期の枠組みが示されました。この基本方針は、民営化される事業体の民間企業としての活動の境界条件を設定するもので、後に続いた制度設計は、方針で定められた境界条件を法案に翻訳する作業と位置付けられます。
境界条件を決める上で最も重要なのは次のポイントです。骨抜きかどうかを評価するため、法案の骨子にあたる次の①~③がどの程度実態として修正されたのかをみていきます。

①「4事業分離」は民営化にとって必須条件。3事業一体という経営形態での民営化はあり得ない

 各4機能に民間の知恵を導入すれば、各機能は事業として発展する余地がありますが、リスクの遮断、事業の透明性、フェアな競争環境、事業体としての規律の確立という点を満たすには、各事業は自立した経営を行う必要があります。反対派が主張した、貯金・保険・郵便事業が一体であるからこそうまくいっているという議論は、各事業相互の利益補填が前提で、相互補填を前提とした3事業一体では民営化はありえず、公社、官業、公務員体制の維持となります。

②規制範囲が少ないほど政府からの補填の必要な額も少なくなる。また民間経営としての知恵を発揮するスペースは拡大する

 ユニバーサルサービスを金融に拡大することや、郵便局設置基準の現状維持は、民間企業としての経営の自由度、活動範囲を狭め、それによるコストを政府補助で支払う必要が生じます。反対派の論点は法的義務、規制範囲の拡大により、現状の郵便局ネットワークを維持し、政府の補填額を増やすことで既得権益を守ることにありました。

③政府関与が大きいほど、持ち株会社あるいは金融2社の上場後も「暗黙の政府保証」を受け続 けることになり、イコールフッティングを脅かす。

 郵便局ネットワーク維持のためには、貯金保険、郵便事業からの手数料、郵便局会社が自ら推進する新規事業が主要な財源となります。民営化企業の経営の自由度、活動範囲の拡大のためには、事業相互の関係をできるだけ透明にし、恣意性を少なくする必要があります。反対派は、貯金、保険事業に対して郵便局ネットワーク会社との代理店契約を長期に締結するよう要請し、株式の持ち合いを可能にすることで、金融2社にみえない補助を与えつつ手数料を長期に郵便局ネットワークに流す仕組みを通じて、間接的に郵便局ネットワークを維持することを試みました。


抜かれたのは背骨か小骨か

 基本方針の閣議決定以降、2005年4月27日に与党合意案として6法案がまとめられ、衆議院での議論を踏まえ、6月27日の衆院での修正案、参議院での付帯決議が行われました。その結果、反対派にも納得しやすい案になりましたが、民営化の理念に照らした基本的な骨格は残っていると判断できます。

 修正案を上記①-③のポイントごとにみていくと、①4事業分割案は、スタート時には維持されている。②設置基準は、別途省令で定められるが、現状維持は規定されていない。また、郵便と郵便局会社が分かれれば、両者それぞれがネットワーク最適化のために知恵を絞る余地がある。金融のユニバーサルサービスについても、金融機能の中身について経営的判断の自由度が残されている。③代理店契約の維持も、民間的なガバナンス体制の構築が図られた後では、規制当局が恣意的な操作は行いにくい。つまり、株式の持合の可能性は残る一方で、既に一般の株主の牽制が働くため、規制当局の恣意的な操作は難しくなります。民営化委員会のガバナンスが機能すれば、暗黙の政府保証を武器にした民業圧迫にも一定の制限がかかります。

 以上のように、修正案の内容には経営主体の柔軟な解釈が可能な範囲が多く残され、民間企業としての活動範囲の境界条件が著しく狭められたものではありませんでした。これまでの修正が民営化の道筋を大きく変え、または狭めないためには、経営委員会の選定、ガバナンス体制の設計、民営化委員会の人選などで民営化の趣旨を理解した人が選ばれ、民間の知恵を活かす活動の自由を担保する責任を政府が果し続ける必要があります。




2006年02月11日 22:00

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