小泉政権第3期(2005年8月)実績評価 評価の視点
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ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
評価点の詳しい説明を先に知りたい方はこちらをご覧ください。
評価の視点
この分野の評価で最も重要な視点となるのは、地域再生に求められる日本のシステム再設計の視点です。「地方の自立」という方向性の提示と、それに向けたインセンティブの構築だけでは、「地方の自立」はエコノミクスとして成り立ちません。三位一体改革が目指す地方分権が現実に成り立つためには、自立に必要な税収を上げられるだけ、その地方の経済が活力を持つに至っているかどうかにかかっています。道州制という自立の器が経済的に成り立つためにも、そこにある程度自立的な経済圏が誕生していなければなりません。
小泉構造改革の中で進んだのは、日本の経済社会の二極分化で、その中には、大都市部と地方との格差の拡大も含まれます。地方都市では、中心市街地の空洞化現象と「地方の疲弊」が著しく進行しています。このような状況の中で、いよいよ日本全体の人口減少社会が現実のものとなってきました。2007年には、団塊の世代の大量リタイアが始まり「2007年問題」が日本を待っています。超高齢化社会をどう運営して活力ある社会を維持するのかという、日本が世界で最初に直面する最先端課題が目前に迫っています。
国と地方の関係について日本の戦後のシステムは、右肩上がりの経済成長の中で、全国一律なナショナルミニマムを達成するため、「多極分散型国土形成」が理念として謳われてきました。しかし、日本の今後の中長期的な潮流として、右肩下がりの人口減少社会、超高齢化社会への転換を迎える中、戦後システムを持続可能なシステムへと組み替え、新たに再設計する必要があります。特に、IT革命とグローバル化がもたらす潮流の中、グローバルサプライチェーンの構築と、工業力から知的価値創出への経済成長の基軸のシフトが進行している現在、世界的な競争で勝者となるには、各国、各地域経済が「集積のメリット」をいかに発揮できるかにかかっています。
今後の国土全体のシステムは「各地域が一律的に発展するモデル」から「集積を中心に発展するモデル」に転換する必要があります。「地方の疲弊」は全世界共通の現象ですが、世界共通に当てはまる処方箋は存在せず、各地域が地域独自の強さを活かす形で適切なテーマや課題を設定し、それに向けて主体的に動き出す必要があります。
今や、地方の自立をスローガンとして唱えるだけでなく、「地域の再生」を現実化させるエコノミクスを含んだ全体の設計図を描く局面に来ていますが、その際、設計思想として欠かせないのが「戦略的撤退と再集結」であると私たちは考えます。戦後システムの下で、人口は都心中心部から郊外へと外延化が進みましたが、それは地価も人口も右肩上がりという局面で可能となったものでした。右肩下がりの時代、人口減少と高齢化社会を迎える中、郊外への外延化は、外延化した場所における一人当たりのソーシャルコストを莫大なものとし、その負担も維持不可能なものとなっていきます。そのため、外延化の流れを逆転させる方向へとシステム転換が必要です。
集積地に新たな価値を自立的に創出することを地方に求め、集積地以外の場所からの撤退と集積への再集結に向けたインセンティブを組み込んだ形で全体的なシステム設計を構築する必要があります。マニフェストでは、従来の一律的な多極分散型、地域間の結果平等という思想から、こうした思想への転換に対する国民間の合意形成を行うために、合意に向けた理念を提示されなければなりません。こうした、全体のシステム設計を描けたかどうかが評価にあたってのポイントとなります。しかし、自民党、公明党のマニフェストはともに、これらの設計図を描いたものとはいえません。
2006年02月26日 23:50
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