by Google 運営者 お問い合わせ

 小泉政権第3期(2005年8月)実績評価 評価の視点

合計点
実績
実行過程
説明責任
自民党
15点
10点
5点
0点
公明党
35点
15点
20点
0点

ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
評価点の詳しい説明を先に知りたい方はこちらをご覧ください。


評価の視点

 公務員制度改革の評価のポイントは、2004年に提出するとされていた公務員制度改革法案がなぜ実現できず、今後の目処も立っていないのかという点にあります。それは、民間企業と同様のマネージメントという論理が、労働基本権が公務員には認められていないことに由来する既存の人事院制度などと真正面からぶつかったことによるものです。この人事院を中心とする公務員制度をどのように変更するのか。結局、マニフェストが日本の制度を抜本的に組み替えるだけの理念や体系を示し得ていないことが、この分野でも改革の限界を示すに至っています。

 評価に当たってのもう一つの視点は、公務員改革や官のスリム化が専ら財政的観点に基づくものだけになっていないかという点です。定数削減の財政効果は小さく、単なる公務員叩きや、増税への理解のための精神論に流れることなく、「公」を誰が担うのかという視点から、官と民も含めた新しい「公」の再設計という視点が踏まえられているかどうかが、ここでは問われます。

 戦後のシステムを持続的なものに組み替えるシステム再設計の中で、官に与えられる積極的な機能の位置付けの中から公務員制度も展望すべきで、官の本質的な無駄はそこから見えてくるべきものです。定数削減も、全体ビジョンの明確化によってこそ可能になる機能的な削減という視点から考えているかどうかも問うことにしました。


 公務員制度改革についての評価のポイントは、自民党2003マニフェストが2004年の国会に提出することを謳った公務員制度改革関連法案が提出できずに、今後の提出の目処も立っていない(2005年10月時点)という事実に置かれます。なぜこの法案が頓挫しているのかが論点です。
その際の重要な視点として、能力や成果に応じて任命権者が弾力的に人事運営に当たるという民間企業同様のマネージメントを目指した公務員制度改革法案が、既存の人事院を中心とする公務員制度と正面から衝突したことが挙げられます。

 国家公務員は労働基本権が認められない代わりに、人事院が中立的機関として設置され、公務員の身分保障の確保、給与水準の勧告、級別制度の査定などを行っています。自民党が掲げた公務員制度改革は、突き詰めれば、公務員に対して労働基本権を認めるかどうかという選択の問題になります。これは、人事院制度による人事管理、行政管理局による機構・定員管理等の諸制度を廃止し、専ら財政的観点からの制約を各省庁に課し、自由裁量的な人事管理に移行するという覚悟が必要な改革であったといえます。

 加えて、公務員という職種の本質的属性に由来する問題も大きな壁になっています。例えば、成果主義による人事評価は、売り上げや利益などの客観的な指標をもたない公務で、どのように「成果」を客観的に測定するのかという問題にぶつかります。個人に帰されるパフォーマンスに公務員を走らせた場合、組織プレーが必要な分野の多い公務員組織全体のパフォーマンスが低下する恐れがあります。また、マニフェストに盛り込まれている官民交流についても、官庁への民間人登用が進まない理由として、民間人が官庁の幹部として必要なスキルを持ち合わせている場合が少ないということも挙げられます。

 そもそも、官と民の間の人材の流動性確保は日本の経済社会全体の問題です。人材が流動できる厚いマーケットを組み込んだ日本の全体システム設計への展望なくして、公務員制度にだけ焦点を当てても、改革の進展には限界があります。

 以上は、各分野の改革が今や、日本の諸制度の岩盤にぶち当たり、そこに切り込まなければ進まない地点に来ていることの一つの例証でもあるといえます。マニフェストが日本の制度を抜本的に組み替えるだけの理念や体系を示し得ておらず、耳障りの良い施策の羅列にとどまっていることが、公務員制度改革の実績を極めて中途半端なものにしているといえるでしょう。

 もう一つの重要な視点としては、「公」を誰が担うのか、その中で官は何を担うべきか、という新しい公制度の再設計という視点がないままに、専ら財政再建の視点から、増税前の官の効率化、スリム化という論理の下で公務員制度改革が行われていることです。行財政の無駄を省くことは重要で、無駄の徹底的な見直しのために政府は取り組みを集中することが求められていますが、その全ての責任を公務員に求めるのではなく、新しい公システムや業務の見直しの中で公務員の役割とは何か、国民は公務員をどのように使うのか、という積極的な視点こそが必要です。総選挙後に政府は、5年間で公務員の定員を5%削減する純減目標を示しましたが、もし財政再建が目的であれば、それに伴う歳出削減目標も示すべきでした。社会保障や地方交付税と比較して人件費削減による歳出削減への効果は小さく、実質的には増税の前に官を正すという精神論的な意義の方が大きいと思われます。




2006年02月22日 23:46

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.genron-npo.net/mt/mt-tb.cgi/310

トラックバックルール
工藤ブログおよび言論ブログへのトラックバックは、基本的に歓迎いたします。
ただし、スパムや内容的に不適切と言論NPOが判断した場合は、予告なくトラックバックを削除させていただくことがありますので、ご了解ください。また、トラックバックいただいた文章につきましては、当方から本文中に引用させていただく可能性がございますので、予めご了承ください。

前の記事:2005年衆議院選挙マニフェスト評価 評価の視点
次の記事:小泉政権の評価 /公務員制度改革・定数是正