小泉政権第3期(2005年8月)実績評価 評価の視点
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ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
評価点の詳しい説明を先に知りたい方はこちらをご覧ください。
評価の視点
地球環境問題で日本に問われている課題
環境分野で日本に問われている課題には次の二つがあります。一つは、発効した京都議定書への日本としての対応であり、もう一つは、京都議定書以降の、2050年頃に向けた日本としての中長期の戦略です。現在の状況が続くと、2100年には地球の温度は1.4~5.8度程度上昇し、異常気象の発生、洪水、乾燥、水不足、台風の頻発などが起こり、農業生産への影響、地球全体の海面上昇などの深刻な影響が予想されます。特に開発途上国などが影響を受ける可能性が高くなります。その他、健康に対する影響も懸念され、マラリア、デング熱などの熱帯性伝染病が広がり、世界的な水不足、食料危機も警告されています。
京都議定書は国際社会が10年以上かけて積み上げてきたものの、アメリカが参加を拒否するなど、効果が十分ではない懸念があり、アメリカの参加を今後どのように求めるのかという課題があります。日本は既にエネルギー節約などを厳しく行っているため、京都議定書の目標は厳しすぎないかという議論もありますが、今後長期的に脱温暖化、つまり化石燃料に依存しない社会の構築、という日本に課せられた課題を考えると、今後の経済社会を変革するための一つのチャレンジとしてこれを受け止め、取り組んでいくことが必要です。
現在の日本の議論で欠けているのは、長期的に脱温暖化社会にどのように取り組むのかという目標と、根本的な政策転換、技術的・社会的革新を促進するリーダーシップやその具体的措置です。2050年は随分先のことのように思えますが、エネルギー転換、技術開発などにしても、効果が出るには相当な準備期間を要します。例えば2050年にはこういう社会を目指す、そのためには、そこから逆算をして現在からこのような手を打つという戦略を考える必要があります。地球環境を巡っては、アメリカ的アプローチ、EU的アプローチが競合し、開発途上国をどのように取り組むのかという問題があり、外交面においても、アメリカとEUのアプローチに対して日本の特性を活かし、開発途上国の関心を組み上げる形で国際的枠組みをつくるリーダーシップを発揮する必要があります。
京都議定書は2005年2月に発効し、政府は同年4月に「達成計画」を閣議決定しています。京都議定書により日本は対1990年比で2008-2012年に温室効果ガスを6%削減する必要があり、また2003年の数字が1990年の12億3,700万トンから13億3,900万トンにまで8%増えているため、そこから合わせて14%削減する必要があります。但し、2012年以降は何も決まっていないため、議論が必要です。
この14%削減の達成可能性について、一時は東京電力の原発事故による停止の影響があり、達成困難と言われていましたが、その稼動により4%の削減が獲得できます。日本は森林吸収による減少分がカウント可能で、また削減義務のない開発途上国での削減に日本が寄与した場合は自国分としてカウントできます。これらを活用すると達成が視野に入ってきますが、今後の日本の経済成長による排出量の増加が見込まれ、これら以外の部分での削減努力の計画とその実行のための担保が必要です。
マニフェストに盛り込むべきもの
環境・エネルギー問題のマニフェストには最低次の2点を盛り込む必要があります。第一に、アメリカ、中国という京都議定書に入っていない両国を巻き込んだ戦略をどのように構築するのかということです。第二に、エネルギーについては
1.化石燃料を中心とする体制を継続し、代替エネルギーへの転換は市場メカニズムを通じて進める、
2.CO2排出の問題のない原子力を基幹エネルギーに据えるよう決断し、国民の合意形成を図る、
3.クリーンエネルギーを主体とするエネルギー体系への組み換えを目指して社会システム全体を循環系へと転換することを決断し、そのために当面必要なコスト負担についての国民の合意形成を図る、
という3つの基本路線の選択肢があります。当面は3.に向けて資源配分を変更しなければならない状態には至らないにせよ、いずれ、社会全体が高齢化しエネルギー需要が拡大することを踏まえれば、3.という選択肢を迫られる時が到来するでしょう。これも日本のシステム再設計の問題であり、政治はこの点での問題提起や国民への問いかけを開始する必要があります。
2006年02月11日 22:00
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