小泉政権第3期(2005年8月)実績評価 評価の視点
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ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
評価点の詳しい説明を先に知りたい方はこちらをご覧ください。
評価の視点
基本認識
道路公団の民営化は、小泉改革の中核事業であり、首相自らが公約した課題について任期中に法案の成立、民営化実現という結果を出した数少ない政策分野です。道路公団の民営化は、戦後の道路行政をはじめとする様々な構造のギヤチェンジ、清算を行う歴史的事業であり、その行方は今後も監視し続ける必要があります。本評価は私たちの第2期小泉政権評価に一部加筆したものですが、上記の理由から、あえて2005年評価でも掲載することとします。
2004年参議院本会議で道路公団民営化法案が可決し、2005年10月に民営化会社6社と道路公団が保有する高速道路資産と債務を引き継ぐ「日本高速道路保有・債務返済機構」が発足しました。
道路公団改革の評価にあたって、まず留意すべき事項は、改革の目標と手段が混同されていないかということです。何のために民営化を行うのかを判断し、民営化がその目的を達成する手段として正しいかどうかを判断する必要があります。
まず、民営化の目的を判断するために、私たちは小泉首相の国会での発言を全て追い、「民営化」を国土交通大臣に指示した直後の衆議院予算委員会での発言を発見しました。ここで小泉首相は「転換期であり、高速道路整備計画を継続することはありえない。見直す」とし、民営化を活用して、経済合理性のない高速道路整備を止めるとしています。この論理では、「民営化」は手段で、それによって高速道路整備拡大に歯止めをかけ、さらに将来世代に負担を押し付ける仕組み自体を大幅に見直し、40兆円を超す巨大債務の返済を優先することに目的があったと判断できます。
この時点では、見直しの方向性として、税金の投入で債務返済を行ない、道路公団の枠組みでの道路建設はやめて、必要な道路建設は税金で賄うこととするかどうかの選択を国民に問うこともできました。しかし、小泉首相は、道路公団に経営のガバナンスを機能させることで、経済合理性のない非効率な道路建設をストップさせるという期待の下に、「民営化」という手段を当初から選択しました。その一方で、道路公団は財政投融資に支えられる特殊法人として、道路行政の官僚機構の一大拠点となっています。小泉首相は、このように政治的摩擦の大きい分野を優先的に掲げ、改革志向を国民向けに「演出」する戦略を追及するために、道路分野の改革を政権の生命線として重心を置きました。
「民営化」骨抜きは妥協か規定路線か
しかし、2003年12月の政府・与党の申し合わせは、これまでの「民営化」議論とは本質的に異なるもので、既存の道路建設をいかに進めるかに重点が移ってしまっています。2002年の道路関係四公団民営化推進委員会の意見書が、経営のガバナンスを機能させるために10年後に発足する新会社と機構を一体化するとしたにも関わらず、45年後の同機構の解散まで、その分離が固定されることになっています。分離された二つの組織では、道路建設に対して経営のガバナンスが働かず、「民営化」の設計は失敗に終わっています。また、民営化委員会意見書は料金収入を債務返済に充当する考えを打ち出していますが、政府・与党合意では、料金収入を担保に新規道路建設が可能になり、債務の返済期間は40年から45年に延びています。道路関係四公団民営化推進委員会が分裂に追いこまれ、民営化が骨抜きにされた要因としては、当初の目的と民営化の設計思想に齟齬が広がったことがあります。
この間の道路公団改革を巡る経緯をみると、当初から既存の整備計画に基づく高速道路の建設が改革の前提となっており、料金収入では賄えない道路建設をいかにして税金投入で行うか、その仕組みづくりと道路公団の組織改革が政治的な課題になっていたようにみえます。実際に、改革案がまとまる以前の2003年度予算では、直轄方式の予算が1,000億円計上され、高速道路建設への税金投入という判断が既に下されています。こうした動きは小泉首相の当初の「民営化」の思想とは明らかに異なります。
法案成立の結果、道路公団は分割、民営化され、45年後には債務を返済し、高速道路は無料開放さる予定です。同時に公団はその役割を終え、料金による道路建設は打ち切りとなります。しかし、税金を投入して高速道路を建設することは既に決まり、料金収入を担保に新規建設もできることになっています。45年でこの新規分建設費も含めて50兆円近い債務が返済可能かどうかが、民営化問題の評価の重大な対象となります。
2006年02月07日 13:25
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