強い民主主義を定着させたい 言論NPO代表 工藤 泰志
言論NPOは今年の年明けから、ウエブを全面的にブログ方式にし、さまざまなブログを立ち上げています。1月にテーマ別議論の「言論ブログ」を立ち上げましたが、今日3月8日、これまで3ヶ月あまり作業をしていた「マニフェスト評価ブログ」を立ち上げました。政府の政権与党などの政策の実行評価などをウエッブでも行い、政治を監視し続ける仕組みを作るためです。
特に今年は自民党の総裁選挙もあり、小泉首相の後継総裁が決まります。党首選はイギリスでもそうですが、まさにマニフェスト政治のサイクルの始まりで党首の公約がその後、党の公約となり、有権者がその党を選べばそれが政権の公約となります。その意味では総裁選挙はマニフェスト評価側からも無視できない重要なイベントと考えます。
候補はマニフェストを提案すべきであり、当然、私たちの評価作業は、総裁選びから行わなくてはなりません。マニフェストブログの開設は、もちろんそれを意識したものです。
言論NPOではこの4年間の間に小泉内閣の実績評価を3回公表し、さらに衆参の2回の選挙で各党のマニフェスト評価を実施してきました。
この間、公約が国民との契約になったかといえば、まだそこまでには至っていませんが、しかし、各政党がマニフェストを選挙だけではなく、政策の実行面でも部分的でも意識をし始めたのはマニフェスト政治を日本に定着させるという点で進展と言えます。
こうした政策の実行を中心とした政治は、不十分ではあれ、小泉首相の首相主導型の政治が加速させたのは事実でしょう。党を壊すとした小泉総裁は最終的に党の公約とまったく異なる政策判断を行う候補の公認を取り消しましたが、それまで疑わしかった党のガバナンスが機能し始めたとも評価できます。
その意味では次の総裁がこうした首相主導型の政治をリーダーシップを伴ってどう推進するのかも私たちは注視をしなくてはなりません。
しかし、評価を行って側からこの間の総括をすると、マニフェスト政治は不十分でむしろ形骸化する恐れがあると私は懸念しています。
昨年の総選挙では郵貯一本に絞った小泉選挙で有権者はそれ以外の政策で事実上の白紙委任をしてしまいました。選挙は郵貯に代表される小泉改革を継続するのかが争点との見方もありますが、このときには医療改革や税制問題など有権者が判断しなければならない問題は郵貯以外にもいくつもありました。重要な問題について選挙ではまったく触れずスローガンだけという状況も相変わらず続いています。
こうした状況を許しているのは、まだマニフェストを軸とした政策立案、実行のプロセスが党や政府内でも十分にできていないこと、戦後から継続してきた制度の改革ではそれを壊すことはできても作り変えることのビジョンを日本の政党が十分に提起できず、むしろそれを選挙時に提案することを避ける傾向があるからです。ある意味でこうした問題は日本の有権者の存在が政治家を恐れさせる存在にまだなっていないということにあります。有権者の多くが政策で政治を選ぶのではなく、ワンフレーズで分かりやすい政治を簡単に雰囲気で支持してしまうのは、メディアや私たち政策評価を行う団体の責任も大きいと考えます。
私たちは健全な言論の発達でしっかりとした民主主義をこの国に根付かせたいと考えています。しっかりとした民主主義とはワンフレーズで多くの人を動かす薄いが広い直接的な民主主義ではなく、議論を積み重ね、それが日本の政策形成を動かすような強い民主主義です。そうした議論を作り出すために私たちはさまざまなテーマで議論をウエッブでも行い、質の高い参加型の議論の場を作ると同時に国政を有権者の立場から監視する作業をウエッブでも行い続けます。ご期待ください。
2006年03月06日 23:14
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