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 「格差・再チャレンジ」に関する安倍政権の実績評価 / 評価の視点

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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

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評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア) 安倍政権の「成長戦略」は真に実効性ある施策の体系となっているか

イ) 着実な進展が見られるか

ウ) 説明責任が果たされているか


 「効率か公平か」「成長か格差の是正か」という二律背反の問題は、経済政策において永遠のテーマです。政権が格差問題にどのようなスタンスで取り組むかは、その政権が経済政策全体の体系をいかなる思想で描いているかを示すものにほかなりません。

 また、格差問題と言っても、事後的な所得分配の公平もあれば、機会の事前的格差の均等が重要であって、事後的な格差は受け入れるべきだという議論もあります。

 こうした点についての安倍政権のスタンスは、当初は「勝ち組と負け組が固定化しない」「誰でも再チャレンジが可能な社会」が掲げられました。これは機会の均等という面に視点を置いて、明らかに事後的な分配の公平よりも、効率や成長のほうに軸足を置いたスタンスが表れています。

 しかし安倍政権は、格差問題について、もう一つ別の柱を構築しました。それは、「再チャレンジ」の意欲や能力を持つ階層をターゲットとするだけでなく、そうした層に属していないいわゆる「ワーキングプア」をも政策ターゲットとして設定したコンセプトが「成長力の底上げ」です。すなわち、近年の日本の経済社会では、職業能力の育成を施されなかった人々の問題が浮上しています。就職氷河期に正社員になれなかったフリーターがそれですし、また企業が短期的な利益を重視する成果主義の方向に進む中で、長期的に人材を育てる企業内の教育投資が減少し、社会全体に十分な職業能力を持つ人材が不足することになったという問題もあります。

 したがって、これらの職業能力のない人々に教育(ジョブトレーニング)を施し、労働市場に送り込んでいくことは、労働力人口の減少という日本経済の成長制約要因に歯止めをかけ、成長力を「底上げ」することになるという考え方です。これもまた、成長に軸足を置いたソリューションです。

 ただし、この「底上げ」戦略には、もう一つ別の柱があります。それは成長戦略とは別の論理である「公平」を基軸とするもので、パートと正社員の待遇の均衡や、最低賃金の引き上げをその内容とする、労働市場に関わる一連の施策です。これらは基本的に、事後的な分配の平等というより、労働者が所得を形成する途上において生じている労働市場の歪みを是正する施策であり、労働市場が公正に機能することは日本経済の成長基盤にも資することから、全体的な成長戦略とは矛盾しないと言えます。

 以上のように、安倍政権は格差問題に対して「成長」という答えを示し、その下に整合的な政策体系を構築していると言えます。問題は、それが真に実効性ある施策の体系となっているか、それに向けて着実な進展が見られるか、こうした政策体系についての説明責任が果たされているかということです。これらの点が、評価の視点となります。


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2007年06月25日 15:07

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